永井玲衣のレビュー一覧
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日記は成した事を書くが、なんだかいちばん忘れてしまいそうな事を書かなくてはと思った。から始まるこの本は、ずっと自分の頭の中の思考や些細な気づきをこぼれ落ちる前に掬い上げる、実際に思った事を忘れてなかったものにせず「ある」という既成事実を残そうとしている。それらの中には問いがある、問うことは哲学なのか。著者は哲学者ながらも、堅くなく柔和で親近感をもてる人だ、今日の面白かったことをくすりと笑える内容もある。
念入りな散歩をする。私も散歩が好きで何があるわけでもなくモクモクと歩くけれどその時ずっと自分と対話している気がする、何か発見したりもするしふと何故だろうと思い出した事を深めて考えたりもする。
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「入試に出るかもしれない」作家シリーズ!ということで若手の哲学者らしい。小学生におすすめされていたのは「さみしくてごめん」だったが、とりあえず待ち人数の少ないこちらを読んだ次第。最近、「言葉」にこだわる人の本を立て続けに読んだが、言語学、短歌、ときてこの方のアプローチは「その言葉に隠れた問いは?」「はっと気づきをくれる言葉は何か」と言ったところか。
個人的に刺さったのは、「ラン活」。私よりも親戚が盛り上がっている昨今、とりあえず勝手には買わないでくれとメールした直後に飛び込んできた。
「その言葉を誰かが言うだけで何かが開始されたことがわかった。いやそれによって開始されたのではない。その言葉に -
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著者がコロナ前、コロナ最中に書き溜めたエッセイ。
エッセイは、ことばがひとりぼっちで、出版を躊躇していたという著者。
それでも読みたいと言ってくれるひとがいて、手渡したいと思うわたしがいた。
ひとりでに語り手になることはできない。必ずきくひとがいて、わたしたちはようやく表現をすることができる。ただ考えていることがある。それもまた、きくひとがいて、ようやくことばになってくれることがある。
哲学者・作家である永井さんが、あるトークセッションで、「わたしたちは日常で哲学はよくしているが、対話はしていない。」と言っていたことがあった。
あの人と話すと元気がもらえるのは?、コーヒーはなんで黒いのか? -
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「言葉」に対して問いを"見舞い"ながらその言葉の存在を深掘りしていく第一部。
横文字言葉、あーね、普通に、〇〇テロなど…何気なく自然と、軽々しく、雰囲気で使えてしまう言葉ではあるが、これらをちゃんと意味を理解しようとすると簡単には紐解けない背景があるようにも思えてくる。日本語の不可思議に触れる。
永井さんが提示するそれらの問いと切り口にはハッとさせられた。いままで考えたり言語化したことはないけど、なんとなーく感じている違和感とかモヤモヤを明らかにしてくれるような、めっちゃわかると共感しまくったり。ああ、日本語って奥ゆかしい〜。
日頃感覚で使えてしまっている言葉をちゃんと理解 -
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水中の哲学者たちと比較して、永井さんのシャープでまっすぐな言葉の切れ味や世界の切り取り方はそのままに、全体主義へ向かう社会を憂う影があちらこちらに見られた。語るための、誰かを守るための、社会をよりよく描くための言葉を紡ぎ出すのは大変だったんだろうなと思う。
特に印象に残ったのは飯テロのエッセイで、本来は絶対に並ばない言葉同士の摩擦が生み出す新鮮な感触や、組み合わせに失敗した時の不協和音を見事に描いていた。
本日刊行イベントに足を運んで直に話を聞くことができてよかった。
世界は不条理に溢れているけれどこの世に生まれてしまった以上は踊り明かすしかない。理論整然としている、100%純度の高い世界 -
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永井玲の著書は全て読んでいる。新しい感覚に目覚めさせてくれたり、ことばにならなかった物事に気がつかせてくれる、私にとってとても大切な存在だ。(あ、『さみしくてごめん』は積読中でした)
今回もとても良かった。しばらくはその余韻にぼーっとしてしまう。
第一部は『問いはかくれている』。新しいことばや気になることばに潜む問いを考える12篇。
第二部は『これがそうなのか』。著者が幼い頃から読んで強く感じたことばたちを深く掘り下げる、12篇。
第一部ではクスッとしたり、あーそうそう、でもそこまで考えたことなかったな、なんて、比較的軽く読み進めることができる。『若者の喫茶店のマスター化』なんて言い得て -
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偶然、電車で居合わせた人の談笑。すれ違った人からふとこぼれ落ちてきた一言。引き留めるほどではないけど、ちょっと気になる一瞬。たいしたことないそんな日常の一部を切り取って「適切に」保存しようと試みた哲学者の本。一言で言うと、感受性の器みたいな本だった。
「日常を保存する」と聞くと多くの人が「日記」を思い浮かべると思うが、この人はそうではない。スーパーでレジ打ちしていた人や乗り込んだタクシー運転手の名札にふと目をやり、その名前をひたすらノートに記録していく。一見、狂気的な行為だが、それほどまでに日常を「適切に」保存したいと思っていたというのがこの本の始めに書かれている。
怠惰に流れゆくS -
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地面から数センチの場所に漂う香水の香りのように、普段なんとなく不意に浮かぶけど簡単に忘れてしまうような、いつでもそこにあるけど強く意識しないと忘れてしまうような、そういうものについて書かれている
そういう考えや疑問の答えがほしいと思って読む人にはおすすめしない
そういう考えや疑問、記憶の「適切な保存」について書かれているから。
行間に自分の記憶が不意に立ち現れて脳がトリップしたり、はっきりと答えが示されないまま考えを巡らせる文章にふわりと眠気が襲ったりして読むのに少し根気がいった それも心地いい疲労やった
終盤は実際の経験についての「保存」が試みられていて、事実に目を向けることで一気に読めた
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哲学者である著者が書いたエッセイ本。文体がやわらかくて読みやすいのに哲学的な視点が散りばめられていて、題材も幅広く、読みながらたくさんのことを考えた。もっと考えたいと思った。問いを持つこと、対話すること、見て聴いて嗅いで体験すること、そしてその体験を保存しようと試みること、それを諦めずに続けてくれている人がいるということが安心感を与えてくれたし、私もそうしていきたい。
【読んだ目的・理由】哲学エッセイというジャンルが気になったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.5
【一番好きな表現】言葉と生きることを手放さないように決めたひとは、書かねばならない。(本文から引用) -
Posted by ブクログ
永井さんの言葉は断片的で、ふわふわと不安定な世界に漂いながらも、いつも光を伴って帰ってくる。
不安やストレスに立ち向かう方法や、考え方を変えましょうって内容の本は数多くあるけれど、
この本は一緒に向き合おうよ、みんなで奥底まで潜って考えようよって言ってくれている感覚で、
自分の思考や感情を否定せず両手で掬い上げて向き合える感じがした。
私も普段、駅で足を踏まれてイラっとしたり、アイスの美味しさに感動したりと日々ちょっとした事で感情が動くけれど、
そんな一つ一つの感情の機微を何だろう?何で自分はこんな風に思ったんだろう?って心の奥底を覗きにいくような感覚、すごく好きだった。心の奥行を広げられ -
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不思議な本。
「せんそうってプロジェクト」で、哲学者の永井さんと写真家の八木さんが「せんそうって」に続くことばを聞いたり、風景を写した本。
確かに、私たちは「せんそう」を知らないけれど知っている。私は戦場にはいないけれど、戦争が起きている時代に生きている。表向きはなんともないけれど、実はもう渦中にいるんじゃないかと疑っている。
岡真理さんに、「自分たちはすでにイスラエルに加担させられているのだ」と言われてハッとしたみたいに。
それはもう私の暮らしの中にしっかり織り込まれているんだ。
この本でも、「『なかったこと』にするとは、忘れることではなく、起こったことを語らないことだ」ということばが出 -
Posted by ブクログ
戦争や平和を語る時、どうしても言葉を飾ってしまう。結局聞いたことある言葉を使い回して無理にまとめてしまう。だから、みんな同じことを言う。
このエッセイにある、実際に多くの人から見聞きした着飾らない生の声を通して、これまで私が平和について考えて生んだ言葉がどれだけ飾られたものかを実感した。
『言葉ってどういうときに生まれるのか、それは人との対話の中で生まれてくる』
とても共感。自分の中の考えって自分の世界から出られてなくて、なんだかそれって未完成なんだよね。
それを声にする過程の中で、言葉になるって感じ。
その過程で何度も言葉が失敗して、失敗して、そうしてつくられていく言葉の柱。
そう思うと