河邉徹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かつてよく聴いた音楽から過去の記憶が鮮やかに蘇ったり、季節や事象から過去に聴いていた音楽が突然脳内再生されたり…。こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。本書は、こうした「音楽の力」を温かく描く物語です。
著者の河邉徹さんは、バンドWEAVERのドラマーだった(2023年解散)そうで、本作は著者が作詞を担当し、言葉と音楽を紡ぐ世界に身を置いていたからこそ創り得た作品だと感じました。
6章立ての連作短編で、「◯◯ノ オト」という各章題のカタカナ表記から、柔らかく軽やかな印象を受け、少し不思議な関心の惹きつけを感じます。
最初は、中途半端な章の終わりと各章のつながりがよく分からず少々違和感があったのですが、各話の主人公を優しく包み込む筆致、背景の音楽がもたらす人のつながりや影響に、次第に心が満たされていきました。
玄人好みで売れずに引退したシンガーソングライターの楽曲が、様々な立場の人の心を動かし、人生を変え…、そして自分自身も救います。
大量生産・消費の時代では、音楽に限らずいいものが必ず売れるというわけではありません。でも、作り手自身もわかっていない(かもしれない)音楽の与えている影響を、信じてほしいですね。「支持=数ではない」のだと…。
こんな時代だからこそ、音楽や物語は私たちに欠かせないものだと思います。人を慰め、励まし、救い、希望を与える「音楽の力」「物語の力」は、個人への影響だけでなく、人と人をもつなぐのですね。
純粋で懸命に生きる人と、そんな人たちに寄り添う音楽…、素直にいいなあと思える読後感でした。 -
Posted by ブクログ
読み初めは少し私には合わないかなっと思いつつ、読んだのですが、読み進めるうちにどっぷりとその世界にはまってしまったそんな作品です。
染谷達也というシンガーソングライターの曲、特に彼が音楽の世界から引退した最後のシングル、「夢のうた」がキーワードとなって5人の男女の人生を変えていく、連作集です。
一つ一つの主人公が、愛おしくなるほど純粋で、生きることに懸命なのが嬉しくなる、そんなストーリーです。そしてそんな彼らの心に寄り添う音楽の力も素敵だなと感じます。
今や音楽はサブスクやSNSによって時代を軽々と飛び越えていきます。こんな時代だからこそ、生まれた文学作品なのでしょう。
良いものってなんだろう。
良いものが、必ずしも人に届くわけではないんだ。
本文p174抜粋
地方創生のため自分の住む田舎町のPR動画を作成したカメラマンのつぶやきですが、染谷達也というシンガーソングライターの曲は時代を超えて、再評価されつつあります。彼の動画ももしかすると時代を跨げば、変わるかもしれません。田舎町に住む私はそう願ってしまいます。
染谷達也こと染谷海は、かつてマネジャーをしてくれていた染谷のファンでもある寺井の強い勧めで、彼が起業したマネジメント事務所によって、再びライブを東京と自身の出身地新潟での開催します。
世界に一つくらい、自分の心を救ってくれる音楽が必ずあるのだと思う。
本文p326抜粋
あなたにもそんな音楽がありますか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ1人のピアノの弾き語りでメジャーデビューした人と、その楽曲に救われた人などを描く短編集。
・一作目は染谷とマネージャー補佐のテラを描く。テラは学生時代に染谷の音楽に救われて、染谷の引退する最後の年をマネージャーとして過ごし、最後の曲である「夢のあと」を染谷はテラのために書く。
・アクティブな友人と対照的な暗い中年女性。仕事などで心を病むが音楽に救われて、得意の書道で半紙に歌詞を書く
・カメラマンの青年は衣装アシスタントの女性に恋をする。一緒に町のPR動画を作成し、染谷の曲を使う。彼女には東京に彼氏がおり、両思いだが分かれる。
・高校生に合唱コンクール。染谷の曲を合唱曲にアレンジして歌う。ピアノの伴奏の子が交通事故で怪我をして、二番手の子が本番はピアノを弾いた。
・引退して10年経った染谷は新潟の田舎町で叔父のリサイクルショップを手伝う。テラがやってきtw、またライブをする。