永井玲衣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を説明することがとても野暮に思える。要約できない本、しない方がいい本。AIが書けない文章。哲学的だけど詩に近い。
自分以外の人の感覚はどれだけ言葉を尽くしても、同じようにわかることはない。伝わることはない。
しかし、伝えようとすること、わかろうとすること、そのために話をすることはとても大切である。
例え適切でない保存であっても保存することから始まる対話があり、それ自体は決して無意味ではない。
前半は哲学対話の体験やフレーズから作者の日常を観察し言葉を紡いでいくエッセイに近い短編集。
後半は東日本大震災、コロナ、ガザ、広島などテーマが変わる。
なんにせよ、読む時々自分の状態で受 -
Posted by ブクログ
哲学研究者である永井玲衣さんのエッセイ集。難しいことを一緒にぐるぐる思考するものもあれば、つい声をあげて笑ってしまうものもある。多くの話は哲学対話の場面をきっかけに著者が気になったこと、興味を持ったことについて書かれている。
前にも哲学対話の本を読んだことがあるが、哲学ってつくづく面白いと思う。生産性ばかり追い求める資本主義社会に疲弊する現代人はかなり多いだろうし、その大多数が気晴らしを求めて消費に走っているように思う。服、食事、映画、音楽、、、読書でさえもその内側にあるかもしれない(その人の心持ちに依る?)。新しい物、新しい体験、新しい知識。それでも人は満たされない。欲の先にはさらなる欲し -
Posted by ブクログ
ネタバレコロナ過の中で書かれたという、日記とエッセイ。日記の部分がたんたんとしてシュールですごく面白かった。他人の何気ないひと言、ちょっとした出来事から広がるイメージや余韻がなんとも言えず可笑しいのだ。終わるジェノベーゼ、適当に作られたレモネード、いちごジャムの中の鮭の瓶、小生のパワーポイント、ニーチェになるカント。「これでええ?」はつい声を出して笑ってしまった。日常の瞬間瞬間への感性の鋭さが感じられるというか、疑問への瞬発力が高い。
後半はエッセイになっているが、言葉になる前の感覚をできる限り丁寧にすくい取ろうとしているような文章で、結論のようなものにはあえてたどり着かず、ただ漂っていくようなエッセ