キムチョヨプのレビュー一覧
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ネタバレこれは、著者あとがきのことばで言うと、「とうてい愛せそうにない世界を前にしながらも、最後にはそれを建てなおそうと決心する人々」の存在を発掘していく物語だ。世界の中心を占める利己主義から逃れて生きることは困難だ。しかし、その外で生きようとする共同体も存在する。共同体では、連帯、利他主義が人々の間で大きく働いているものの、意外なことに、その根底では、片方によって調整された"女"同士の愛憎が存在し、また外からは敵が迫る。共同体は内外から必然的に崩壊していくが、「場所を移す」ことで世界は救われる。って感じかな。
全体としておもしろいけれど、第三章で論証が長いところは退屈だった。 -
Posted by ブクログ
とつぜん繁殖した雑草の秘密をめぐってほどかれてゆく世界の歴史と、そこに生きた女性たちの物語。
どこか懐かしくて柔らかい、ロマンチックなSF物語。この世界はどうしようもなくても、もう立て直せないと思っても、それでも守る価値のあるものは存在する。世界がどんな形に変わろうともそれでも愛はそこにあるのだと、穏やかな文体が静かな力で描き出す。
出てくるモチーフひとつひとつがとても魅力的で知的好奇心をくすぐられるのと同時に、儚くも美しい光景が頭の中に広がっていく。
そして登場人物も。かつての機械整備士と植物学者がたどり着いた夢の果ては決して哀しいものではなかったのだと信じたい。
前作が好きだったので今作 -
Posted by ブクログ
巷に繁茂し出した雑草の謎を追ううちに、ひとりの植物学者はかつて滅びかけた世界の真実と、その時代を潜り抜けた女性たちの半生を知っていく。
途方もない災厄の中で醜く争う人類たちと、その中でも親愛を失わず、未来への希望も捨てきれずに生きる人々をやわらかく繊細に描き出し、やがて一人の科学者と整備士の深い絆を思い知ることになる。複雑な事情の絡んだ彼女たちのあいだにあった真実が明かされる終盤は、抒情的で切なく、とても素敵でした。
そして世界の危機に瀕した人々が、生きることに汲々としてわだかまりもあった彼らが、実は共通の行動を起こして未来を作っていた。そんな、どこか理想的だけれど、こんな善性を信じてみた -
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デビュー作でもある前作の短編集から一気に大ファンになった作家さん。
待ちに待った新刊でウキウキしてあらすじを見るとどうやら今回は長編とのこと。
それもあってか前作よりも展開はゆったりとした流れ。
それでも中盤から終盤にかけて過去と現在が交差し運命が紐解かれていく様は圧巻だった。
終末という救いようのない世界を描きながら、まるで陽だまりの中に包まれるような安堵感を覚えるのは、やはり作者の優しい眼差し故なのかな。
前作から共通する、好奇心が揺さぶられるSF設定の楽しさと「あなたを知りたい」という人間的な願いの尊さが、引き続き素晴らしかった。
早くも次作が待ち遠しい。 -
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ネタバレ読書ノート
作品:『キャビン方程式』
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P116
「ローラ。あなたがいなくなったら、私はとても悲しいと思う。あなたを愛することは、私にとって幸せなことだから。でも、だからといって、自分らしくなることを諦めるわけにはいかないの。自分らしくあることは、人生をかけた冒険だから。」
感じたこと
この言葉が心に残ったのは、誰かを愛することと、自分自身でいることは両立できると感じたから。
大切な人がいると、相手のために自分を変えたり、我慢したりすることもある。でも本当の意味で相手を大切にするには、自分自身の人生も大切にする必要があるのかもしれない。
「自分らしくあることは、人生をかけた冒 -
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私は宇宙が怖い。もし放り出されたらどうしていいか分からない(当たり前)。上も下もない無重力空間で地球を見失ってしまったら、もう二度と戻れない。ただただ広い空間にひとり…怖すぎる。
地球外生命体がいる星に放り出されるのはもっと怖い。知識も経験も通用しない場所で赤ちゃんからやり直すようなものだ。その星の「当たり前」に順応できなければ即死……怖すぎる。
けれど得体のしれない怖さを感じる宇宙に、本作では温かさやノスタルジー、言葉にできない美しさを感じた。どれだけ願っても触れられないほど遠い場所に大切な人がいる。だからこそ生まれる物語があるんだなぁ。
なかでも私が好きなのは「スペクトラム」。
ヒジン -
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キム・チョヨプさんの読書エッセイ。
気軽に読み始めたら難解で哲学的。
キム・チョヨプさんの創作のルーツや、試行錯誤にも触れられていてSF世界の拡がりになるほどなるほどと思いながら読んでみたい本がどんどん増える。
ある分野で科学的で論理的な立場にある人も別分野においては差別的だったり非科学的な主張をしている、という指摘に、何故この人はこの分野ではこうなんだろうと疑問に思っていたことが腑に落ちた
キム・チョヨプさんのSF小説には切なさやノスタルジーを感じるけれど、彼女自身がテクノロジーの中での存在や普遍的な人間性を見続けていたい人なのかなと感じた -
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ネタバレ『サボテンを抱く』『惑星語書店』『外から来た居住者たち』が特に好き。
『サボテンを抱く』
胸が痛んだ。パピラの「もういない」という言葉がとても苦しいし寂しい。
『惑星語書店』惑星語って文字は、音韻はどんなのだろう。異国の地にて母国語で話しかけられたために心を開く人というのを動画でよく見かけるが、その時のまるで友人に再会した時のような嬉しそうな顔が頭をよぎった。
『外から来た居住者たち』おいしいと感じられない、という感覚の理由が地球外星人だからという設定が面白い。ダヒョンと店長が美味しさを分かち合えた瞬間をこうやって見せてもらえて嬉しい。