【感想・ネタバレ】水中の哲学者たちのレビュー

あらすじ

小さくて、柔らかくて、遅くて、弱くて、優しくて、
地球より進化した星の人とお喋りしてるみたいです。
──穂村弘

もしかして。あなたがそこにいることはこんなにも美しいと、
伝えるのが、哲学ですか?
──最果タヒ

みなが水中深く潜って共に考える哲学対話。
「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」
それを追い求めて綴る、前のめり哲学エッセイ!

「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」それを追いかけ、海の中での潜水のごとく、ひとつのテーマについて皆が深く考える哲学対話。若き哲学研究者にして、哲学対話のファシリテーターによる、哲学のおもしろさ、不思議さ、世界のわからなさを伝える哲学エッセイ。当たり前のものだった世界が当たり前でなくなる瞬間。そこには哲学の場が立ち上がっている! さあ、あなたも哲学の海へダイブ!

人々と問いに取り組み、考える。哲学はこうやって、わたしたちの生と共にありつづけてきた。借り物の問いではない、わたしの問い。そんな問いをもとに、世界に根ざしながら世界を見つめて考えることを、わたしは手のひらサイズの哲学と呼ぶ。なんだかどうもわかりにくく、今にも消えそうな何かであり、あいまいで、とらえどころがなく、過去と現在を行き来し、うねうねとした意識の流れが、そのままもつれた考えに反映されるような、そして寝ぼけた頭で世界に戻ってくるときのような、そんな哲学だ。(「まえがき」より)

【目次】
1 水中の哲学者たち
2 手のひらサイズの哲学
3 はい、哲学科研究室です

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Posted by ブクログ

ネタバレ

当たり前のことに疑問を持ち人と対話する。人の考えを聞き疑問を深めていく。おもしろい学問ですね。まさに「学んで問う、問うて学ぶ」

腹にストンと落ちることが気持ちいいことを思い出させてくれました。

それから変な敬語も笑いました。言いたくなる気持ちも含めて。

お笑いをみてみようかな、なんでやねんと哲学。

0
2025年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

哲学研究者のエッセイ。著者は哲学対話をたくさん主催しているようで、哲学対話の会での体験が多く綴られている。漢字をひらいた柔らかい文体を使っていて、繊細でみずみずしい感性でときにユーモアを交えながら人間や世界のわからなさ、こわさ、うつくしさに相対していく様子を素朴に書いていて良かった。本をゆっくりじんわりと読みたい気分だったのでちょうどその気分にマッチしていたというのもあるが、かなり好みの文章だったので心が安らいだ。

著者は、哲学対話などで問いについて深く考えていくことを「水中に潜る」というように表現する。

「わたしはあなたの苦しみを理解しない。あなたのかなしみを永遠に理解しない。だから、共に考えることができる。彼女の涙が、しんしんと降り注いで、気がつけばわたしたちは水中にいる。共に息を止めて、深く潜って、集中する。
わたしたちはバラバラで、同じ海の中でつながっている。」

ここが好きだ。特に一緒に潜るというのが好き。問いというのは、水中というままならないぶよぶよした空間であり、苦しく集中を要する空間であり、共に潜れる空間であり、どこか心地良さを感じる空間でもあるのだ。
そういう空間を共有するのって、普通に生活しているとなかなかない。問いを設定して対話を行ういわゆる哲学カフェなどに今まであまり興味が持てなかったが、ちょっと行ってみたいと思うようになった。普段あんまり物を考えてないし、哲学のこともよく分からないしで敬遠していたけど、学識や意見を表明する場でなくてみんなで考えればいいのなら面白そうかも。
そういう専門用語なしのルール設定の哲学対話にいきなり専門用語むきだしでぶっこんでくる大先生の発言を「大きく鮮やかな花火が打ち上がる」と表現しているところもすごく好きなのだが、著者の言う通り見えない、見たくない花火ではある(笑)。
世界の見え方も、興味の幅もちょっと広がった気のする読書になった。

0
2025年06月24日

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