永井玲衣のレビュー一覧
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本書にもあるように、「哲学」と聞くとやはり難しいものという印象はありますが、日常生活を送る上でふと心に浮かぶちょっとした疑問や問いかけなどを「手のひらサイズの哲学」として身近な存在として楽しむ事ができました。
おそらく特定の世代や対象に向けて書かれたものではありませんが、「考えることは楽しい」という根っこの部分や、それをワークショップなどで多くの人(特に社会に出る前の10代の若者)と共有したいという想いは、山田ズーニーさんの本や活動と通じるものがあるように感じました。
内容ももちろんですが、水中の透明感や涼しさを表現したような装丁が素晴らしい。電子書籍ではなくモノとして持っていたい一冊です -
Posted by ブクログ
哲学者である著者が書いたエッセイ本。文体がやわらかくて読みやすいのに哲学的な視点が散りばめられていて、題材も幅広く、読みながらたくさんのことを考えた。もっと考えたいと思った。問いを持つこと、対話すること、見て聴いて嗅いで体験すること、そしてその体験を保存しようと試みること、それを諦めずに続けてくれている人がいるということが安心感を与えてくれたし、私もそうしていきたい。
【読んだ目的・理由】哲学エッセイというジャンルが気になったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.5
【一番好きな表現】言葉と生きることを手放さないように決めたひとは、書かねばならない。(本文から引用) -
Posted by ブクログ
永井さんの言葉は断片的で、ふわふわと不安定な世界に漂いながらも、いつも光を伴って帰ってくる。
不安やストレスに立ち向かう方法や、考え方を変えましょうって内容の本は数多くあるけれど、
この本は一緒に向き合おうよ、みんなで奥底まで潜って考えようよって言ってくれている感覚で、
自分の思考や感情を否定せず両手で掬い上げて向き合える感じがした。
私も普段、駅で足を踏まれてイラっとしたこと、アイスの美味しさに感動したことなど日々ちょっとした事で感情が動くけれど、
そんな一つ一つの感情の機微を何だろう?何で自分はこんな風に思ったんだろう?って心の奥底を覗きにいくような感覚、すごく好きだった。心の奥行を広 -
Posted by ブクログ
全国で哲学対話を行っている著者の新刊エッセイ集。日頃の体験や対話を通じて築かれ記憶を「適切に保存できるか」を多面・複眼で捉えようとします。イスラエルによるガザ侵攻に心を痛め、パレスチナの歴史と現在を適切に理解し、記憶として適切に保存することを語りかけます。哲学とは「問うこと」であり、多くの詩や短歌、大江健三郎などの作品を引用して、自問自答を繰り返します。世界をもっと「よく」みること。その中に入り込んで、てのひらいっぱいに受け取ること、この世界と向き合うための哲学エッセイ。苦手な詩や短歌の連続で不勉強で共感力に乏しい私にとっては、非常に難しい書籍となった。今回の読書経験もプラスにとらえ、見識を広
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・今年2回目の再読。この本を読んでから、他者に自分をひらく、ということについてずっと考えている。
・ふだんのあれもこれもぜんぶ哲学じゃん、という気づき。日常が問い。問うことは、他者との違いを知り、世界と、自分の解像度を上げていく行為か、と。
・幼い頃、なんで?と問われ、うまく答えることができず、しばらくの間ほったらかしにされた経験がある。それがおそらくトラウマになっていて、「なんで?」「どうしてそう思うの?」類の質問から避け続けてきたように思う。それは単純な問いで、ただ、わたしのことを知るためのものであって、決して責めているわけではない。それに気づいたのは、随分と時間が経ってからだった。な -
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ネタバレコロナ過の中で書かれたという、日記とエッセイ。日記の部分がたんたんとしてシュールですごく面白かった。他人の何気ないひと言、ちょっとした出来事から広がるイメージや余韻がなんとも言えず可笑しいのだ。終わるジェノベーゼ、適当に作られたレモネード、いちごジャムの中の鮭の瓶、小生のパワーポイント、ニーチェになるカント。「これでええ?」はつい声を出して笑ってしまった。日常の瞬間瞬間への感性の鋭さが感じられるというか、疑問への瞬発力が高い。
後半はエッセイになっているが、言葉になる前の感覚をできる限り丁寧にすくい取ろうとしているような文章で、結論のようなものにはあえてたどり着かず、ただ漂っていくようなエッセ