キムチョヨプのレビュー一覧

  • 惑星語書店

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    視点の切り取り方の目新しさや、特に女性同士が築く関係性の描き方の豊かさが特徴的なように感じている作者の新刊。こちらもこれまでの作品同様の温かさと新鮮さが感じられた短編集でした。すべてSF作品ではあるんですが、血の通ったSFというか、必ず人の感情が影響して物語が成り立っているので、目新しい設定でもすんなりと入り込めるように思います。
    他のだれもが読めない本を並べる書店にやがて読める人が訪れる奇蹟を描いた表題作で運命的な邂逅に心を躍らされる一方、「サボテンを抱く」では物理的な感覚と内からの感情に乱される哀れさをただ切なく受け止める。

    この本のお話では「外から来た居住者たち」が一番好きです。不可思

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    2025年10月17日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    とても興味深く読んだ。本書では、障害者が身体とテクノロジーを結び付けることを「サイボーグ(ないし障害者サイボーグ)」と呼ぶ。

    作者の一人キム・ウォニョンさんは弁護士にして俳優であり、骨形成不全症のため車椅子生活をしている。もう一人の作者キム・チョヨプさんはSF作家であり、後天的な聴覚障害者である。世代も障害も異なる二人の当事者が、客観的に、また時に主観的に、正常性の規範を押し付けられる障害者の在り方を綴る。それは韓国の障害者事情でありながら、普遍的なテーマである。

    本書からはいくつかの刺激的な論考がすくいとれる。
    どこまでが人間の身体なのか。一握りの富裕者しか使えないテクノロジーに意味はあ

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    2025年10月17日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    どんなに時代が進んでも、科学が発達した世界でも、人間の心の柔らかい部分は変わらずにあればいいなと思う。SFでこんなに優しい物語……

    「感情の物性」がおもしろかった。物性はいかにして人の心を捉えるのか。

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    2025年10月15日
  • この世界からは出ていくけれど

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    “わたしたちが光の速さで進めないなら”に続き、またも印象的なタイトルと表紙に惹かれて購入。
    初っ端から最後のライオニに涙腺を緩ませられました。他の短編もやっぱりどこか切ないものばかりでしたが、それだけではなくじんわりあたたかい優しさも持ち合わせた作品ばかりで、読んで良かったです。

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    2025年10月08日
  • この世界からは出ていくけれど

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    『私たちが光の速さで進めないなら』が良かったので期待してこちらも購入。文庫化たすかる。

    たとえ同じ人間という種族であっても違う個体であれば本当に理解し合えない部分というものは存在する。様々な理由からどうしたって一緒にはいられないけれど、あなたはかけがえのない存在で互いの芯の部分に触れ合えたような気がした瞬間や一緒に居れた時間をギュッと抱きしめて、あなたの幸福を祈りつつ私は自分の人生を生きていくよ、といったような寂しさを描くのが本当に上手だなと思う。
    好きだったお話は『ブレスシャドー』と『古の協約』。

    『ブレスシャドー』は全然馴染めなかった故郷と、そんな中でも仲良くしてくれた数少ない友人を思

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    2025年09月25日
  • この世界からは出ていくけれど

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    色んな意味での旅立ちや別れがそれぞれの短編で起きるので、どうしてもものさみしい気持ちになる。
    同じ場所で、あなたと変わらずこのままで、が叶わない世界。
    だけどそれは決して絶望的な別れではなく、互いのことを想いあった上でのままならない別れであったりもするから、読み終わったあとに残る感情は決してネガティブなものではない。

    不思議。
    別れの中でも死別が最も大きなものと私は捉えてしまうけれど、今なら「またね」と言える気がする。もう会えない、交わらない時間のことだけを想って絶望する私ではなくなったような感じがする。

    地球が舞台の短編の方が少ないくらい、あくまでもしっかりSFなんだけど、舞台がどこかな

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    2025年09月22日
  • 派遣者たち

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    ネタバレ

    他者との共生とそこで発生する問題についてしっかりと描かれていた。氾濫体に対する嫌悪感の描写が昨今の移民問題や過去の迫害の問題に繋がっていることがすごい。
    確かに個人という意識、国のアイデンティティ、そういうものにずっと囚われていては争いはいつまでたっても終わることがないよな
    人間という生き物をイゼフが象徴していると思う。自分や自分の守りたいものを守るため正義の名の下に他者を傷付ける。

    相変わらず翻訳がとても読みやすい

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    2025年08月05日
  • 惑星語書店

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    掌編集でどれも読みやすいし著者自身が序文で語っている通り、掌編だから思い切って細かい設定や背景の描写はすっ飛ばしてる潔さもあって読みやすい。
    過去作同様マイノリティへの優しい視線や普遍的な人生観を扱っているけれど掌編故にメッセージがむき出しで迫ってくるのも良い。
    デイジーとおかしな機械、惑星語書店、とらえられない風景、外から来た居住者たち、が特に好きだった。

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    2025年07月21日
  • 派遣者たち

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    面白かった。SFは苦手だと思ってたけど、恐い描写があるわけではなく、綺麗であたたかい世界の中でストーリーが流れていって、読んでて心地よかった。

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    2025年07月13日
  • 惑星語書店

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    掌篇集ということで、キム・チョヨプさん特有の抒情性は少し薄れるものの、あいかわらずのやわらかな筆致。ワンアイデアで広がる豊かなイマジネーションがすばらしい。
    絵画から着想を得たもの、特殊な五感を持つ人、20年ごとにバラードが流行る謎の調査、アナログへと回帰することで捉えられるもの。
    表題作の『惑星語書店』はふたりのこの先も見てみたくなるようなわくわく感があった。

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    2025年07月07日
  • 惑星語書店

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    『サボテンを抱く』
    皮膚が過敏になり、物質と接触するだけで激しい痛みを伴う障害を患った元建築家のパヒラと、お手伝いロボットの話。

    『#cyborg_positive』
    機械の眼を持つインフルエンサーリジーが、企業のプロモーションを受けるか迷う話。

    『メロン売りとバイオリン弾き』
    万引き常習犯の子供ふたりが出会ったメロン売りとバイオリン弾きの話。

    『デイジーとおかしな機械』
    同じ空間にいるふたりと音声を文字として表示する機械の話。

    『惑星語書店』
    脳内インプラントの言語変換機能を妨害することで、読む能力がなければ読めないようになっている本を売る書店の店員と、努力して惑星語を習得しようとし

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    2025年07月05日
  • 惑星語書店

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    読んだ。薄かったのでサクッと。全体的には「切ない」という言葉なのだが、「切ない」と言い切ってしまうまで「切ない」わけでもない。ふと胸に宿る寂寞のカケラに気が付かされるような。そのカケラに向き合って過ごすにはあまりに小さすぎるような。でもその存在に気がついたなら明日からの私達は同じではいられない。ケン・リュウの時のようなひりつく苦味と切なさでもなくて、地に足をつけた優しさを感じる。
    また、この著者は自らの世界観を広げて小説書くタイプだ。他の本も繋がっている。「派遣者たち」は読みたいし、他も手を広げたい。
    直接内容の感想ではない所だと、翻訳が日本人では無いということが新鮮。勿論相互の言語に堪能なの

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    2025年06月28日
  • 惑星語書店

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    短編なのでさくさく読める上に、どのお話もしっかりと心にあたたかいおみやげを残してくれる。収録作の『サボテンを抱く』と『惑星語書店』が特に良かった。「痛みを与えないことが愛なのか、はたまた痛みに耐えることが愛なのか」という言葉が印象的。

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    2025年06月20日
  • 惑星語書店

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    「サボテンを抱く」と、表題作「惑星語書店」がとてもよかった。

    特にサボテンを抱くは最初に収録されているお話なのもあって一気に心を掴まれてしまった。

    SFなのでそれぞれに世界観設定のようなものがちゃんとあるわけなのですが、説明的な文章が全然ないのにしっかりその世界に入っていけて、本当にすごい。頭の中がサボテンやらキノコやら謎の菌糸生物やら宇宙の黄色い絶景やらでいっぱいです。

    どうしてこんなに景色が浮かぶんだろう。掌編だけあって色んな世界を見れるので、惑星間旅行から帰ってきましたみたいな顔で本を閉じました。
    ひとつひとつのお話は短いのに、ひとつ終わるごとに色んな景色を頭の中で想像してなかな

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    2025年06月13日
  • 惑星語書店

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    表題作は電脳インプラントの普及した宇宙で、消滅寸前の弱小言語を媒介に心を通わせる話。ほのぼの。かと思えば植物に侵襲された地球でキノコを生やす人たちのブキミな話も。

    自分は宇宙人で、地球人の振りをして暮らしているものの味覚だけは真似ようがなく、食べ物がどうにも美味しくなかったから、研究を重ねて地球の素材で自分も美味しいと思えるものを作れるようになったというダイナーの店主が語る「外から来た居住者たち」が好きだったかな。もうちょっと読ませてくれーという絶妙なところで終わってしまうのが惜しいけど。

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    2025年06月11日
  • 地球の果ての温室で

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    ダストという毒物の蔓延時代を生き抜いた人々と、アマラとナオミの姉妹、レイチェルとジスの物語、そしてダストと謎の蔓草モスバナがたどる道。

    滅亡寸前の悲惨な時代から、ようやく復興した地球。あのとき世界を救った、二人と二人の真実とは…。

    コロナを彷彿させる描写ですが、私は最初なかなか読み進められなかった。第一章(100ページ)が終わってから段々と物語は加速しだすんだけどゆっくり語られていくような感じ。第二章のアマラとナオミの話が面白かった。第三章のレイチェルとジスの関係性には興味深かった。

    ダスト終息はテクノロジーと全人類的な協力による勝利と受け止められてきたけど、本当はそれだけではなかった。

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    2025年05月16日
  • 地球の果ての温室で

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    ダストという毒物の蔓延により、動植物が死に絶え、滅亡の危機に立たされた時代を生き抜いた幼い姉妹・アマラとナオミ、そして謎の女性・ジスとレイチェルの物語。
    過酷な状況の中、アマラとナオミが辿り着いたフリムビレッジでの生活は、束の間の平穏と、徐々に追い詰められていくことで破綻していく人間関係が上手く描かれていました。そんな中でも、“明日“を迎える希望を胸に、生き抜こうととする力強さがとても良かった。
    ジスとレイチェルは、キム・チョヨプさんが作品のテーマとしている、分かり合えないものだとしても共生したいという関係性を感じました。
    キム・チョヨプさんの、切なく物悲しい世界の中に、かすかな温かさを感じる

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    2025年04月04日
  • 地球の果ての温室で

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    SFストーリーで、人の温かさを感じられる一作
    読みやすく、理解しやすいが
    専門的な話もあり、未来のものも出てきておもしろい

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    2025年01月25日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    それぞれ車椅子、補聴器を使っている著者2人が、障害とテクノロジーについて書いている。
    「サイボーグ」が憧れ的に持つ機械と生体の融合に対して現実の器具と体の間に起こるコンフリクトや、健常と同じやり方で障害を克服すべきという社会的圧力への批判など。
    治療と増強の話おもしろかった。
    事故に遭ったあと夢の中の自分が車椅子に乗るようになった人の話を思い出す。
    書き口が冷静で誠実で素直で、自分の価値観を転換されながらも読んでいて心地よかった。

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    2025年01月12日
  • 地球の果ての温室で

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    SFのいいところを凝縮した、素晴らしい作品でした。著者のキム・チョヨプさんは、作家ともう一つ物理学者という側面も持っているので、作品の
    中にも化学用語とかがよく文章に投影されています。未来の世界を舞台に、ダストという毒物が蔓延された世界で、人々は外に出られない状況で、ドームシティーを創り出し密閉された世界で生きている。そんな蔓延された外の世界に、憧れを抱き、生きれる場所を探す姉妹がいた。
    森の奥にダストに対応できる環境があると、植物の持つ再生と破壊が鮮やかな目線で描かれています。

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    2024年12月21日