キムチョヨプのレビュー一覧

  • 地球の果ての温室で

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    巷に繁茂し出した雑草の謎を追ううちに、ひとりの植物学者はかつて滅びかけた世界の真実と、その時代を潜り抜けた女性たちの半生を知っていく。

    途方もない災厄の中で醜く争う人類たちと、その中でも親愛を失わず、未来への希望も捨てきれずに生きる人々をやわらかく繊細に描き出し、やがて一人の科学者と整備士の深い絆を思い知ることになる。複雑な事情の絡んだ彼女たちのあいだにあった真実が明かされる終盤は、抒情的で切なく、とても素敵でした。

    そして世界の危機に瀕した人々が、生きることに汲々としてわだかまりもあった彼らが、実は共通の行動を起こして未来を作っていた。そんな、どこか理想的だけれど、こんな善性を信じてみた

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    2023年05月08日
  • 地球の果ての温室で

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    やはり独特の情緒とやわらかさのあるSFを書かれる、好きな作家さんだなぁと感じる。今回は植物を通したシスターフッド年代記になっているのだが、とくにレイチェルとジスの言葉で定義できないような関係の描き方が、せつなくロマンティックで心に残った。

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    2023年04月05日
  • 地球の果ての温室で

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    デビュー作でもある前作の短編集から一気に大ファンになった作家さん。
    待ちに待った新刊でウキウキしてあらすじを見るとどうやら今回は長編とのこと。
    それもあってか前作よりも展開はゆったりとした流れ。
    それでも中盤から終盤にかけて過去と現在が交差し運命が紐解かれていく様は圧巻だった。
    終末という救いようのない世界を描きながら、まるで陽だまりの中に包まれるような安堵感を覚えるのは、やはり作者の優しい眼差し故なのかな。

    前作から共通する、好奇心が揺さぶられるSF設定の楽しさと「あなたを知りたい」という人間的な願いの尊さが、引き続き素晴らしかった。
    早くも次作が待ち遠しい。

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    2023年04月03日
  • 地球の果ての温室で

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    短編集「わたしたちが光の速さで進めないなら」が印象的だった、韓国の新鋭SF作家さんの長編作。品のある文体というか、静かで丁寧な文章は読んでてとても心地よい。途中それだけに短編集では感じなかった会話や描写が冗長に感じる場面もなくはなかったが、構成がしっかりしているので着実に読み進めることができた。ちょっとあの日本で有名なアニメの設定を連想させなくはないが、そこは気にせず読むのがよいでしょう。

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    2023年03月21日
  • この世界からは出ていくけれど

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    去る人と、それを見送る、見届ける人との物語
    また他者との感覚の違いについて深く考えさせられる話が多かった

    SFなので、認知感覚を補い、発展させる器官やデバイスが数多く出てくる
    けれどそうした事物を通じて主人公たちが物思う悩みの根底には、現代の我々にも充分通じるさびしさや愛情、希望がある
    キム・チョヨプの作品には、そうした「繋がりを求める人間への祈り」のようなものを感じる

    マリのダンス、認知空間が特に好きだった

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    2026年05月07日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    私は宇宙が怖い。もし放り出されたらどうしていいか分からない(当たり前)。上も下もない無重力空間で地球を見失ってしまったら、もう二度と戻れない。ただただ広い空間にひとり…怖すぎる。
    地球外生命体がいる星に放り出されるのはもっと怖い。知識も経験も通用しない場所で赤ちゃんからやり直すようなものだ。その星の「当たり前」に順応できなければ即死……怖すぎる。

    けれど得体のしれない怖さを感じる宇宙に、本作では温かさやノスタルジー、言葉にできない美しさを感じた。どれだけ願っても触れられないほど遠い場所に大切な人がいる。だからこそ生まれる物語があるんだなぁ。

    なかでも私が好きなのは「スペクトラム」。
    ヒジン

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    2026年04月29日
  • 惑星語書店

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    ネタバレ

    SF掌編集。掌編ならではの突飛さが良かったです。いきなり始まっていきなり終わる。「サボテンを抱く」「惑星語書店」「願いコレクター」「とらえられない風景」が好きでした。とくに惑星語書店がお気に入りかも、知らない言語を会得してまで本を読みたいと思うのはすばらしい異文化コミュニケーション。心が躍った。
    後半パート「ほかの生き方もあることを」は、同じ設定なんですね。宇宙からやってきた外来種に侵されつつある地球。いっそ異生物に侵食された方が生きられるんじゃないかと思っても、決断するのは簡単じゃないだろうな。

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    2026年04月26日
  • 本と偶然

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    キム・チョヨプさんの読書エッセイ。
    気軽に読み始めたら難解で哲学的。
    キム・チョヨプさんの創作のルーツや、試行錯誤にも触れられていてSF世界の拡がりになるほどなるほどと思いながら読んでみたい本がどんどん増える。
    ある分野で科学的で論理的な立場にある人も別分野においては差別的だったり非科学的な主張をしている、という指摘に、何故この人はこの分野ではこうなんだろうと疑問に思っていたことが腑に落ちた
    キム・チョヨプさんのSF小説には切なさやノスタルジーを感じるけれど、彼女自身がテクノロジーの中での存在や普遍的な人間性を見続けていたい人なのかなと感じた

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    2026年04月18日
  • 惑星語書店

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    ネタバレ

    『サボテンを抱く』『惑星語書店』『外から来た居住者たち』が特に好き。

    『サボテンを抱く』
    胸が痛んだ。パピラの「もういない」という言葉がとても苦しいし寂しい。

    『惑星語書店』惑星語って文字は、音韻はどんなのだろう。異国の地にて母国語で話しかけられたために心を開く人というのを動画でよく見かけるが、その時のまるで友人に再会した時のような嬉しそうな顔が頭をよぎった。

    『外から来た居住者たち』おいしいと感じられない、という感覚の理由が地球外星人だからという設定が面白い。ダヒョンと店長が美味しさを分かち合えた瞬間をこうやって見せてもらえて嬉しい。

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    2026年04月12日
  • 惑星語書店

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    「私たちが光の速さで進めないなら」で話題のキムチョヨプの短編集。不思議な話。SFと呼ばれる類いの本を読んだのは久しぶりだなぁ。やっぱり翻訳文学特有の読みにくさはあった。でも薄いから1日で読み終えた。「派遣者たち」も楽しみ!

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    2026年04月12日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    なんだか懐かしい感じさえするのはなぜ?大好きな70年代日本SFの匂いがするからかなー。全体的に静かなトーンが好き。

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    2026年04月11日
  • 惑星語書店

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    よくわからない話も多かったけど、
    「メロン売りとバイオリン弾き」
    「惑星語書店」
    「切ないラブソングはそれぐらいに」
    「みんなのココ」
    「外から来た居住者たち」
    がよかった。

    装丁がとてもオシャレ。

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    2026年03月28日
  • この世界からは出ていくけれど

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    ネタバレ

    韓国SFの新星、というよりも代表格と言って差し支えないぐらいの貫禄が出てきたキム・チョヨプ氏の本邦第二短編集。
    一読しての印象は、第一短編集「わたしたちが光の速さで歩めないなら」と同様の、淡々としながらもしっかりとそこにある切なさ、それを乗り越えようとするほんの少しの勇気です。本短編集は、タイトルでも端的に表現されている通り、”この世界”に対するちょっとした疎外感と、そこから抜け出そうとする女性たちの姿を描いている作品が収められています。

    この、「女性性と社会との関係性」というテーマに触れて、鴨がふと想起したのは、ジェイムズ・ティプトリー・Jr。本名アリス・シェルドンという、聡明で社会的にも

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    2026年03月25日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    ネタバレ

    SFの中では読みやすく、フェミニズムな要素もあり、韓国文学って感じだった。けどやっぱりSFは得意じゃないなぁ。完全なる好みの問題。

    巡礼者たちはなぜ帰らない
    成年の儀式にまつわる謎について。
    話は分かったけど、別にわざわざ周りに迷惑かけて一人で先に旅立つ必要なくない…?みんなと一緒に行ったらダメなの…?と思ってしまった。情緒のなさ。

    スペクトラム
    言葉の通じない見えている世界も違う地球外知的生命体との交流の話。生命体に情が芽生えていく過程がすてきだった。

    共生仮説
    ニューロンパターンの解析により被験者が考えていることを解析する研究が進んでいる世界。大人やペットなどでは解析の精度が上がって

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    2026年03月09日
  • 惑星語書店

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    2026 03/06
    掌編小説。初めての韓国文学。『沼地の少年』『汚染区域』『最果ての向こうに』が好み。地球外植物に汚染されていく地球。人類なんて儚くて頼りない存在だな、としみじみ思う。植物の逞しさにはとうてい敵わない。なすすべもなく滅んでしまうのだろうか。
    『みんなのココ』は一見無害そうに見える地球外植物ココに人類が魅了される。全人類が愛してやまない伴侶種ココ。静かな侵略って感じで恐い。

    物悲しさと切なさに彩られた世界観に入り込みました。ノスタルジックな気持ちが湧き上がってくる話もあり、軽やかな文章とSFがとても相性が良いと思いました。
    この著者の他の作品も読んでみたくなりました。

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    2026年03月06日
  • 惑星語書店

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    地球外生物に侵されつつある地球が舞台。切なさもありながら、ふんわりと優しいSFショートショート。
    1話ずつが短いから最初のあたりはあまり入り込めなかったけど、終盤には世界観に没入できた。

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    2026年03月04日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    宇宙の話もあれば、今の人間の生活の延長線上の話もある読みやすいSF短編集だった。

    テクノロジーが進歩しても幸せへの距離は縮まらず、相変わらず人間は同じような悩みや葛藤を抱えてる。

    この物語はフィクションだけど、きっと現実もこうなるんだろうな。

    著者のデビューのきっかけになった『館内紛失』という一編が、未来を生きる母娘の確執の物語で、SFなんだけど情緒的で、でも結末は感傷的になり過ぎず締め括られていて美しかった。

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    2026年02月20日
  • 本と偶然

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    チョヨプさんのSFが好きなので、いつもどんなふうに物語を書いているのか、どういう過程で書くことになったのか、などを知れて面白かった。
    ただ難しい言葉が続いたりして読むのが大変な部分もあった。

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    2026年02月10日
  • この世界からは出ていくけれど

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    続いて韓国SFを。カバーがかわいい。どれも読みやすく、心の機微が繊細に描かれていたのが良かった!色んなテイストのSFがあるんですね。

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    2026年02月04日
  • 本と偶然

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    彼女が、どうして小説家になったのか。そしてどのように小説を書きつづけているか。色んな本との出会いにより自分自身に気づき、書くことを選ぶ姿が眩しい。SFというジャンルの中でも新鮮な手触りの彼女の作品の所以が垣間見えた。

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    2026年01月14日