蝉谷めぐ実のレビュー一覧

  • 見えるか保己一

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    ネタバレ

    若くして盲目になった主人だが、秀でた記憶力を活かし江戸で学問を志す。
    目明き、めしい双方で、見える/見えないことでどういったことが起きたかなどの人間模様が書かれる。
    目が見えないことでどのようなことを感じ取れるようになるのかの描写が全般的に好み。
    目が見えていようがいまいが、人間関係に至ってはそんなに見えない(変わらん)という話で締められている。

    本書で興味が出て塙保己一という人物の実績を検索してみたが、これは怪物だった。
    現代ならともかく、当時だったらどうやってそこまでの地位に上り詰められたのか想像もつかない。

    当時だったらたぶんめくらと呼ばれていたと思うだが、残念ながら現代基準ではNG

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    2026年07月10日
  • 化け者手本

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    時代ミステリーの枠に収まりきらない、”極上上吉”のエンターテインメント作品だった。 芸、恋、忠義に生きる人々の「業」と「愛おしさ」が凝縮されており、読み進めるうちに浮かび上がる「人の情念」の恐ろしさにゾクリとする。人が何かを狂おしいほど求めたとき、その感情自体がもっとも恐ろしい「化け物」になる。そんな狂気が鮮烈に描かれていた。
    女形として女の姿を貫く者、芸の道を極めるために周囲を犠牲にする役者たち―その凄まじい執着に、伝統芸能の凄みを見た気がする。ただ、そうした業を背負った先人たちの狂気こそが、現代まで続く文化を形作ったのかもしれない。

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    2026年07月07日
  • 見えるか保己一

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    盲の孤独いかほどか。想像を絶するほど大きな目明きとの隔たりに悩み、葛藤して生きた塙保己一の生涯の物語。埼玉県の偉人として渋沢栄一、荻野吟子と並んで、その名前と盲であること、群書類従だけは知っていた。

    見えない者だけが見えているものという、一見魔法のような、救いのような言葉は逆に保己一を苦しめた。飛び抜けて学があり、愛すべき家族があり、社会的に認められた人である。だが、どこまでいっても盲である。必ずどこかで支援が必要であり、その方法や程度も難しい。それを間違えると生活に支障をきたしたり、プライドを傷つけてしまったりする。ときには見える者の企みに翻弄され、騙され、見えない者からはその能力を妬まれ

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    2026年07月03日
  • 化け者心中

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    タイトルを目にした時、「”化け物”ではなく”化け者”なんだ」とふと思った。だけど、作中で芸を追求する役者たちの姿や、剥き出しになる人間の業を見ているうちに、「なるほど、この字でないといけないのか」と納得した。 「両足を切断した元歌舞伎役者」という強烈な設定の主人公・魚之介に、実在のモデルがいたことには驚いた…壮絶な人生だ。人間ドラマだけでなく、「鬼は誰か?」を解き明かすミステリー部分も読み応えがあった。

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    2026年06月26日
  • 化け者心中

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    ネタバレ

    魚之助が、最初っから信天に助けられてたっていう描写が最後の方に来るのがアツかった。

    汚い人が鬼なんじゃなくて、綺麗な人が鬼。

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    2026年06月25日
  • 作家と編集者

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    『作家と編集者』というタイトルから、早見和真さんの『小説王』のような熱いお仕事小説を想像していた。ところが、一話目の錦見映理子さん「邪悪な香り」でいきなり背筋がゾクゾク……。なんだか寒くなってきた。風邪か? いま季節は春なんだけどなと思いつつ。

    新人作家・鷹柳をデビューさせようと奔走する熱血編集者の話かと思いきや、漂ってくるのは不穏な空気と怪しいオピウムの香り。次第に狂気の世界へ足を踏み入れていく編集者・安曇、そして作家・鷹柳の正体とは? 夢か現実か、境界線が溶けていく物語にぐいぐい引き込まれる。
    作中作のタイトルに、「もしかして、そういうこと!?」と鳥肌が止まらない。こんな作家と編集者の関

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    2026年04月04日
  • 化け者手本

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    タイトルの手本は、仮名手本忠臣蔵から来ているらしい。なるほど前作は「化け者心中」で曽根崎心中が演じられていた。今回は忠臣蔵に加えてライバルの芝居小屋で演じられている助六廓櫻賑(くるわのはなみどき)も題材になっている。知らなくても、芝居噺に疎い藤九郎に誰かが教えてくれる場面が用意されているから大丈夫。タイトルと言えば化け物ではなく化け者になっているのは、舞台の上で化ける役者の意味もあったのだと、今更ながら気づいた次第。
    前作からの興味で言えば、魚之助がどうなっているかと楽しみだったけど、立場としては元女形から変わらず。どちらかと言えば藤九郎の方が、芝居の世界を知ろうとして変わった様子。二人の気持

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    2025年11月09日
  • おんなの女房

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    志乃視点で女形の苦悩や女形の女房の苦悩を見る物語と思ったら、女形の女房を取り巻くあれやこれやをまるで舞台で繰り広げられているかのように観ていた。
    登場人物が各章のテーマとなる演目を語る時、グッと引き込まれていく。面白い。江戸も面白い。
    ラストにビックリしつつ、序盤でフラグたってたなぁと納得。

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    2025年09月11日
  • おんなの女房

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    ネタバレ

    幸せな結末を望んだけどそんなわけもなく…
    しかし女達の強かさ。誰だって、相手の唯一になりたいよなあと思った

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    2025年07月25日
  • 化け者心中

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    めっちゃ良かった!!!
    魚之助の滴るような艶美さと藤九郎の一本芯の通った心根と純朴さ。
    鬼探しという謎解き要素を中心にはしてるけど、再生の物語だった。
    続編もあるみたいなので絶対読む!

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    2025年07月09日
  • おんなの女房

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     本作は、野村胡堂文学賞、吉川英治文学新人賞を受賞している。受賞からわかるとおり、時代小説となっている。

     時代は江戸で、町人文化が栄えている頃だ。主人公の志乃は下級武士の娘で、売り出し中の歌舞伎役者の喜多村燕弥の妻となる。この燕弥は女形で、平素から女装して「おんな」になりきっている。だから「おんなの女房」である。

     しかも、お金をはたいてまで武家の娘を妻にしたのには訳があった。この燕弥は役者バカである。その容姿も踊りも芝居のうまさも、中の上くらいであろうか。そして、芝居の役にのめり込むというか憑依する役者である。セリフのないただ尻もちをつく役のため、通りに糸を張って通行人が転ぶのを観察す

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    2025年05月11日
  • おんなの女房

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    おかざき真里の表紙に惹かれて購入。

    相手のことも芝居のこともよく知らないまま女形の役者に嫁いだ武家の娘・志乃。
    武家の娘として躾けられ育てられた志乃は親の言いつけを守り、夫に従い、夫のために行動しようとする。夫・燕弥の食事が終わるまで側で控えて一緒には食べようとしないし、夫の不可思議な行動について疑問を持っても夫にそれを聞いたりしない。志乃の夫というのは女形で家でも女の格好で過ごしており夫婦生活はもちろんない。「私はなんのためにこの家にいるのだろうか。自分の価値は一体どこにある」と志乃は不安に思う。しかし夫には聞かない。ただ黙って夫のためを思って行動し、失敗して怒られたりする。行動の部分だけ

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    2025年04月26日
  • 化け者心中

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    役者は芝居に狂う化け物。
    何かに魂を捧げる業の描き方が凄いわ…
    終わり方も好き。
    芝居のことも、そこにかける業も何も知らないからこそ、魚之助は藤九郎がいいんだよ。
    面白かった

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    2025年04月07日
  • おんなの女房

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    アンソロジーで読んだ短編がすごく好きだった蝉谷めぐ実さん。
    文庫新刊が出ていたので手に取ってみた。

    歌舞伎のことは何ひとつ知らないまま、父に命じられ、「森田座」で人気急上昇中の若女形・喜多村燕弥のもとへ嫁いだ武家の娘・志乃が自身の在り方を模索する物語。

    志乃が嫁いだ喜多村燕弥。
    常に女子の格好で過ごし、演じる役に浸かってしまう。
    女形としては素晴らしく格好いいと思うけれど、一緒に暮らすとなると、確かに大変そう。
    志乃を娶った理由にも仰天。

    志乃が出会う、同じ役者の女房であるお富、お才。
    「夫婦の形は千種万様。手の添え方だって変わってくる。(p.260)」
    というのは、もうまさにその通り。

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    2025年03月13日
  • おんなの女房

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    いやぁとても良かった!
    切ない!
    望んでいたのに、燕弥が志乃を好きにならり徐々に女の部分が消えてく姿に、その苦悩する姿に自分を律し、女形でいたいという燕弥を支える志乃さんカッコいい!
    ラストもそんな展開?志乃さん!と思うけど最高の終わり方なんだろうなぁ。

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    2025年03月12日
  • おんなの女房

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    江戸弁の小気味良いスピード感ある文体と、歌舞伎の演目のテンポが絡みあい一気に読んだ。
    役者の女房たちのそれぞれの矜持も面白いが、
    燕弥をはさんで志乃と仁左次、2人の対比が興味深かった。
    普通の夫婦ならば、志乃は妻として母としておさまればば良いところを、「おんな」である燕弥にはそぐわない。
    芝居に役立つ武家の娘としてだけでなく、女形の女房として役に立ちたいと願うようになる。

    仁左次は燕弥の役者としての才能を認め、伸ばし
    舞台の上で最高の相性を魅せている。
    二人はお互いに燕弥とのそれぞれのつながりに
    嫉妬し合っている。

    志乃が燕弥と仁左次の間に、絶対に自分が理解できない入り込めないものがあると

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    2025年02月21日
  • 万両役者の扇

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    森田座の人気役者扇五郎の魅力に取り憑かれた人々を主人公にした6つの連作短編集。
    胸焼けを感じてしまうほど濃厚。

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    2024年12月09日
  • 歴屍物語集成 畏怖

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    短編集だがどの物語も個性がありストーリーがリアリティがありテーマがありとても引き込まれた!これは世に埋もれた快作だ!

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    2024年09月06日
  • 万両役者の扇

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    化け物シリーズがあんな感じなので今度は人が死なない話かな?と思ったら違ったよ!
    芝居に、衣装に、鬘に、それぞれ取り憑かれた人たちの連作短編集。
    カバー裏の犬饅頭かわいい。

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    2024年07月26日
  • 万両役者の扇

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    著者の既刊は全部読んでいて、化け物心中のコンビが一番好きなことに代わりはない。が、今回は研ぎ澄まされた連作短編で、完成度が一番高いような気がした。

    おんなの女房や、他の方の作品だが、木挽町のあだ討ちも合わせて読むと、どんどん芝居小屋やその小ネタに詳しくなれる。

    作品数が増えるにつれ、これが著者の世界だというものは確立したが、ずっと同じままというわけにもいかないだろうから、これからがさらに楽しみ。
    現代の作品も書いたらどんな感じなんだろう。

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    2024年07月15日