エイドリアンマッキンティのレビュー一覧
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ネタバレショーン・ダフィシリーズ四作目。
裏表紙には「第四弾にして最高潮」とあったし、
訳者もぜひここまで翻訳したいと力を入れていたけど、
ちょっと肩透かしに遭ったような感じ。
金持ちの夫婦が殺され、息子が行方不明と単純な事件だと、
部下のクラビーにまかせるダフィ。
だが、息子は自殺で見つかり、その恋人も後を追う。
なにか裏があると事件を追っていく。
意外と使えることが次第にわかってくる新人刑事の存在が
面白かったが、
事件よりもダフィがMI5に誘われたことの方が気になってしょうがない。
ちなみに、
武満徹という日本人の作曲家の曲が出てきて「隠れた宝石」と書かれていたが、
全然理解できなかった -
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ネタバレショーン・ダフィシリーズ三作目。
ただの巡査部長に降格されていたダフィは、
さらに一般人をひいて怪我をさせた罪を着せられ、
退職に追い込まれる。
そこへ、MI5が助け舟を出してくる。
幼なじみのIRAメンバーを探し出すことを条件に、
復職したダフィ。
捜査をはじめると、今度は幼なじみの元妻の母から取引を持ちかけられる。
元妻の妹の事故死の真相を突き止めれば、居場所を教えると。
今回は、密室トリック。
暴力がうずまく北アイルランドのミステリーとしては、
唐突な感じが否めないが、面白かった。
そして密室トリックが解けた後、
あっさり片づけられるかと思った幼なじみとの対決も、
サッチャーの命を助 -
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ネタバレ『アイル・ビー・ゴーン』から『ガン・ストリート・ガール』を一作飛ばしてのエイドリアン・マッキンティ。
1980年代の北アイルランドを舞台に宗教対立、国内紛争を下地にしつつ、仲間思いで義理深く、それでいて大きな力にも汲みしないショーン・ダフィ警部補を主役に置いたハードボイルド風味の効いた警察もの。
『アイル・ビー・ゴーン』は島田荘司が解説を書くほど、いわゆる新本格めいた密室殺人事件を扱っていたのだが、またしてもと言うべきか、なんと今度はと言うべきか、本作で扱うのは密”城”殺人事件。
おもしろいと思ったのは、唯一的な容疑者がいる状況下での事件だということ。
自殺でないのなら、犯人はあいつしか -
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ネタバレショーン・ダフィシリーズ二作目。
フィンランド紛争が発生し、
不景気は相変わらず、
ダフィも車の下を覗き込んで爆弾がないこを確認するのは
相変わらずだが、
前作ほど緊迫感漂う感じではない。
またもや切断された死体が
工場の跡地から発見され、アメリカ人だと判明。
死体が運ばれたスーツケースの持ち主も死んでいたが、
そのずさんな捜査に疑問を持つダフィ。
捜査を行った刑事がテロリストに殺されたが、
事件とは無関係なのか…。
アメリカまで飛んで事件を解決しようとしたのに、
刑事を辞めさせられてしまって気の毒。
前作で一緒に住居侵入までしたローラとも別れたし。
もっとも、
同僚に事件関係者と女性に -
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ネタバレ「パードレはもいない」の後ろの広告で見て。
最近読んだ同じ様な暴動の話よりも、
北アイルランドの暴動のこの話の方が面白かった。
社会背景の配分量が多すぎないのが良いのだと思う。
プロテスタントのエリアで、
主人公の巡査部長ショーンがカトリックだというのも。
死体の切り取られた右手は別人のものだった。
体内からは楽譜が発見され、警察には犯人から手紙が届く。
異常者による同性愛者の連続殺人なのか。
全体的には悪くないのだが、
謎解きがちょっとやっつけ仕事。
法律で罰せられない犯人への私刑も気に入らない。
ショーンが家で襲われた時に、
六軒隣に住んでいるテロ集団の管区将校が、
俺のシマだと言 -
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久しぶりにハードボイルドを読んだ
ミステリーでもサスペンスでもなくハードボイルドだ
フォローしている誰かのレビューを読んでエイドリアン・マッキンティに興味をもったのだが誰かは忘れた
くそったれ
ハードボイルドを構成する要素は4つある
ドラッグとセックスと暴力、そして能書きだ
こいつには全て詰まっている
そしてハードボイルドの主人公つまりこの場合はショーン・ダフィの野郎は決して幸せにはなれない
それがハードボイルドだからだ
文章がハードボイルドになっている
影響を受けたということだ
つまりは面白かったということだ
高倉健の映画を見たあとに無口になるように(例えが古い)寅さんを見たあとに「お兄 -
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北アイルランド ベルファスト都市圏の片隅にあるキャリックファーガスの王立アルスター警察巡査部長ショーン・ダフィが主人公。Stiff little fingers やラモーンズを好んで聴いたりキャッチ22を愛読するなど魅力的な人物で周囲の刑事たちも「あい」と土地訛りで返事したりしてて小気味良い感じ。物語は最近にありがちな、なかなか犯人探しが進まず、枝葉の物語だけがどんどん伸びてくパターン(の気がする)。
それにしても80年代のベルファストはまるで紛争地帯。ヨーロッパもいろいろあったし、今もあるんだろうなぁ。
このシリーズ、書評では絶賛なんだけど、次はどうするかな。
たとえばボッシュやピケットのシ -
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ネタバレ舞台は北アイルランド。
凶悪犯を収監する刑務所から大規模脱獄が発生した。
かねてからの素行の悪さが仇となり、警部補から巡査部長へ降格され、国境付近で死と隣り合わせのパトロールを続ける日々を苦々しく耐え忍んでいるダフィは、脱獄班の一人であるIRAの大物テロリストであり旧友であるダーモットの捜索を秘密裏に命ぜられる。
捜査の過程でダーモットの親族から過去の密室事件を解決すれば、彼の居所を教えると持ち掛けられ事件をほじくり返すことに。
こてこてのハードボイルド調からの密室事件というなんとも異色な組み合わせ。
また、北アイルランドというなかな稀有な舞台の政治的背景の興味深さ、骨太で奔放な行動をしつ -
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北アイルランド問題がピークだった頃のアイルランドを舞台とした警察小説の邦訳最新。すごく大雑把に背景事情を説明すると...プロテスタントのイギリスに領有されていたカトリックのアイルランドが独立した時にアイルランドのプロテスタント住民が多い北部だけがイギリス領として残った、そこの領土問題。北アイルランドの警察はいわば支配国家イギリスの出先機関でそこに勤務するカトリックの刑事である主人公は警察内でも異分子とされ、カトリック内部では例えばテロ組織として有名なIRAからも裏切者として狙われる、そういう立場にある。本作では富裕な夫婦が射殺されその息子が行方不明となりやがて自殺と思われる状況で息子の遺体も発
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面白かった、ナイステンポ!
皆キツさが魅力的だったな。
特に己とその大切なもの、その掴んだ手を握り続けようとするレイチェル、カイリー、ピートがやはり。
大人と子供も、自分で決めた事もそんな己に決まった事も、地続きで。けれども、異なるもので。
終盤はある程度新鮮さは落ち着く展開だけれど、それはそうだよね、だし。
真犯人の世界は想像が及び辛いけれど、故に成り立つ文章の提示構造と、それでもなお、が残るバランスがある。
交換誘拐と、チェーンメールと。
真犯人と主人公どちらも、異質ながら確かに人間関係によりそうなった人達で。
そうして、どちらが勝つかとて、どう転ぶか分からなかったもので。
確かな -
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ネタバレ娘のカイリーはつらい体験をしたが,無事に帰ってきた。レイチェルが選んだ次の被害者ダンリーヴィもまた,チェーンをうまく継続させた。一見もとの日々が戻ってきたように見えるが,巻き込まれたレイチェル,ピート,カイリーはみな,取り返しのつかない傷を負ってしまった。レイチェルは娘のために立ち上がる決意をする。チェーンを壊さなくては。
「ルーム」,「棺の女」等々,「帰ってきた被害者のその後」を描く物語はいくつかありますが,この本の場合は「自分も加害者になってしまった。だから本当のことは誰にも言えない」ということのほか重たい事情を抱えているところが特徴。
下巻では,ピートに止められながらも立ち向かう決意を