蝉谷めぐ実のレビュー一覧

  • 化け者手本
    前作『化け者心中』から3年ぶりの続編。
    紗久楽さわの装画も艶やかに、魚之助と藤九郎のコンビにまた会えて嬉しい。
    と、この二人、それぞれの胸中に微妙な変化が。

    魚之助にもっと近づこうと、己の頭の中に芝居の箪笥を拵え、自らも芝居者になろうとする藤九郎。
    年を取ること女形でなくなっていくこと、藤九郎の優...続きを読む
  • 化け者手本
    「化け者」としたところに作者の想いが込められてるいるのだろう

    「死ぬほど好き」よく使われる表現だが、いったいどれだけの量を大きさをあるいは覚悟を指すのだろう
    そしてその大きさを示すために他人の命を秤に乗せてしまった時に化け者は化け物になってしまうのかもしれない

    それにしても魚之助と藤九郎のコンビ...続きを読む
  • 妖異幻怪 陰陽師・安倍晴明トリビュート
    本家シリーズ読んだことないのだけど、本家もトリビュート作品も面白かった。一押しはキャラも歌という小道具も効いてた「遠輪廻」。
  • おんなの女房
    遥かに遠い出羽から嫁いだ志乃の夫は、若女形の燕弥。
    芝居の事を何も知らない武家の娘と、
    日常も女として生きる男の、行く末は如何に。
    呼込み
    一、時姫  二、清姫  三、雪姫  四、八重垣姫
    幕引  主要参考文献有り。

    時は江戸時代、文政の頃。
    自分よりも完璧な女が夫として傍にいる。
    カチコチの武家...続きを読む
  • 妖異幻怪 陰陽師・安倍晴明トリビュート
    晴明様特集をしていた『オール讀物』2022年8月号を既読だったので、純粋に初読だった作品は『哪吒太子』くらいだったかもしれない。
    他も上記のものを読んでいると既視感のある作品だったし。
    それでも、一冊で様々な方の晴明様、もしくは陰陽師話が読めるのはお得である。
    そして、改めて夢枕獏先生の晴明様と博雅...続きを読む
  • おんなの女房
    歌舞伎が好きな私は楽しく読む。

    昨年読んだこの本が吉川英治文学新人賞受賞との新聞記事を読む。「小説のために全てを投げ出してもいい。小説の奴隷として頑張りたいと思います」という受賞の言葉もいい。2023/3/7
  • おんなの女房
    前半の展開や人間関係が後半に生きてくるという期待は必ずしも満足のいくものではありませんでしたが、時代小説の新人作家さんとしては今後に期待できる作品でした。
  • おんなの女房
    夫婦というより女同士の友情みたいな、志野が自我に目覚める話というか。夫婦のことは当人同士にしかわからないもんだと。夫が普通に男だったら志野は変わらないままだったんだろうなあ。ちょっと変わってて面白かった。
  • おんなの女房
    幕引で引くほど泣いた
    相手を一番に考えると生きていくことと未練を残さないで逝くこと、どちらを優先させるのか難しすぎた

    生きていてほしかっただろうに、燕弥の女房になれたあの日で満たされたことにした気持ちが切なくてつらい
    未練を残さないで逝けたのはよかったのか…
    白粉憎いね…
    あぁ、しんどい
  • おんなの女房
    最初は読みづらいなと思ったけれど、章が進む毎に書き手と登場人物と一体化していく感覚。読書って楽しい!と思った1冊でした。読み終わって2日経ちましたがまだ余韻がすごいので記録。寝る前に読んで、号泣しながら寝落ちしたのは久々でした。
  • 万両役者の扇
    常人には理解し難い芸事を突き詰めた役者の徹底が生む狂気性の沼に引き込まれてゆく人たち。連作長篇の各話に様々な形で《犬》が出てくるけど、可愛さはなく(裏表紙の犬饅頭のイラストは可愛いけど)、小説全体のグロテスクさの象徴のように感じる。
  • 化け者心中
    気の狂った贔屓に足を切られ舞台に立てなくなった元人気女形魚之助が、ひょんなことから知り合いになった鳥屋の藤九郎と共に、芝居小屋に現れた鬼探しをすることに。
    その鬼は本読みの最中に演者の誰かを喰らい、その演者になり替わっているという。

    誰よりも人気が出たい。
    誰よりも上手くなりたい。
    芸のためなら人...続きを読む
  • 化け者心中
    足を失ったため、失意の中で、舞台から遠ざかった女形。それでも、女の装いと振る舞いを続ける。
    男と女との間で揺れる女形が、芝居小屋に潜んだ鬼を探る中で、芝居に対する血のにじむ努力、才能に対する葛藤が露わになる。
    男と女、人と鬼、善と悪、嘘と真の境界が揺れ動く。見る角度で境界が変わる。本当は、境界など無...続きを読む
  • 化け者手本
    とてもリズムがあって心地良かった。演者の名前やら役名やら実名やら屋号やらがややこしかったけど後半迫力を感じて引き込まれました
  • 化け者手本
    まず、引き続き、紗久楽さわ氏の絵。本当に本の世界感を丁度良く表してるし、引き込まれる。読む前に10分以上見てた。

    相変わらず女形な世界観は素晴らしい。
    OBが現役フルボッコ。

    ただ、やはり廓詞っていうか、文体が2作目でも慣れてないのか、恋愛物が苦手だから全編それが漂ってる事に拒否反応あるのかわか...続きを読む
  • 化け者手本
    魚之助・藤九郎コンビシリーズ第二作。
    続編が出たのは嬉しいが、今作は少し切なく苦かった。

    前作同様、芝居に現れる妖し探しが本筋だが、役者の業、恋に溺れる者の業が描かれる。
    魚之助は最初こそ前作同様の高飛車人間だが、途中から変化が出てくる。
    中村座のライバル市村座で立女形を務める円蝶の痛烈な皮肉、藤...続きを読む
  • 化け者手本
    『化け者心中』の続編

    鳥屋の藤九郎と、稀代の女形だった魚之助のコンビ再び。
    人の命さえも手段にしてまでも芸道を突き詰めたいと思ってしまう「化け物」たち。
    芸に生きる人たちも怖いが、恋に目がくらんだ娘たちが一番怖かった。
  • 化け者心中
    生きている人のほうが怖い。
    役をいきるとは、その場面になんとしてでも演れるということ。
    自分にはやれんなぁと思ったことを思い出した。

    文体が途中でなれなくて、読むのが辛かった。
    後書に擬音語、擬態語が多いと書かれてて、なるほどと思った。
    好みの話だが。
  • 妖異幻怪 陰陽師・安倍晴明トリビュート
    タイトルの通り、「陰陽師(夢枕獏著)」の基軸に、夢枕先生をはじめとするさまざまな作家の短編がまとまったトリビュート小説集。
    過去作もありつつも、話や時系列が整っていて、初めて「陰陽師」の世界を読む人でも入りやすい内容になっている。

    各作家の作品が、平安時代を飛び出したり、メインの晴明や博雅が出つつ...続きを読む
  • おんなの女房
    少し前の少女マンガのよう。
    ドジっ子というほどじゃないけれど、最初の方は芝居の女型の夫を夫が望ようには支えれてなかった妻。
    けれど少しずつ二人はいい感じになっていって
    というところなど少女マンガっぽい。

    にしても、しばらくはところてんが怖くて食べれません。