【感想・ネタバレ】大拙のレビュー

あらすじ

仏教思想を西洋哲学に匹敵する次元にまで深め、アメリカに大乗仏教の神髄および禅文化を広く紹介し、西田幾多郎からジョン・ケージまで多大なる影響を与えた鈴木大拙。近代日本において最も重要な仏教哲学者の足跡をたどり、その思想の全体像を解き明かす。

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Posted by ブクログ

南伝とも北伝とさえも一線を画す、中国および日本の仏教。そこで展開される「空」「無」「道」「仏性」「不二」等々の概念と、キリスト教やイスラム教の神秘主義思想との異同や、それらが東西の哲学者・宗教者の中で響き合う様を、鈴木大拙の評伝を軸として描いていく。西田幾多郎やスウェデンボルク、あるいはスピノザやライプニッツの思想との関わりなども朗々と語られている。ただ、「一即多、多即一」の世界観が様々に形を変えて、巻頭から巻末まで繰り返し語られるのだが、そうしたあり方を「経験」したことのない者としては、どうしても言葉遊びのように聞こえてしまう。そしてそれは第5章「戦争と霊性」において、上のような議論が結局はただの現状肯定に陥りかねないものとして描かれることによって、よりその印象を強くさせられる。それはともかく、本書は様々な事柄を簡潔に整理していてくれて勉強になることが多かった。(例えば、第7章「禅」において、デカルト・スピノザ・ライプニッツの世界観(214頁ー)、ガウタマ=シッダールタに始まる仏教思想の変遷(262頁)、「仏性」についての諸議論(270頁ー、282頁ー)、等についての簡潔な整理)

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2025年04月23日

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