【感想・ネタバレ】水中の哲学者たちのレビュー

あらすじ

小さくて、柔らかくて、遅くて、弱くて、優しくて、
地球より進化した星の人とお喋りしてるみたいです。
──穂村弘

もしかして。あなたがそこにいることはこんなにも美しいと、
伝えるのが、哲学ですか?
──最果タヒ

みなが水中深く潜って共に考える哲学対話。
「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」
それを追い求めて綴る、前のめり哲学エッセイ!

「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」それを追いかけ、海の中での潜水のごとく、ひとつのテーマについて皆が深く考える哲学対話。若き哲学研究者にして、哲学対話のファシリテーターによる、哲学のおもしろさ、不思議さ、世界のわからなさを伝える哲学エッセイ。当たり前のものだった世界が当たり前でなくなる瞬間。そこには哲学の場が立ち上がっている! さあ、あなたも哲学の海へダイブ!

人々と問いに取り組み、考える。哲学はこうやって、わたしたちの生と共にありつづけてきた。借り物の問いではない、わたしの問い。そんな問いをもとに、世界に根ざしながら世界を見つめて考えることを、わたしは手のひらサイズの哲学と呼ぶ。なんだかどうもわかりにくく、今にも消えそうな何かであり、あいまいで、とらえどころがなく、過去と現在を行き来し、うねうねとした意識の流れが、そのままもつれた考えに反映されるような、そして寝ぼけた頭で世界に戻ってくるときのような、そんな哲学だ。(「まえがき」より)

【目次】
1 水中の哲学者たち
2 手のひらサイズの哲学
3 はい、哲学科研究室です

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Posted by ブクログ

いつの間にか、人と会話していても「なんで?」と問うことができなくなっていたことが分かった。掘り下げて聞かないからいつも表面的な話に終始していた気がする。もっと人と対話したいな。相手の考えを聞いて自分の考えをゆっくりでも良いからぶつけたいなと思った。焦らず、言い淀んでも構わないからちゃんと伝えたいな。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

子どもとの哲学に関する話が特に、胸が締め付けられるような、涙が出そうな、そんな気持ちになる。
言葉にすることができなかった問いに、みんなで向き合い考えることのできる彼らが羨ましく、向き合えない彼らが疎ましく思う。
子どもの頃の自分がその場にいたら、きっとうまく言葉にできないまま考え続けていただろうこと。
大人になった私が、彼らに問いを投げかけられたら、きっと狼狽えてもごもごとありきたりなことしか言えなくなって、また考え続けてしまうだろうこと。
一つひとつ読むたびに、息を長く吐いて、心を落ち着かせる。私も哲学的なことばかり考えている子どもだったと思い返す。そして、今もずっと考え続けていて、たまに生きにくいと思う。だけど、どこかに同じように考え続けている人がいるという安心。分からないことは、分からないままでもいいこと、変わることをおそれないこと、そういうことを忘れそうになるたびに読み返したい。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

発刊当初、初めて書店で見た時から、「これはきっと良い本だ」と思った事を覚えています。

なにしろ装丁に作り手の愛が溢れている。

それから3年ほどの月日が経ち、ようやく本書を開きました。

思った通りの素晴らしい本でした。

哲学研究者としての探究の深さを感じつつ、エッセイ調のため言葉選びの優しさや繊細さも魅力で、哲学慣れしていない人もこの本から哲学の面白さを味わえるのではないでしょうか。

著者本人の「世の中にうまく嵌まっていない」という告白が個人的にとても好きで、仲間を見つけたような安心感をくれました。

私も哲学対話の世界に足を踏み入れたくなりました。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

哲学は案外ありふれたところらから始めることの出来るもので、何歳になっても考えることって面白いんだと嬉しくなった。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

なにかをつかめそうな感覚で、それがこぼれ落ちて、不安になり、でも、なにかが自分のなかに確かに染みこんだ感覚。

手のひらサイズの哲学というフレーズで、大層で難しい哲学から少し距離を置いて語ってくれる、だが本質は外さない本書には、笑わせてくれるものあり、泣きたくなるものあり、ハッと気づかせてくれるものあり、はたまたみんなそんなものだよねと安心させてくれるものあり…。

事あるごとに(事あるってなんだよ汗)読み返したい、拠り所にしたいと思った一冊でした。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

わかりそうで、わからなくて、とてもよかった。

哲学とは相手を尊重しわかろうとするその姿勢。質問を投げ合い、わかりそうでわからなくなる感覚そのもの。

所々涙してしまう部分もあった。

私は自分と意見や考え方の違う人に弓矢を向けていないか?見直すきっかけにもなった。

「どうか、変わることをおそれないでください」

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

難しそうな哲学者たちが専門用語でぐるぐる考えているのがトップダウンの哲学なのだとすればこれはボトムアップの哲学だ。市井の人々との対話を通じてあーでもない、こーでもないと問い続ける姿勢こそが哲学の原風景なのかもしれない。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

好きな人が読んでいたから、こっそり真似て買った

じわじわとニヤニヤと共感

プチプチを巻く間に流れる時間
電車のアナウンスに耳を傾ける集団の空間
の話が好みだった


好きな人は「飛ぶ」が好きと教えてくれた

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

装丁の美しさから本屋で手に取って、哲学は挫折するからな〜〜と渋って棚に戻してたけど、パートナーが購入したのを機に少しずつ読んだ。

感想としては、哲学の普遍的なところをつつく大変な本でもライフハックの勉強的な本でもなく、いいテンションで哲学のことを考えられたいい本だと思った。

章の区切りも私の中では読みやすく感じたのと、笑える文章が混ざっていたのも好きだったな〜。
悲観的でなく淡々とおもしろい。ただ、内容が思ったより濃くて一冊を1日で読むのは難しかった。電車とかで読むのがいいかも

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

すごく素直でまっさらな文章だった。
バラバラでいいから一緒に分からなさの海へ飛び込もう。そんでもって、空から突き刺す光のようにいつか真理が見つかりますように。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

本書にもあるように、「哲学」と聞くとやはり難しいものという印象はありますが、日常生活を送る上でふと心に浮かぶちょっとした疑問や問いかけなどを「手のひらサイズの哲学」として身近な存在として楽しむ事ができました。

おそらく特定の世代や対象に向けて書かれたものではありませんが、「考えることは楽しい」という根っこの部分や、それをワークショップなどで多くの人(特に社会に出る前の10代の若者)と共有したいという想いは、山田ズーニーさんの本や活動と通じるものがあるように感じました。

内容ももちろんですが、水中の透明感や涼しさを表現したような装丁が素晴らしい。電子書籍ではなくモノとして持っていたい一冊です。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

クスッと笑えて、でもどうしようもなく胸に残って、時折ふっと思い出す。私にとっての哲学が、きっとそうなんだろうなぁと思う。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

初読みの永井玲衣さん。
読みながら心にグサグサ刺さる表現がたくさんあって、私は読みながら泣いてしまいたくなった。考えること、問うこと、その問いによって誰かを傷つけてしまったり、助けられたり。他人と繋がることって難しいけれど、私は私、あなたはあなたでいいんだよと永井さんに言ってもらえているような気持ちで最後まで読みました。

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

永井玲さんの本を初めて読んだ。

一節のエッセイの中だけで、冒険しているみたい。
迷子になりそうになりながらも、あぁここに辿り着くのか、みたいな文章を書く。
ユーモアも素晴らしい。

そうだよ、考えるとは海の中に潜ってるみたいなんだ。苦しい時間の方がたぶん長くて、でも光が差したり、みたことのないものに出会える時があるから、次もまた潜るんだ。
その海が繋がってるって考えは、とっても素敵で、ロマンだ。

哲学って、どこかむつかしくて、遠い存在だと思っていた。自分で遠ざけてた。カントとか知ってるけど知らんしって。何言ってんだって。
でも、こんなに身近だったし、自分は哲学をしていた。ずっと隣にいたんだって。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

・今年2回目の再読。この本を読んでから、他者に自分をひらく、ということについてずっと考えている。

・ふだんのあれもこれもぜんぶ哲学じゃん、という気づき。日常が問い。問うことは、他者との違いを知り、世界と、自分の解像度を上げていく行為か、と。

・幼い頃、なんで?と問われ、うまく答えることができず、しばらくの間ほったらかしにされた経験がある。それがおそらくトラウマになっていて、「なんで?」「どうしてそう思うの?」類の質問から避け続けてきたように思う。それは単純な問いで、ただ、わたしのことを知るためのものであって、決して責めているわけではない。それに気づいたのは、随分と時間が経ってからだった。なんで?に対する答えをじっくりと待って、一緒に考えてくれるひとたちが、私の周りには多いからだろう。

・p51の「ぜんぜんわからない」を読んで泣いた。
-「わたしだけ」がこの世には無数にあって、それぞれさみしくて、バラバラで、めちゃめちゃで、そういう意味でわたしたちは、平等である。
わたしはあなたの苦しみを理解しない。あなたのかなしみを永遠に理解しない。だから、共に考えることができる。

あたりまえすぎて気付けない。私と、あなたは他者である。それは悲劇でも何でもない、希望になりうるということに。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

哲学「対話」。相手を知り自分を知る。それが「対話」によって深まる。哲学ってそういうことなのかと簡単なようで難しい。詩的なエッセイで、軽やかながら深い読後感が残る淡い読書体験。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

 永井玲衣さんのいう「手のひらサイズの哲学」とは、世界に根ざしながら世界を見つめて考えること、らしい…ん?? この問いへの一つの探究を、「哲学対話」を通して掘り下げた哲学エッセイです。

 哲学という言葉からくる堅苦しい印象からは程遠い、軽やかさを感じました。そう感じる理由は、世界の「わからなさ」について、永井さん自身が「わからない」自分を隠さず晒している点だと思います。

 何かを深く考えることは、しばしば水中に深く潜ることにたとえられるそうで、哲学対話は、ひとと一緒に考えるから、みんなで潜ることになります。
 永井さんは、哲学対話で中立的な立場で合意形成を支援する進行役(ファシリテーター)を務めますが、哲学の面白さ、不思議さ、世界のわからなさを対話そのものが伝えてくれます。

 哲学対話の主題は、素朴な疑問や悩み、日常の取るに足らないものでもOKのようです。小学校の授業での哲学対話の実践も多いようで、小学生にレイチェルと呼ばれたり、自身も"問いプードル"のイラストを書いたりし、親しまれるのもうなづけます。

 分断の今の時代に、他者との対話は絶対に必要なのは言うまでもありません。その際、互いの「わからない」が出発点となるのは、問題ではなく前提になるのでしょうね。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

過去の記憶に、そっと灯をかざしてもらえたことで、その過去の出来事にもカラフルな色彩があったことに気がつけた。確かにその経験はリアルな体験としてそこにあったのだ、と再体験できた。読書前は、記憶が灰色であることが普通すぎて、灰色であることも意識にあがっていなかったが。
自分に迷ったとき思い出したい文章を、フレーズに書きとどめておこう。

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

いろんなことを考えたり悩んだり、そういうことは自分にもたくさんあるけど、そのことを覚えてたり、深く考えたりする、記録する習慣がない。
いろんな人と対話する中で確かに積み上がる思考と問い、こういうものを本にまとめてくれることに価値があるなと思う。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

Audible で。
手のひらサイズの哲学ということばが耳に残る。
途中泣きたくなったり、暗くなったり、楽しくなったり、笑ったり。素敵な哲学書だったな。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

ポップな調子で面白かったけども……、哲学……色んな余裕がないと無理だなと、余裕のない今の暮らしと脳みそを振り返って思い直す。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

永井玲衣さん。先に『世界の適切な保存』を読んだ。

文章の距離感が、一人称なんだけど、どこか自分には他人事のようなふわついた感じがあったり、かと言って、傷ついたときは、泣くらしい。
自分が自分でいることを不思議に思い、不可解に思い、驚き、戸惑う。
みんなわかったようなことを言いながら、本当の本当にわかってるのか。
それって本当だったっけ?
本当だとしたらなんでなんだっけ?
そういうことを考える。
本書は、哲学対話というものをワークショップみたいにやっている活動日誌でもある。
小学生たちに、考えたいことを考えてもらう。
会社のイベントごとに呼ばれて対話のためのファシリテーションをする。
そういう毎日を送る人が、どんなことを考えているか。じつはなにもわからない。でも、知らないわけではない。
もっとみんなで考えたり、話しながら、問いの輪郭をはっきりさせたり、拡張したりしながら、考えを浮上させる。
その様子は、さながら水中にもぐっていくように例えられる。
みんなで潜って、ときに溺れて、浮上してぷはっと息を吐く。いつだって、空気が足りないときは息を吐くのだったな。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

当たり前のことに疑問を持ち人と対話する。人の考えを聞き疑問を深めていく。おもしろい学問ですね。まさに「学んで問う、問うて学ぶ」

腹にストンと落ちることが気持ちいいことを思い出させてくれました。

それから変な敬語も笑いました。言いたくなる気持ちも含めて。

お笑いをみてみようかな、なんでやねんと哲学。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

読みやすく、面白かった。
著者のあっけらかんでひょうきんな文章で、なんだか、完璧でなくていいし、弱くてもいい、という至極当たり前のことを思い出した。
今後の思考の足がかりに

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

日常を細部まで見落とさないにしているような、繊細で純粋なとても優しい綺麗な文章だなと思って読んでいた。電車の中や学校の教室、誰かとの会話の中に流れる空気感が柔らかい感じがしてとても素敵だった。

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2025年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

哲学研究者のエッセイ。著者は哲学対話をたくさん主催しているようで、哲学対話の会での体験が多く綴られている。漢字をひらいた柔らかい文体を使っていて、繊細でみずみずしい感性でときにユーモアを交えながら人間や世界のわからなさ、こわさ、うつくしさに相対していく様子を素朴に書いていて良かった。本をゆっくりじんわりと読みたい気分だったのでちょうどその気分にマッチしていたというのもあるが、かなり好みの文章だったので心が安らいだ。

著者は、哲学対話などで問いについて深く考えていくことを「水中に潜る」というように表現する。

「わたしはあなたの苦しみを理解しない。あなたのかなしみを永遠に理解しない。だから、共に考えることができる。彼女の涙が、しんしんと降り注いで、気がつけばわたしたちは水中にいる。共に息を止めて、深く潜って、集中する。
わたしたちはバラバラで、同じ海の中でつながっている。」

ここが好きだ。特に一緒に潜るというのが好き。問いというのは、水中というままならないぶよぶよした空間であり、苦しく集中を要する空間であり、共に潜れる空間であり、どこか心地良さを感じる空間でもあるのだ。
そういう空間を共有するのって、普通に生活しているとなかなかない。問いを設定して対話を行ういわゆる哲学カフェなどに今まであまり興味が持てなかったが、ちょっと行ってみたいと思うようになった。普段あんまり物を考えてないし、哲学のこともよく分からないしで敬遠していたけど、学識や意見を表明する場でなくてみんなで考えればいいのなら面白そうかも。
そういう専門用語なしのルール設定の哲学対話にいきなり専門用語むきだしでぶっこんでくる大先生の発言を「大きく鮮やかな花火が打ち上がる」と表現しているところもすごく好きなのだが、著者の言う通り見えない、見たくない花火ではある(笑)。
世界の見え方も、興味の幅もちょっと広がった気のする読書になった。

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2025年06月24日

Posted by ブクログ

白と水色のコントラストが綺麗なこの本をたまたま見かけ、なんだか内容が気になっていた。哲学について予備知識なくても読むことができ、意外と身近な分野だなと思わせてくれるエッセイでした。
今の小学生は哲学対話の授業なんかあるのか…(,,゚Д゚)「死んだらどうなるか」「約束は何で守らないといけないのか」「早く大人になりたいか」テーマは色々。他人の考えも聞いて、自分の考えも出して、はっきりした答えが見つからなくても、その思考が尊いことなんだと感じた。

『世界はもっと多様で、奇妙で、無数の他なるものが存在する。その事実は本当に恐ろしくて、そしてほっとする。哲学は何も教えない。哲学は手を差し伸べない。ただ、異なる声を聞け、と言う。-ずっとそうだった-』

表題の「水中」まで潜れなかったように思う。たぶん浅い所でちゃぷちゃぷ浸ったぐらい。すぐに乾いちゃう気がするけれど、仕事に、日常に、勤しむ中で時々思い出したい。

2025.3

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

同じ海に潜った時に、すぐ浮上する人と、深く潜って探索する人の、後者に関する本
深く物事考えられるのって、時間もゆっくり流れていいなぁ

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

あさイチで上白石萌音ちゃんが永井玲衣さんの書く言葉が好きと言っていたので読んでみた。『分からない』から対話する。優しい言葉たちでいっぱい。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

哲学ってこういうことなんだ!とはハッキリ思えないまま読み終わってしまいましたが、哲学がその基礎知識となるような偉人たちの知を必ずしも必要としないということは伝わってきました。哲学対話おもしろそうだなって思いました。

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2025年06月24日

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