【感想・ネタバレ】万両役者の扇のレビュー

あらすじ

江戸森田座気鋭の役者・今村扇五郎にお熱のお春が、女房の座を狙って近づいたのは……。芸を追求してやまない扇五郎に魅せられた面々の、狂ってゆく人生の歯車。ある日、若手役者の他殺体があがり、ついには扇五郎本人も――「芸のため」ならどこまでの所業が許されるのか。芝居の虚実を濃密に描き切ったエンタメ時代小説。

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Posted by ブクログ

お初の蝉谷めぐ美。江戸の芝居小屋を舞台にした、何とミステリーだ。ひねりの効いた展開に惹きつけられること間違いなし。
ある登場人物がしゃべったり動いたりするというのが小説の普通の順序だが、この作中ではいきなりしゃべったり動いたりする。誰がしたのかはその後に明かされる。
読者はその「誰」を気にかけながら読む。ハラハラ感に繰り返しおそわれるという技巧だ。初めての表現法である。
賢い人だ。

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2025年05月15日

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うわ すごい本に出会ってしまった
役に魂を絡めとられてしまった扇五郎とその周囲の者達の狂気を描く
己の役をつきつめるやりかたに、気色悪くも感動すらおぼえる

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2024年12月09日

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まるで歌うような文章力には驚く!舞台役者の舞台に対する執念には感心する。主人公の死に直面した時も舞台役者としてカッコよく取り繕うとはビックリ!

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2024年06月08日

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森田座の人気役者扇五郎の魅力に取り憑かれた人々を主人公にした6つの連作短編集。
胸焼けを感じてしまうほど濃厚。

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2024年12月09日

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化け物シリーズがあんな感じなので今度は人が死なない話かな?と思ったら違ったよ!
芝居に、衣装に、鬘に、それぞれ取り憑かれた人たちの連作短編集。
カバー裏の犬饅頭かわいい。

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2024年07月26日

Posted by ブクログ

著者の既刊は全部読んでいて、化け物心中のコンビが一番好きなことに代わりはない。が、今回は研ぎ澄まされた連作短編で、完成度が一番高いような気がした。

おんなの女房や、他の方の作品だが、木挽町のあだ討ちも合わせて読むと、どんどん芝居小屋やその小ネタに詳しくなれる。

作品数が増えるにつれ、これが著者の世界だというものは確立したが、ずっと同じままというわけにもいかないだろうから、これからがさらに楽しみ。
現代の作品も書いたらどんな感じなんだろう。

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2024年07月15日

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江戸の芝居小屋、人気役者に狂わされた人々… 天才と狂人の狭間に映し出されたものとは #万両役者の扇

■あらすじ
江戸の森田座、今村扇五郎は街中で大人気の役者であった。彼は芸のためなら人の道を外れても追求をやまない。そんな彼に魅了されてしまった人々は、次第に人生を狂わされてゆく。さらに人が亡くなってしまうような事件が発生してしまい…

■きっと読みたくなるレビュー
江戸時代、歌舞伎の芝居小屋。当時は街中を賑わせたエンタメの世界を背景に、人気役者である扇五郎を中心に関係する人々を描いたもの時代小説。中盤以降に思いもよらない事件に発展し、ミステリー要素もある作品となっています。

まずは臨場感ですよね、まるで江戸時代の芝居小屋にタイムスリップしてしまったようです。まるで映画やTVの時代劇と同じ、いやもっと綿密に感じられる。街の賑わいや活気、人間が生活している様子が伝わってくるんですよね。筆力がエグイっす。

本作は連作短編集になっています。扇五郎が中心となりながらも、各話ごとにメインとなる登場人物が変わりながらストーリーが綴られていきます。読めば読むほど扇五郎の天才ぶり、いや役者馬鹿っぷりが赤裸々になってくる。

扇五郎の妻、入れ込んでしまうファン、芝居小屋で売り子をしている饅頭屋、木戸芸者、衣装屋、鬘職人、ライバルの役者。そして芝居のためだったら命を懸けられる役者扇五郎と関わるがゆえ、人生が少しずつ狂わされてゆく…

どんなに華やかな世界でも、自身の活力につながる程度の関わり合いであればいいのですが、ここまで入れ込んでしまうと怖い。現代の推し活、推し狂いにも通じるものがあって、震えが止まらなくなります。ただ、ひとりひとりの扇五郎に対する気持ちだけは、静かに心に刺さってくるんですよね…

たしかに彼の行動は「粋」であるかもしれない。しかし同じ人間として、男として、社会に貢献する職人として、彼から学びたいとは思わない。たしかにモテる男で惚れる対象ではあるかもしれない、でも目指す対象ではないんですよね。

しかし終盤、役者としての壮絶な生き様を見せつけられるのですが… これは確かに惚れる。結局、すっかりと世界観と扇五郎に引き込まれてしまったのでした。

■ぜっさん推しポイント
本書とは全く関係ないですが、芝居の世界に足を踏み入れた知り合いを思い出しました。華やかな世界ながらも、辛く厳しいこともいっぱいあるだろうと想像できる。

きっと彼女ならどんな困難でも立ち向かっていくと思うし、きっと幸せな人生を送っているに違いない。思い切り芸を突き詰めて、好きなことを思う存分やって、めいっぱい自分を楽しんで欲しい。

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2024年07月07日

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江戸森田座で売り出し中の役者、今村扇五郎を中心に据えた連作長篇。
役者とは、その芸のためならなにをしても許されるのか──。饅頭屋が、衣装屋が、鬘屋が、彼に関わったことで変わっていく。
最初はぎょっとして、なにか仕掛けがあるのではと疑ったが、そんなものはなかった。まさに狂気と紙一重の所業が積み重ねられていく。無責任に煽り立てる観客がうざい。その行き着く果てには、自らを主役にした究極の大芝居が控えていた。
一話完結である短篇の面白さに加え、長篇としての整合性も併せ持った見事な作品だった。

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2024年06月01日

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江戸の歌舞伎創成期。人気歌舞伎者の舞台裏から始まる物語は、人に潜む妬みや恨みによって殺害事件へと発展し、下手人を暴いていく筋へと展開する。だが最後には、人気役者が名を残す芝居をもって物語は締めくくられる。
人気の陰に潜む人間関係を巧みに描きながら、歌舞伎役者は最後まで「歌舞伎魂」を守り抜こうと舞台に立つ。己の過ちによって死に至ってもなお、芝居を貫くその生き様は圧巻である。
上方言葉や江戸訛りを交え、当時の華やかな雰囲気を余すところなく描いた作品であるが、やや読みづらさを覚える部分もある。しかし、職人気質を貫き、誇りを持って日々精進する江戸の職人の姿勢には強く心を打たれる。現代の転職時代とは、まさに天と地の差といえるだろう。
「肝の底の底、腑のひだの間まで芝居が詰まっていやがるんだ。どこを突いても、どこをめくっても、芝居浸しで芝居色さ」

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2025年09月16日

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江戸森田座気鋭の役者・今村扇五郎にお熱のお春が、女房の座を狙って近づいたのは……。芸を追求してやまない扇五郎に魅せられた面々の、狂ってゆく人生の歯車。ある日、若手役者の他殺体があがり、ついには扇五郎本人も――「芸のため」ならどこまでの所業が許されるのか。芝居の虚実を濃密に描き切ったエンタメ時代小説。
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時代小説に慣れてないので分からない単語
が多くて調べながらなかなか進まなかったけど
扇五郎と犬に翻弄される人たちが
面白かったり心配になったり
当時の芸能の世界のことも知れてうなずけた。
最初の扇五郎にお熱になるお春を
推しと自分に置き換えて読んでみて
何やってんだろと笑ってしまったけども
役者の夫のためにそんなことまでしないと
いけないのなら、私は諦めますw

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2024年12月22日

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ネタバレ

【収録作品】
一春 役者女房の紅
一茂 犬饅頭
一辰 凡凡衣裳
一狛 狛犬芸者
一柳 鬘比べ
一栄 女房役者の板

演じることに取り憑かれた役者の狂気が周囲の人々の視点で描かれる。彼の妻の執着、彼の贔屓たちの狂気と移り気も気持ちが悪い。
我に返って距離を取った人たちの真っ当さにほっとする。ただ、扇五郎にそこまでの魅力を感じなかったので、周囲の熱狂ぶりに今ひとつついていけなかった。

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2024年12月18日

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現代の推し概念に通じるような、人を狂わす芝居に行きた人の話。短編のようでいて、繋がっていて、いろんな側面があって面白かった。知らない歌舞伎の世界を垣間見れた気分になる

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2024年11月30日

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山風賞受賞作ってことで。前に読んだ”化け物~”がそれほど好きでもなかった記憶があり、本作もどうしようかと思ったんだけど、同受賞作はやっぱり読んでおこう、と。結果、やっぱりそこまで好きじゃないんだよな~。つまらなくはないんだけど、時代背景とか舞台とか、その辺の趣味の問題ですわな。

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2024年11月22日

Posted by ブクログ

芝居に魅入られ、身も心も芸に打ち込む狂気を描く連作短編集

文章の隅々まで、芝居が息づいている

連作として通読すると、時代小説ザ•ベスト他で短編として拝読していた時とはまた違う迫力ある

(残酷描写あり 苦手、弱い方は気を付けてください)

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2024年09月06日

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