「山田太一と新井英樹が組むなんて…!」
意外過ぎる組み合わせに衝撃を受けて読み始めました。
新井英樹のキャラが感情を爆発させる姿を何度も見てきたので、
序盤は「誰も銃を持たないな…」「誰も人をボコボコにしないな…」と
ついついいつものくせで思ってしまいました。
派手なシーンは多くはありません。
しかし、前職の特養老人ホームで悔やまれる行為を行った主人公の草介と同様に
彼の介護を受ける吉崎さんにも
わかりやすい暴力ではないにせよ人を傷つけた経験があり、
それが彼が抱く痛みと繋がっています。
吉崎さんは、時々家を訪ねてくれるケアマネの女性・重光さんへの感情から
彼女と草介に奇妙な提案をもちかけます…。
最初は普通の元気なおばさんにしか見えなかった重光さんが
展開が進むにしたがってどんどん色っぽく、魅力的に見えてきます。
強烈な暴力もなく性描写も比較的穏やかですが、
心に深く刺さるシーンが多い作品です。
感情タグBEST3
心を打たれました。山田太一さんほどの方になると、介護の仕事をわかってくれている。そのわかってくれかたも、そっと重なり合ってくれる感じ。普通の介護士、ハイミスのケアマネージャー、謎の多い老人と登場人物はさまざまです。山田太一さんはは平凡な人々の非凡なる日常を書くのがうまい。是非お読みください。以前見た...続きを読む空也上人像をまた見に行きたくなりました。
Posted by ブクログ 2016年02月01日
「原作のある漫画」というのは、まず手に取りません。その原作を知っていてもいなくても「おもしろくない」ことが多かったから。この作品も同様にスルーしていたのですが、勧められて読んでみて、結果、私も誰かに勧めてみたくなりました。「おもしろい!」と声高に語るタイプの作品ではないけれど、読んでどう思ったか、話...続きを読むしてみたい。主な登場人物は三人のみで、その交流の記録です。特別養護老人ホームを辞めた青年、ベテラン・ケアマネ―ジャーで独身の中年女性、介護を必要とする孤独な老人。「重そう、地味そう…」と思われた方、その予感は当たっているかも。でも読み終えて残るものは、きっと前向きな強さです。気になって原作小説も読んでみると、驚くほど忠実に丁寧に漫画化されていることに気付き、作者の新井英樹さんが原作にどれだけ思い入れがあり、誠意をもって取り組まれたかがわかります。大きく違うのはラストと劇団の設定くらいかな。うがった見方になるかもしれないけれど、この漫画のもうひとつの見どころは、まさにその「思い」。冒頭にイントロダクション、巻末には原作者・山田太一さんとの対談も収められていますが、この「思い」含めての作品であると断言したい。『ザ・ワールド・イズ・マイン』など過激で暴力的な作品を描くイメージの作者が、それを覆すように、前向きであること、人と向き合うこと…ひねくれ者にとっては真顔で言うのが恥ずかしいことに「でも」と挑む。変わろうとする。その姿勢からも、勝手に勇気をもらうのでありました。(山口文子)
Posted by ブクログ 2014年10月02日
原作付きだから当たり前なのだけど、ここまで短くパッケージングされている新井英樹作品なのに、これだけの感動が得られてしまうのは今までなかったなあ。
対談に先生の写真が載ってますが、新井英樹さん痩せましたね。
Posted by ブクログ 2019年09月26日
山田太一っつったら、しみったれた・説教臭い・貧乏臭い、とやや敬遠している。
それを新井英樹が漫画家するとは。
なかなかに骨太だ。なかなかにチャーミングだ。
最後に女性がある嘘をつくのだが、その嘘を混ぜた意図が、巻末対談で語られており、なるほどなー、と。
再読するときはそこの再度味わいたい。
Posted by ブクログ 2015年07月28日
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