あらすじ
騎士になるための最後の試練の夜に,思いがけず重大な使命を与えられた少年ティウリは,隣国へと旅立つ.謎めいた隠者,陰険なスパイ……手に汗にぎる,オランダの人気冒険小説.
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Posted by ブクログ
◯本の構成の話
ティウリがお世話になった人に挨拶しに行く話が丁寧に描かれていた。物語のエンディングにあたる、お世話になった人への挨拶は、ダイジェストのように短くカットされていることは多いから、その部分が詳細に物語られる様子が新鮮に思えた。
◯かっこいい大人
ティウリを導いた大人(ウーベェン王、ナトリウス、ダナホウト王)たちは、若者(ティウリ、ピアック)たちに、耳を傾けるができる。若者に自分で考えることを伝える。その決定に、責任を持つこと持たないことどちらも大切だとを教えるため、若者が決定がひと段落しその後に生じる発見に気づくまで待つ。人の成長を待つことができる人ってかっこいいなぁと思った。
◯ティウリの感想
ティウリが騎士になるための儀式と、「人を助ける」という本質的な騎士道を天秤にかけて後者を選んだ。ほかの人には助けを呼ぶ声が聞こえなかったし(?)、ティウリは「余人を持って変えがたいこと」ができる人だった。
だが目的を達成してから自分が唯一の任務でないことを知る。これや他の要因で、ティウリは旅の誇りを失ってしまう。だが、彼はその感情を自分で再解釈し、お世話になった人との触れ合いにより、葛藤から抜出していく。
ダナホウト王国へ帰還したティウリの態度から、人間的な器量の大きさ、今後も成長していく未来像を見た。
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王道の少年冒険小説。王道を侮るなかれ。
旅の目的は、隣国の王へ秘密裏に手紙を届けること。
道中、手紙を届けさせまいと邪魔をする敵や、旅の目的を話せない主人公を訝しむ人に足止めされつつも、一つ一つクリアして、仲間や道具を手に入れながら目的地を目指す。
極々シンプルなストーリー展開だけど、道中の危機をどう乗り越えるのか、無事に手紙を届けられるのか、ハラハラドキドキしながら読み進めた。
一つの難題を超えると、信頼出来る仲間が増えていくのも飽きさせない。騎士や隠者、街の人々に王、魅力的な人が多くいる。特に騎士はかっこいい…
語り口はいま流行りの児童書に比べれば、単調で堅苦しく感じるかもしれないけど、そのシンプルさが物語の展開を際立たせているように思う。
なので、絶対映像化作品も面白いんだろうな、と思いつつ、この語りでの良さとは別物なんだろうなという気がしている。
同著『白い盾の少年騎士』でティウリとピアックの旅はまだ続くようなので、そちらも読みたい。
Posted by ブクログ
上巻はティウリが一人で頑張っている様子に胸が痛くなりもしましたが、下巻はピアックの存在が緊張感をやややわらげてくれた気がします。
ティウリが無事使命を果たせたときは心からホッとし、あとは安心して楽しく読めました。
読み応えはありますが、細かく分かれているので少しずつでも読み進められると思います。
高学年以上の男女問わず、勧めたいです。
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今まで読まなかったのが惜しい位の児童文学。日本で刊行されたのが割と最近というのが信じられない位の名作です。
自分が子供の頃に読めたら尚良かったのに。今どきのライトノベルが逆立ちしても太刀打ち出来ない、良質の児童文学です。もっと子供たちに読まれたらいいなあ。
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ただただ面白く純粋に先を読みたい一心で読み進めました。
ティウリとピアックのなんとも微笑ましい友情とともに冒険の後半が描かれ、生きていく事の厳しさと正しい心を持つ事の大切さを教えてくれた物語だと思いました。
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『王への手紙』の下巻。
上下合わせると800ページ近い作品ですが、読み進めていくうちに、ページをめくる速度が上がってしまうような、力のある作品です。
続編の『白い盾の少年騎士』がすごく気になる終わり方をしています。
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P.73 下巻
「ぼくを信じて、助けてください。助けてもらえないと、ほんとにたいへんなんです!」
えーーー。もっと根性ある方がいいよ!若いんだし、怖いもんなしな感じでいっちゃえよ!
なんて思いつつも、誰にも明かせない極秘の任務。しかも突如降りかかってきた初任務。そしてツテもない他国への旅路。なにやら命の危機もある。16才。
ティウリはよくやった!もうちょっと根性を見せてくれなんて思ったわたしは不届者だ。
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王への手紙を携えたティウリは、山で暮らす少年ピアックと共にウナーヴェン国王の元へ急ぐ。馬で移動中に敵の気配を感じるシーンは緊張感があり手に汗握る展開だったが、街の入り口で乞食に変装した敵と対峙するシーンは現実味がなくあっけなく感じた。
下巻の中盤で目的を達成し、残りは帰路を描くというストーリーも斬新。
しかし児童文学だけあって優しく温かい読後感だった。
Posted by ブクログ
上巻から引き続き。
主人公ティウリと、旅の仲間となった山の少年ピアックの冒険が、豊かな情景描写やテンポの良いリズムで描かれた作品です。
ストーリーの展開としてはファンタジーの王道として、安心して楽しむことができますし、1962年の作品ではあるものの決して「古い」という感じもないと思います。
エンディングがややご都合主義的な部分があるようにも感じましたが、少年文庫の古典作品としての魅力を損なうものではありませんでした。
「騎士」としての使命をどのように果たしてゆくのか、他者から(形式的に)認められるかどうかが問題なのではなく、自分が何を大切に生きるかということが最も重要なのだ、というメッセージがしっかりと伝わってきます。
小説として楽しみながら、自身の生き方についても考えさせられる、”課題図書”として出すにも適した本だと感じました。
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オランダの女性作家による名作、下巻。
何より読後感が爽やか。色彩と景色が目に浮かぶよう。登場人物たちはややステロタイプだけども、いささかも作品の魅力を減じていないと思う。レリーフみたいにシンプルに輪郭がくっきりして美しい。
ちなみに挿絵も著者によるもの!!!
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見習い騎士ティウリの負った任務は、二つの国の未来を左右する重大なものだった。執念深いスパイやなぞの騎士たちに命をねらわれながら、苦難の末に隣国の王のもとへたどり着いた少年の旅を、テンポよく描く。手に汗握る冒険小説。
Posted by ブクログ
ティウリの冒険は終わりを迎える。
宿敵スルーポルとの対決は案外あっさりと決着が着いた。ティウリが勇気を示すことで、事態が好転していくのが気持ちいい。仲間となったピアックも魅力的なキャラクターだ。ようやく会えたウナーヴェン王もよいが、その道化ティリロが印象的。ダナホウト国へ戻ってから王に騎士に叙すことはできないと言われた時の衝撃。しかし大切なのは、自分が選んで人を助けたこと、誰かに叙されることがなくてもそれでもう騎士だということ。ダナホウト王の真意が明かされるのと、別れたピアックが戻ってきて、堂々のハッピーエンディング。これは気持ちの良い物語だ。長年人気なのもわかる。
Posted by ブクログ
上巻から一ヶ月経っての下巻…カタカナの名前たちを忘れてしまい…なかなか読み進められなくなった(目次あたりに登場人物紹介とかあればなぁ)。又、“ピンチに陥る→なんとなく敵と思われた人がティウリの状況を察してくれる→助けてくれる→先に進む”みたいな流れがよめてしまう。でも、物語の終わり方はおもしろかったかな。。