キムチョヨプのレビュー一覧

  • 派遣者たち

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    今年のK-BOOKフェスティバルで行われたファンミーティングでは、この小説の結末が賛否両論を呼び起こすかもしれない、と編集者らには言われていた。なぜだろうか。読んでみれば、キム・チョヨプは"平常運転"しかしていない。他者との共存をテーマにしている点で、キム・チョヨプが追究しているテーマの範疇にあると言える。彼女の作品はSFミステリーというよりはSF倫理学だ。SFの想像力をもって、宇宙から飛来し、人類の歴史を超えた他者を作り出す。それとの共存さえ模索すべきであることを示唆するので、極めて倫理的なのである。

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    2024年12月27日
  • 地球の果ての温室で

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    面白かった!続きが気になって一気に読んでしまった。
    「この世界からは出ていくけれど」ではSF短編集といっても強いメッセージングの方がメインなのかな?と思っていたが、SFとしての設定やストーリーも好きだったので、今回の長編もSFとしてすごく面白く読めた。

    他の国の訳書と違って、韓国語は日本語と文法が似ているからかすごく読みやすい。

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    2024年10月27日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    衝撃を受けました。
    どれだけ自分視点で物事を見ているのか気付かされました。
    そして、出逢えて本当に良かったと思わせてくれる一冊でした。

    障害は欠如なのか?はたまたアイデンティティなのか?

    「欠如」という言葉に抵抗をおぼえる人は多いと思うが、障がいを矯正や治療で治すという考え方自体、「欠如」だと捉えている事に他ならないのではないか。

    非障がい者は障害を根絶する事又は目立たなくする事に重きを置くが、当事者は本当にそれを必要としているのか。

    現在の技術で障害者の不自由を一切取り除く事は不可能である。それを理解した上で、多方向からのアプローチが必要なのだと思う。

    本書で取り上げられた事例の多くは、障害自体に問題があるのではなく、非障がい者の偏見や決めつけが新たな障害を生んでいるという事、当事者の声が届いていないという事が大きな問題であると感じた。

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    2024年10月24日
  • 地球の果ての温室で

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ面白い小説だった……!!!
    翻訳小説は独特の文体があると思うのだけど、韓国語は文法が似ているからかこの作品ではその感じもおぼえず、本当に読みやすい文体でするする読めた。

    するする読み進めたのはもちろん内容がめちゃくちゃよかったのもあって、SFって謎が解けたり時空を超えて何かが繋がったときに自分の脳内で小爆発が起きて面白さが加速する瞬間が好きなんだけど、そういう瞬間を1回だけでなく味わえた作品だった。

    植物がキーとなるディストピアの舞台も魅力的だったけど、個人的に魅力的だったのはキャラクターの描き方で、アヨンの周りの人間関係もよかったし、後半核心に迫って描かれたジスとレイチェルが本当に……切なくて切なくて……胸がずっとギュッと掴まれてた……。
    時系列や視点が入れ替わりながら進むのであとからじわじわあの人は……あの二人は……と想わされることも多かった気がする。

    大人と子供の描き方も魅力的でよかった、ナオミ視点は児童書を読んでるみたいなワクワク感があったなあ。
    ナオミとジス、アヨンとヒス(ジス)の交流の場面好きでした。
    あとアマラとナオミがいっとき緩い連帯を持っていた女性たちもよかった。

    絶望だらけで、人間がいかに脆いかを描きながらも希望の欠片を積み重ねて前向きな終わり方をしているのが素晴らしかった。勇気とか努力とか忍耐をもって希望の欠片を積み重ねているのが素晴らしかった……。

    でもやっぱり一番はジスとレイチェルのことがしばらく心に残りそうだ〜。。。

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    2024年06月10日
  • 地球の果ての温室で

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    SF特有のマッチョな感じがなく、その時代、その環境にサラリと飛び込めるような文章や登場人物の設定が好き。SFらしくなく、しかしSFじゃないと書き得ない物語。描かれているものは普遍の苦さや焦がれる想い。

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    2024年05月27日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    障害当事者の2人が語る話はとても読み応えのあるもので、今まで気付いていなかった様々なことに気付かせてくれた。「完全」って何だろう、「欠如」って何だろう、どの目線で考えればいいんだろう。まあ、深いとても深い作品だった。

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    2023年08月14日
  • 地球の果ての温室で

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    ダストフォールという地球規模での災害が発生した後の世界。ドームに逃げ込むことができた人と、耐性を持っていた人が生き残って、世界を再建した。ダストの時期に、地球を覆っていた植物、モスバナが、今頃になって再発生したことから始まった調査だが、主人公アヨンの思い出につながる点があり詳しく調べていく中で、ダスト時代の人々の行動が明らかになっていく。
    序文で作者本人が書いているのだが、この本の執筆時期がCOVID-19が最も深刻だった時期に重なっていたとのこと。小説の中のダストフォールが、現実のパンデミックと重なる部分もある。
    とても面白かった。おすすめです。

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    2023年06月14日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    障害に対する社会的スティグマのせいで、わたしたちは「充分に障害者になる」ことをためらった。

    健常者が、作り出した「こうだろう」という枠にハマりたくないという抗い。ありのままの自分として「障害者になる」ことをしたいのに、できない。

    わたしたち健常者は、知らずに障害者の「ありのままで、在りたい」という真っ当な望みを阻害しているのか。

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    2023年02月18日
  • サイボーグになる テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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    伊藤亜紗さんが絶賛するTweetから検索してみると「世界が注目するSF作家キム・チョヨプと作家・弁護士・パフォーマーでもあるキム・ウォニョン」の共著とあり、おふたりそれぞれ「障害当事者」であるとの紹介文にも興味をそそられ読み始めた本書。
    2019年韓国の週刊誌連載(加筆修正したもの)と対談、日本語版の序文や参考文献もふんだんにあって読み応えのある一冊。

    「わたしたちは他人の生はそれぞれ極めて固有なものであるという事実を、知っているのにすぐ忘れてしまう。」

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    2023年01月20日
  • この世界からは出ていくけれど

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    ・まず、タイトルが良いな、と思った。
    ・読んでみてまず思い浮かんだのは、日本の少女漫画、SF漫画、昭和の時代から現代まで連なるその系譜に、もしかしたらここにも繋がっているのかも、と想像したりした。
    ・著者の方がどれくらいそこから影響受けたのか、または全く影響を受けていないのかは分からないけれど、その事をちょっと想像してみると楽しい。それらの名作達と並べてもおかしくないような詩情、親愛とちょっとした寂しさの感覚がここにはあった。
    ・早川から文庫で出ている短編集はもう一冊あって、こちらは二作目。なんとなくこちらの方から手に取ってしまったけれど、もう一冊もこれから読むのが楽しみ。

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    2026年10月31日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    SF作品は初めて。やはり宇宙や科学の話が難しくて細かい部分は分からないけれど、だからこそ想像できない発想で面白い展開や感情を揺さぶる部分もあり満足。

    SF初心者だったので短編で色んな話を読めたのも良かった。次は長編にしよう。

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    2026年10月28日
  • 地球の果ての温室で

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    合理的に考えれば答えは出ているのに、気持ちがついていかない。そんな経験のある人に、読んでみてほしい一冊です。

    有毒なダストによる災厄から復興した地球。植物学者のアヨンが、謎の蔓草モスバナと青い光の噂を追ううちに、過酷な時代を生きた女性たちの記憶が浮かび上がってきます。

    正直、序盤は物語を追えても、なかなか心が動きませんでした。ところが、ジスの記憶を辿り、それまでの出来事に秘められた思いが見えてくると、終盤は一気読みでした。植物の謎を追っていたはずが、いつの間にか、人の心から目を離せなくなっていました。

    人間は、なぜこうも合理的になれないのだろう。忘れたほうが楽な記憶を抱え、思いどおりにならない相手を大切にし、誰かのために行動する。その姿が切なくて、愛おしい。

    生き延びることだけでは満たされない、生きる理由が人にはあるのかもしれません。誰かと過ごした時間や、手放せない思いが、その人を支えることも、苦しめることもある。

    読み始めには遠かった世界が、最後には、とても身近に感じられました。人の割り切れなさに悩んだことがある人と、感想を交わしたくなる物語です。

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    2026年10月27日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    特に表題作とスペクトラムが好きだった。繊細で優しく宙にきらめいているような文章とストーリーで、少し切なくなるとともに現代の鬱屈した社会のことから少し離れて人の感情とは何なのか想いを馳せることができた。SFジャンルにあまり触れてこなかったけどこれは素敵だなあ。

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    2026年10月18日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    2冊続けてSF小説

    スペクトラムも良かったがベストは表題作

    解説でも丸ごと引用されていたが、わたしたちが光の速さで進めないなら…

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    2026年10月13日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    とてもよかった。痺れるタイプじゃなくて、じんわりって感じの良さ。寂しさもあり、温かさもあり、孤独感もあり、愛おしさもあり、、って感じで色んな感情の要素があった。『スペクトラム』『共生伝説』が特に好きで、『感情の物性』『わたしたちが光の速さで進めないなら』もよかった。
    苦手なタイプのSFだったけどすらすらと読めた。

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    2026年10月06日
  • この世界からは出ていくけれど

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    「わたしたちが光の速さで進めないなら」が好きで
    「地球の果ての温室で」に続き読んでみた。

    7つの短編

    以前より結構、科学的な文章が多く、理解が追いつかなかったけど、宇宙だったり異世界だったりする中で、寂しさと優しさを同時に持ち合わせている雰囲気。

    自分とは別のものをもった側とのわかりあえない孤独と悲しみ
    それらを感じて切なくなってしまうけど、どこか希望を感じて、余韻に浸れる物語集だった。

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    2026年09月27日
  • この世界からは出ていくけれど

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    キムチョヨプさんの本は2冊目。1冊目も良かったけど、美しさ、無垢、純心という言葉が当てはまる短編集。

    この世界観が本当に好きで、一話目から涙しながら読む。悲しいとか嬉しいとかではなく、美しい世界観に泣けるという初めての体験。

    本屋さんでどうしても手にしたくて、探しに探してやっと出会えた。読むのが遅くなったけど、やっぱりキムチョヨプさんの本にハズレなしと確信できた。

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    2026年09月18日
  • 派遣者たち

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    “自我”とは何か

    我々は我々の方法でしか物事を理解することができない。
    テリンを取り囲む粘液質の集合体が言う。
    「意識こそ主観の感覚が生む幻想にほかならない」

    物語を読んで最初に浮かんだのが「風の谷のナウシカ」の“腐界”の物語(アニメではなく原作漫画の方) 受け入れることの難しさがこのお話同様に語られていた。
    たしかに、生まれてからずいぶんと長い時間を経てやっと折り合いをつけた“自分”と“この世界”
    それを捨て去るのはとても勇気がいる。

    「大事なのはね、自分が自分だけで成り立っているって幻想を捨てること。そしたら、可能性は無限だよ」

    死ぬまでわからないだろうなぁ。

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    2026年09月10日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    どの作品も面白かったがやはり表題作のわたしたちが光の速さで進めないならと館内紛失が印象的だった。著者あとがきも穏やかで良い。どこか優しく文学的なSF作品は心に染みたし、理解の断片を追い求めていくという素敵なフレーズは忘れることはないだろう。

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    2026年08月31日
  • わたしたちが光の速さで進めないなら

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    少し切ないのに綺麗で静かな物語
    現代的な問題を宇宙も含めて考えると確かにそうなるのかもしれない…と思った 忘れ去られた土地、忘れ去られた惑星 そこに確かに人はいるんだもんな
    男性の書くSFって無機質で機械的な印象があるんだけど、このSFは作者が女性だからか人間らしさや暖かさを感じて不思議だった。
    著者の他の本も読みます

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    2026年09月30日