荻堂顕のレビュー一覧
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夏休みの初日、目が覚めたらそこは体育館で、周りには同年代の少年、少女たちがいた。
着ぐるみを着た謎の人物が、集められた8人で劇を演じてもらうと言う。
閉じ込められた中で、8人の中学生は劇を演じることができるのか…。
なぜここに集められたのか?なぜ劇をするのか?
やらなければそこから出られないという状況で、反抗していても無駄だとわかり、演じる彼らたちが徐々に気がついていくのは、自分たちが誰かを傷つけていたことを知ることだった。
事実に目を背けては、何も変わらない。
人の痛みに気づかないで、知ろうともしないで大人になることは許さないと言われているようでもあった。
劇を演じながら彼らはそれぞれ何が正しかったのかを考えていたのだろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレかがみの孤城を思いだすはじまりだと感じました。
なにか罪があるからそこに送られた。
自分を送った相手は誰なのか、罪とはなにか。
本当にここを抜け出せるのか、なぜ演技をするのか。読者も登場人物も考えることは同じだったはず。この台本もなぜこの内容なのか、この配役なのか。なぜ?がたくさん出てくる物語。
終盤に近づくにつれ、それぞれの罪が明かされていく。すると台本の意味がわかっていき
考えて行動する、ということを知るホノカたち。劇を終えた彼女たちは、成長し、相手のことも考えて行動できるように変わったのだなと思いました。
子供も大人も相手のことをもう一歩思いやる、ということが出来ないことがある。
老若男女問わず考えてみて欲しいなとおもう作品でした。
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Posted by ブクログ
登場人物達に共感できず、またびっしりと書かれた長編に読み切るまでに長時間掛かってしまった。
最初は10年単位、その後は20年単位で、各章がある程度劇的な内容なのに、それが次の章にあまり描かれていないのでストレスを感じてしまう。
世捨て人のように趣味に生きた祖父と、その反対に仕事と女に入れ込んだ父親。父親に反発しながら、家を捨てられない主人公の治道。祖父が家宝としていた「刀」に纏わる名家の物語。刀が愚連隊に渡って、取り返すために大学生の治道が友人の助けを受けて拳銃を撃つところまでは面白かったのだが。刀が前途ある青年の命を奪ったり、どんどん暗くなる。妾の子供が自分よりも先に生まれていて、大揉めになったり、商売で不正隠蔽のために更に不正を重ねたり。ワイドショー的な内容で、直木賞の候補になったのだろうか? -
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不動産やビルといった都市開発事業を営む一族の中で、祖父が残した刀に尋常ではない執着をみせる主人公の葛藤と愛憎、そして刀をめぐる事件などが昭和の長いスパンの中で描かれており、一種の大河小説のような趣のある作品になっている。
が、結論から書いてしまうと私の苦手なタイプの小説で、文章そのものがダメというわけではないんだけど、読者が場面や風景を自由に想像する余地を与えないほど地の文で細かく書き込まれているので、書かれたままをただ頭の中でリフレインするだけの読書になってしまい、読み終えるのにかなり時間がかかり、疲れた。
舞台の大半は昭和なんだけど、文章も同様で完全に一昔前のもの。これは当時の空気をそのまま描きたかったという著者の意向らしいんだけど、私のようにその知識が無い状態で読んじゃったりすると、令和の時代にここまで押しつけまがしい話ってどうなの、といった感じでかなり困惑したというのが正直なところ。
これで登場人物が魅力的であればまだ救われたんだけど、主人公は刀に対する執着以外はパッとしないし、周囲の人物造詣も想像の域を出ないかなあ。
帯に「美と血のノワール」ってあるけど、そもそもノワールってこういうものなんだっけ?という点も疑問が残る。
それでも美点を挙げるとすれば、前述した主人公の刀に対する執着が全く論理的でない点で、これは現代日本で保守や平和主義者を自称している言論人や政治家たちの精神性と完全にオーバーラップして読めたので、そのあたりは結構面白かった。
なんだかんだ筆力はある作者だとは思うけど、今回は相性が悪かったようで。次作に期待します。 -
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直木賞候補作ということで読んでみました。
今年は昭和100年。
(ここでこの内容をぶつけてきたか~)
出版社の戦略がちらつきます。
今、私の手元にある帯にはこのように書かれています。
”僕は憎んだ
父が築く東京の景色を”
この一文を読んだときに、スターウォーズ的なストーリー(息子が父を倒す話)を想像したのですが、読んでみると、そこまでではない感じでした。
主人公・浩道のぼんくらっぷりがずっと続いていく感じだったなぁ。
恵まれた環境でぬくぬくと育ってきた感じが、どこまでも続いていく・・・。
彼には欲望ってものはないのか?
私が読む限り、感じなかった・・・。
彼自らが動いて、何かを成すということがないのですよ。
むしろ、彼の兄貴(腹違いの)・直生の方が、欲望だの野望だのギラギラとしたものが前面に出ていて、ここまで欲望丸出しだとすがすがしささえ、感じられました。
(帯の内容から兄貴寄りの話かと思っていたのだが)
それは置いておいて、昭和生まれ(後半ね)の私は、昭和の懐かしさを感じることもできました。
ゼネコン業界の裏側が赤裸々に描かれている点が興味深かったです。
「大型案件の受注の仕方」
「土地買収のリアル」
「ゴシップの収束方法」
どれも想像できそうな内容ではあるけれど、文章としてリアルに突きつけられると妙に生々しい。
企業がスポーツ選手のスポンサーになるメリットや、そのための社内稟議の通し方なんかも書かれていて、「企業って、こうやって裏で動いているんだな…」としみじみさせられました。
スポーツ選手が企業からのプレッシャーを受けながらも、命がけで戦っている姿も描かれています。
「好きなことを仕事にするって、綺麗事だけじゃない」
大人になるって、こういうことだよな…と実感せざるを得ませんでした。
大人になってやりたい事をやり続けるためには、子どものように無邪気なままではいられないのが実情なのでしょう。
個人的に驚いたのは、途中出てくる刀のストーリー。
「え?これどうつながるの?」と思っていたら、最後に見事に回収されて、思わず唸りました。
全体を通して、「昭和という時代の空気」と「ゼネコンという世界」が巧妙に描かれた読み応えのある一冊でした。
「あの頃の日本」「バブルの残り香」を感じながら、昭和100年を迎えた今、もう一度「父と子」「企業と個人」というテーマについて考えさせられる、そんな物語でした。 -
Posted by ブクログ
序盤に主人公烏丸治道が、父が無法組長に一族の守り神でもある粟田口久国の「無銘」を渡したと知って、物騒な方法で奪い返そうとした物語を読み、このあとが読み切れるだろうかと不安になりました。
その後治道も社会人となり、父親の会社に入社して時代に即した生き方をしていく様子が描かれると、今度はこの作品のテーマが見えなくなりました。
あらすじにある「刀に隠された一族の秘密と愛憎を描く美と血のノワール」とは一人のマラソンランナーや、治道の異母兄と刀との関係でもあり、主人公との苦悩を描いているようでもあり、とふらふらしつつ読み終えました。
私にとって著者の作品は初。出会いは大切です。今回は可もなく不可もなくといったところでした