【感想・ネタバレ】空也上人がいたのレビュー

「山田太一と新井英樹が組むなんて…!」
意外過ぎる組み合わせに衝撃を受けて読み始めました。
新井英樹のキャラが感情を爆発させる姿を何度も見てきたので、
序盤は「誰も銃を持たないな…」「誰も人をボコボコにしないな…」と
ついついいつものくせで思ってしまいました。
派手なシーンは多くはありません。
しかし、前職の特養老人ホームで悔やまれる行為を行った主人公の草介と同様に
彼の介護を受ける吉崎さんにも
わかりやすい暴力ではないにせよ人を傷つけた経験があり、
それが彼が抱く痛みと繋がっています。
吉崎さんは、時々家を訪ねてくれるケアマネの女性・重光さんへの感情から
彼女と草介に奇妙な提案をもちかけます…。
最初は普通の元気なおばさんにしか見えなかった重光さんが
展開が進むにしたがってどんどん色っぽく、魅力的に見えてきます。
強烈な暴力もなく性描写も比較的穏やかですが、
心に深く刺さるシーンが多い作品です。

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色々重なる

2021年06月21日

心を打たれました。山田太一さんほどの方になると、介護の仕事をわかってくれている。そのわかってくれかたも、そっと重なり合ってくれる感じ。普通の介護士、ハイミスのケアマネージャー、謎の多い老人と登場人物はさまざまです。山田太一さんはは平凡な人々の非凡なる日常を書くのがうまい。是非お読みください。以前見た...続きを読む空也上人像をまた見に行きたくなりました。

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Posted by ブクログ 2016年02月01日

「原作のある漫画」というのは、まず手に取りません。その原作を知っていてもいなくても「おもしろくない」ことが多かったから。この作品も同様にスルーしていたのですが、勧められて読んでみて、結果、私も誰かに勧めてみたくなりました。「おもしろい!」と声高に語るタイプの作品ではないけれど、読んでどう思ったか、話...続きを読むしてみたい。主な登場人物は三人のみで、その交流の記録です。特別養護老人ホームを辞めた青年、ベテラン・ケアマネ―ジャーで独身の中年女性、介護を必要とする孤独な老人。「重そう、地味そう…」と思われた方、その予感は当たっているかも。でも読み終えて残るものは、きっと前向きな強さです。気になって原作小説も読んでみると、驚くほど忠実に丁寧に漫画化されていることに気付き、作者の新井英樹さんが原作にどれだけ思い入れがあり、誠意をもって取り組まれたかがわかります。大きく違うのはラストと劇団の設定くらいかな。うがった見方になるかもしれないけれど、この漫画のもうひとつの見どころは、まさにその「思い」。冒頭にイントロダクション、巻末には原作者・山田太一さんとの対談も収められていますが、この「思い」含めての作品であると断言したい。『ザ・ワールド・イズ・マイン』など過激で暴力的な作品を描くイメージの作者が、それを覆すように、前向きであること、人と向き合うこと…ひねくれ者にとっては真顔で言うのが恥ずかしいことに「でも」と挑む。変わろうとする。その姿勢からも、勝手に勇気をもらうのでありました。(山口文子)

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Posted by ブクログ 2014年10月02日

原作付きだから当たり前なのだけど、ここまで短くパッケージングされている新井英樹作品なのに、これだけの感動が得られてしまうのは今までなかったなあ。
対談に先生の写真が載ってますが、新井英樹さん痩せましたね。

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Posted by ブクログ 2019年09月26日

山田太一っつったら、しみったれた・説教臭い・貧乏臭い、とやや敬遠している。
それを新井英樹が漫画家するとは。
なかなかに骨太だ。なかなかにチャーミングだ。
最後に女性がある嘘をつくのだが、その嘘を混ぜた意図が、巻末対談で語られており、なるほどなー、と。
再読するときはそこの再度味わいたい。

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Posted by ブクログ 2015年09月08日

最後のウソに味がある。
老人を筆頭に心の闇が半端ない。すっとぼけたようにしか見えない空也上人の像、棺前での御セックスなどインパクト強し。

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Posted by ブクログ 2015年07月28日

特別養護老人ホーム キレた 岡崎市 証券会社 家族の事なんて ケータリング 寿司 飛騨牛コロッケ キャベツ 重光さん46おばさん 人形劇団 バリアフリー 京都 偏屈 心の交流は殆どない お前こんなんでいいのかという目 風呂に入りたい 公共の花

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Posted by ブクログ 2014年10月04日

老人介護を通じた生と死の物語も新井英樹さんが描くとこんなに躍動的になるんですね。すごい存在感の1冊です。

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Posted by ブクログ 2015年09月20日

妻に死なれた孤独な老人、独り身の中年の女、分け合って仕事を辞めた若者の男。
老人の性、嫉妬、死といろいろ考えさせられて、何だか生きたくなるかもしれないぐらいのパワーがある

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