安藤礼二のレビュー一覧

  • 大拙

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    南伝とも北伝とさえも一線を画す、中国および日本の仏教。そこで展開される「空」「無」「道」「仏性」「不二」等々の概念と、キリスト教やイスラム教の神秘主義思想との異同や、それらが東西の哲学者・宗教者の中で響き合う様を、鈴木大拙の評伝を軸として描いていく。西田幾多郎やスウェデンボルク、あるいはスピノザやライプニッツの思想との関わりなども朗々と語られている。ただ、「一即多、多即一」の世界観が様々に形を変えて、巻頭から巻末まで繰り返し語られるのだが、そうしたあり方を「経験」したことのない者としては、どうしても言葉遊びのように聞こえてしまう。そしてそれは第5章「戦争と霊性」において、上のような議論が結局は

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    2025年04月23日
  • 吉本隆明 思想家にとって戦争とは何か

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    94 おそらく誤字 吉本が「古本」になっている


    26 言語の2面性
    指示表出=言語は、音や時空間、社会的習慣の影響を受けて、媒介的に成立する。

    ☆自己表出=すべての間接的・習慣的なものから脱して、言語それ自身自律的で、自らを動かすような「表現」。
    82 そこでは言葉同士の微細な変化や、韻律の響き合い、さらにはそこに表現されたイメージの分裂と融合だけで、詩の新たな次元を拓こうとする。


    50 共同幻想論→上部構造の自律性を主張
    人間関係の三つの位相
    ・共同幻想=上部構造
    ・自己幻想
    ・対幻想=他者との一対一の関係、異性との関係(肉体関係の有無は問わない)、家族的概念

    119 エルンスト

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    2024年02月20日
  • 日本の祭

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    昔の学者の人の言うことや書くことって、喩えると、視力のとてもいい人が、自分の見ているものを細かく伝えてくれるというのに近いような印象があります。同じように地面を見ていても、現代人よりも細かいところまで見えているし、気にも留めないようなところにも注意を払っている、というように。

    たとえば一般化している「お祭(祭礼)」は神道の行事。でも日本人はあまりそれを宗教として感じていません。キリスト教やイスラム教、仏教には教義があるけれども、日本の神様に対しての教義を学ぶ一般人はいない。日本人の風俗をみれば日本人は無宗教ではないのだけれど、教義というものがないのだから日本人の意識上無宗教になっているのでし

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    2023年09月21日
  • 大江健三郎賞8年の軌跡 「文学の言葉」を恢復させる

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    少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
    大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
    で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
    なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
    受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。

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    2020年07月24日
  • 折口信夫

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    大著だが飽きさせずに読めるのは、衒学的研究ではなく、文芸評論として、著者がモノを考えながら折口に迫っているから。基本的なことであるが、この大物への対峙による著者の成長は凄まじいものに違いないと、羨望頻り。

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    2019年04月07日
  • 日本の祭

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    日本人の生活に溶け込んでいる「祭」の原始的な姿とは何か?をひたすらに問い続けた一冊。
    現代に存在する祭式儀礼は、拝礼ひとつ取ってみてもすべて簡略化されたものだという指摘は驚き。
    本来の意味から語呂だけが抜け出して全く異なる祭礼になるパターンも面白かったな。

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    2013年10月02日
  • 日本の祭

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    柳田『日本の祭』は実は既に持っている本に入っていたので、改めて買う必要はなく、単に間違ったのである。しかし、ほとんど覚えていないこれをこうして読み返してみた体験は得難いものだった。
    たぶんこの書は柳田国男の代表作の一つと言ってよいだろう。比較的体系的に、日本の民俗的な祭について書かれており、いつもより散漫さが少ないし、読みやすく、民俗学入門書としてもわりといいのではないだろうか。
    一カ所印象的だったのは、近頃の日本人は正月の意味もわからずに「おめでとう」とばかり言っている、と柳田がぼやいているくだり。そういえば正月もまた神事であったかもしれない。しかし世は移ろうものであり、民俗的事象も、日本が

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    2013年06月29日
  • 吉本隆明 思想家にとって戦争とは何か

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    すでに存在しないと思われるヨシモト・ワールド入試用の総まとめ本という印象。主要事項を小冊子によく詰め込んであると思う。おそらく団塊世代のご老体たちが読むのだろう。

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    2025年10月14日
  • 神々の闘争 折口信夫論

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    特に最初の出だしが難しいが20P超えたあたりからだいぶ読みやすくなる、途中哲学がやたら出てくるところも難しい。自分の理解した内容を記述。
    ホカヒビト=乞食者。台湾蕃族慣習調査報告書、沖縄での体験から。蕃族においては結婚、戦争、狩猟はみな同じ霊的コミュニケーション。古代日本と台湾蕃族、沖縄。南の方からきた海の遊牧民であり他界への信仰を布教する伝道者でもある海部。組織的にわたってきた集団が天孫族。
    ミコトモチ。言霊=霊的力を持った言葉。流動言語、喩。語根、言葉の意味の根源的なもの。
    象徴言語:包括的→仮絶対→曖昧→無意義→暗示的→象徴的
    エルンスト・マッハの感覚一元論、折口と親密な関係だった藤無染

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    2024年09月20日
  • 日本の祭

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    日本における祭りとは何かということについて、日本各地の祭りの事例をあげ、分析した結果を記述した本。
    正直、文章も難しいし難解でくじけそうだった。

    が、このように深く考察できることこそが学者といえるのだなと思わせる本でした。

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    2013年07月25日
  • 折口信夫文芸論集

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    折口信夫の文芸論を集めたもの。折口信夫が、文学と民俗学によって日本人の想像力のふるさとを明らかにしようとしていることがわかる。「零時日記」が折口の文学に賭ける想いが露わになっていて、生々しくていい。また、「詩語としての日本語」などを読むと、折口は、短歌的な、詠んだ瞬間溶けてしまうような気分的な日本語に対し、俳句、詩的言語によって、日本語の新しい文体・言語/思想を創ろうとしていたのかもしれないなどと想像できる。

    中公クラシックスの折口信夫全集(民俗学萹)と読むと理解が深まると思う。

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    2013年03月10日
  • 日本の祭

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    柳田国男、遠野物語しか読んでいなかったのでたまたまシリーズで並んでいたので購入。ちょうど日本古来の祭りの起源に興味があったので。

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    2018年11月30日
  • 折口信夫文芸論集

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    正直一回読んだだけでは、理解をすることはできなかった。
    困ったことに、わからない言葉もたくさん。
    そして、同世代として関わった作家の数々、谷崎、堀
    日本文学と折口との接点が少しでも実感できるとおもしろい。
    民俗学以外の面を垣間見れたといったかんじでしょうか。

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    2011年01月30日