エイドリアンマッキンティのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「チェーン」は終わらない。
レビュー
プロットが素晴らしいの一言に尽きる。
誘拐犯の子どもは別の誘拐犯に攫われていて、その誘拐犯のもまた別の誘拐犯に攫われ、という、無数に繋がるチェーンという設定自体が秀逸だ。そして、そのシステムの性質上、自分の誘拐だけでなく、繋いだ先の誘拐の成否すら責任を負わなければならない。(会社で人事部のあなたが誰かを採用して、その採用した誰かが採用した人が問題を起こしたら、あなたまでその責任を追及されるということだ。)
この鎖は単なる誘拐連鎖ではなく、システムに組み込まれた時点で、その当事者の身体、そして精神を縛る鎖だ。我が子への愛を担保に繋がっていく。
レイ -
Posted by ブクログ
クソ面白い
もちろんクソ原文ではshitですわな
クソ作中クソ700回くらいクソクソ言う(ほんとはそんなには言わない)
ショーンが目出し帽の男とその仲間たちに森の中を歩かされて、自分を埋めるための穴を掘らされた上に、拳銃を向けられる絶体絶命のピンチを迎えるプロローグから物語はスタート
しかし、ギャリックファーガス署の管内で発生したのは麻薬の密売人が殺されるという北アイルランドでは特段珍しくない事件(それはそれでどうかと)
唯一珍しいのは兇器がボウガンというところ
「薬の売人が背中を矢で撃たれて殺された」
「犯人は地元の法執行機関の手をさんざんに煩わせてる、シャーウッドの森のあの悪党か? -
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Posted by ブクログ
本作を読んで一番に思ったことは、やはりシリーズ物は順番に読むべきだということだ
とりあえず興味をそそられたので評価点の高い4作目から読んでみよう(なぜ4作目から読み始めたか思い出した)というのはFBIが仕掛けた罠なので気をつけたほうがよろしい
それにしても本当にハードボイルドらしいハードボイルドといえるシリーズで、バーボンウイスキーはショットグラスで飲むという方には是非お勧めしたい
ハードボイルドといえばひねくれ者で頑固なタフガイが主人公と相場は決まっていて、本作の主人公ショーン・ダフィもまさにその通りの人物であり、実は自分はそのタイプの主人公はあまり好きではないのだ本来は
しかしながら -
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刑事ショーン・ダフィーシリーズの第1作です
何故かは忘れましたがこのシリーズは4作目から読み始め、次に3作目を読みすごく面白かったんです
そして5作目もすごく面白そうだったので、さすがにここらで1作目を読んでおこうかと思い今日に至ります
次は2作目を読む予定
4→3→1→2→5
うーん、変なの
何かの暗号か?
で、こんな変な読み方をすると、「あ、あれってそういうことだったんか!」というのが随所に出てきてそれはそれで面白い
そしてシリーズを読んですごく思うこと
この日本語訳すごすぎない?訳者の武藤陽生さんは控えめに言って天才だと思う
今回ダフィーのチームはダフィー本人とクラビーとマティ -
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Posted by ブクログ
ショーン・ダフィのシリーズも6作目を数える。宗教対立と内戦下の北アイルランド、キャリックファーガスの田舎警察を舞台にした毎作のストーリーも凄いが、プロテスタントとカトリックの対立、政治思想の対立で分裂する世界一危険な国家に生きる状況を背景にして、この主人公の個性を描出する作家の書きっぷりも凄い。
それでいながらこのシリーズでは食っていけなくなり、ウーバーの運転手で生活を凌いできたという現実の作家の生活っぷりも信じ難い。でも『ザ・チェーン連鎖誘拐』という独立作品で作家に戻った。その作品も実に出来が良い。これだけの作家が食っていけなくなる国というのは何なのだろうか。
さて、本書。そしてダ -
Posted by ブクログ
ネタバレショーン・ダフィシリーズ六作目。
正直に言って、最も衝撃的だったのは「解説」だった。
このシリーズは三作ごとの三部作、
つまりあと三作、書かれる予定らしい。
いやー、もういいでしょ。
一匹オオカミだったダフィが、
娘とその母(結婚していないので妻ではない)と住み、
チームで大事件を解決して、
都合の良い人事を受け入れさせ、
半ば引退する予備巡査の道をつかみ取り、
幸せなラストで自分としてはとても満足していたのに。
今まで登場していなかった父母が登場したり、
警察署で体力テストがあってジョギングしたり、
ダフィが娘のおむつを替えたりと、
いろいろ面白かったが、
やはり圧巻はIRAの暗殺部隊 -
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Posted by ブクログ
ノワールの系譜を正当に継ぐのが、このエイドリアン・マッキンティだとぼくは固く信じている。リズミカルに並べられる名詞の山。体言止めで綴られる小気味よい文体。舞台は、ジャック・ヒギンズの作品でもおなじみのテロの嵐吹き荒れる80年代の北アイルランド、ベルファストとその近郊。
主人公は、すっかりお馴染みになったいい味の一匹狼、汚れた街をゆくショーン・ダフィ。頑固で、タフで、それでいて弱くて、心優しい詩人で、デカダンスな酒呑みで、頭が切れる上に、ピアノも上手い、古いレコードのマニアである。シリーズ作品のタイトルはすべて、酔いどれピアノ弾き語りの天才トム・ウェイツの曲名からなっている。
信頼でき -
Posted by ブクログ
今年初に出版された『ザ・チェーン 連鎖誘拐』には驚いた。この素晴らしい現代のハードボイルドのショーン・ダフィ・シリーズ三作を味わった後では、まるで異なる作家によって書かれたとしか思えないさサービス満点のハリウッド映画みたいなスーパー・エンターテインメントに度肝を抜かれた形だったのだ。それもそのはず、作品が売れず生活に困窮し、作家という仕事を放り出してウーパーの運転手に身を落とそうとしていたマッキンティが、新たに売れ、そして稼げるための創作に鞍替えして、完全イメチェンを図った上の作品が、当該作品であったのだ。なるほど、この面白さ、スピード感なら売れる。それはわかる。
でも思えば、『ザ・チェ -
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エンタメ小説のすべての要素をぶっ込んだハラハラドキドキ!島田荘司が一気読みしたと言うのはどれほどのものか?いや確かに凄い。舞台は1983年北アイルランド。独立運動激しく要人を狙い警察署やホテルが急に爆発して同僚や一般人が死ぬシーンが日常のように描かれる。戦場のようだ。有能が故に本部長に睨まれたショーン・ダフィ刑事は警察をクビになるが、IRAの大物で幼なじみのダーモットを探し出して欲しいというMI5の依頼を、復職を交換条件に受ける。ダフィはダーモットの義母から4年前の娘の死の謎が解けたらダーモットの居場所を教えると取引を持ち出される。しかし4年前の事件は完全なる密室だった。殺人なのか事故なのか。