永井玲衣のレビュー一覧
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偶然、電車で居合わせた人の談笑。すれ違った人からふとこぼれ落ちてきた一言。引き留めるほどではないけど、ちょっと気になる一瞬。たいしたことないそんな日常の一部を切り取って「適切に」保存しようと試みた哲学者の本。一言で言うと、感受性の器みたいな本だった。
「日常を保存する」と聞くと多くの人が「日記」を思い浮かべると思うが、この人はそうではない。スーパーでレジ打ちしていた人や乗り込んだタクシー運転手の名札にふと目をやり、その名前をひたすらノートに記録していく。一見、狂気的な行為だが、それほどまでに日常を「適切に」保存したいと思っていたというのがこの本の始めに書かれている。
怠惰に流れゆくS -
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地面から数センチの場所に漂う香水の香りのように、普段なんとなく不意に浮かぶけど簡単に忘れてしまうような、いつでもそこにあるけど強く意識しないと忘れてしまうような、そういうものについて書かれている
そういう考えや疑問の答えがほしいと思って読む人にはおすすめしない
そういう考えや疑問、記憶の「適切な保存」について書かれているから。
行間に自分の記憶が不意に立ち現れて脳がトリップしたり、はっきりと答えが示されないまま考えを巡らせる文章にふわりと眠気が襲ったりして読むのに少し根気がいった それも心地いい疲労やった
終盤は実際の経験についての「保存」が試みられていて、事実に目を向けることで一気に読めた
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Posted by ブクログ
哲学者である著者が書いたエッセイ本。文体がやわらかくて読みやすいのに哲学的な視点が散りばめられていて、題材も幅広く、読みながらたくさんのことを考えた。もっと考えたいと思った。問いを持つこと、対話すること、見て聴いて嗅いで体験すること、そしてその体験を保存しようと試みること、それを諦めずに続けてくれている人がいるということが安心感を与えてくれたし、私もそうしていきたい。
【読んだ目的・理由】哲学エッセイというジャンルが気になったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.5
【一番好きな表現】言葉と生きることを手放さないように決めたひとは、書かねばならない。(本文から引用) -
Posted by ブクログ
永井さんの言葉は断片的で、ふわふわと不安定な世界に漂いながらも、いつも光を伴って帰ってくる。
不安やストレスに立ち向かう方法や、考え方を変えましょうって内容の本は数多くあるけれど、
この本は一緒に向き合おうよ、みんなで奥底まで潜って考えようよって言ってくれている感覚で、
自分の思考や感情を否定せず両手で掬い上げて向き合える感じがした。
私も普段、駅で足を踏まれてイラっとしたこと、アイスの美味しさに感動したことなど日々ちょっとした事で感情が動くけれど、
そんな一つ一つの感情の機微を何だろう?何で自分はこんな風に思ったんだろう?って心の奥底を覗きにいくような感覚、すごく好きだった。心の奥行を広 -
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初めて哲学の本を読みました。
「こんな世界があったのか」という読み始めの印象でしたが、読み終わっても印象は変わりません。
しかし、読んだあとには
・日常の中に哲学があり、自分もその一部であり、哲学は身近なものなのかもと気づいた。
・普段から考えていることを言葉にする、言葉にできなくても考え続けることが世界を感じたり理解したりすることなんじゃないか。
・哲学って素敵だけれど、やっぱり面倒くさいな。話がいつまでも終わらなくなってしまう。
このようなことを思いました。
また、哲学の本を読むことがあるかはわかりませんが、気づいたら新しいのを探して読んでいる気もします。
自分としては楽しめたし、何が楽し -
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人それぞれ・人間の本能・承認欲求
後ろ2つをまんまと使っていたことに気づきギクッとした
永井さんの本を読むと、自分が楽するために見逃していたこと、突き詰めずに折り合いをつけようとしたことを思い出させてくれ、問いに向かって開けるのを感じる。山月記の話など懐かしくて考え直す体験を一緒に行うことができた。
特に、「子供の人権」について私は子供→大人になっていくはざまにいるため、子どもとの向き合い方を忘れずに考えていきたい。また、「嫉妬」はなぜ生まれてしまうのかというのは誰もにあり、深い感情だと思う、考えがいがある。
それに、人間の誇張表現についても、「超」「神」ときて、「普通」にいたる。「普通」とい -
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もはや“永井玲衣さんの著作だから”という信頼だけで手に取るので、内容をまったく把握しないまま読んだら、ことばについてのエッセイだった。
第一部「問いはかくれている」では、近ごろ耳にするようになった「あーね」「めしテロ」「口になった」「ラン活」「普通に」等の新語や、使い古された「よろしくお願いいたします」「圧倒的」「にわかファン」「はいチーズ」といった定型句について、独自の着眼点で考察をおこなっている。
ことばを考えることの底無しの面白さを再発見できた。
第二部「これがそうなのか」という章題は、著者がフィクションではない現実の事象をまのあたりにし、開眼していく際に呟かれてきた台詞でもある。
進 -
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ネタバレ初永井さん!名前だけは聞いたり見たりしていたのでようやく。わかるなあというところがあって、言葉として見ていて気づく気持ちやあの日の記憶。別の本も楽しみ(予約中)
「もう少しでわかりそう」という感覚は、「もう少しで思い出せそう」という感覚に似ている。たとえば、誰かの名前を思い出すとき。誰かを指し示す情報が、吸い寄せられるようにこちらへやってきては分散する。…思い出せない経験はかなりもどかしい。だが、確かに思い出す対象はこの世に存在する。そのことだけが記憶の中で溺れているわたしを励ましてくれる。
何かを思い出そうとするとき、人はもどかしさの苦痛に顔をゆがめつつも、その「何か」に、いとおしさを感じ -
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ネタバレ
すごく好きだった。読みやすかった。
日記のパートは、おこがましいけど自分の日記と通じるものを感じてすごく好きだった。人の個人的な日々の記録に触れられることのおもしろさ。
83
「思いやりを受け取るために思いやりが必要なように」
130-131
「きみしさだけは、誰とも共有できないんです。」
他の子たちは、黙って聞いている。
「だからさみしさとは、決して共有できない、わたしだけのもの。」
わたしはそれを大切にしたい、と彼女は凛とした横顔で言った。
→この前心療内科で「最近さみしい?」と聞かれ、ああそれだとわかってしまったとき嬉しかったし悲しかった。嬉しかったのはしんどさの原因究明ができたか -
Posted by ブクログ
水中の哲学たちが私好みすぎて、こちらもずっと読んでみたいと思っていました
永井さんには、この世界は一体どう見えているのだろう?
私に哲学を、なんとなく身近にしてくれたのが永井玲衣さん
考えることが日常になっている私にとって、負担になりすぎずに考え続けることの大切さをこの本でも教えてもらった気がします
この世界のすべてを、保存しておくことはできない
保存されていても、それは適切な方法ではないかもしれない
保存したいほど、大事にしたいものはなんだろう?
わからないものをわからないままに
わかることを、目標や目的にしない
強く、優しく、そして美しさを感じるエッセイ