河邉徹のレビュー一覧

  • 蛍と月の真ん中で

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    【読んだきっかけ】
    河邉徹さんの小説5作目

    【心に残った要素】
    タイトル『蛍と月の真ん中で』と、カメラマンを目指す主人公·匠海の撮る写真。
    自然の刹那と一瞬の人の心を捉える。
    瞬間という儚さに温度を与えてゆく。じんわりする。温かい後味がたまらない。

    実在する地名を用いたり、辰野の人たちの細やかな描写があったりする今作は、これまでの作品と同じく人生の苦楽に揺らぐ人の心を描きながら、これまでになかった要素・視覚的な色彩がはっきりと描かれていてフィクション小説なのにドキュメンタリー映画を見ているかのようなリアリティがある。

    やりたいことよりも、やっておかしくないもの、たしかに。そうやって取捨選

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    2021年10月20日
  • 僕らは風に吹かれて

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    ミュージシャンが書くミュージシャンの話。
    著者のバンドの実話ではなく、(実体験も踏まえているだろうが)フィクションとして描いている。
    SNSの時代にあって、急速に人気となっていくバンド。しかし、コロナの流行によりメジャーデビュー目前に翻弄されていく…

    同時に二つの世界線が進んでいき、構成が工夫されていて、おもしろかった。
    表の世界、裏の世界、効率と非効率、安定と不安定…
    様々な対比に共感した。
    コロナはもちろん、いろんな当たり前が変わっていく中でも、自分は何を大切にしたいか考えたいなと思った。
    エラーコインのように、表も裏も同じひとつの世界だ。
    音楽業界の裏側も興味深かった。

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    2021年07月08日
  • 僕らは風に吹かれて

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    WEAVERが好きなので、メンバーの河邉さんが書いた小説と聞いて、ミーハー気分で買ってみました。

    結果、そんなの抜きにして面白かった。
    というか、ぐさっときました。
    コロナの混乱で、今まで以上に、Twitterなどの声が大きく強くなってる気がしてること、
    自分が何かを感じたときに、それであってるかなと、いちいち検索してしまうこと、
    小説とは違うけどそういった、自分で考えることとか感じることをサボってると思うことがずーーーっと続いてて、なんとなくやりすごしてたけど、それらをちゃんと考えてね、と言われた気分。

    元の世界なんてないんですよね。
    これが収束したときは、この数年で変わってしまった前と

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    2021年06月11日
  • 夢工場ラムレス

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    河邉徹さんの小説1作目

    【心に残った要素】
    眠った時に見る「夢」と人生における「夢」。
    どちらも強く願えば叶うものであり、どちらも今が影響するし他人からの影響もある。
    現実になるのは難しいかもしれないけど、人の手を借りたり時には人を助けたりしてみんなの「夢」を叶え合えたら素敵です。

    【ここが好き!】
    喜びだけの人生なんて、それは喜びを知らないのと同義。
    なくして大切なことに気づくとか、今がどん底ならここから先は右肩上がりとか、辛い気持ちを知っているから私たちは明るい気分になれる。
    河邉徹マジックかなって思う。どの小説も作詞した楽曲もこのことに気づかせてくれて前を向ける。
    読んだらセットで聴

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    2021年05月26日
  • 流星コーリング

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    【読んだきっかけ】
    河邉徹さんの小説2作目

    【心に残った要素】
    運命とは、悲しみを乗り越えるとは。
    受け入れたくないものって自分にもたくさんあるけど明日を生きるために、時間をかけてゆっくり少しずつでも咀嚼する。消化しなくてもいいと思う。グッと飲み込んで、腹落ちしなくとも胸に刻む感覚があればそれでいい。きっと受け入れ難い運命すらも愛することができるから。

    【ここが好き!】
    広島弁で繰り広げられる会話シーン
    読んだら流れ星を探したくなります。8月のペルセウス座流星群が待ち遠しい~
    WEAVERの音楽とのコラボレーションもたまらない!

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    2021年05月19日
  • 僕らは風に吹かれて

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    【読んだきっかけ】
    河邉徹さんの小説4作目

    【心に残った要素】
    必要としてくれる存在を求め続けて、自分にはこれが必要ってものを探し続けてる。そうやって生きるために生きている。

    バンドメンバーがそれぞれ担当楽器や歌を練習していってひとつに合わせるように、社会の一員としてただただ自分の得意なものを活かして好きに生きれたらいいな。周りと比べて気落ちすることだらけだけど所詮その人は別の楽器担当!と割り切れる思考でポジティブにいられたらいいなって。

    【ここが好き!】
    前作のSFと違いリアル過ぎるほどの展開で、気づくと物語に没頭していました。
    YES/NOの選択を強いてくる着信のシーンに痛く共感しま

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    2021年05月18日
  • 流星コーリング

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    私自身大好きなWEAVERのドラマー、河邉 徹さんの二作品目。
    一作品目より読みやすくなっている
    今年人工流星が流れるのかな?
    ドラマチックな内容で、少し切なくもなるストーリー
    アルバム、流星コーリングと共に楽しむと良い!!

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    2020年03月11日
  • 流星コーリング

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    何回も読み直すことは基本的にないのですが、これは一読した後にもう一度読もうと思えた作品でした。
    作者の方がWEAVERというバンドのドラムで、同タイトルでアルバムを出しているのもまた魅力的。小説×音楽のコラボが形になってより一層世界観を味わえる作品です。
    2020年には、広島で本当に人工流星の計画もあるのでもっと話題になってもおかしくないと思います。
    今後が本当に楽しみです。

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    2019年08月16日
  • 流星コーリング

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    ネタバレ

    音楽とリンクする話。もちろん音楽がなくても十分楽しめる。しかし、音楽とともにこの本を読むことで、音楽、本それぞれへの感じ方が一変する。初めの方は甘酸っぱい青春小説…しかし途中からはただの青春小説ではなくなる。
    いい意味でこちらの予想を裏切る内容だった。また、内容だけでなく、さまざまなところに工夫が見られた。特に感動したのは場面ごとの字体の変化である。
    耳から聴く音と目から見る文章、2つを掛け合わせる素晴らしい試みだと思う。

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    2019年03月25日
  • 夢工場ラムレス

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    ネタバレ

    夢の中でふと気づくと青い扉がある。その扉は「夢工場」へと繋がっている。夢と現実は影響しあっており、夢を修正することで現実も変えることができるらしい。。

    個人的には4話目の「他人の話」が一番気に入りました。何気ない日常の一瞬一瞬を大切にしたいと思われてくれます。3話目の「理想の夢」は、他の章とは異なりブラックファンタジーの様相で、夢工場の闇の部分を感じ、別の意味で心に残りました。

    自分が夢工場に行けたら何を修正してもらうだろう?と妄想してしまいます。

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    2018年08月01日
  • 夢工場ラムレス

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    タイトルに惹かれて読んだ本。
    ミュージシャンだということに後で気が付きました。
    一生に一度だけ自分の夢を修正することで夢を叶えられるという「夢工場」。夢工場を訪れる4人と夢工場の管理人の話で構成されています。
    ファンタジー風ではありますが、生きる希望を与えてくれる本です。
    最後の投稿された「夢体験談」は貴重な資料かも。みんなこんなに面白い・変わった夢を見ているんだというのを知ることができます。一読の価値あり。
    夢を見たいと思わせる本です。

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    2018年07月21日
  • ヒカリノオト

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    じんわりと心が癒される作品だった。
    なにより比喩表現が素敵で、ワードセンスがすごい。
    特に好きだったのは、涙で視界がぼやけるという場面で
    「部屋が滲む。目を細めると、六角形の光の粒で部屋がデフォルメされた。」
    と書かれていた場面。なんておしゃれな表現…!
    のちに調べたところ、作者さんは以前、作詞を担当されていたようでとても納得。

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    2025年11月30日
  • ヒカリノオト

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    自分の知らないミュージシャンの世界。その世界の大変さを表現しつつ、彼の歌が色々な人達に影響を与えていく物語。

    物語の時間軸が平行や同時進行ではなく、一本の真っ直ぐな時間で語られていくのが特に好きです。

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    2025年11月19日
  • パパたちの肖像

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    面白かったです。母親も父親も等しく育児は一年生。母親目線は想像できるけど父親だとそうなるのかと。突拍子もなかったり的外れだったりにニヤリと笑ってしまう。真摯に取り組んでいるからこその笑いが漏れてしまった。どのパパさんたちも素敵でした。

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    2025年10月22日
  • パパたちの肖像

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    7人の作家さん、みんなパパ作家さんだったとは。
    皆さん、ちゃんと子育てされてきたのかなと思える作品ばかりだった。
    子育てがテーマの作品で父親目線のものは少ないけど、男親ってこんな風に感じていたのかと新鮮な気持ちで読んだ。
    帯にも書いてあるように、この作品は「令和パパの心の声」なんだそう。夫婦で一緒に子育てするのが前提で書かれているところが、令和っぽい。
    いい意味で時代が変わってきたなと嬉しくなった。

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    2025年10月19日
  • ヒカリノオト

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     かつてよく聴いた音楽から過去の記憶が鮮やかに蘇ったり、季節や事象から過去に聴いていた音楽が突然脳内再生されたり…。こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。本書は、こうした「音楽の力」を温かく描く物語です。

     著者の河邉徹さんは、バンドWEAVERのドラマーだった(2023年解散)そうで、本作は著者が作詞を担当し、言葉と音楽を紡ぐ世界に身を置いていたからこそ創り得た作品だと感じました。
     6章立ての連作短編で、「◯◯ノ オト」という各章題のカタカナ表記から、柔らかく軽やかな印象を受け、少し不思議な関心の惹きつけを感じます。

     最初は、中途半端な章の終わりと各章のつながりがよく分から

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    2025年10月06日
  • パパたちの肖像

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    行成さんのが読みたくて手に取ったけど、本当に面白かった…2年前に私も出産し、夫と育児をしているけど、うちの夫はきっとおっぱいでないこと嘆いたこともないし、出そうと思ったこともないだろうな笑。純粋な気持ちが可愛くて切なくて読んでよかったーってなった

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    2025年09月24日
  • パパたちの肖像

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    ネタバレ

    子育てにも、家族の形にも、正解はない。そこに子供への愛情があれば十分だと思う。ただ、子育ては大変すぎて、実際にはそんな綺麗事でまとめられないだろう。夫婦ですれ違い、親子でもすれ違う。それでも、愛情を持って、誰にも何にも縛られず、自分たち家族の生活が続けられるよう必死に進んでいくしかないと改めて思った。

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    2025年08月27日
  • 蛍と月の真ん中で

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    写真を学ぶ大学生匠海は学費にしようと貯めたお金を友達が勧めるサロンに取られ休学するこおに。
    父親が撮った蛍の写真の場所を探して長野県の小さな町に辿り着く。そこで出会った人や生活、生き方に触れて自分を見つめ直す。
    成長もの。長い人生でこんな1年があってもいいと思う。

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    2025年08月18日
  • ヒカリノオト

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    音楽との出会いによって人生が変わる。No Music, No Life.自分も正にこれ。幼少の頃から音楽が身近にあった。いろんな場面で助けられたし、励まされ、慰められた。
    連作短編集。高校生の合唱の章が良かった。作者もミュージシャンで音楽活動を卒業したとあり、話とリンクしていて想像ではなくリアリティがあった。

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    2025年08月15日