エイドリアンマッキンティのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「チェーン」は終わらない。
レビュー
プロットが素晴らしいの一言に尽きる。
誘拐犯の子どもは別の誘拐犯に攫われていて、その誘拐犯のもまた別の誘拐犯に攫われ、という、無数に繋がるチェーンという設定自体が秀逸だ。そして、そのシステムの性質上、自分の誘拐だけでなく、繋いだ先の誘拐の成否すら責任を負わなければならない。(会社で人事部のあなたが誰かを採用して、その採用した誰かが採用した人が問題を起こしたら、あなたまでその責任を追及されるということだ。)
この鎖は単なる誘拐連鎖ではなく、システムに組み込まれた時点で、その当事者の身体、そして精神を縛る鎖だ。我が子への愛を担保に繋がっていく。
レイチェルの決断力、カイリーの勇敢な脱出未遂、ピートの協力、誘拐した子どものアレルギー反応など、どれもが予想外であり興奮する要素になっていて、ページをめくる手が止まらなかった。
そして、カイリーとの邂逅も束の間、次のミッションも難儀を極めそうで、非常に楽しみだ。
余談
チェーンといえば、作中にも出てくる「暗号通貨」の技術である「ブロックチェーン」。これは分散システムであり、中央集権的なシステムでないからこそ、改竄を防ぎ、確実な追跡を可能にするものだ。この物語はきっと、この技術の特性を理解して、そこから着想を広げたのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
クソ面白い
もちろんクソ原文ではshitですわな
クソ作中クソ700回くらいクソクソ言う(ほんとはそんなには言わない)
ショーンが目出し帽の男とその仲間たちに森の中を歩かされて、自分を埋めるための穴を掘らされた上に、拳銃を向けられる絶体絶命のピンチを迎えるプロローグから物語はスタート
しかし、ギャリックファーガス署の管内で発生したのは麻薬の密売人が殺されるという北アイルランドでは特段珍しくない事件(それはそれでどうかと)
唯一珍しいのは兇器がボウガンというところ
「薬の売人が背中を矢で撃たれて殺された」
「犯人は地元の法執行機関の手をさんざんに煩わせてる、シャーウッドの森のあの悪党か?」
クラビーとショーンのこんなのんきなやり取り
緊迫の場面から一転していつもの二人いや新米刑事のローソンを加えていつもの三人
事件の捜査はなかなか進展せず、ショーンの恋人ベスと娘エマの日常が描かれていく
あれれ?このスローペースから、どうやってあの場面に?と思わせながら物語はあくまでのんびり進みます
でもこののんびりのところもぜんぜん退屈じゃなくてすんごい面白いのよ
そして、もちろんこののんびりペースは作者の手の内で後々効いてくることばっかり、良く出来てるの
一気にペースが上がる後半から最後までハラハラさせての、いい感じのラスト
すんばらしい大傑作でした!
ショーン・ダフィシリーズ
もっと読まれてもいいと思うんだけどなぁ〜
ノワールはやっぱり一般受けしないのかなぁ〜
★5じゃクソ足りない! -
Posted by ブクログ
本作を読んで一番に思ったことは、やはりシリーズ物は順番に読むべきだということだ
とりあえず興味をそそられたので評価点の高い4作目から読んでみよう(なぜ4作目から読み始めたか思い出した)というのはFBIが仕掛けた罠なので気をつけたほうがよろしい
それにしても本当にハードボイルドらしいハードボイルドといえるシリーズで、バーボンウイスキーはショットグラスで飲むという方には是非お勧めしたい
ハードボイルドといえばひねくれ者で頑固なタフガイが主人公と相場は決まっていて、本作の主人公ショーン・ダフィもまさにその通りの人物であり、実は自分はそのタイプの主人公はあまり好きではないのだ本来は
しかしながらダフィはもう大好きだ
理由はダフィの二人の部下クラビーとマティとの関係性にあって、これがもう完全に「舐められてる」のだ
舐められているがそこには深い尊敬と信頼が込められていて、この3人のやり取りがダフィを愛すべき人物として形づくってるんよね
セリフだけでは伝わらないかもしれないけど面白かったダフィのセリフを
工場跡地を捜索中にどちらがコンテナの中を調べるかでクラビーと揉めて
「確かにコイントスには負けたが、巡査部長への昇進試験で俺の助けが必要になったときは覚えていろよ」
仲が気まずくなっている女医(病理医)と会いたくなくてぐずぐずしているのをクラビーに咎められたダフィが病院の受付に
「キャリック署のダフィ警部補です。こっちは私の精神的指導者のマクラバン巡査刑事」
ダフィの指示に「それ、なんの意味があるんすか?」と言い返すマティに向かって
「ウィリアム・シェイクスピアの言葉にこういうのがある。“いいからやれ、汝、このくそったれ“」
他にもたくさんあるし、上司のブレナン警部とのやり取りもいちいち面白いんよね
さぁ次は5巻だ! -
Posted by ブクログ
刑事ショーン・ダフィーシリーズの第1作です
何故かは忘れましたがこのシリーズは4作目から読み始め、次に3作目を読みすごく面白かったんです
そして5作目もすごく面白そうだったので、さすがにここらで1作目を読んでおこうかと思い今日に至ります
次は2作目を読む予定
4→3→1→2→5
うーん、変なの
何かの暗号か?
で、こんな変な読み方をすると、「あ、あれってそういうことだったんか!」というのが随所に出てきてそれはそれで面白い
そしてシリーズを読んですごく思うこと
この日本語訳すごすぎない?訳者の武藤陽生さんは控えめに言って天才だと思う
今回ダフィーのチームはダフィー本人とクラビーとマティの3人で、この3人のやり取りが凄まじく面白いんだが(物凄いざっくり言うとクラビーがツッコミでマティが大ボケでダフィーが小ボケ)それぞれがかなり特徴的な背景を持ってるんですよね
その背景と喋り方が物凄いしっくりするんですよね
出身地それぞれに訛りがあって地名とか全然わからないんだけどすごい説得力があるんですよ
それを日本語でさらっと表現しちゃってるんです
あーなんか上手く説明できない
とにかく彼らが(日本語で)そんな喋り方をするのが全く違和感なく受け入れられちゃうんですよね
長身痩躯で、念入りに整えられたひげを生やしていて、髪はストレートの赤毛、肌は青味がかった白
実家は代々農家で、保守的、バリミーナ訛りがあるクラビーはそういう喋り方
なんの違和感も感じない
うーん凄い
うーんすごくたくさん書いたのに全然言いたいことが言えてない気がするw
(諦めたな) -
Posted by ブクログ
ショーン・ダフィのシリーズも6作目を数える。宗教対立と内戦下の北アイルランド、キャリックファーガスの田舎警察を舞台にした毎作のストーリーも凄いが、プロテスタントとカトリックの対立、政治思想の対立で分裂する世界一危険な国家に生きる状況を背景にして、この主人公の個性を描出する作家の書きっぷりも凄い。
それでいながらこのシリーズでは食っていけなくなり、ウーバーの運転手で生活を凌いできたという現実の作家の生活っぷりも信じ難い。でも『ザ・チェーン連鎖誘拐』という独立作品で作家に戻った。その作品も実に出来が良い。これだけの作家が食っていけなくなる国というのは何なのだろうか。
さて、本書。そしてダフィー。彼は、「くそ」を連発する乱暴なセリフの裏で、家に帰りつくと、ショパンのレコードに耳を傾けながら、レビ・ストロースの『悲しき熱帯』を読むというインテリゲンチャである。
車底に爆弾がないことを必ず確認してBMWに乗る。車内では古いブルースやロックをかける。新しい音楽傾向にはげんなりしている。そのくせ音楽が凄く好きで、おまけに評論家なみに詳しい。そんな暇がありそうにない多忙な日々であれ、いつも音楽を、しかもレコードに針を落として聴いている。大抵いつも。
それがショーン・ダフィ。乱暴でワイルドなイメージはあっても腕利きの殺人課刑事。多感で感情の浮き沈みが激しいが、とにかくインテリなのだ。音楽、文学、美術なんでもござれ。
そのダフィが、拉致され捕縛され原始林の中を処刑場所に向かって曳かれてゆくシーンのこの本は始まる。のっけからクリフハンガー状況。そして物語は遡って始まる。
そもそものスタート地点となるのは、クロスボウでの殺人という珍しい事件。捜査シーン。なぜクロスボウなのか? しかも異様な殺人現場。警察官が引き上げてしまっており、多くの見物人に荒らされている。死体の上には煙草の灰さえ落ちている殺人現場。鑑識もまだ来ていない。何時間も放置されている死体。そんな殺人現場はミステリー作品で見たこともないが、ダフィの時代には存在するのだ。
殺されたのは麻薬密売人。その妻は拘留中。小さなきっかけに見えるが、物語は末広がりにスケールを増してゆく。
ダフィの一人称による語りで展開するこのシリーズだが、そのリズム、テンポがいつもながら乗り乗りなので、多少分厚い本書でも苦には感じない。乗せられてしまう作品。ダフィの音楽性やリズム感は、きっと作者の内にあるものなのだろう。そして1980年代。北アイルランドが燃えていた時代。IRA対アルスター警察の内戦状態と言えた時代。テロリストがプロとして食っていけた時代。その時代の文化である音楽や文学を語りながらの捜査こそがダフィという主人公の個性である。
前半は、ダフィの現在の生活っぷりと乱れた捜査陣系の立て直し。後半はアクション、またアクション。ジャック・ヒギンズの世界に舞い降りた新しい才能。それがエイドリアン・マッキンティだ。この後、彼と言う作家がどうなってゆくか心配だが、このシリーズは次の三作までが予定されており、その一作目、他に単独作品も今年同時に上梓されている。その合間は作品が発表されていないので多分ウーバー。
苦労の中で書き続けて欲しい。この作家の才能は確かなものなのだから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレショーン・ダフィシリーズ六作目。
正直に言って、最も衝撃的だったのは「解説」だった。
このシリーズは三作ごとの三部作、
つまりあと三作、書かれる予定らしい。
いやー、もういいでしょ。
一匹オオカミだったダフィが、
娘とその母(結婚していないので妻ではない)と住み、
チームで大事件を解決して、
都合の良い人事を受け入れさせ、
半ば引退する予備巡査の道をつかみ取り、
幸せなラストで自分としてはとても満足していたのに。
今まで登場していなかった父母が登場したり、
警察署で体力テストがあってジョギングしたり、
ダフィが娘のおむつを替えたりと、
いろいろ面白かったが、
やはり圧巻はIRAの暗殺部隊に襲われた場面。
一作目で助けてもらったテロ組織の幹部が、
また、軽機関銃で追っ払ってくれた。
その前にIRA実行部隊にハニートラップにかけられたのに、
そのハニー役だった女性の命を助けるために、
警察に連絡せず、
IRAのメンバーの家に行くところは良かった。
それと、アイルランドとの国境で追い詰めた犯人を、
撃ち殺すでもなく、逮捕し裁判を受けさせるわけでもなく、
警察にとって都合よく使うとは、それも面白かった。 -
Posted by ブクログ
ノワールの系譜を正当に継ぐのが、このエイドリアン・マッキンティだとぼくは固く信じている。リズミカルに並べられる名詞の山。体言止めで綴られる小気味よい文体。舞台は、ジャック・ヒギンズの作品でもおなじみのテロの嵐吹き荒れる80年代の北アイルランド、ベルファストとその近郊。
主人公は、すっかりお馴染みになったいい味の一匹狼、汚れた街をゆくショーン・ダフィ。頑固で、タフで、それでいて弱くて、心優しい詩人で、デカダンスな酒呑みで、頭が切れる上に、ピアノも上手い、古いレコードのマニアである。シリーズ作品のタイトルはすべて、酔いどれピアノ弾き語りの天才トム・ウェイツの曲名からなっている。
信頼できる常連キャラである相棒クラビーに、新人ローソンを加えた三輪体制となって、本作で迎えるは『アイル・ビー・ゴーン』に続く密室殺人事件。舞台は、お馴染みのキャリックファーガスと、その古城。しかも物語のスタートは、驚くべきゲストをベルファストに迎える。モハメド・アリ! 彼をガードするチャンスを得たショーンは舞い上がる。サービス満点の虚実織り交ぜたプロットをも運ぶマッキンティのペンの冴えは想像力を暴走させては、ますます加速する。
エルロイのようだ。エルロイを師と仰ぐ馳星周のようでもある。リズミカルで、踊るような文体。リズムは緩急を変え、読者を世界の果て、閉ざされた時代へといざなってゆく。ある種の酩酊感を自覚させられる読書感覚。
それでいながら本格推理的トリックにもこだわる。今回は、同じ刑事が、二度も密室殺人に出くわす確率への疑問を、主人公ショーン自身があり得ない確率と意識してやまない。二重三重の罠への疑惑。標的はショーンであるのかもしれない。ショーンの懐疑にはきちんと決着がつく。いつもながらの練りに練られたプロット。
当時の国際事情。南北に分かれたアイルランドのそれぞれに違う法律という罠。フィンランドからの異邦人たち。過去からの使者。ショーンの捜査に引っかかる様々なファクター。さらに少年たちの収容施設の存在と、収容者たちの性被害疑惑が事件に引っかかってくる。史実、事実に絡ませた題材を取り込んでいる。作品の厚み。世界との繋がり。アイルランド史という深海に下ろされた作品という名の錨のようだ。
ショーンにとっては、彼のプライベイト・ストーリーでサンドイッチされた作品であるという点も、注目すべきである。粋な構成。心を打つリズム。やはり最後まで音楽性豊かな作品であるかのような。次作への焦がれるような期待に心が焼かれる。不良青年のような風貌の作者と、不良そのものである刑事ショーン。
本書は、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペーパーバック賞受賞作。本格ミステリの謎解きをノワールの闇で包み込んで仕上げた唯一無二の世界観と言える本シリーズ。つくづく、はまったら抜けられない世界。この個性をいつまでも! -
Posted by ブクログ
今年初に出版された『ザ・チェーン 連鎖誘拐』には驚いた。この素晴らしい現代のハードボイルドのショーン・ダフィ・シリーズ三作を味わった後では、まるで異なる作家によって書かれたとしか思えないさサービス満点のハリウッド映画みたいなスーパー・エンターテインメントに度肝を抜かれた形だったのだ。それもそのはず、作品が売れず生活に困窮し、作家という仕事を放り出してウーパーの運転手に身を落とそうとしていたマッキンティが、新たに売れ、そして稼げるための創作に鞍替えして、完全イメチェンを図った上の作品が、当該作品であったのだ。なるほど、この面白さ、スピード感なら売れる。それはわかる。
でも思えば、『ザ・チェーン』のおかげで、こちらショーン・ダフィ・シリーズの続編邦訳も刊行もきっと無事潮流に乗ったのだ。ぼくとしては、こちらのほうがマッキンティの実物大作品として大のお気に入りなので、ほっとさせられる話でもある。
ショーン・ダフィは役職などには興味がない代わりに、実力派の警察官であり、そして何よりも世界に対して突っ張っている。その気高きハードボイルド精神と野良犬のような生存感覚が何とも頼もしく、ぼくは今やこのシリーズを大のお気に入りに入れている。
本書の作者あとがきにある通り、背景には歴史的事実とされる事件がちりばめられており、シリーズ中最も北アイルランドと英国との関係が重要なファクターとなっている作品となっている。前作『アイル・ビー・ゴーン』では、密室ミステリーとして島田総司の影響をマッキンティが受けているとして、別種の脚光を浴びたみたいだが、本書はより国際冒険小説の色合いを濃くし、スケールの大きさを見せている。
しかし何よりもショーン・ダフィという人間の生きざまそのものが、昨今失われているように感じるハードボイルド精神の気高さや底なしの意地というものを感じさせて、この武骨で喧嘩っ早い主人公刑事を応援する側につい回ってしまう、というのがシリーズの最たる魅力となっているのだ。
是非、作中で、様々な政治的葛藤のるつぼに足掻く、プロ根性の警察官ショーンの生き様、彼の背景に鳴り響くメロディに耳を傾けて頂きたいと思う。 -
Posted by ブクログ
エンタメ小説のすべての要素をぶっ込んだハラハラドキドキ!島田荘司が一気読みしたと言うのはどれほどのものか?いや確かに凄い。舞台は1983年北アイルランド。独立運動激しく要人を狙い警察署やホテルが急に爆発して同僚や一般人が死ぬシーンが日常のように描かれる。戦場のようだ。有能が故に本部長に睨まれたショーン・ダフィ刑事は警察をクビになるが、IRAの大物で幼なじみのダーモットを探し出して欲しいというMI5の依頼を、復職を交換条件に受ける。ダフィはダーモットの義母から4年前の娘の死の謎が解けたらダーモットの居場所を教えると取引を持ち出される。しかし4年前の事件は完全なる密室だった。殺人なのか事故なのか。ファミリーを裏切れば殺されるマフィアのような北アイルランド独立運動家達のテロによる死者続出の緊迫感の中で、密室という本格謎解きが味わえる上にハードボイルドでありスパイ小説であり警察小説なのだ。アイルランドはこんなに怖いのか?情況証拠しかない密室殺人は犯人を見つけ手を汚さず法に頼らず落とし前を付けるも、張り込んだダフィはダーモットらに手錠をはめられ殺されようとしていた。さらにIRAはサッチャー首相宿泊ホテルに時限爆弾をセットしていた。爆発まで残りわずか。もう絶対間に合わない!ここから何が起きるんだ!やめてー!