キムチョヨプのレビュー一覧

  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    韓国科学文学賞大賞作品を含むデビュー短篇集。7篇どれもわくわくしながら読んだ。短くてもしっかりSFでしっかりヒューマンドラマなのがスゴい。

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    2025年08月25日
  • 派遣者たち

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    ネタバレ

    他者との共生とそこで発生する問題についてしっかりと描かれていた。氾濫体に対する嫌悪感の描写が昨今の移民問題や過去の迫害の問題に繋がっていることがすごい。
    確かに個人という意識、国のアイデンティティ、そういうものにずっと囚われていては争いはいつまでたっても終わることがないよな
    人間という生き物をイゼフが象徴していると思う。自分や自分の守りたいものを守るため正義の名の下に他者を傷付ける。

    相変わらず翻訳がとても読みやすい

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    2025年08月05日
  • 惑星語書店

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    掌編集でどれも読みやすいし著者自身が序文で語っている通り、掌編だから思い切って細かい設定や背景の描写はすっ飛ばしてる潔さもあって読みやすい。
    過去作同様マイノリティへの優しい視線や普遍的な人生観を扱っているけれど掌編故にメッセージがむき出しで迫ってくるのも良い。
    デイジーとおかしな機械、惑星語書店、とらえられない風景、外から来た居住者たち、が特に好きだった。

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    2025年07月21日
  • 派遣者たち

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    面白かった。SFは苦手だと思ってたけど、恐い描写があるわけではなく、綺麗であたたかい世界の中でストーリーが流れていって、読んでて心地よかった。

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    2025年07月13日
  • 惑星語書店

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    掌篇集ということで、キム・チョヨプさん特有の抒情性は少し薄れるものの、あいかわらずのやわらかな筆致。ワンアイデアで広がる豊かなイマジネーションがすばらしい。
    絵画から着想を得たもの、特殊な五感を持つ人、20年ごとにバラードが流行る謎の調査、アナログへと回帰することで捉えられるもの。
    表題作の『惑星語書店』はふたりのこの先も見てみたくなるようなわくわく感があった。

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    2025年07月07日
  • 惑星語書店

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    『サボテンを抱く』
    皮膚が過敏になり、物質と接触するだけで激しい痛みを伴う障害を患った元建築家のパヒラと、お手伝いロボットの話。

    『#cyborg_positive』
    機械の眼を持つインフルエンサーリジーが、企業のプロモーションを受けるか迷う話。

    『メロン売りとバイオリン弾き』
    万引き常習犯の子供ふたりが出会ったメロン売りとバイオリン弾きの話。

    『デイジーとおかしな機械』
    同じ空間にいるふたりと音声を文字として表示する機械の話。

    『惑星語書店』
    脳内インプラントの言語変換機能を妨害することで、読む能力がなければ読めないようになっている本を売る書店の店員と、努力して惑星語を習得しようとし

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    2025年07月05日
  • 惑星語書店

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    読んだ。薄かったのでサクッと。全体的には「切ない」という言葉なのだが、「切ない」と言い切ってしまうまで「切ない」わけでもない。ふと胸に宿る寂寞のカケラに気が付かされるような。そのカケラに向き合って過ごすにはあまりに小さすぎるような。でもその存在に気がついたなら明日からの私達は同じではいられない。ケン・リュウの時のようなひりつく苦味と切なさでもなくて、地に足をつけた優しさを感じる。
    また、この著者は自らの世界観を広げて小説書くタイプだ。他の本も繋がっている。「派遣者たち」は読みたいし、他も手を広げたい。
    直接内容の感想ではない所だと、翻訳が日本人では無いということが新鮮。勿論相互の言語に堪能なの

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    2025年06月28日
  • 惑星語書店

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    短編なのでさくさく読める上に、どのお話もしっかりと心にあたたかいおみやげを残してくれる。収録作の『サボテンを抱く』と『惑星語書店』が特に良かった。「痛みを与えないことが愛なのか、はたまた痛みに耐えることが愛なのか」という言葉が印象的。

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    2025年06月20日
  • 惑星語書店

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    「サボテンを抱く」と、表題作「惑星語書店」がとてもよかった。

    特にサボテンを抱くは最初に収録されているお話なのもあって一気に心を掴まれてしまった。

    SFなのでそれぞれに世界観設定のようなものがちゃんとあるわけなのですが、説明的な文章が全然ないのにしっかりその世界に入っていけて、本当にすごい。頭の中がサボテンやらキノコやら謎の菌糸生物やら宇宙の黄色い絶景やらでいっぱいです。

    どうしてこんなに景色が浮かぶんだろう。掌編だけあって色んな世界を見れるので、惑星間旅行から帰ってきましたみたいな顔で本を閉じました。
    ひとつひとつのお話は短いのに、ひとつ終わるごとに色んな景色を頭の中で想像してなかな

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    2025年06月13日
  • 惑星語書店

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    表題作は電脳インプラントの普及した宇宙で、消滅寸前の弱小言語を媒介に心を通わせる話。ほのぼの。かと思えば植物に侵襲された地球でキノコを生やす人たちのブキミな話も。

    自分は宇宙人で、地球人の振りをして暮らしているものの味覚だけは真似ようがなく、食べ物がどうにも美味しくなかったから、研究を重ねて地球の素材で自分も美味しいと思えるものを作れるようになったというダイナーの店主が語る「外から来た居住者たち」が好きだったかな。もうちょっと読ませてくれーという絶妙なところで終わってしまうのが惜しいけど。

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    2025年06月11日
  • 地球の果ての温室で

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    ダストという毒物の蔓延時代を生き抜いた人々と、アマラとナオミの姉妹、レイチェルとジスの物語、そしてダストと謎の蔓草モスバナがたどる道。

    滅亡寸前の悲惨な時代から、ようやく復興した地球。あのとき世界を救った、二人と二人の真実とは…。

    コロナを彷彿させる描写ですが、私は最初なかなか読み進められなかった。第一章(100ページ)が終わってから段々と物語は加速しだすんだけどゆっくり語られていくような感じ。第二章のアマラとナオミの話が面白かった。第三章のレイチェルとジスの関係性には興味深かった。

    ダスト終息はテクノロジーと全人類的な協力による勝利と受け止められてきたけど、本当はそれだけではなかった。

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    2025年05月16日
  • 地球の果ての温室で

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    ダストという毒物の蔓延により、動植物が死に絶え、滅亡の危機に立たされた時代を生き抜いた幼い姉妹・アマラとナオミ、そして謎の女性・ジスとレイチェルの物語。
    過酷な状況の中、アマラとナオミが辿り着いたフリムビレッジでの生活は、束の間の平穏と、徐々に追い詰められていくことで破綻していく人間関係が上手く描かれていました。そんな中でも、“明日“を迎える希望を胸に、生き抜こうととする力強さがとても良かった。
    ジスとレイチェルは、キム・チョヨプさんが作品のテーマとしている、分かり合えないものだとしても共生したいという関係性を感じました。
    キム・チョヨプさんの、切なく物悲しい世界の中に、かすかな温かさを感じる

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    2025年04月04日
  • 地球の果ての温室で

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    SFストーリーで、人の温かさを感じられる一作
    読みやすく、理解しやすいが
    専門的な話もあり、未来のものも出てきておもしろい

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    2025年01月25日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    それぞれ車椅子、補聴器を使っている著者2人が、障害とテクノロジーについて書いている。
    「サイボーグ」が憧れ的に持つ機械と生体の融合に対して現実の器具と体の間に起こるコンフリクトや、健常と同じやり方で障害を克服すべきという社会的圧力への批判など。
    治療と増強の話おもしろかった。
    事故に遭ったあと夢の中の自分が車椅子に乗るようになった人の話を思い出す。
    書き口が冷静で誠実で素直で、自分の価値観を転換されながらも読んでいて心地よかった。

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    2025年01月12日
  • 地球の果ての温室で

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    SFのいいところを凝縮した、素晴らしい作品でした。著者のキム・チョヨプさんは、作家ともう一つ物理学者という側面も持っているので、作品の
    中にも化学用語とかがよく文章に投影されています。未来の世界を舞台に、ダストという毒物が蔓延された世界で、人々は外に出られない状況で、ドームシティーを創り出し密閉された世界で生きている。そんな蔓延された外の世界に、憧れを抱き、生きれる場所を探す姉妹がいた。
    森の奥にダストに対応できる環境があると、植物の持つ再生と破壊が鮮やかな目線で描かれています。

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    2024年12月21日
  • 地球の果ての温室で

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    ネタバレ

    これは、著者あとがきのことばで言うと、「とうてい愛せそうにない世界を前にしながらも、最後にはそれを建てなおそうと決心する人々」の存在を発掘していく物語だ。世界の中心を占める利己主義から逃れて生きることは困難だ。しかし、その外で生きようとする共同体も存在する。共同体では、連帯、利他主義が人々の間で大きく働いているものの、意外なことに、その根底では、片方によって調整された"女"同士の愛憎が存在し、また外からは敵が迫る。共同体は内外から必然的に崩壊していくが、「場所を移す」ことで世界は救われる。って感じかな。
    全体としておもしろいけれど、第三章で論証が長いところは退屈だった。

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    2024年11月22日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    障害当事者のアイデンティティとテクノロジーについて。自分にない視点で面白かった。特に技術楽観主義(いつか科学技術が障害を完全に根絶する)は現場の課題に向き合っていないうえ、実現する見込みもないという批判はもっともだと思った。

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    2024年07月21日
  • 地球の果ての温室で

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    この地球は植物のもの……人間その他の動物は植物に依存して生きている。

    SFしかもディストピア小説で、人類自らの過ちから地球上の生物滅亡の危機という設定にも関わらず、健気でひたむきな主人公たちのようすが、素直に心に響く。

    過去と現在を交互に描いているが、混乱もなくすんなり頭に入っていき、没頭してしまった。

    ただ……
    ほぼ、女性しか登場しない。なぜ?意図的?
    もう一つ、
    舞台はほぼ、韓国、マレーシア、エチオピア。
    これもなにか……。

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    2024年03月14日
  • 地球の果ての温室で

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    23/10/07 静かに朽ちてゆく、去ってゆくものと、それを抱えて生きていくことを、熱量最低限で書いてくれる作家。好み。

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    2023年10月07日
  • 地球の果ての温室で

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    とつぜん繁殖した雑草の秘密をめぐってほどかれてゆく世界の歴史と、そこに生きた女性たちの物語。
    どこか懐かしくて柔らかい、ロマンチックなSF物語。この世界はどうしようもなくても、もう立て直せないと思っても、それでも守る価値のあるものは存在する。世界がどんな形に変わろうともそれでも愛はそこにあるのだと、穏やかな文体が静かな力で描き出す。
    出てくるモチーフひとつひとつがとても魅力的で知的好奇心をくすぐられるのと同時に、儚くも美しい光景が頭の中に広がっていく。
    そして登場人物も。かつての機械整備士と植物学者がたどり着いた夢の果ては決して哀しいものではなかったのだと信じたい。

    前作が好きだったので今作

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    2023年05月17日