蝉谷めぐ実のレビュー一覧
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『群書類従』も塙保己一も
ただ名前だけは知っていたけれど
その偉業を知ったのは、これがはじめて!
この物語の保己一は
当時多くの盲人が職とした
鍼の技術が上手くならない人だった。
そのかわり、人の声や身動きの音
雰囲気から感じ取る力や
書物の内容を覚える力がすごかった。
貪欲な知識欲を埋めるのに
目の見えない彼は「耳」に頼らざるを得ず
そうするとどうしたって
他者の介在を必要としなくてはならない。
でも、対人関係はうまくないんだよなぁ。
2番目の奥さんが、唯一といっていいほど
保己一の特性をわかってたような気がする。
国文学の研究でもしないかぎり
今後も実際に『群書類従』を手に取ることは
ないと思うのですが(^◇^;)
後世の人間にとっては
よくやってくれた!って感謝しかないね。 -
Posted by ブクログ
大変評判の良い作品だが、私にはあまり合わなかった。鬼が誰に化けているのかというミステリ的な仕掛けに加え、芝居の世界に生きる登場人物たちが皆どこか「人に非ず」の生き方をしている点に、本作の魅力があるのだろう。人間と化け物の境界を曖昧にしながら、人の執着や欲望を描こうとする試みは興味深い。が、私にはこの流れと結末がやや予定調和に感じられ、意外性に乏しかった。また、登場人物の造形があえて曖昧に描かれていることも、作品への没入を妨げる要因となった。解説でも触れられているように、幻想と現実が緩やかに溶け合う作風を好む、森見登美彦作品の愛読者には響く作品かもしれない。
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気の狂った贔屓に足を切られ舞台に立てなくなった元人気女形魚之助が、ひょんなことから知り合いになった鳥屋の藤九郎と共に、芝居小屋に現れた鬼探しをすることに。
その鬼は本読みの最中に演者の誰かを喰らい、その演者になり替わっているという。
誰よりも人気が出たい。
誰よりも上手くなりたい。
芸のためなら人を陥れることも、殺めることもいとわない。
そんな鬼よりも恐ろしい心玉を持った役者たち。
本当に鬼がいたんだろうか?
そんな疑念が浮かびつつ読み進む。
やっぱり鬼はいたんだな。
でも、その鬼は悲しい。
鬼よりも人間のほうが恐ろしいのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、「陰陽師(夢枕獏著)」の基軸に、夢枕先生をはじめとするさまざまな作家の短編がまとまったトリビュート小説集。
過去作もありつつも、話や時系列が整っていて、初めて「陰陽師」の世界を読む人でも入りやすい内容になっている。
各作家の作品が、平安時代を飛び出したり、メインの晴明や博雅が出つつも、第三者の視点であったり、出なかったりと、意外な新鮮さがあって面白かった。
5作家・6作品の中では「遠輪廻(武川佑著)」が印象的かつ好きな内容だった。
「陰陽師」の世界の時間軸より時を経た舞台であるにもかかわらず、「陰陽師」の世界としっかり結びついており、作品内の美しい儚い描写に読み入ってしまうものがあった。
歌や桜で結びつく縁というところも良いし、鬼を退治することを目的としない対峙の仕方も興味深かった。