永井玲衣のレビュー一覧
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水中の哲学者たちと比較して、永井さんのシャープでまっすぐな言葉の切れ味や世界の切り取り方はそのままに、全体主義へ向かう社会を憂う影があちらこちらに見られた。語るための、誰かを守るための、社会をよりよく描くための言葉を紡ぎ出すのは大変だったんだろうなと思う。
特に印象に残ったのは飯テロのエッセイで、本来は絶対に並ばない言葉同士の摩擦が生み出す新鮮な感触や、組み合わせに失敗した時の不協和音を見事に描いていた。
本日刊行イベントに足を運んで直に話を聞くことができてよかった。
世界は不条理に溢れているけれどこの世に生まれてしまった以上は踊り明かすしかない。理論整然としている、100%純度の高い世界 -
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コロナ禍で書かれた日記(第1章)とエッセイ集。作者は哲学者さんであるらしく、文章をこねくり回して結論らしきものや、問いらしきものを捻り出していく。ほむほむ(詩人、穂村弘)さんに文章が似ているなと思っていたら、ほむほむの読者さんであった。出だしで北海道の地名が出てきたので、北海道在住かと思いきや、渋谷の人とのことで大変な都会人であった。引用されている「空席がすばやく埋まる東京で誰が消えたか思い出せない」という感覚はわかる気がする。そんな都会人ではないのだけれど。
あとがきに
この本を手にとってくださったあなたにも、ありがとうございます。あなたの、ただ考えてしまったことを、ぜひ押し込めないで、 -
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永井玲の著書は全て読んでいる。新しい感覚に目覚めさせてくれたり、ことばにならなかった物事に気がつかせてくれる、私にとってとても大切な存在だ。(あ、『さみしくてごめん』は積読中でした)
今回もとても良かった。しばらくはその余韻にぼーっとしてしまう。
第一部は『問いはかくれている』。新しいことばや気になることばに潜む問いを考える12篇。
第二部は『これがそうなのか』。著者が幼い頃から読んで強く感じたことばたちを深く掘り下げる、12篇。
第一部ではクスッとしたり、あーそうそう、でもそこまで考えたことなかったな、なんて、比較的軽く読み進めることができる。『若者の喫茶店のマスター化』なんて言い得て -
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永井さんのこれまでの単著は全て読んでいますが、「この人にはどれだけの言葉の埋蔵量があるのだろうか?」と毎回圧倒されます。全く底が知れません。
本作で心に残ったのは、あとがきにあった以下の部分です。作家・建築家の坂口恭平さんが最近読んだインタビューで近い趣旨の発言をされていたので、自分の中で思わぬ共振を起こしました。
たった一言でも「これは!」という言葉に出会えれば人は生きていける、と。
『本を読むことも、対話の場をつくることも、言葉に出会うことだ。そこで起こること、起きていること、すべてを「わかる」必要はなかった。たった一言、たった一行、身体をつらぬく言葉に出会えれば、それだけで十分だった -
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偶然、電車で居合わせた人の談笑。すれ違った人からふとこぼれ落ちてきた一言。引き留めるほどではないけど、ちょっと気になる一瞬。たいしたことないそんな日常の一部を切り取って「適切に」保存しようと試みた哲学者の本。一言で言うと、感受性の器みたいな本だった。
「日常を保存する」と聞くと多くの人が「日記」を思い浮かべると思うが、この人はそうではない。スーパーでレジ打ちしていた人や乗り込んだタクシー運転手の名札にふと目をやり、その名前をひたすらノートに記録していく。一見、狂気的な行為だが、それほどまでに日常を「適切に」保存したいと思っていたというのがこの本の始めに書かれている。
怠惰に流れゆくS -
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地面から数センチの場所に漂う香水の香りのように、普段なんとなく不意に浮かぶけど簡単に忘れてしまうような、いつでもそこにあるけど強く意識しないと忘れてしまうような、そういうものについて書かれている
そういう考えや疑問の答えがほしいと思って読む人にはおすすめしない
そういう考えや疑問、記憶の「適切な保存」について書かれているから。
行間に自分の記憶が不意に立ち現れて脳がトリップしたり、はっきりと答えが示されないまま考えを巡らせる文章にふわりと眠気が襲ったりして読むのに少し根気がいった それも心地いい疲労やった
終盤は実際の経験についての「保存」が試みられていて、事実に目を向けることで一気に読めた
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哲学者である著者が書いたエッセイ本。文体がやわらかくて読みやすいのに哲学的な視点が散りばめられていて、題材も幅広く、読みながらたくさんのことを考えた。もっと考えたいと思った。問いを持つこと、対話すること、見て聴いて嗅いで体験すること、そしてその体験を保存しようと試みること、それを諦めずに続けてくれている人がいるということが安心感を与えてくれたし、私もそうしていきたい。
【読んだ目的・理由】哲学エッセイというジャンルが気になったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.5
【一番好きな表現】言葉と生きることを手放さないように決めたひとは、書かねばならない。(本文から引用) -
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哲学は心細い。さみしい。だがわたしは、さみしいからこそ哲学をしているような気がする。
生まれてきたことがさみしい。わからないことがさみしい。問いをもつことがさみしい。問いと共に生きることがさみしい。
なんて平凡なんだと自分で自分に(なぜか)落胆しているのだとしたら、それも安心してほしい。凡庸な考えをもっているひとなどはおらず、誰もがとりかえのきかない、なさけなくて、おかしくて、やさしい考えをもっている。
「えっ…なんで・・・ひとは生きている?」
少年だけが、眉間に皺をよせ、目の前の問いを反響させている。
わたしたちはもっともがいてもいいのではないか。どこかで聞いたことのある幸福の言葉を重 -
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少し前の、永井玲衣さんの哲学エッセイ
読み始めは少し読みづらく
何ヶ月か部屋のすみで積読されていた
改めて読んで見たら
なんとも心にずっしりときた
世界情勢から、日本の災害の時の話
そして個人的な話まで
さまざまな適切な保存を考えている
今の状況を未来に残すことがどれほど
大切なことか、わからないが
もしかしたら、未来にとっては
どーでもいいことかもしれないが
体験して取り込んで伝えていく
でも、そのほとんどは完璧には
保存されないかもなのです
景色を見て感動して写真に撮って
誰かに伝えても
その瞬間はけして伝わらない
匂いや空気感も伝わらない
例えば烏龍茶を飲んだとき
自分では『猿の -
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約1年の積読本。哲学者 永井玲衣さんのコロナ禍やその前後に書き溜められた文章が集められたエッセイ。永井さんの最新刊『これが、そうなのか』の方をなぜか先に読んでしまいましたが、この本の中でも『そうなのか。これが、そうなのか。』というセリフが出てきて、思考の流れを感じさせてくれて少し嬉しくなりました。
第1章は日記。短い文章の中に、なかなかに個性的なエピゾードが含まれていておもしろい。また、日々読んだ本が明記されていて、それも興味深いです。
第2章は、哲学者らしい文章が多め。繰り返し『問い』が出てきて…かと思えばその前提に立ち戻り、考えに考えに考える…。ちょっと気を抜くと、ぼーっと読んでしまい