永井玲衣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
白と水色のコントラストが綺麗なこの本をたまたま見かけ、なんだか内容が気になっていた。哲学について予備知識なくても読むことができ、意外と身近な分野だなと思わせてくれるエッセイでした。
今の小学生は哲学対話の授業なんかあるのか…(,,゚Д゚)「死んだらどうなるか」「約束は何で守らないといけないのか」「早く大人になりたいか」テーマは色々。他人の考えも聞いて、自分の考えも出して、はっきりした答えが見つからなくても、その思考が尊いことなんだと感じた。
『世界はもっと多様で、奇妙で、無数の他なるものが存在する。その事実は本当に恐ろしくて、そしてほっとする。哲学は何も教えない。哲学は手を差し伸べない。ただ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ前作よりも日記っぽかった。テーマに関連して引用される詩や小説の文章にまんまとぐっと来た。
「しゃぼん玉なんども食べようとしてるゾンビになってもきみはきみだな(野村日魚子)」
って詩でうっかり泣いた。駅のホームで。ゾンビになってもわたしはわたしだなって思ってくれる存在がいたらどんなにいいんだろう。お別れしてもまた会えたならそれでチャラよ。
たびたび3.11や地域紛争での虐殺の話などが差し込まれて、忘れちゃいけないこととか知らないといけないことがあるのを思い出す。
「家が流されてなくて、ずるいね」(179頁)
強烈すぎる。
あの日地震が起きたとき、山形でこんなに揺れてるんだから遂に三陸沖 -
Posted by ブクログ
時間はどんどん過ぎて、世界は変わっていく。
その一コマの切り取り方が独特で、些細な日常もこんな捉え方ができるのかという気付きがたくさんあった。
その一つ一つは、正直わかったようなわからないような。哲学ってそういうものなんだろうか。
心に残ったのは「かくれる」。
好きな人、大切な人の一部になることが、その人を保存することになるという気持ち。
適切に保存しようと思うあまり、体の一部を食べてしまいたいという欲求が生まれる。
少し前に読んだ「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った」と通じるところがあるなと思い出した。
何かが消える、失われる、忘れられることに、多くの人は無意識のうちに恐怖を感じてい -
Posted by ブクログ
ネタバレコロナ禍で、授業中の風景を絵にしてもらったところ、同じようなものばかりが寄せられた。このエピソードについて語られるが、私は記憶がありきたりなものに堕してしまう力の強さを感じた。集合的ともいうべきか。だからこそディテールを意識して記憶していくことが大切だ。
今回は後半で政治色が濃厚になる。いわゆる左翼のナイーブさが窺われる。問題からどうするかという骨太さは窺われない。火中の栗を拾うとでも喩えようか。そういう姿勢は窺われない。いい人なのだが、頼りない。日本では詩や哲学が弱いとされる所以をここにも感じた。
においの件は、同感だ。そこには既存のメディアでは伝えきれない、また、言葉では伝えきれないも