雨穴のレビュー一覧
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よくできている。これに尽きる。
一枚の絵から展開されていく短編かと思いきや、全ての章でひとつずつ伏線が解かれていき、最後の最後で最初と繋がるところが非常によくできている。
時系列や視点移動が頻繁にあるが、それも読みやすく提示されているので話が入ってきやすい。
この本の伝えたいことは、人も絵も、目に映るものが全てではない。ということなのではないかと思った。
作中に出てくる人物達のように、同じ人でも、その人を見る視点が違えば良い人にも悪い人にも捉えられる、全く違う人間像になる。絵も同じく、この絵はこういう意図で描かれたのではないか?というのも見る人によって感じ方が異なる。
自分だけの狭い視点か -
Posted by ブクログ
途中で構図が明らかになり、その後は証拠を積み上げていく展開で、いわゆる「どう立証するか」に重きが置かれた構成が印象的だった。細かいセリフや表現が後になって推理の根拠として回収されていく流れには、「そこで効いてくるのか」と感じる小さな驚きがあり、読み進める楽しさがあった。
一方で、全体として話がうまく出来すぎている印象もあり、つじつまが合いすぎることによる不自然さや、ややこじつけのように感じられる部分もあった。論理的には成立しているが、現実的な自然さとのバランスに違和感を覚える場面もある。
それでも、発想の面白さや伏線回収の気持ちよさは健在で、やや作為的に感じる部分を含めても、エンタメとしては十 -
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前作『変な家』と比べると、謎解きに入るまでの断片情報がかなり多く、構造的にはスケールアップしている。一方で、その断片一つ一つに含まれるショッキングさはやや控えめで、前作のような「点で引っ張る推進力」は弱まっている印象。
そのため、「後で全体として回収されるはず」という前提を持てないと、中盤でややダレる可能性はある。ただし本作は「線で回収するタイプ」の構造になっており、終盤に向けての統合を見越して読めば十分に楽しめる。
実際、ページ数は前作より増えているにもかかわらず、回収への期待が持続する設計のおかげで体感的にはスムーズに読み切れた。テンポ自体は緩やかだが、それを補うだけの構造的な推進力がある -
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ネタバレその性格から就活に苦しむ栗原。
『本当のこと知りたい』という亡くなった母親の強い気持ちを頼りに、母が探っていた祖母の自殺の真相に迫る。真実が明るみになるにつれ、廃集落の闇とそこで起こった事件の存在も明らかになっていき、、、
栗原の観察眼が冴え渡っていました。状況観察力もですが、人間観察においても然り。
廃集落の闇については、『変な〜』シリーズではお馴染み(?)というか、人間の欲深さや妄信することの怖さみたいなものがその土地特有の習慣を作り出していて、それが悲劇を生み出すという構造に。
しかしながら、隠蔽されたトンネル掘削時の事故の件に関しては、おぞましさから眉間にシワが寄りっぱなしだったと -
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会話文を中心に構成されており、全体的に非常に読みやすい一冊だった。序盤で家の見取り図と明確な違和感が提示され、その理由が徐々に解き明かされていく構成が巧みで、自然と読み進めたくなる面白さがあった。
一方で、作者の誘導を少し疑いながら読む部分もあり、「別の可能性があるのではないか」と考えつつ読み進める場面もあった。そのため、展開に対してやや構えてしまった感覚もある。また、登場人物が同一の家系に属しているため、関係性を整理しながら読む必要があり、時折立ち止まる場面もあった。
それでも、事実なのかフィクションなのか曖昧に感じさせる語り口が印象的で、単なる事件の怖さにとどまらず、「もしかすると他にも同 -
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言うまでもない、雨穴先生の「変な」シリーズの最新作(^ ^ 独特の、イラストと引用を多用した相変わらずの作風で、読み始めるとすぐに作品の世界観に引き込まれる(^ ^
本作は、何やら伝奇的な雰囲気がぷんぷん漂っているが、「民俗学的」「おどろおどろしい」というよりは、もっとカラッと理系な謎解きである。青年栗原の、ひねた理屈っぽい思考や言動の「ルーツ」が明かされたり、雨穴ファンには堪らないような(^ ^
探偵役が「超人過ぎて」とても嘘くさい...とも言えるが、追求される側の「本当に何でもお見通しなんですね...」みたいなセリフで、何故か違和感が薄まるような(^ ^;
解決した、と思っても、そこ