塔山郁のレビュー一覧
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ウチは保険調剤薬局じゃなくて漢方薬局です。待っていれば、患者さんが処方箋を持って来てくれる仕事とは違うんです。
・・・と、患者さんの話をていねいに聞いた挙句、薬を処方せずに帰してしまった宇月啓介(うづき けいすけ)を責めた、店主の天草奈津美(あまくさ なつみ)だったが、宇月の対応は次々と事件を解決していく。
あの、毒島さんのシリーズの4作目に登場して、主役を喰う(!)活躍をした、宇月啓介の登場です!
なるほど、西洋医学の薬剤と漢方は違うし、お客さんの話をよく聞いて症状や体の状態を見極めることが重要な漢方の薬剤師は、お客さんの抱えたさまざまな問題を解決する事に向いていると思います。
体の不調に対処するだけではなく、生き方を見直すきっかけをさりげなく作ってあげているのもいい。
宇月が漢方薬を勉強しようと思ったのは、彼自身が過去の事故で体に後遺症が残ってしまったことがきっかけ。
事故のことは忘れられず、自分でも不可解な部分も多く、これからも宇月の生き方や成長に影響を与えていく気がします。
第一話 漢方薬入門
第二話 夏梅の実る頃
第三話 ノーテイスト・ノーライフ
第四話 長男の務め -
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コロナ後遺症や登場人物がSNSを利用しているなど、まさにイマドキの話。
四つの短編で、凝りに凝ったトリックのミステリーではなく、漢方が事件?の鍵を果たしている、と言った感じ。
薬剤師の宇月、薬局の三台目店主・奈津美、各四話の薬局の客、と登場人物も割合多いが、人物は思い描きやすく、かつ内容が盛り盛りにならず、さらりと読みやすい。
宇月はいったい何者?と思わせる、探偵ぶり。少し過去もあるひとで、、、まだ魅力は全部発揮されてないんだろうなぁ、と続編も期待できる。
各四話、事件は解決するけど、日常の問題は解決せず。でも前向きな雰囲気で終わるところがいい。
私も医療職で数十年。問題が一つ解決しても、日常は続いていって、ドラマみたいにハッピーエンドで終われないんだよね、と共感も相まって、どの話も親近感が湧いた。
漢方の話も興味深く、身体のどこも不調はないけれど、漢方を試したい気分になった。 -
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『薬剤師・毒島花織』シリーズ5作目。薬剤師の花織の活躍をホテルマンの水尾爽太の視点から描く。本作もこれまで同様、連作短篇集で3話からなる。
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連作短編集の設えではあるけれど最終話に向けたひとつの物語として構成されていることから、長編ミステリーの定型を踏んできちんと描かれていたと思いました。また、シリーズの特徴通りハードさには欠けるものの、これまででいちばんおもしろかったとも思います。
大麻から抽出するガンナビノイド系の薬物にポイントを置き、わかりやすい説明を盛り込めていたのはよかった。
また、現代人の発症率が高くなっている鬱や双極性障害についても興味深く描いているところもよかった。 ( お気楽キャラの馬場さんを鬱病患者にしたことも上手い設定だと思う。)
不満点は2つ。
1つ目は人物設定。
咲良はクライマックスを飾る悪役にしては小物過ぎるし、百目鬼社長は元麻取の腕利きにしては言動がヌルい。そこが物足りない。 ( 杏里のほうが探偵役に向いていると思います。)
もう1つは、花織の活躍シーンが非常に少なかったこと。
彼女の頭脳こそがミステリーとしてシリーズを支えるポイントなので ( 爽太はせいぜいワトソン程度だ ) 、もっと見せ場を作って欲しい。
ということで、次作に期待を込めて☆4つです。 -
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薬剤師毒島さんシリーズ4作目。今回は記憶喪失の女性の素性·マルチ商法絡みのサプリメントに嵌まった母を心配するフロントの落合さん·急に現れた馬場さんの婚約者!の謎を解いていく。コロナ禍も落ち着き、爽太もようやく毒島さんと直接会って一緒に謎に挑むのだが、今回は毒島さんの元同僚で色々お世話になったらしい宇月という男性が登場。謎が漢方やサプリメント関係なのでそちら方面に造詣が深い宇月が主体となって色々動くので、話自体は面白いけど毒島さんが宇月の推理の補強の立場というか少し後ろに下がった感があって残念。一話目は頑張っているけど二話目以降爽太も活躍が少なくて残念。しかし東洋医学の説明がかなり多いけどあれ皆ちゃんと読んでいるんだろうか。某資格持ちとしては気になる。
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薬のことを話しだすと止まらない、仕事熱心で薬オタクな毒島花織(ぶすじま かおり)。
彼女に心を寄せるホテルマンの水尾爽太(みずお そうた)は、毒島さんと話がしたくて薬の事を調べたり質問したりするようになった。
しかし、爽太くん自身も薬に興味が湧いてきたように思える。
読み進むうちに、毒島さんに気に入られる為ではなくても、自分が薬を飲む時には大いに興味を持って薬剤師さんの話を聞かなくてはいけないということが分かってきた。
薬の名前はなかなか覚えられないが、「作動薬」と「拮抗薬」など今まで知らなかったことが分かって面白い。
第四話の「毒をもって毒を制す」は見事だった。
見事だったよ、爽太くん!
しかし、超ニブい二人はどこに行ってしまうのか(笑)
『第一話 知識と薬は使いよう』
爽太は、後輩の原木くるみから、祖母が飲んでいる薬の中から、認知症の薬が消えるという相談を受ける。
『第二話 薬は嘘をつかない』
久しぶりに会った学生時代の友人・平山慧(ひらやま けい)は、昔はポッチャリ系だったのにマッチョないい体になっていた。
『第三話 薬剤師は未病を治す』
是沢クリニックの告発の件で集まるようになった、爽太、先輩の馬場さん、どうめき薬局の、方波見涼子(かたばみ りょうこ)、刑部夢乃(おさかべ ゆめの)、毒島花織の5人は、なかなか良い関係である。
糖尿病の気があるのに再検査に行こうとしない馬場をなんとか病院に行かせようとするうち、爽太と花織は馬場と麻雀勝負をすることに!
『第四話 毒をもって毒を制す』
アルハラされているところを花織に助けられた影山青年が、爽太にミステリ勝負を挑む。
過去に実際にあった保険金殺人事件。
同席していなかった夫が、妻を毒殺できたのはなぜ? -
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三話からなる短編構成なのはこれまでどおりですね。以前の作品ではそれぞれ独立した短編が最後でつながっている部分もみえて面白かったのですが、本作では宇月さんがそのつなぎ役、といったところでしょうか。
二話目のマルチ商法的なストーリーでは、宇月の本物の知識の前でマルチまがいの商売を企んでいる相手が徹底的にやり込められているいて、その反論内容も理論に裏打ちされたものではないのがなんだか滑稽。でも、そんなトークであっても体調不良に苦しんでいる人はかんたんに手を出してしまう、という見本でしょうか。天然とか耳障りのいい言葉に無意識・無条件に反応してしまうことは結構ありそうで、気を付けなければ、と思います。
三話目、まぁ馬場さんには残念でしたけど、麻由美の人生はなんだかすごくリアルに描かれていて胸にぐっとくるものがありました。