荻堂顕のレビュー一覧

  • いちばんうつくしい王冠

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    ネタバレ

    いままでのハードな世界観から一転したような青春物語。
    これまでのものとはテンションがぜんぜん違う!(笑)
    これはほとんどの人が読んでも楽しめると思う。

    はじめはどうして集められ、閉じ込められたのかも分からなくて、そこから徐々にお互いのことを知り、演劇をすることの理由が分かっていく過程が面白い。
    自分がしていたことに気づき、しかもそれに向き合うなんて誰もが出来ることではないはず。
    劇の結末はどうするかを自分たちで考えて、こうするしかないって答えを劇中劇で指し示すなんてまじスマート!カッコイイ。シンシンって映画の演劇練習とかに近い感じなのもよかったですね。

    今作に出てくる子供たちの家族は決定的

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    2025年11月08日
  • 飽くなき地景

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    やっと追いついた!
    4冊読むのに何年もかかってしまった。
    最初はループオブザコードを読むために走り始めたのに、2作も新作が出て嬉しい悲鳴です。
    今年発売のはすぐに読める!準備万端!




    荻堂顕さんの文章、キャラクター、セリフはほんとにカッコイイ。退屈なところが1行もなかった。
    序盤に出てくる藤永って男がめちゃくちゃ良くて、彼が言う言葉は全部メモっとくぐらいいいですね。

    今回は二段ではなくなった分、1ページ毎にみっしり文章が詰まってて、安心の濃厚さ。
    ストーリーはSF、アクション、サスペンスが盛りもりやった前3作とは毛色が違って、終戦前から2000年代まで1人の男が生きた道筋を辿る話。

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    2025年09月07日
  • 不夜島(ナイトランド)

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    ネタバレ

    第二次大戦後の琉球と台湾を舞台にしたSFアクション
    ループオブザコードとかなり雰囲気が似てて、この物語の描き方いいっすね!最高です。
    4作目はちょっと違う雰囲気を感じるけどどうなんかな。読むのが楽しみ。
    2段組なのもスペシャル感あっていいですね、講談社ノベルスとかを思い出してなんとなく嬉しいし、なにより分厚くなくて読みやすい!

    サイバーパンク小説といえば熱量が凄そうやなと思ったら案の定とんでもない物量で、欲しいもの全て詰め込まれてぎっしりです。
    義体化、電脳化、首の後ろにプラグ挿入口がありと映画やゲームでお馴染みの設定。
    最近だとサイバーパンク2077がもろにこんな感じで、チップを入れたら人

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    2025年06月13日
  • 飽くなき地景

    匿名

    荻堂顕――その筆致は、東京という都市の多層的な地層を、刀剣の地景のように一筋一筋切り出す。

    都市の「継ぎ目」や歴史の断面を、鋭い審美眼で描き出す新進気鋭の作家だ。

    世田谷成城で育ち、早稲田大学で学びながら、バーテンダーや格闘技インストラクターなど異色の職歴を重ねてきた。

    まるで都市の迷宮に点在する路地裏のような経歴は、彼の物語世界にも独特の奥行きを与えている。

    この代表作『飽くなき地景』では、旧華族の血脈や名刀の来歴、東京の変貌が複数の時代のレイヤーとして交錯。

    刀剣の「不均一」を美とする感性を、都市や人間の歴史の「継ぎ目」へと拡張し、そこに真の美を見出す慧眼が光る。

    また、『ルー

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    2025年06月01日
  • 飽くなき地景

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    直木賞候補作。祖父から鎌倉時代の刀工、粟田口久国の刀を受け継いだ烏丸治道の半生。東京オリンピックや汐留シビックセンター等、現実の戦後の東京の変遷を織り込み、マンション供給による東京の街の変化を刀剣の武器から美術品への変化になぞらえ、烏丸一族の愛憎史、生家のゼネコンの発展と危機対応と盛りだくさんの内容。受賞は逃したようだが読み応えがあり面白かった。

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    2025年02月09日
  • 飽くなき地景

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    1944年~2002年間、時代と共に移り変わる大都市東京と人を描く。膨大な資料を読み込み、当時の象徴を物語に融合させる著者の技量に唸る。戦後の復興、旧華族の没落、骨肉の争い、親子の愛憎…急所満載。第172回直木賞候補作。

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    2025年01月21日
  • 不夜島(ナイトランド)

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    何を云っているのだと思われるかも知れないが本作は«ハードボイルドSFアクションほんのりミステリー歴史スペクタクル»である。いや、本当に何を云っているのだろう。事実てんこ盛り作品なのだから、これで間違いは有るまい。どんなキャラクターに対しても人物描写が丁寧で世界観が広くて深い。それ故SFに馴染みの薄い私ですらのめり込んでしまう。世界観も良ければ、文句無しのラストがたまらなく素晴らしい。ネックはあまりお手軽な長さではないくらいかな。日本推理作家協会賞受賞作。

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    2024年11月04日
  • 不夜島(ナイトランド)

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    読み応えあった。米軍占領下の与那国島が舞台ということでハードボイルド系かと思ったら、サイボーグ…。推理作家協会賞も受賞なら、その要素も出てくるかと最後までワクワク。途中、月村さんも降臨…。「自由を守るためには兵士が必要」今の世界情勢眺めていると、複雑な思い。

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    2024年09月26日
  • 不夜島(ナイトランド)

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    時代設定からすればサイボーグ化した人間の存在は明らかに間違っているがあの時代にもしいたら又外国もその製造に手を付け様としていたら---こんな日がいつか来るかも。中国語や沖縄独特の言葉を小生少々知っている分面白く読んだ。

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    2024年01月17日
  • 不夜島(ナイトランド)

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    なんて愚かなんだろうか。いくらでも上手く立ち回ることはできたし、武にとってもっと幸せな結末を迎えることだって叶ったはず。それでも、それが武の生き方だし、台湾人や琉球人が持つマブイの在り方なんだろう。怪しい貿易業で急速に発展を遂げた島を舞台に、一介のブローカーが達成困難なミッションに挑む。ネオンで照らされたシティ、印象的な酒や煙草、どれも魅力的。そしてなによりも人物とセリフがたまらない。「食人飯、犯人問」「指は内にぞ折れる」間違いない。これからも何度も読み返すことになるだろう。新年初っ端から嬉しい誤算だ。

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    2024年01月06日
  • いちばんうつくしい王冠

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    ネタバレ

     夏休みの初日に集められた少年少女7人。目覚めたら見知らぬ体育館。不気味な着ぐるみは言う。みんなで劇を完成させてもらう。それ以外にここから出る術はないと。

     よくあるデスゲーム系かと思って読み進めれば違った。面白かったです。

     ここまでしないとダメなのかと。ここまでしないと自分がした事を客観的に見れないのかと。悲しい現実。反省しなさいと言うのは簡単だけどやられた方はそうじゃないと思うんだろうな。でも立場は固定じゃないし気づかないうちに逆転してることもある。誰かの被害者はもしかしたら誰かの加害者かもしれない。そう考えるといたたまれないし苦しい。

     該当する人たち全員にこんなことはできない。

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    2025年12月06日
  • Jミステリー2025~FALL~

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    今年ももう1か月半足らずで終わってしまいます。
    1年間に読める冊数が少ないので色々な作家さんの作品に触れたい時にはいいですね。
    6人の作家の書き下ろしです。
    葉真中 顕さんの「21グラム」最後ちょっとぞっとする感じで面白かったです。
    五十嵐 律人さんの「万藤の灯火」も良かったです。

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    2025年11月19日
  • 飽くなき地景

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    ネタバレ

    なんかこう、地味な話のわりに読ませる一冊でした。旧華族に生まれた治道が父や腹違いの兄と反目しつつも自身の夢につきすすめようと生きる。青年期こそ、青臭いながらもまっすぐであったのにだんだんと・・・な感じがなんとも言えない読み心地。そして彼が敵視している父親が読んでる限りそんなに悪い人物にも思えない。むしろ令和の時代からすると彼の経営方針は時代に沿いつつも先を見据えた的確なものともいえるし、ところどころで治道に対してきちんと道を示している。まあ母親に手を上げたり愛人つくりまくったりとかはあるにせよ直接的な描写があんまりないからなあ。
    いっそ治道のほうがいろんな意味であやうさを抱えてる感じがしました

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    2025年06月09日
  • 飽くなき地景

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    力作だけど主人公の行動チグハグで共感、理解出来ない場面しばしば。同族企業のファミリーヒストリーに突然、談合の元締め植良会長等の実名が飛び出しモヤモヤ感も募る。都心の風景を「無数の思惑の結果として建てられた卒塔婆の群れ」「不揃いが出来上がったのではなく、不均一が街を形作っていた。それこそが東京の地景だった」東京の地形、地景など蘊蓄や新鮮な比喩は楽しめた。

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    2025年06月03日
  • 飽くなき地景

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    ネタバレ

    祖父から三代続く父子の確執、受け継がれる守り刀に纏わる怨念じみた物。物語自体は面白く、刀剣に関する蘊蓄には興味津々。だが主人公の自分勝手な正義感やこだわりが鼻についた。登場する女性たちがあり得ないほど不幸なのと、円谷選手を思い出させる高橋選手が気の毒だった。

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    2025年05月25日
  • 飽くなき地景

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    ネタバレ

    主人公は旧華族の烏丸家の嫡男である治道。大叔父が作り、一族の暮らしを支える建設会社を継ぐ気はない。祖父の遺した美術品を管理して後世に伝えたいと考えていた。烏丸建設をより大きくしたのは父の道隆だった。彼は治道よりも数日早く生まれた庶子の直生を跡取りとすべく建築の道へ進ませていた。経営者として冷徹だが当然の判断だった。
    祖父が亡くなった時、治道は父から遺書はない、と告げられた。その後しばらくして、祖父の形見であり家の守り神と教えられていた日本刀が無くなっていることに気づく。友人である重森の機転によりなんとか刀のありかを突き止めたが、そこは愚連隊の松島組の事務所だった。藤永という男は父から刀をもらっ

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    2025年04月21日
  • 擬傷の鳥はつかまらない(新潮文庫)

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    荻堂顕『擬傷の鳥はつかまらない』新潮文庫。

    驚愕のクライムミステリー。全く予想外の展開に兎に角驚いた。


    訳ありの依頼者へ名義を貸し、別人へと変える『噓の仕立て屋』を生業とするサチの元に大金を持った二人の少女が訪ねて来る。サチには『嘘の仕立て屋』の裏で依頼者を逃亡させる仕事も行なっていたのだ。その噂を聞いた二人の少女はサチに自分たちも逃亡させて欲しいと頼み込む。

    その数日後、少女の一人が転落死を遂げた。サチは残された少女を逃亡させるべく、事件の鍵を握る男を探し始める。次第に明らかとなる驚愕の真相と命を懸けた騙し合いの果てに、サチの抱える過去と全ての真相が明らかになる。

    本体価格900円

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    2025年03月24日
  • 飽くなき地景

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    観念的夢想的な主人公と、現実的即物的な父、兄との確執。

    祖父が遺した蒐集品、特に一家の守り刀という無銘の粟田口久国の保存に一生を捧げる主人公は、久国が写しだと知り、家庭を放棄し、理解者である愛人と別れ、兄の極めて現世的な不祥事を揉み消すために大学時代からの盟友との関係を代償にし、兄が精魂を傾けて建てた汐留の高層ビルに自らが追い求めた刀剣の神髄を感じてしまう。

    ノワールとの謳い文句だったので大学時代の愚連隊藤永との因縁がその後の人生を狂わすのかと思ったが、違った。

    全編に漂う厭世観や虚無感。三島由紀夫にも通じる無常観。

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    2025年03月10日
  • 不夜島(ナイトランド)

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    ネタバレ

    ハードボイルド・サイバーパンク…。
    男の子ってこういうのが好きなんでしょ…?好きです!

    体も思いも機械に置き換わってしまった男と、味方も理解者もいなかった少年。今と過去を結ぶものは何だったのか?
    それは「回憶(フイイー)」であり「魂(マブイ)」だった、というわけですね。綺麗な終わり方で割と満足。
    第3部までは洋書っぽさを感じてたというか、この話回収されないんだろうなーと思ったら第4部で全てが回収されて超興奮。いや、ホント全部が綺麗に収まったね。

    でも俺、主人公とトキコが2人で京都料理をやるイフストーリーも見たかったよ…。

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    2025年02月11日
  • 不夜島(ナイトランド)

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    与那国島が舞台。Dr.コトーの風景を思い出しながら楽しみました。長かったけど面白かった。電脳って便利そう。痛覚を切ると、自分がどこまで傷ついてるかわからず無茶ができる。ある意味怖い。痛みを感じることは無駄じゃないと思った。

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    2025年02月05日