蝉谷めぐ実のレビュー一覧
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歌舞伎の女形を生業とする男性に嫁いだ、武家の娘。
実生活も、女性であろうとし、演じる役柄に取り憑かれたかのように振る舞う夫・燕弥。
そうしてまでも、女形を極めようとしていたのに。
どうにここうにも妻・志乃に惚れ始めていく。あの蛙と蛇を逃した夜から。
それはそれで、ほほえましい恋愛小説のようで楽しかった。
大切な人を支える女性たち。自分の性格にそぐわない支え方は続かない。自分に合った距離と、支え方ができたらいいと思う。
物語自体は面白かったがこの時代において、女性の自由がなさすぎることにひっかかりを感じたまま読んでいた。江戸時代に生まれなくてよかった。
あと、ところてんにあたる、ってどういうことだろう?それで死んでしまうものなのか? -
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大変評判の良い作品だが、私にはあまり合わなかった。鬼が誰に化けているのかというミステリ的な仕掛けに加え、芝居の世界に生きる登場人物たちが皆どこか「人に非ず」の生き方をしている点に、本作の魅力があるのだろう。人間と化け物の境界を曖昧にしながら、人の執着や欲望を描こうとする試みは興味深い。が、私にはこの流れと結末がやや予定調和に感じられ、意外性に乏しかった。また、登場人物の造形があえて曖昧に描かれていることも、作品への没入を妨げる要因となった。解説でも触れられているように、幻想と現実が緩やかに溶け合う作風を好む、森見登美彦作品の愛読者には響く作品かもしれない。
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気の狂った贔屓に足を切られ舞台に立てなくなった元人気女形魚之助が、ひょんなことから知り合いになった鳥屋の藤九郎と共に、芝居小屋に現れた鬼探しをすることに。
その鬼は本読みの最中に演者の誰かを喰らい、その演者になり替わっているという。
誰よりも人気が出たい。
誰よりも上手くなりたい。
芸のためなら人を陥れることも、殺めることもいとわない。
そんな鬼よりも恐ろしい心玉を持った役者たち。
本当に鬼がいたんだろうか?
そんな疑念が浮かびつつ読み進む。
やっぱり鬼はいたんだな。
でも、その鬼は悲しい。
鬼よりも人間のほうが恐ろしいのかもしれない。 -
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タイトルの通り、「陰陽師(夢枕獏著)」の基軸に、夢枕先生をはじめとするさまざまな作家の短編がまとまったトリビュート小説集。
過去作もありつつも、話や時系列が整っていて、初めて「陰陽師」の世界を読む人でも入りやすい内容になっている。
各作家の作品が、平安時代を飛び出したり、メインの晴明や博雅が出つつも、第三者の視点であったり、出なかったりと、意外な新鮮さがあって面白かった。
5作家・6作品の中では「遠輪廻(武川佑著)」が印象的かつ好きな内容だった。
「陰陽師」の世界の時間軸より時を経た舞台であるにもかかわらず、「陰陽師」の世界としっかり結びついており、作品内の美しい儚い描写に読み入ってしまうものがあった。
歌や桜で結びつく縁というところも良いし、鬼を退治することを目的としない対峙の仕方も興味深かった。