おんなの女房

おんなの女房

小説・文芸
858円 (税込)

4pt

ときは文政、ところは江戸。武家の娘・志乃は、歌舞伎を知らないままに役者のもとへ嫁ぐ。夫となった喜多村燕弥は、江戸三座のひとつ、森田座で評判の女形。家でも女としてふるまう、女よりも美しい燕弥を前に、志乃は尻を落ち着ける場所がわからない。
私はなぜこの人に求められたのか――。
芝居にすべてを注ぐ燕弥の隣で、志乃はわが身の、そして燕弥との生き方に思いをめぐらす。
女房とは、女とは、己とはいったい何なのか。
いびつな夫婦の、唯一無二の恋物語が幕を開ける。
第10回野村胡堂文学賞、第44回吉川英治文学新人賞、二冠の作品がついに文庫化!
カバーイラスト/おかざき真里

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

おんなの女房 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    風変わりな夫婦のラブストーリー。なんだかホッコリした。

    歌舞伎の女形喜多村燕也。妻となる志乃。縁談が来て、祝言はあげず顔も見ぬまま木挽町の夫の家に移り住んで2月。夫はいつも女の姿でいる。それはともかく演じる役になりかわって人格が変わる。紅が合わないと言われ買いに走る。

    時姫役の舞台の中に、志乃のしぐさや振舞いが書き入れられていて、観察されていたのだと知る。武家の娘だからあの人に買われたのだ。武家の娘でいていいらしい。

    女が家にいる。不義密通を疑われて志乃は芝居小屋に連れて行かれる。初野寿太郎と名乗る男の前に連れて行かれたが知らない。悪かったわね、あんたじゃなかったと言われてもね。

    松虫を購入する。燕也の芝居相手の仁左次がやってきて、志乃にあいつをこれ以上男にしないでやってくれという。その話をしたら、できてるね、と言われた。

    志乃は父と会う。父は離縁せよという。だが燕也は舞台で倒れた。病だという。燕也は役者をやめて商売でもしようと。

    0
    2026年08月28日

    Posted by ブクログ

    1年半ほど前に著者のデビュー作『化け者心中』を読んだ時は、新人とは思えない密度の文章に率直に凄いと感じたものの、盛りだくさんのテーマと練られすぎた構成がちょっと物語を窮屈にした印象があったのと、自分自身の好みの問題もあって、個人的にはそこまで高い評価にはしていなかった。

    本作は前作に引き続き歌舞伎を扱っているが、主人公が歌舞伎役者だった前作とは異なって、歌舞伎のことを何も知らない女形役者の妻を主人公に据えており、歌舞伎に関しては客観的な視点で語られている。その世界に疎い自分のような読者にとってはニュートラルな書きっぷりがありがたかった。

    本作は役作りのために日常から女として過ごす夫と、その妻である主人公がひとりの女性として自身の存在意義を模索する物語であるが、特殊な世界で生きる者たちの苦悩と覚悟がリズミカルな筆致で描かれており、読んでいて二人の関係性がとても愛おしく感じられた。
    他の役者の妻たちもキャラクターが立っていて面白いし、終盤に歌舞伎の演目に引っかけて物語が展開するあたりもうまい。幕引の締め方も文句なし。
    ミステリの要素を排したことで筋立てがシンプルになり、リーダビリティの向上とともに読者への訴求力が高まったように思う。

    本作は読もうか読むまいか迷ったのだけど、読んで正解だった。今回は自信をもって書こう、傑作です。

    0
    2025年08月31日

    Posted by ブクログ

    いやぁ、このねっとりした情愛の雰囲気、ヒリツク手を繋ぎながら隣を牽制する女同士の関係性、そう、蛇のような感覚、私結構好物でございます。

    男の彼を求め、女の彼を求め、ぐっちゃぐちゃになりそうなところをうまく落とし込んでこられてるな、と。その代わりこっちの情緒は結構ぐっちゃぐちゃに乱されますけどね笑

    芝居が絡むものってなんでこんなにドロッとするんでしょう。

    あと、男がライバル、何気に1番キツい。と思った。

    2025.5.10
    93

    0
    2025年05月10日

    Posted by ブクログ

    好きっ…!前作より好きかもしれない…!女よりも女らしい、女形の妻になった武家の娘。ところどころ女ではなく旦那に変わるところがっ…

    0
    2025年04月25日

    Posted by ブクログ

    蝉谷さんはアンソロジーで読んだことのある作家。独特な言い回しのなかで、ぐっと物語の中に呼び込む力のある文章を書かれる。

    0
    2026年08月17日

    Posted by ブクログ

    志乃視点で女形の苦悩や女形の女房の苦悩を見る物語と思ったら、女形の女房を取り巻くあれやこれやをまるで舞台で繰り広げられているかのように観ていた。
    登場人物が各章のテーマとなる演目を語る時、グッと引き込まれていく。面白い。江戸も面白い。
    ラストにビックリしつつ、序盤でフラグたってたなぁと納得。

    0
    2025年09月11日

    Posted by ブクログ

     本作は、野村胡堂文学賞、吉川英治文学新人賞を受賞している。受賞からわかるとおり、時代小説となっている。

     時代は江戸で、町人文化が栄えている頃だ。主人公の志乃は下級武士の娘で、売り出し中の歌舞伎役者の喜多村燕弥の妻となる。この燕弥は女形で、平素から女装して「おんな」になりきっている。だから「おんなの女房」である。

     しかも、お金をはたいてまで武家の娘を妻にしたのには訳があった。この燕弥は役者バカである。その容姿も踊りも芝居のうまさも、中の上くらいであろうか。そして、芝居の役にのめり込むというか憑依する役者である。セリフのないただ尻もちをつく役のため、通りに糸を張って通行人が転ぶのを観察すような人物である。志乃を妻にしたのも、武家の姫を演ずるため、その所作を観察して役作りに活かすためなのだ。

     「女形の女房」と「喜多村燕弥という男の女房」の間で揺れ動く志乃。そして他の二人の役者の女房たちとの交流。それぞれが面白い。女性向けの作品だろうか。

     なお、当時の白粉には鉛が含まれており、これが中毒を引き起こした。

    0
    2025年05月11日

    Posted by ブクログ

    おかざき真里の表紙に惹かれて購入。

    相手のことも芝居のこともよく知らないまま女形の役者に嫁いだ武家の娘・志乃。
    武家の娘として躾けられ育てられた志乃は親の言いつけを守り、夫に従い、夫のために行動しようとする。夫・燕弥の食事が終わるまで側で控えて一緒には食べようとしないし、夫の不可思議な行動について疑問を持っても夫にそれを聞いたりしない。志乃の夫というのは女形で家でも女の格好で過ごしており夫婦生活はもちろんない。「私はなんのためにこの家にいるのだろうか。自分の価値は一体どこにある」と志乃は不安に思う。しかし夫には聞かない。ただ黙って夫のためを思って行動し、失敗して怒られたりする。行動の部分だけ見てると最初はイライラしたが、その裏には妻として良くありたいという想いがあり、懸命に考え行動する姿が健気で可愛く思えてくる。

    次第に燕弥と惹かれ合うも志乃の悩みは尽きない。夫・燕弥の女房でありたい、女形の女房でありたいという二つの気持ちに揺れ動く。彼女の周りの癖の強い役者女房や森田座の役者たち、賑やかな江戸の芝居町の人々、各話に絡む芝居演目とそれに登場する燕弥が演じるお姫様たちが鮮やかに展開を彩る。

    幕引まで読み終え、本の最初に戻って呼込を読み直して余韻に浸る。

    0
    2025年04月26日

    Posted by ブクログ

    アンソロジーで読んだ短編がすごく好きだった蝉谷めぐ実さん。
    文庫新刊が出ていたので手に取ってみた。

    歌舞伎のことは何ひとつ知らないまま、父に命じられ、「森田座」で人気急上昇中の若女形・喜多村燕弥のもとへ嫁いだ武家の娘・志乃が自身の在り方を模索する物語。

    志乃が嫁いだ喜多村燕弥。
    常に女子の格好で過ごし、演じる役に浸かってしまう。
    女形としては素晴らしく格好いいと思うけれど、一緒に暮らすとなると、確かに大変そう。
    志乃を娶った理由にも仰天。

    志乃が出会う、同じ役者の女房であるお富、お才。
    「夫婦の形は千種万様。手の添え方だって変わってくる。(p.260)」
    というのは、もうまさにその通り。
    それぞれ違う形で夫を支え、役者の女房の努めを果たしている。
    彼女たちの刺激を受け、志乃自身が変わっていく姿が印象的だった。

    変わっていくのは志乃だけではなく、燕弥も。
    最初は感情が見えなかった燕弥が、読み進めるごとにどんどん人間味が出てきて、感情を露わにしたり、弱さを見せたり、葛藤したり…。
    お互いへの情がなく夫婦になった2人が、徐々に心を通わせていく展開が胸にグッときた。
    志乃の父親を芝居で言い負かす場面が一番好きだった。

    物語の中で語られる、燕弥が演じる演目も興味深かった。
    歌舞伎、観たことはないけれど、観てみたくなった。

    ラストの展開と、最後まで読んで分かる「呼込」の意味に胸が熱くなった。
    彼が演じたお姫様たちは、志乃と共に生き続けるのだろう。

    解説を読んで「化け物心中」も読んでみたくなった。
    歌舞伎×ホラー×ミステリー×バディものだそう。
    ホラーは苦手だけど、めっちゃ面白そう…!

    0
    2025年03月13日

    Posted by ブクログ

    いやぁとても良かった!
    切ない!
    望んでいたのに、燕弥が志乃を好きにならり徐々に女の部分が消えてく姿に、その苦悩する姿に自分を律し、女形でいたいという燕弥を支える志乃さんカッコいい!
    ラストもそんな展開?志乃さん!と思うけど最高の終わり方なんだろうなぁ。

    0
    2025年03月12日

おんなの女房 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

角川文庫 の最新刊

無料で読める 歴史・時代

歴史・時代 ランキング

蝉谷めぐ実 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す