キムチョヨプのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
衝撃を受けました。
どれだけ自分視点で物事を見ているのか気付かされました。
そして、出逢えて本当に良かったと思わせてくれる一冊でした。
障害は欠如なのか?はたまたアイデンティティなのか?
「欠如」という言葉に抵抗をおぼえる人は多いと思うが、障がいを矯正や治療で治すという考え方自体、「欠如」だと捉えている事に他ならないのではないか。
非障がい者は障害を根絶する事又は目立たなくする事に重きを置くが、当事者は本当にそれを必要としているのか。
現在の技術で障害者の不自由を一切取り除く事は不可能である。それを理解した上で、多方向からのアプローチが必要なのだと思う。
本書で取り上げられた事例の多くは、障害自体に問題があるのではなく、非障がい者の偏見や決めつけが新たな障害を生んでいるという事、当事者の声が届いていないという事が大きな問題であると感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ面白い小説だった……!!!
翻訳小説は独特の文体があると思うのだけど、韓国語は文法が似ているからかこの作品ではその感じもおぼえず、本当に読みやすい文体でするする読めた。
するする読み進めたのはもちろん内容がめちゃくちゃよかったのもあって、SFって謎が解けたり時空を超えて何かが繋がったときに自分の脳内で小爆発が起きて面白さが加速する瞬間が好きなんだけど、そういう瞬間を1回だけでなく味わえた作品だった。
植物がキーとなるディストピアの舞台も魅力的だったけど、個人的に魅力的だったのはキャラクターの描き方で、アヨンの周りの人間関係もよかったし、後半核心に迫って描かれたジスとレイチェルが本当に……切なくて切なくて……胸がずっとギュッと掴まれてた……。
時系列や視点が入れ替わりながら進むのであとからじわじわあの人は……あの二人は……と想わされることも多かった気がする。
大人と子供の描き方も魅力的でよかった、ナオミ視点は児童書を読んでるみたいなワクワク感があったなあ。
ナオミとジス、アヨンとヒス(ジス)の交流の場面好きでした。
あとアマラとナオミがいっとき緩い連帯を持っていた女性たちもよかった。
絶望だらけで、人間がいかに脆いかを描きながらも希望の欠片を積み重ねて前向きな終わり方をしているのが素晴らしかった。勇気とか努力とか忍耐をもって希望の欠片を積み重ねているのが素晴らしかった……。
でもやっぱり一番はジスとレイチェルのことがしばらく心に残りそうだ〜。。。 -
Posted by ブクログ
ダストフォールという地球規模での災害が発生した後の世界。ドームに逃げ込むことができた人と、耐性を持っていた人が生き残って、世界を再建した。ダストの時期に、地球を覆っていた植物、モスバナが、今頃になって再発生したことから始まった調査だが、主人公アヨンの思い出につながる点があり詳しく調べていく中で、ダスト時代の人々の行動が明らかになっていく。
序文で作者本人が書いているのだが、この本の執筆時期がCOVID-19が最も深刻だった時期に重なっていたとのこと。小説の中のダストフォールが、現実のパンデミックと重なる部分もある。
とても面白かった。おすすめです。 -
Posted by ブクログ
・まず、タイトルが良いな、と思った。
・読んでみてまず思い浮かんだのは、日本の少女漫画、SF漫画、昭和の時代から現代まで連なるその系譜に、もしかしたらここにも繋がっているのかも、と想像したりした。
・著者の方がどれくらいそこから影響受けたのか、または全く影響を受けていないのかは分からないけれど、その事をちょっと想像してみると楽しい。それらの名作達と並べてもおかしくないような詩情、親愛とちょっとした寂しさの感覚がここにはあった。
・早川から文庫で出ている短編集はもう一冊あって、こちらは二作目。なんとなくこちらの方から手に取ってしまったけれど、もう一冊もこれから読むのが楽しみ。 -
Posted by ブクログ
合理的に考えれば答えは出ているのに、気持ちがついていかない。そんな経験のある人に、読んでみてほしい一冊です。
有毒なダストによる災厄から復興した地球。植物学者のアヨンが、謎の蔓草モスバナと青い光の噂を追ううちに、過酷な時代を生きた女性たちの記憶が浮かび上がってきます。
正直、序盤は物語を追えても、なかなか心が動きませんでした。ところが、ジスの記憶を辿り、それまでの出来事に秘められた思いが見えてくると、終盤は一気読みでした。植物の謎を追っていたはずが、いつの間にか、人の心から目を離せなくなっていました。
人間は、なぜこうも合理的になれないのだろう。忘れたほうが楽な記憶を抱え、思いどおりにならない相手を大切にし、誰かのために行動する。その姿が切なくて、愛おしい。
生き延びることだけでは満たされない、生きる理由が人にはあるのかもしれません。誰かと過ごした時間や、手放せない思いが、その人を支えることも、苦しめることもある。
読み始めには遠かった世界が、最後には、とても身近に感じられました。人の割り切れなさに悩んだことがある人と、感想を交わしたくなる物語です。 -
Posted by ブクログ
“自我”とは何か
我々は我々の方法でしか物事を理解することができない。
テリンを取り囲む粘液質の集合体が言う。
「意識こそ主観の感覚が生む幻想にほかならない」
物語を読んで最初に浮かんだのが「風の谷のナウシカ」の“腐界”の物語(アニメではなく原作漫画の方) 受け入れることの難しさがこのお話同様に語られていた。
たしかに、生まれてからずいぶんと長い時間を経てやっと折り合いをつけた“自分”と“この世界”
それを捨て去るのはとても勇気がいる。
「大事なのはね、自分が自分だけで成り立っているって幻想を捨てること。そしたら、可能性は無限だよ」
死ぬまでわからないだろうなぁ。