永井玲衣のレビュー一覧

  • 水中の哲学者たち

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    いつの間にか、人と会話していても「なんで?」と問うことができなくなっていたことが分かった。掘り下げて聞かないからいつも表面的な話に終始していた気がする。もっと人と対話したいな。相手の考えを聞いて自分の考えをゆっくりでも良いからぶつけたいなと思った。焦らず、言い淀んでも構わないからちゃんと伝えたいな。

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    2025年11月30日
  • 水中の哲学者たち

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    子どもとの哲学に関する話が特に、胸が締め付けられるような、涙が出そうな、そんな気持ちになる。
    言葉にすることができなかった問いに、みんなで向き合い考えることのできる彼らが羨ましく、向き合えない彼らが疎ましく思う。
    子どもの頃の自分がその場にいたら、きっとうまく言葉にできないまま考え続けていただろうこと。
    大人になった私が、彼らに問いを投げかけられたら、きっと狼狽えてもごもごとありきたりなことしか言えなくなって、また考え続けてしまうだろうこと。
    一つひとつ読むたびに、息を長く吐いて、心を落ち着かせる。私も哲学的なことばかり考えている子どもだったと思い返す。そして、今もずっと考え続けていて、たまに

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    2025年11月30日
  • これがそうなのか

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    永井玲衣さんの本を読んでいると、靴の中にある小石のような、前後ろ逆になった肌着を着ている時のような、日常では見過ごされるちょっとした違和感を掘り下げて観察している。私にはそれがとても新鮮に見えて、もっと言葉を、世界を知りたいと思わせてくれる。永井さんの本を読んで、私の中で生まれた言葉にならない違和感を言葉で表せるようになった。これからも楽しみにしています。

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    2025年11月30日
  • 水中の哲学者たち

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    発刊当初、初めて書店で見た時から、「これはきっと良い本だ」と思った事を覚えています。

    なにしろ装丁に作り手の愛が溢れている。

    それから3年ほどの月日が経ち、ようやく本書を開きました。

    思った通りの素晴らしい本でした。

    哲学研究者としての探究の深さを感じつつ、エッセイ調のため言葉選びの優しさや繊細さも魅力で、哲学慣れしていない人もこの本から哲学の面白さを味わえるのではないでしょうか。

    著者本人の「世の中にうまく嵌まっていない」という告白が個人的にとても好きで、仲間を見つけたような安心感をくれました。

    私も哲学対話の世界に足を踏み入れたくなりました。

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    2025年11月27日
  • さみしくてごめん

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    自分をありのままに、そしてそれ自体をなんとも思っていない。清さとも自然体とも違うなにかがこの本にはある。永井さんは日常のあらゆるものを怖がりながらどこか面白がっている。彼女のアンテナに引っかかる言葉。それ自体が取るに足らないものでも、平凡なものでも彼女にかかるとたちまち特別な意味を持った言葉になる。不思議だ。その切り口がとても面白い。

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    2025年11月24日
  • 水中の哲学者たち

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    哲学は案外ありふれたところらから始めることの出来るもので、何歳になっても考えることって面白いんだと嬉しくなった。

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    2025年11月24日
  • これがそうなのか

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    本に育てられてきた、本が先で世界が後だったという永井玲衣さんの「ことば」に問いを投げかけるエッセイ。永井さんが過去に触れてきた本やことば、そしてそれをもとにした視点や問いにたっぷりと触れられる一冊で、やさしくて贅沢で噛み締めるように読みました。どんなことにもことばにも問いはかくれていることにまず気付けたことがよかった。良い本だったよ〜〜

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    2025年11月23日
  • これがそうなのか

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    永井さんのこれまでの単著は全て読んでいますが、「この人にはどれだけの言葉の埋蔵量があるのだろうか?」と毎回圧倒されます。全く底が知れません。

    本作で心に残ったのは、あとがきにあった以下の部分です。作家・建築家の坂口恭平さんが最近読んだインタビューで近い趣旨の発言をされていたので、自分の中で思わぬ共振を起こしました。
    たった一言でも「これは!」という言葉に出会えれば人は生きていける、と。

    『本を読むことも、対話の場をつくることも、言葉に出会うことだ。そこで起こること、起きていること、すべてを「わかる」必要はなかった。たった一言、たった一行、身体をつらぬく言葉に出会えれば、それだけで十分だった

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    2025年11月18日
  • 水中の哲学者たち

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    なにかをつかめそうな感覚で、それがこぼれ落ちて、不安になり、でも、なにかが自分のなかに確かに染みこんだ感覚。

    手のひらサイズの哲学というフレーズで、大層で難しい哲学から少し距離を置いて語ってくれる、だが本質は外さない本書には、笑わせてくれるものあり、泣きたくなるものあり、ハッと気づかせてくれるものあり、はたまたみんなそんなものだよねと安心させてくれるものあり…。

    事あるごとに(事あるってなんだよ汗)読み返したい、拠り所にしたいと思った一冊でした。

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    2025年11月18日
  • これがそうなのか

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    「ことば」についてのエッセイ、と簡略化してしまうことが激しく憚られるほど、厚みのある、幾重にも「ことば」が積み上げられた、そんな一冊。

    自分はインプット型だから、と半ば折り合いをつけていた私自身に、「自分のことば」を発見し、出会ってしまったそれにおそるおそる触れてみる勇気を授けてくれた。そう、誰かのことばを知るだけでは、不十分だったのだ。私が「私のことば」に出会うこと、出会うために必要不可欠である他者という存在、そこからまた生じる世界の奥行き。

    ことばに支えられ、裏切られ、翻弄される私たちが、私たちのことばを手にして、他者にそれを手渡すとき、私とあなたの隙間にそれをおずおずと注ぐとき。希望

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    2025年11月16日
  • さみしくてごめん

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    作家ではない人が書いているのが良い。
    だからこそ、何度も同じ話が出てきたり、とりとめもない話が続いていて、著者と対話しているようで読んでいて楽しかった。

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    2025年11月12日
  • 水中の哲学者たち

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    わかりそうで、わからなくて、とてもよかった。

    哲学とは相手を尊重しわかろうとするその姿勢。質問を投げ合い、わかりそうでわからなくなる感覚そのもの。

    所々涙してしまう部分もあった。

    私は自分と意見や考え方の違う人に弓矢を向けていないか?見直すきっかけにもなった。

    「どうか、変わることをおそれないでください」

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    2025年11月11日
  • これがそうなのか

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    学生時代は数式で生きてきた理系なので言葉が分からなすぎて読書をしてこなかったけど、世界がグレーだと思い始めてから、本を読んでモヤモヤを漂う時間に心を揺さぶられつつ落ち着かせる日々。土を耕してならすような感覚。

    言葉が、他人が、
    理解できないことがあるが、きっとそれは開かれた可能性ということなのだろう。何気ない他者の言葉の中に含まれる絶望や祈りや希望、もしくは虚無。当たり前のように普通に発せられる言葉の中にいかなる問いを見つけるか、そこに物語を続けるケアというのもあるのではないかな

    永井さんの本は前半で問うことをウォーミングアップして、後半でどっぷり深海の中に引き摺り込まれて彷徨って漂う感じ

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    2025年11月09日
  • さみしくてごめん

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    ただ考えたい、って!!おぉ。世間では時間の無駄とか、生産性とか将来とか、そればかり言われるから、どうでもよいことばかり考え気味な私おかしいんかなって心配だったのでなんていうか気が楽になった。有名な哲学者さんがいいっていうなら、きっと許されるでしょ…って。ちょっと気が大きくなってる。
    日記のパートはほんとに親近感湧きまくりで日常をすてきに文章にできるってうらやましいなーって思った。2から難しい言葉が出てきて、やっぱり賢い人が書いてるんやなーと我にかえる。
    昨日、職場で私ともう一人だけディズニーのお土産クッキーがもらえなかった。さみしい。さみしくてごめん!これじゃないか…でも。何をどう思っても、正

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    2025年11月05日
  • さみしくてごめん

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    よかった、とってもよかった…一気に読んでしまいました。前半、1の日記文を呈したところは、クスッと笑える視点がたくさんあって、いままでの書籍より(若い時ということも含めながら)永井さんの人としての面が見えた気がする。永井さんみたいに、世界の一つ一つを怖いと思ったことはないけれど、あれ?なんで?と思うことはあって、永井さんの視点を得られるとそれがどういうことかを考える道具を手に入れられるような感覚になりました。後半の文章たちも好きです。これからもこの人の文章を読んでいたい。

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    2025年11月01日
  • さみしくてごめん

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    TBSラジオ荻上チキのセッションに突然「哲学者」として登場し、
    軽妙な、親しみのある語りで哲学対話を繰り広げる永井玲衣。
    この本で、その正体が少しわかった気がする。

    小さな、虚弱体質の、ちょっと難しい女の子だったようだ。

    1に描かれている文章は、まるで詩のような、短歌のような、
    とてもいい感じの短い文章。
    哲学者っぽくない。エッセイストのよう。

    2からちょっと真面目な?文章になる。
    でもやはり等身大。永井玲衣の頭の中を素直に、率直に吐き出している。

    彼女に限らず、誰の頭の中にもある思考、もやもや、悩み、迷い、
    そうしたものをわかりやすく表現している。

    哲学、って、難しいものじゃないん

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    2025年10月30日
  • 世界の適切な保存

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    偶然、電車で居合わせた人の談笑。すれ違った人からふとこぼれ落ちてきた一言。引き留めるほどではないけど、ちょっと気になる一瞬。たいしたことないそんな日常の一部を切り取って「適切に」保存しようと試みた哲学者の本。一言で言うと、感受性の器みたいな本だった。

    「日常を保存する」と聞くと多くの人が「日記」を思い浮かべると思うが、この人はそうではない。スーパーでレジ打ちしていた人や乗り込んだタクシー運転手の名札にふと目をやり、その名前をひたすらノートに記録していく。一見、狂気的な行為だが、それほどまでに日常を「適切に」保存したいと思っていたというのがこの本の始めに書かれている。 

    怠惰に流れゆくS

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    2025年10月22日
  • さみしくてごめん

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    永井さんのエッセイを読むのは3冊目ですが、どれを読んでも面白いです。着眼点のユニークさ、絶妙なワードチョイス、テンポよく引き込まれる文体、文章の背後に見え隠れする底知れない知性は翻訳家の岸本佐知子さんのエッセイに通じるものがあるように思います。

    本書後半に出てくる永井さんがサッカー観戦に行くまでのエッセイは最高でした。サッカー知識ゼロの永井さんに文章を依頼する日本サッカー協会の慧眼もさることながら、魅力的な文で応じる永井さんもすごい。

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    2025年10月20日
  • さみしくてごめん

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    哲学がなんなのかをよくわかっていなくえも、永井さんの文章は大変読みやすいし、何か正解を求める学問ではなくなぜ?を探求するようなイメージなんだと感じた
    考えること、言葉に出してみること、それは一人でやらずに友人や誰かと一緒にやっていいこと、など敷居が下がる感覚があって嬉しかった
    永井さんの文章、もっと読んでみたいなあ

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    2025年10月18日
  • さみしくてごめん

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    誰かと一緒に考えることでそれぞれが平凡ではない考えを持っていることに気づく。ふとした瞬間浮かんだ疑問について考える。疑問が疑問を呼んで頭の中をころころ転がっていく感覚。その時間や感覚を大切にして、いつか誰かとそれを共にできれば良いなと思った。
    哲学を少し身近に感じることができる一冊。

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    2025年10月15日