蝉谷めぐ実のレビュー一覧

  • 見えるか保己一

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    文が素晴らしい。特に動作の描写が秀逸で、講談でも聞いているようにリズミカルで、頭の中で動画が再生される。
    目が見えぬ人には音や匂いや感触がどれだけ多くを物語るのか、なるほど、なるほどと頷くばかり。
    人情味あり、うっちゃりあり、のプロットも文句なし。

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    2026年08月28日
  • おんなの女房

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    風変わりな夫婦のラブストーリー。なんだかホッコリした。

    歌舞伎の女形喜多村燕也。妻となる志乃。縁談が来て、祝言はあげず顔も見ぬまま木挽町の夫の家に移り住んで2月。夫はいつも女の姿でいる。それはともかく演じる役になりかわって人格が変わる。紅が合わないと言われ買いに走る。

    時姫役の舞台の中に、志乃のしぐさや振舞いが書き入れられていて、観察されていたのだと知る。武家の娘だからあの人に買われたのだ。武家の娘でいていいらしい。

    女が家にいる。不義密通を疑われて志乃は芝居小屋に連れて行かれる。初野寿太郎と名乗る男の前に連れて行かれたが知らない。悪かったわね、あんたじゃなかったと言われてもね。

    松虫

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    2026年08月28日
  • 見えるか保己一

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    直木賞候補作ということだけであらすじもよく見ないまま手に取りました。
    時代小説はほとんど読んだことがないので、読めるか不安でしたが、現代に通ずるものを感じる場面も多く、楽しんで読むことができました。

    独特の文体で、前半は先が気になるもののあまり進まずやきもきしましたが、後半は慣れて来たのもあり一気読みでした。

    本書を読みながら、視点が変わると真実は全く違うものになるという体験ができました。

    メッセージ性が込められた作品だと感じます。掴みきれていないメッセージもあると思いますが、考えさせられる作品でした。

    目が見える見えないに関わらず、人は見たいものを見たいようにしか見ていないものなのだ

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    2026年08月18日
  • 見えるか保己一

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    盲の天才、塙保己一と、彼を取り巻く周りの人々の人生が描かれる。

    見えないからこそ誤解し、人の温かみを強く感じ、絶望し、感動する保己一の心の揺らぎから目が離せない。
    周囲の人間から見た保己一の逸話も、描写豊かで引きこまれた。

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    2026年08月11日
  • 見えるか保己一

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    実在の江戸時代の全盲国学者の塙保己一。差別や偏見、学問への希求と、見える周囲と見えない保己一との齟齬をこれでもかと突きつけられる。章ごとに現実の捉え方がこうも異なることに愕然とさせられる。ただ、見えるから見えない事、見えないから視える事というのもあるのかと…保己一の能力を妬み、嫉み、恐れることからそれぞれの行動が生まれるが、それでも根本にあるのは絶対的な敬いで、輝明の最期が切ない。

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    2026年08月08日
  • 見えるか保己一

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    ネタバレ

    小説の醍醐味の1つは、全く自分と違う人生を想像させて、それを垣間見させてくれる事だと思う。塙保己一という人が盲人で、「群書類従」という書物を編纂した、という知識しか無かったが、目が見えないということも自分の側に引き寄せて体感させてくれるような小説だった。

    江戸の当道座や、その役割や雰囲気なども、想像が着くような丁寧な描き方だった。
    見える者と見えない者、身投げや不義密通、家族の絆すらも、正しい見方などありはしない(どのようにも受け取れる)という「見え方」「感じ方」の差を、伏線のように織り込んでいく構成も見事だった。必ず何かが対になっているように思える。ドキドキしながら、何回もどんでん返しを喰

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    2026年08月07日
  • 見えるか保己一

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    見えてないのに見えているようだ!
    いや、やっぱり何にも見えてないじゃないか!

    サクセスストーリーのよう見えるが、盲人と晴眼者、それぞれの葛藤は常に物語に渦巻く。
    「盲人なのに凄い!」ではダメなのだ。盲人という前提を覆した上で凄くなければ。
    ただ、もしそのように評価されたとしても、もしも盲人でなければ、そのように評価されるまでの能力は得ていたのだろうか?

    それぞれの心理描写と、心の移ろいが素晴らしいと感じました。
    盲を騙すのなんて簡単かもしれない。だけども、美しい嘘もあるんだね〜。

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    2026年08月05日
  • 見えるか保己一

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    ハンディキャップを乗り越えて偉業を成した人の話、なんて生易しい物語じゃなかった。
    いい話かと思えば、そのB面からの視点で裏切られる。見えているものばかりが真実ではない。しかしその真実が必ずしも不快ではなかったりもする。虚の中にも真実が見えたり。勘違いでもいいからそのままにしておいた方が良いものもある。その人に関わる噂・伝説も然り。真実よりも人がそれをどう見たいかで広まっていく。今のネット社会にも通じる虚/実、噂・伝聞。

    おたせの「言葉を必要としない繋がり」「目に見えぬものこそ、言葉にできぬものこそ素晴らしい」という台詞、何もかもに名前を付けなくてもいい。上手く言葉にできない関係もある。

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    2026年08月04日
  • 見えるか保己一

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    晴眼者と盲の環境の違いと当時の時代背景と文化の理解と、いろいろと解釈が難しく読むのに時間がかかった。目次表記もひらがなと思いきや、当て字で二通り。なんだか腑に落ちない表現は一人称だけで捉えられていたせいだったと、最終章で見せられたものに驚いた。構成が凄い。
    人間は自然と自分が上に立ちたがる。他人にどう見えているのかはそれぞれの性格や環境、価値観によって異なり、他人の解釈はわからない。
    見るという情報の広さゆえ、捉えきれない見落とし。見えているはずなのに見えていないものもある。
    一読ではたぶん理解しきれていないので、落ち着いて再読したいと思う。

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    2026年08月03日
  • 見えるか保己一

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    江戸時代の全盲の国学者・塙保己一の生涯を描いた時代小説です。幼少期に病気で失明しますが、誰かに音読してもらった書物の内容を一字一句覚えるという優れた記憶力の持ち主で、好きな学問を志し全盲ゆえの周囲の嘲りにあいながらも苦難の末に、『群書類従』(ぐんしょるいじゅう)という日本の古い書物や記録を集めた国内最大級の文献集を編纂した人物です。

    ただこの小説は、その偉業を称えるということがテーマではありません。

    全盲の保己一は、「肉眼を持ち合わさずとも、心眼を以てすれば悟りの心を開くことができる」という信念のもと、何とか目が見える人たちと好きな学問で肩を並べたい、同じ土俵に立ちたいと努力を重ねます。し

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    2026年08月02日
  • 見えるか保己一

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    もうこれ優勝。
    最高に素晴らしい作品です。
    さすが、山本周五郎賞。直木賞も確実と思っていたけど、、、

    埼玉県の偉人である塙保己一のお話。
    偉人の話と言っても伝記のようなものでは全くなく、彼の人となり、心の内を感じられる作品。

    盲の彼には何が見えていたのか、本当に見えていなかったのか。
    晴眼者には彼がどのように見えたのか。
    晴眼者は彼の見えないものが見えているのか。

    SNSなどの言葉や映像・画像で容易に見えた気持ち、わかった感覚に陥ってしまっている現代社会だからこそ、この作品の美しさが輝くと感じている。

    ぜひ多くの方に読んで欲しい大好きな作品。

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    2026年07月27日
  • 見えるか保己一

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    偉人の苦労話&サクセスストーリーにとどまらず、周囲の人間から見た美談ではない話を軸にして描いているのがすごい。
    最初に「見えるか」が文中に登場したときは、いろんな意味で鳥肌が立った。

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    2026年07月26日
  • 見えるか保己一

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     タイトルと表紙の雰囲気から、勝手に妖怪の話だと思い込んでいたが、江戸時代実在した人物の話だった。
     幼少期の病が元で盲目となった保己一。明晰な頭脳を認められ、やがて学者となっていく。
    タイトル「見えるか」の問いが、物語の終盤にキーワードとなっていく。こういう展開もあったかと唸らされた小説だった。

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    2026年07月26日
  • 見えるか保己一

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    ネタバレ

    塙保己一。全盲。国学者。群書類従。辰之助。母親。物知り。太平記。九郎左衛門。町奉行に。千弥。金子。見せもの小屋。葉次郎。お丁。不義密通。輝ちゃん。金次郎。とせ子。
    将軍お目見え。
    人ってのはすべて見たいように見る。

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    2026年07月26日
  • 見えるか保己一

    購入済み

    保己一の盲人としての苦しみや学者としての矜持、保己一の家族や門弟らの崇拝や劣等感等、複雑な感情が描かれます。他人を信じられなくなり血の繋がった家族だけを信じる保己一の姿が痛々しく感じられました。目が見えていても見えていなくても他者を理解するのは難しく、結局見たいものを見たいようにしか見ないのかなと思いました。

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    2026年06月27日
  • 化け者心中

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    幕末の江戸、歌舞伎役者の中に鬼が紛れ込んだ。鬼探しを依頼されたのは、元女形の魚之助と鳥屋の藤九郎。魚之助は壊疽が原因で舞台を務められない。こういう話を読んだと思って調べたら実在の人物がモデル。(後書きにも書かれている。私が前に読んだのは「狂乱廿四孝」。他にも彼を描いた本はたくさんあるらしい。)
    役者の妬み嫉み、良い役が欲しい。全ては芸のため。一方で家柄だけと言われたくない。華やかな舞台の裏の嫌な部分が描かれる。演目が「曽根崎心中」で、少し前に見た「国宝」の映画にも出てきたので、場面が目に浮かぶ。
    探偵役が、仕方なく舞台から距離を置いている魚之助と、ほとんど歌舞伎のことを知らない藤九郎という組み

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    2025年10月19日
  • おんなの女房

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    1年半ほど前に著者のデビュー作『化け者心中』を読んだ時は、新人とは思えない密度の文章に率直に凄いと感じたものの、盛りだくさんのテーマと練られすぎた構成がちょっと物語を窮屈にした印象があったのと、自分自身の好みの問題もあって、個人的にはそこまで高い評価にはしていなかった。

    本作は前作に引き続き歌舞伎を扱っているが、主人公が歌舞伎役者だった前作とは異なって、歌舞伎のことを何も知らない女形役者の妻を主人公に据えており、歌舞伎に関しては客観的な視点で語られている。その世界に疎い自分のような読者にとってはニュートラルな書きっぷりがありがたかった。

    本作は役作りのために日常から女として過ごす夫と、その

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    2025年08月31日
  • 万両役者の扇

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    お初の蝉谷めぐ美。江戸の芝居小屋を舞台にした、何とミステリーだ。ひねりの効いた展開に惹きつけられること間違いなし。
    ある登場人物がしゃべったり動いたりするというのが小説の普通の順序だが、この作中ではいきなりしゃべったり動いたりする。誰がしたのかはその後に明かされる。
    読者はその「誰」を気にかけながら読む。ハラハラ感に繰り返しおそわれるという技巧だ。初めての表現法である。
    賢い人だ。

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    2025年05月15日
  • おんなの女房

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    いやぁ、このねっとりした情愛の雰囲気、ヒリツク手を繋ぎながら隣を牽制する女同士の関係性、そう、蛇のような感覚、私結構好物でございます。

    男の彼を求め、女の彼を求め、ぐっちゃぐちゃになりそうなところをうまく落とし込んでこられてるな、と。その代わりこっちの情緒は結構ぐっちゃぐちゃに乱されますけどね笑

    芝居が絡むものってなんでこんなにドロッとするんでしょう。

    あと、男がライバル、何気に1番キツい。と思った。

    2025.5.10
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    2025年05月10日
  • おんなの女房

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    好きっ…!前作より好きかもしれない…!女よりも女らしい、女形の妻になった武家の娘。ところどころ女ではなく旦那に変わるところがっ…

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    2025年04月25日