山田太一のレビュー一覧

  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    二年前、イギリスで映画化された時に買っておいた。昨日読み始めたら止まらなくなって二日で読み終わった。山本周五郎賞取った作品だけに面白かった。200ページ余りだけど各ページ文字数少なく、実質100ページ程度だろう。だけど内容は濃かったと思う。幽霊物だけど、ファンタジーな山田太一の世界が描かれた作品だった。
     1988年に大林宣仁監督市川森一脚本、風間杜夫、秋吉久美子、片岡鶴太郎で映画化されている。これは観てみたい。

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    2026年09月11日
  • 新版 親ができるのは「ほんの少しばかり」のこと

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    ネタバレ

    山田太一さんのエッセイ。1934年生まれの山田太一さんが、60歳くらいのときに、家族や子供、子育てについてつづったエッセイを、80歳くらいになって再編(?)したもの。ご自分でも、この年になって読み直しても、子育てに関する考えは変わらないものだと最後に書いている。
    令和の今の時代、昔と子育てに関する価値観は大きく変わっていると思うのだが、平成~令和にかけて子供を中学生まで育てた私が読んでも、本当にその通りだなーと思うことが多かった。

    以下引用
    人間はなんでもなく生きていることを幸福と思わなければならないような弱い存在なのではないでしょうか。
    伝統というものは、再生産をしているように見えて、多くの時代多くの個性のフィルターでろ過され磨かれているもので、よほどの天才ならともかく、一個人の創意工夫ぐらいでは、歯が立たない厚みを持っているのではないでしょうか。
    幼児は、人間の本来の速度を教えてくれるような気がします。人間は、汚れるものだということも、人間は時間がかかるものだということも、人間の無力も身勝手も感情の爆発も機械のようにはいかないことも、素朴とかぬくもりや助けが欲しいこともー。
    子供が汚れを持ったときに、それにとても驚いてしまうとか、厳しく排除してしまうということは、人間を知らない愚かで傲慢な所行だと思います。少し正直に自分を見る目があれば、子供に公明正大、清潔などを求めなくなるのではないでしょうか。

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    2026年05月09日
  • 終りに見た街

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    昭和50年代から昭和19年へタイムスリップした二家族。終戦に向けての悲劇を知識として知っている太一と敏夫は、東京大空襲の被害を少しでも減らすために避難を呼びかけるが、空襲を受けた太一が最後に見たものは倒壊した東京タワーだった。

    戦争を知らないはずの子どもたちが、その柔軟さゆえに国民総動員を自ら志願するようになるシーンが悲しかった。

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    2026年04月25日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    主人公が風間杜夫さん。鶴太郎さん、秋吉久美子さんがその両親の亡霊役という映画の原作。
    離婚して虚な生活を送っていた主人公が異世界で亡き両親と出会い心の穴を埋めて幸せな時間を過ごすのだが。
    亡くなったはずの父親がごく自然に主人公と触れ合い、母親が優しく接する。
    この呼吸が、彼らの関係が、甘い親子関係が胸を打つ。
    亡くなった自分の父親のことが思い出された。
    かなり厳しく、傲慢で怖い存在であった父親のどこかにこの作品の中の父親のような子供に対する愛情を私は感じていただろうか。

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    2025年12月13日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    思っていたのとはちょっと違ったけど、さすが山田太一、第一回山本周五郎賞の名に恥じぬ名作。とにかく筋書きが面白く、導入部での主人公の離婚の顛末から一気に引き込まれる。作者と同じく脚本家である設定も効いていて「なるほど、脚本家というものはこういう風に日常をドラマとして捉えてしまったりもするものなのか」と変に感心させられたりもする。
    古典的な幽霊譚の構造を踏襲しながらも、現代人の心に直に訴える魅力を絶妙に加えて素晴らしい出来栄えでした。

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    2025年11月22日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    非常に読みやすく、面白かった。
    ページ数が少なく物語もコンパクトなため、自分のような読書初心者におすすめだと思う。
    主人公と亡くなったはずの両親が浅草で会う場面が出てくる度にノスタルジックな気分になり、良かった。
    次は夏に読みたい。




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    2025年10月16日
  • 終りに見た街

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    ネタバレ

    戦後の昭和に生活していた一家が、戦時中に家ごとタイムスリップしてしまった話。
    かなり前の本なのでネタバレといってもみなさま読まれてるとは思いますが、やはり最後のオチが秀逸。さらに戦時中の日本の閉鎖的なところや貧困、生活がリアル。。(作者が戦争を体験しているので。。)

    家族がタイムスリップしたのは果たして過去だったのか、はたまた未来だったのか。戦争が起こればこんな日々になってしまいますよ、というメッセージを感じました。なんだろう、、異世界転生とか時間が巻き戻る系が流行ってますが、実際はこの本みたいに起こりうる未来を知っていてもなんとかならないし、何なら馬鹿にされるんだなと思いました。いや、あれはあれでエンタメとして楽しいのでそれはそれ、これはこれ。ですが、こういう真面目な話もすごく良いです。

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    2025年07月28日
  • 新版 親ができるのは「ほんの少しばかり」のこと

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     子供が、自ら選んだハードルの高い高校に入学し、毎日かなりの無理をしながら頑張っている姿を見ていて、親にも何かしてあげられることはないかと気を揉み、この本を思い出し手に取りました。

     そう、本当は内容を読まずとも、ある程度は頭ではわかっているのです。親ができるのは、ほんの少しばかりの事しかないということは。ですので、できることを知りたいというよりは、余計なことをしてしまっている気がしたので、しない方が良いことを知りたいような気持ちで手に取りました。
     
     内容はとてもためになりました。「人間は、ある程度のいい加減さが必要である」という考えが核になっているようでした。30年ほど前に書かれたものだと思いますが、ここで書かれている考え方は、書かれた当時よりも、むしろより今の方が、皆が心しておかなければならないことなのではないか、と感じました。

     読んで結局、親はせっせとご飯と弁当を作り、子供があまりに無理をしすぎている時は少しだけ声をかけ、健康に気を配り、必要とされる経費を払うことを頑張ろうと思った次第です。それ以外の事はしない方が賢明なのかもしれません。(最近の感触からすると)

    以後、心に響いたところの抜粋です。

    ◯(子どもの)ブレーキになりたくないと願います。親に、そんな権利はないし、責任もない。親のできる事は、ほんの少しなのだ、と思います。ほんの少しだって、随分大変なのだから、それ以上集中して邪魔者になるのはよそうよ、と思います。 160

    ◯テレビドラマを書き始めた時、犯罪を通して現代を書くことを封じ手にしていこうと思った。社会の歪みが犯罪ではくっきりと現れるから書きやすい。でも、罪を犯さない人の喜びや悲しみとか、平凡さの持っているやりきれなさなどがうずもれてしまわないか。34

    →最近は大きな問題ばかりが注目されて、平凡な中にある苦悩が取り残されている気がする。普段の生活を良くすることがなおざりにされて、現在には薄く、政治などにもそれが反映されているようにも思う。

    ◯親の日常生活が結局は1番子供に影響与えている。親の持っている器量以上の影響を子供に与える事は難しい。60

    ◯子供が汚れを持ったときに、それにとても驚いてしまうとか、厳しく排除してしまうという事は、人間を知らない愚かで傲慢な所行だと思います。少し正直に自分を見る目があれば、子供に公明正大、清潔などを求めなくなるのではないでしょうか? 41

    ◯人間というのは、努力とかなんとかと関係なく、ある年齢になると何かに気がつく。その年齢の得とでも言うのでしょうか。反対に気がつかなくなる部分も出てくる。その都度その都度の年齢で輝くものがあるのではないでしょうか。そしてそれぞれの年齢の輝きが社会というものを潤わせているというふうに思いたい。
    37

    ◯家族も拒んで、個を通して生きるには、代わりの共同体が育っていないと言う気がします。132

    ◯子供の汚れを知った時、それを嫌だと感じることまで封じることはできませんが、かっとなって闇雲に排除する事はやはり間違いだと思います。社会は本気で都合が悪くなって、大目に見ない時は、残酷なほど見ません。しかし、親が子供に対して、社会と同じ基準で裁いては親のの甲斐がないと思う。大目に見る事は親にしかできない場合もあると思います。
    なんであんなにみんな大目に見てくれていたのか、不思議な気もしますが、そのおかげで自分で自分の至らなさに気づき、時間をかけてそれを正したりする余裕が持てたのだと思います。だから僕は若い人に対してできるだけ大目に見なければいけないと思ってしまいます。42

    ◯子供というものは親に全て見られていたら、成長しないところがあると思う。親の目を気にして、自分の中の汚れを排除して生きると、育たないところがあるように思います。暗闇で育つ、という部分が人間にはあるのではないでしょうか。 43

    ◯配偶者が、自分以外の人を好きになるとか、そういう気持ちが湧くことに敏感で、すぐ光を当て白黒つけないと、自分は偽りの人生を歩いているように思うなどと言うのは、人間を知らないことだと思います。43

    ◯後ろめたさを持つことも、自他の感覚を育てることです。どう嘘をついても、無駄だと思い知らせるような教育は、無力感を生み、親の言うなりになって、自分の世界を持たない人間を作るということにならないでしょうか? 45

    ◯社会的基準がものを言っている社会ですから、むしろ逆に、なるべく社会的基準といったものを捨てて、人を見る目を持とうとすることがとても大切なのではないでしょうか。53

    ◯一般的基準を忘れて愛する。イタリアツアーで歳とか職業とか気にせずにみんな対等に話をしている。いかに自分が他の場所でこういう付き合い方をしていないかを実感させられました。
    59

    ◯人と喧嘩すると、生涯そのまま喧嘩していなければならないと言うような息苦しい律儀さを持っている人もいるから、私は勝手に、もっといい加減なもんなんだよ人間は、って教育しているつもり62

    ◯育ちの良い人は、さらりと甘えたり、緊張なく咳き込むことができるかな。90

    ◯「心の傷も栄養になる」という章のいじめについて。いじめから学ぶ事はたくさんあり、決してマイナスばかりではないというメッセージ。102

    ◯家庭内暴力のこと 
     戦後家庭がどんどん核家族になってきて、なるべく社会性を切ったところでほっとしようという風な方向で動いてきて、そのことで復讐を受けている部分でもあると思う。104

    ◯人間は正義を体現するために生きているのではないですから、善悪にあまり敏感すぎると、非人間的なところへ入り込んでしまうように思います。134

    ◯両親の期待を裏切りたくなくて、ある方向へ行きたい願いを諦めるというような事は、親というものが、かけがえがないだけに、ありがちなことだと思います。158

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    2025年05月15日
  • 終りに見た街 シナリオ集

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    続いて読んだシナリオ集、何と宮藤官九郎のシナリオと山田太一自身が書いたシナリオが載せられている。
    とても珍しいものだと思いながら読み進める。
    原作を読んだ直後なのでシナリオ化にあたってどんな工夫がされたのかがよくわかる。それぞれに素晴らしい作品だった。

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    2025年04月05日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    山田太一脚本のドラマはずっと好きだったこともあり、確か死去のニュースの後にこの本を買ってようやく読んでみたが、こんなに面白いとは思わなかった。もう無理だけど、ふぞろいも男たちの旅路も映像でも見たかった。

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    2025年02月24日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    今年始まったばかりだが…今月読んだ中では一番か二番に面白い。
    ドラマを描く脚本家だけあり、読んでいて脳内で映像化できそうなくらい読みやすい。昭和の古きよき親子関係がある
    有名な本で、映画化もされたらしいし、本の名前は知ってはいたが、やっと読めてこの歳になってジーンとくる話だった。

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    2025年01月17日
  • 終りに見た街

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    ネタバレ

    ラストがとても、、怖かったが
    どんな教科書よりもこの小説を読む方が
    戦争のことを知れると思う。

    現代設定は1981年だが、果たして2025年だったらどうか
    突然1944年にタイムスリップしたらば
    きっと登場人物のように気が狂うと思う。

    この小説を読んでいる今も戦争をしている国がある。
    どうにかならんのか、と思うと同時に
    様々な国や性格や人種、貧富差、環境差がある人間たちが
    争いをするということは 人間という生物の性質なのだなとも思う。

    たとえ歴史として学んだとしても体験していない限りは
    戦争反対と口に出したとしても全く現実感のないことである。
    日本でも戦時中を生きていた人が減っている今
    いつ戦争が起こっても 巻き込まれても おかしくはない。
    果たして、私たちに何ができるか。

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    2025年01月13日
  • 時は立ちどまらない~東日本大震災三部作

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    東日本大震災から1年、3年、5年のそれぞれの物語。
    作者が取材を重ねて作り上げたという。
    実際に取材をしなければ見えない場面や人間模様、震災に対する個人個人の思いの違いなどをリアルに表現できるように作られていると感じた。
    残念ながら、放映されたドラマを見る機会がなかったが、この作品に出合い、まるでテレビ画面を通じて語られているような感覚を持つことができた。

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    2024年09月04日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    アンドリュー・ヘイ監督の映画『異人たち』(2023年)を観てとても好きだったので原作を調べたら日本の作家さんの小説だったのですぐに入手して読んだ。設定は異なるけれど主人公の孤独さやアパートや街の妙な静かさ、両親と再会する戸惑いと温かさ、切なさは共通していた。描かれている妙とも思える世界がとても好きで時間を忘れて読み耽った。終盤は2023年の映画版に比べると和製ホラーだったけれど、そこも好きだった。はー、好きなところが多くて満たされた。

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    2024年08月13日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    パート1は確か中学1年生だったかと

    マセた中坊だったのか、毎回楽しみに観ていて、ちょうどその時通っていた英会話教室の先生とこのドラマの話になり、「東京の大学生は楽しそうでいいな〜って思っちゃうよね」と寂しそうに話していたのを思い出した

    山田太一が亡くなったと知り、思い出したように買ったけど、なかなか読む時間がなくて眠ってた一冊

    幻となったパート5は回想シーンあふれる見事なシリーズ完結編

    役の俳優が分かるだけに、読みながらシーンがイメージ出来ちゃうのがホント楽しくて、最後はドラマを観終わったのと同じ感動を味わえました

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    2024年07月08日
  • 夕暮れの時間に

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    氏はやはりどこまでも「テレビ人」としての自覚を持っていたようで、だからこそ、大上段に構えることを嫌い、常に視線を低く市井の人々の声に耳を澄ませていたのだろうと、人柄が伺われるエッセイ集。後半の書評群も興味深かった。

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    2024年06月23日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    読み始めると、吸い込まれたように、時間を忘れ読み終えてしまった。読みやすい、怖そうで怖くない、共感できる終わり方がいい。

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    2024年05月18日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    冒頭のひと段落で心が掴まれた。「妻子と別れたので、仕事場に使っていたマンションの一室が私の住居になった。テレビドラマの脚本を書くのが職業である。多くの時間、一人で部屋にいる。少し前には、やって来る女がいたが、妻と別れ話をしているうちに離れて行き、それはそれでよかった。離婚で多量の感情を費やし、人間との接触は、快楽を含めて、しばらくは沢山だった。」

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    2024年03月20日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    ドキドキハラハラするだけが面白いテレビドラマかと思いきや、Ⅴを読み終えると第一話のコンパの場面から結末まで実は複数の糸が全部繋がっていたことがわかる。なんたるドラマツルギー、純文学の大家の長編小説の最終編を読み終えた気分。

    今となっては設定年齢を大幅に過ぎていて、出演者が揃っても映像化できないが、ぜひテレビドラマとして観たかった!

    山田太一の節回しが久々に脳内で、しかも中井貴一や時任三郎、柳沢慎吾の声で再生され、自分も前向きだった20年前に遡った気分になれた。出版に感謝。

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    2023年11月18日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    離婚したばかりのシナリオライター。浅草をぶらついていると12歳の時に亡くなった両親と会う。しかし、彼らと会うたびに痩せていき…同じマンションの新しい恋人は引き留めようとするが。

    真夏の怪談、とも言える傑作。すごく日本風で、懐かしくもあり、心地よくもある。ラストのどんでんも無理がなく、さもありなんという感じ。

    ホラーでもあり、ラブストーリーでもあり、親子愛の話でもある本作。映像化もされているので、そちらも楽しみ。

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    2023年05月25日