荻堂顕のレビュー一覧
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いろんな切り口のミステリーの集まりで、ボリューム薄めなので、サクッと読みやすい。
誉田さんの『それはない』でスタートするのが良かった。こじれた話だけど、全体的に温かめのストーリー。
葉真中さんの『21グラム』のオバケが見える設定、荻堂さんの『コンカフェ探偵ロゼ』のオクスリオッケーな設定、といった、事件内容は現実的だけど、基本設定が異常、が良かった。
中山七里さんのミステリーを楽しみにしてたけど、私的にはミステリーというよりも、ヒューマンドラマを見ているような、このストーリーでは、脇役の善吉中心の温かいドラマにつながる“ゼロ”的な要素のストーリーな感じがして、とても良かった。この後佐知子さんと一緒になるのか気になる。 -
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綺麗な表紙のデザインと大好きな伊坂幸太郎の帯で即決購入した本だったが、読んで大正解の一冊でした。
外国人の名前やおそらく武器の名前?みたいなのがなかなか覚えられず読み進めるのに少し苦戦したが、まるで一本の大作映画を見終わったような満足感と喪失感。
メモに残しておきたいセリフがたくさんあった。
生きる目的は何か。戦争とは何なのか。
重たく複雑なテーマをいろんな人種や宗教やバックグラウンドを持つ登場人物達から考えさせられる良書でした。
日本人の作家作品とは思えないほどの大きなスケールのお話でした。
物語もとても素晴らしい。ハリウッドとかで映画化されたらいいな。 -
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過去に民族浄化ともいえる大虐殺を行ったことで、国連から国を《抹消》された国家。
国民は完全にアメリカナイズされた国に住み、その《以前》のことを恥の歴史として口にすることでも罰せられる。
そんな国で突然蔓延的に起こり出した、少年少女の、意識なく横たわり食欲も消えていく発作。
中にはその発作によって亡くなる子も出てきて、
そこに国連から派遣されてきた調査団。
彼らもそこにいたるまでの人生にそれぞれに抱えてきたものがあって…
登場人物は多くないのだが、いかんせん馴染みにくい海外の名前でなかなか入ってこないが、
登場人物に慣れると、
物語は一気に進むし、世界観にどっぷり。
SFでありながら、登場人物がその思想や価値観について意見をぶつけ合うシーンが多く、こういうの好き。
自分の自我と存在意義と、そんなことを永遠と、登場人物と共に問わされて、最後にあるのは救い。
過去、未来、家族、同僚、恋人。
すべては紐と結び目。
これまで知らなかった作家さんですが、すごく良いなぁ。 -
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取っ掛りにくいかなと思ったけど、
ストーリーだけでなく、登場人物の会話、提起される問題、すごく沢山の要素が盛り込まれ、一見ばらばらのことが思考としてひとつに結ばれていく、作品自体の厚みが凄くて、良い本を読んだなと思えた。
アルフォンソの思考がベースだが、かたくなな個人の主観ではなく、色んな人の思想や人生への興味、それを経て自分の思考を常に広げていく姿勢は、読んでいる私の思考のステップにもなった。
国家や文化、大きな切り口からアイデンティティや家庭、個人的な問題、生を受けること生み出すことから目の前の人と関わること、マクロとミクロの入り交じる面白い描き方。
すごく好きな作品になったし、また読み返したいと思った。 -
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ネタバレいままでのハードな世界観から一転したような青春物語。
これまでのものとはテンションがぜんぜん違う!(笑)
これはほとんどの人が読んでも楽しめると思う。
はじめはどうして集められ、閉じ込められたのかも分からなくて、そこから徐々にお互いのことを知り、演劇をすることの理由が分かっていく過程が面白い。
自分がしていたことに気づき、しかもそれに向き合うなんて誰もが出来ることではないはず。
劇の結末はどうするかを自分たちで考えて、こうするしかないって答えを劇中劇で指し示すなんてまじスマート!カッコイイ。シンシンって映画の演劇練習とかに近い感じなのもよかったですね。
今作に出てくる子供たちの家族は決定的に壊れる1歩手前にいるよう、一家離散までいってないんだけど彼らの行いが誰かを傷つけたことは間違いなくて。自分に罪の意識もなくやっていることなんて山のようにあるんだろうな、良かれと思ってしていたことだと信じていたのに、相手にはそれが何よりも辛いことになってる。
荻堂作品はやっぱり会話が最高ですね!コタロウの無邪気な振る舞いを追及する場面と主人公が良いことをしてるだけだと主張し、それはあなたが言える人だからだよって諭される場面はほんとに良いですね。その行いで本当に助かるひともいたり、いじられキャラになって笑える人なら気にもしないでしょうけど、そうじゃない人がいることを考えろって突きつけられる。作中人物だけじゃなくて読んでる自分にも矢が飛んでくるのもよかったです。 -
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やっと追いついた!
4冊読むのに何年もかかってしまった。
最初はループオブザコードを読むために走り始めたのに、2作も新作が出て嬉しい悲鳴です。
今年発売のはすぐに読める!準備万端!
荻堂顕さんの文章、キャラクター、セリフはほんとにカッコイイ。退屈なところが1行もなかった。
序盤に出てくる藤永って男がめちゃくちゃ良くて、彼が言う言葉は全部メモっとくぐらいいいですね。
今回は二段ではなくなった分、1ページ毎にみっしり文章が詰まってて、安心の濃厚さ。
ストーリーはSF、アクション、サスペンスが盛りもりやった前3作とは毛色が違って、終戦前から2000年代まで1人の男が生きた道筋を辿る話。
ループオブザコードであった会話の面白さが濃縮されたような話です。
父子ものなのでその点もかなり嬉しかった。
憎くて仕方のない相手と同じことをしてしまっている事に気づく……
「信じた道を走った。……走って、走って、それで、いきなり道が消えた」
「迷っていた道から抜け出せたというよりは、一本道を行ったり来たりした末に、ようやく前進する気持ちになった。」
「人間の生涯において、何かが掛け合わされることなど決してなく、負というのは常に足し合わされて、僕たちは更なる負債を背負っていく。」 -
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ネタバレ第二次大戦後の琉球と台湾を舞台にしたSFアクション
ループオブザコードとかなり雰囲気が似てて、この物語の描き方いいっすね!最高です。
4作目はちょっと違う雰囲気を感じるけどどうなんかな。読むのが楽しみ。
2段組なのもスペシャル感あっていいですね、講談社ノベルスとかを思い出してなんとなく嬉しいし、なにより分厚くなくて読みやすい!
サイバーパンク小説といえば熱量が凄そうやなと思ったら案の定とんでもない物量で、欲しいもの全て詰め込まれてぎっしりです。
義体化、電脳化、首の後ろにプラグ挿入口がありと映画やゲームでお馴染みの設定。
最近だとサイバーパンク2077がもろにこんな感じで、チップを入れたら人格が消えて乗っ取られるって話やったから飲み込みやすい〜。
ブレードランナーの雰囲気にかなり近い描写なのもよかったなあ。テンション上がる〜!
ちょっと尻上がりな展開だけどご愛嬌ですよね。帯に超大作ってあるし、、、
ドラマのシーズン1と2が入ってる感じ、前半の密貿易編からの台湾編にいきクライマックスです。めっちゃ長い(笑)この長さがいいですね〜(≧▽≦)
はじまりの1行からもうかっこいい!
クライマックスでもこの1行から始まるとこがあって泣ける。
主人公の十八番が聞きたかったな。 -
匿名
荻堂顕――その筆致は、東京という都市の多層的な地層を、刀剣の地景のように一筋一筋切り出す。
都市の「継ぎ目」や歴史の断面を、鋭い審美眼で描き出す新進気鋭の作家だ。
世田谷成城で育ち、早稲田大学で学びながら、バーテンダーや格闘技インストラクターなど異色の職歴を重ねてきた。
まるで都市の迷宮に点在する路地裏のような経歴は、彼の物語世界にも独特の奥行きを与えている。
この代表作『飽くなき地景』では、旧華族の血脈や名刀の来歴、東京の変貌が複数の時代のレイヤーとして交錯。
刀剣の「不均一」を美とする感性を、都市や人間の歴史の「継ぎ目」へと拡張し、そこに真の美を見出す慧眼が光る。
また、『ループ・オブ・ザ・コード』では反出生主義や疫学調査を題材に、現代社会の構造を顕微鏡のように観察し、抹消と再生のドラマを描いた。
荻堂顕の物語は、都市、歴史、人間の弱さと優しさを一つの「景色」として凝視し、静かな波紋のように読者の心に広がる。
ただのフィクションではなく、過去と現在、虚構と現実、硬質な知と柔らかな情が精妙に交わる、新しい文学の地平を切り拓いている。