西村由美のレビュー一覧
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オランダ児童文学
日本では2005年岩波少年文庫で出版されましたが、現地では1962年初版
2004年にオランダの児童文学賞「石筆賞」が50周年を迎え、過去50年の石筆賞受賞作の中から「石筆賞の中の石筆賞」が選ばれました。数々の受賞作品を抑えて堂々選ばれたのが1963年のトンケ・ドラフト "De brief voor de koning" だったそうです。
この度翻訳の運びとなったきっかけはこの「石筆賞の中の石筆賞」受賞ともいえますが、直接の経緯は訳者のオランダの友人が、役者にこの作品を勧めたからということです。(あとがきより)
恥ずかしながらオランダの地名・歴史に乏しいため、的外れな部分もあるかと思いますが、ご容赦ください
〈あらすじ〉
舞台は中世風の架空の国、ダホナウト王国。主人公ティウリは父の勇者ティウリのような立派な騎士になることを夢見て、騎士叙任式に臨むべく最後の修行を仲間とともに礼拝堂で行っていた。そこへある一人の見知らぬ老人がやってきて助けを求められる。ティウリは悩んだあげく、規則を破って礼拝堂を抜け、老人の言葉に従って森の中で白い盾の黒い騎士と出会う。瀕死の騎士から重要な使命を任されると、ティウリは隣国ウナーヴェン王国へと旅立った
過去50年の受賞作の中から選ばれただけあって秀逸の一品
指輪物語やゲド戦記などと比べると、一部の描写がやや簡略しているようにも思えるが、
それを上回る、むしろ長すぎない丁度よい分量が読みやすさの一因であり、
決して短くない分量が読後の達成感も味あわせてくれる。
読みどころは魅力ある登場人物たちと、飽きさせないストーリー展開にある。
ティウリは、父勇者ティウリの息子なだけあって正義感に溢れ誠実な若者で、まさに主人公にふさわしい。けれども彼はまだ経験浅い騎士見習いであり、その技量はまだまだ未熟である。当然幾たびの困難が彼の前に立ちはだかるわけだが、彼はそれを知恵と機転を働かせ、彼の誠実さに魅かれる友人たちの助けによって乗り越えていく。特別な力が与えられているわけでもなく、天才でもない、「騎士見習い」ということを除けば、現代にも通じる等身大の若者である。それが舞台が中世であろうと架空の国であろうとリアリティーを感じさせ、読者の好感を勝ち取るこの作品の魅力ではないだろうか。
また旅の途中で出会うティウリの生涯の友人ピアックは、山で育った明るく純粋な心の持ち主で、たった一人で重要な使命を帯びたティウリの心の支えとなる。ティウリに手紙を渡したエトヴェネム騎士は、物語の中ではむしろあっけない最期を遂げるが、彼の友人たちによる語りから、エトヴェネム騎士という一人の人物とその生涯が浮かび上がる。もちろん彼の友人たちリストリディン騎士やベンドゥー騎士も個性ある魅力的な人物だ。
隣国の王へ手紙を届ける、とう一見シンプルなプロットは、作者の綿密で広大な世界観によって困難と危険に満ちた手に汗握る冒険物語へと姿を変える。各文庫の冒頭に記載された、森や町だけでなく道や川まで詳細に書き込まれた地図を見れば、この物語がどれだけ繊細に織り込まれているかが一目瞭然であり、未読の読者はこれから繰り広げられる冒険に胸躍らされることだろう。誰にも言ってはならないティウリの背負った密命が、ティウリだけでなく読者を疑心暗鬼にさせ、旅を一層困難なものにし、物語の魅力に花を添える。
文庫ではなく、単行本での出版を強く望む一品である。 -
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女の子 ソフィーの夢。
クリスマスには、きらきらした 心が躍るような そんな時間を…。
雪が降る町、どの 家も 明るく楽しげな時間を過ごしているような時、女の子の家はとても静かでお父さんは仕事に大忙し。
翌日、クリスマスの朝、北欧の夜明け前のまだ暗い朝。
外なら、素敵なことに出会えるかもしれない☆+*
そんな期待を持って、ソフィーはひとり家を抜け出し、不思議で特別な時間を体験することになる。
北欧のまだ暗い朝、不安を煽る白い雪が激しく降って、その後特別な時間が始まって、少しずつ白が光の役割になって、ソフィーの心が、色と反映してる状態から、一転して対照的な状態になったところが、とても面白く感じました。
クリスマス近くに、また手に取りたいと思いました。 -
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わたしにはとても面白かったが、子どもウケするかというと、なんとも…。
子供にはちょっと肩透かしの印象になりそう。
冒険ではなく、冒険に辿り着くまでを冒険にした物語。
やや不思議な小学校についてもあんまり説明はない。
日本でいえば、フリースクールみたいなものか。
あのトンケ氏がこんな不思議なガイド役の女性になって、物語に登場しているということが、私には大きなことだった。
主人公とパパのことも、一応は好転してホッとしたけど、日本社会から見ればこれってけっこう酷い状況なのは変わりないし、モヤモヤしないとは言えない。
それでも、こういう小さなものを積み重ねる物語が私は好きだし、物語は良いものだと信じる人たちが作った本である、と読んでいる間に始終感じていられたのは心地よいと思えた。 -
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しずくさんのレビューからこの絵本を知りました。クリスマスに間に合いましたっ!!しずくさん、ありがとうございます。
この絵本はソフィーという少女が主人公です。舞台は冬の北欧、明日がクリスマス!なのに、大好きなパパは忙しくて…ソフィーは自分のための素敵なことが外にあるかもしれないとコートを着て出かけます。そこで出会ったのは、優しい目をしたヘラジカと動物たち、そして湖のほとりにひとりぼっちでたたずむ小さなモミの木…。
とっても自然豊かな北欧のクリスマス、雪、氷、星、オーロラが丁寧に描かれています。そしてソフィーが、また可愛い!!ソフィーの小さな冒険っ!思いやりと優しさを感じさせてくれるストーリー展開には、ほっこりさせられます♡
クリスマスにぴったりな絵本で大満足です!毎年、この時期読めるといいなっ(*´∀`*) -
Posted by ブクログ
5歳孫娘にクリスマスプレゼントする絵本を探す。
以前は恐竜大好きだったのに、最近はすっかりプリキュアに入れ込んでしまった孫娘。久しぶりに会った彼女は髪も長く伸ばし当世風の女の子、いわゆる可愛い女の子に変身しつつありました。ばぁばとしては嬉しさの反面残念な気持ちもあり複雑な心境。
静謐な雪の世界が描かれた絵本。明日はクリスマスなのにパパは仕事で大いそがし。単身世帯なのだろう、ひとりぼっちのソフィーはすてきなことを探しにでかけると、吹雪の中でやさしいヘラジカに出会い、大きな森へたどりつく。ソフィーは、青く凍った湖のほとりにぽつんと立つ小さなもみの木を見つけます。かざりも光もなく一人ぼっちで立っているもみの樹を見て、ソフィ―は閃いた。もみの木にとびっきりの贈り物をあげよう。森の動物たちに呼びかけてそれぞれが見つけたたからものでもみの木を飾りつけた。光る木の枝や赤や青い実、落ちている鳥の羽、光り輝くつららなど。もみの木は見違えるようにきれいになってきらきら輝き始めたのだけれど、ソフィーはしょんぼり。すると枝の間からカサカサ音がして現れたのは・・・・
最後のページには、天にオーロラがめらめらと燃えるように伸びていて、まるで火山の爆発のよう。そして左端に飾り付けられたもみの木が小さく光り輝くように描かれていました。
最後のページに合点できる不思議な納得感を覚えました。この絵本は孫娘より私のような大人にしみじみと響く。自分のために買おうと決めました。 -
Posted by ブクログ
2024年読書感想文課題図書 高学年
このお話は、実話を元に作られています。
1978年、作家を夢見る19歳のリンデルトは、有名な児童文学作家だったトンケの家を訪ねます。
トンケは児童養護施設で過ごしたことがあり、また、教育に困難を伴う子どものための学校に通った経験がありました。
また、1982年にパスポートそっくりの本が社会問題となって、法務省が本の回収に乗り出したとき、二人は実におもしろい対応をしたのです。
さあ、現実と空想とユーモアが入り混じる本の世界へ行ってみてください。
普通の異世界へ行くお話とは一線を画す設定がよかった。あとは、このお話のもとになった実話のエピソードがすごく楽しかった。トンケ・ドラフトの本は読んだことがないので、読んでみたい。