蝉谷めぐ実のレビュー一覧

  • おんなの女房
    武家の娘・志乃が嫁いだ相手は歌舞伎役者。しかも大人気の女形・燕弥。芝居好きの娘ならともかく、これまで芝居をまったく知らなかった娘は芝居を学ぼうとするわけではありません。けれども、家でも女として振る舞う燕弥を支える志乃は健気でもあり、逞しくもあります。病に罹ったと知って役者を辞めようとする燕弥。役者で...続きを読む
  • おんなの女房
    歌舞伎女形の女房になった志乃は自分より美しい女と暮らすことになる。女としてではなく女形の妻としての生き様覚悟に至るまでの決意まで、時姫、清姫、雪姫と燕弥が演じるごとに変わっていく志乃の気持ちを描いている。
    役者というものは本当に業の深いものだと感じた。
  • おんなの女房
    最初は馴染みの無い文体と感じたけれど物語が進むと徐々にのめり込んでいく。

    いろんな形の夫婦があって
    志乃がしだいに燕弥の中の姫様と共に生きるその心意気が美しく

    時々入る間の良い擬音が本当に聞こえてくるようでリズムよくて
    芝居を観ているよう。
  • おんなの女房
    書評をみて読みたいと思っていた。
    恋愛小説、女の成長物語。終盤の志乃の母親の登場は強烈。女房もまた舞台に上がる役者と同じ覚悟を持ついうことか。
  • おんなの女房
    ほのぼのむずキュンストーリーかと思いきや、終わり方がびっくり。
    そうか…そうなのか…むむぅ…。

    死んでるように生きたくないってことかしら…

    でもなんか覚悟を見ましたよね。
    おんなの女房としての。

    お芝居のお話はどれも面白かったです。
    いろんな歌舞伎役者さんの顔を思い浮かべながら読みました。
  • おんなの女房
    この著者の作品を読むの初めてです。独特の、迫力のある文章だと感じました。好き嫌いはあるかもしれません。

    江戸時代の女の人権の無さと言うと、興ざめかもしれませんが、主人公は下級武士の娘で、女は家長にただ従うという常識で生きているところは、ちょっと感情移入しづらさを感じます。

    そして、この主人公は、...続きを読む
  • おんなの女房
    燕弥の最期がなんかすごく残念な感じがした。
    舞台を降りる事を撤回した燕弥と志乃のやり取りをもう少し読みたかった。
  • おんなの女房
    嫁いだ相手が女形という事情が特別だったとはいえ役者の女房が苦労するのは当たり前の話で、本作の真骨頂は江戸時代の芝居小屋の内外の有り様を描き切ったところにある。早大の卒論テーマ「文化文政時代の歌舞伎」が昇華した賜物か。
  • おんなの女房
    女房が“おんな”なのは当たり前だが、ならばこのタイトルはどういう意味なのか? 
    文政の世。武家の娘である志乃は、父親の勧める縁談に従い嫁いだ。嫁いだ相手は歌舞伎役者の女形で、舞台のみならず日常生活でも女として生きているのだった……。
    なかなか話に乗れず苦戦したが、読み進むにつれ面白さがわかってくる。...続きを読む
  • おんなの女房
    志乃は若女形、燕弥(えんや)に嫁す。
    父が決めた相手であるならば、何も訊かず添えばいい。
    それが武家の娘としての習い。
    しかし、女形として生きる燕弥との生活は戸惑うことばかり。
    知りたくはない、知ってはいけないと思っていた芝居のあれこれを
    奥役、善吉から聞かされる。
    少しずつ、志乃の腹に女房としての...続きを読む
  • おんなの女房
    父親に刷り込まれた武家の女としての生き方しか知らない志乃が、あらゆることを芸のために吸い取ろうとしている売り出し中の若手女形・燕弥と夫婦になっての物語は、時姫で始まり、雪姫、八重垣姫を経て、再び時姫で閉じて、そしてあっけない幕切れ。
    志乃の思う女房のあり様と燕弥の思惑はずれているのに、それぞれが少し...続きを読む
  • おんなの女房
    武家の娘志乃は歌舞伎の女形燕弥の女房になる。
    が、平生から女の格好をして女として振る舞う夫とどうして暮していったらいいのかわからず、困り果てていた。武家の娘として厳しく躾られてきた志乃は世間知らずで、歌舞伎の世界も役者がどのようなものかもわからない。妻の一挙手一投足を針で刺すような目で見る夫に疲れ果...続きを読む