本郷和人のレビュー一覧
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ネタバレ「どうする家康」ロスです。賛否両論ありましたが、素晴らしい最終回でした。本書は大河ドラマを見る前の予習として読むのに丁度いいかなと思いました。文章も読みやすいです。大河ドラマ後だと内容的に少し物足りない感がありました。
ドラマと異なる点で驚いたのは酒井忠次。「えびすくい」で殿を支えていたと思っていたら、築山殿と信康事件で家康から嫌われていたとは…。後は家康の戦で采配が輝いたのは「小牧・長久手の戦い」のみ。本書で目新しいと感じたのがこの2点のエピソード。
私たちは信長や秀吉にはなれない。しかし家康にはなれるかもしれない。我慢し続けた日本一の凡人。今年は徳川家康にはまりました。読み納めも殿でした。
ドラマ最終回の回想は「ゴッドファーザーPART2」のラストシーンを思わせてくれました。死に際では人は人生で一番楽しかったときを想い出すのかもしれない。それは家族や友人みんなが集まる楽しい食事につきる。山田洋次の「息子」もそうだったなぁ。正月前にしみじみ思います。 -
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<目次>
第1章 宇多天皇
第2章 信西
第3章 北条政子
第4章 中原親能
第5章 極楽寺重時
第6章 海住山長房
第7章 平頼綱
第8章 北畠親房
第9章 三宝院賢俊
第10章 細川頼之
第11章 三宝院満済
第12章 黒田官兵衛
第13章 千利休
第14章 高山右近
第15章 伊奈忠次
終章 西郷隆盛
<内容>
黒幕とは、地位と実験が必ずしも一致しない日本において、ウラの存在でありながらオモテを動かした人物や地位と実権、実績に大きな隔たりがある人、重要な役割を果たしながら目立たない存在、をピックアップした本。歴史の本筋を理解していないとわかりにくいかもしれない。 -
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失敗という切り口から歴史上の人物を見ていくというのは非常に興味深く、サラッと読めた割にはためになるものであった。
しかし正直なところ、失敗というのは一口では言えるものの、なかなかにその本人は意図してないところや、自身ではどうにもならないところからも作用されるところがあるものだとも考えさせられた。懸命奮戦する北畠顕家や武田勝頼などは印象的なのではなかろうか。
室町時代には疎いが、やはり歴史大家の人たちの蓄積により後醍醐天皇はあまりにも過大評価されているんだなあと思わされた。
本書と対照的に立ち居振る舞いに特化し成功した人物を描いても面白いものができそうである。 -
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ネタバレ地位より人、人というのは血、むしろ血より家、これが日本の大原則。
ヤンキーにあこがれる精神は、階級意識の裏返し。
かつての日本では、頭頂部を人に見せるのは恥だった。烏帽子をかぶる。寝ているときも。
社会で世襲が存在感を持つ。総理大臣や社長も左右する。
ウルトラマンは、最終的には家族ができてファミリー化した。記紀神話も同じように神様をファミリー化していった。
日本では科挙がなかった=家を単位にした世襲で役人が決まった。遣唐使の吉野真備は例外。
和同開珎は流通していなかった=蓄銭叙位令でたくさん蓄えた者に位階を与える法律。銭は、鎌倉時代に中国の銅銭が貿易に使われるようになって流通するようになった。
国司は地方官=守。中央は、下から参議、権中納言、中納言、大納言、大臣(内大臣、右大臣、左大臣、太政大臣)、天皇の代行者としての摂政関白。
摂関期から院政期は、純婿取婚=女系の家で結婚生活を送る。家制度との矛盾がある。男性で受け継ぐ系図が描けない。
院政は、中世の始まり=律令制の形骸化していた公地公民に変わって、荘園・公領制へ移行した。
核家族から直系家族へ変化。長子相続だが、遊牧民では末子相続も見られる。そののちに、家父長制=結婚しても親の世帯に残る。大家族。
日本には後宮がなく、婿取婚なので子供は母方の実家で育てられる。
摂関政治の基本は、招婿婚を利用した家族。家族に比べて家は、永続的になりやすい。
在地地主は、有力者への寄進=名義貸し、によって守ってもらう。
延久荘園整理令は、上皇の監督権を高めたため、上皇への寄進が増えた。これによって院政が可能になった。
寄進しないで公領となる道を選ぶ在地地主もいた。実質的には同じこと。
頼朝の力の源泉は、所領安堵。武士となった在地地主をまとめる手段。
家は血縁性を超越している。血がつながらないだけでなく、高貴な血筋が喜ばれた。高貴な血が入っているほうが箔がつく。
三位以上を公卿といい、貴族の証。北条家は下の四位までに留めて、階位を求めなかった。
政治をやるのは徳川の家来がすること。大きな家の譜代大名は政務に関わらない。本多も榊原も老中にはなれなかった。
ツリーとリゾーム。
ツリーは家制度と同じ主従関係。縦関係で結ばれる。リゾームは、横ともつながる非階層性のネットワーク。一向宗や浄土真宗。一神教に近い。
徳政令は、借金の棒引き=徳政=民にとっていいこと、の意味。
南北朝で南朝の存在は、尊氏には都合がよかったのではないか。北朝の天皇を相対化できた。
天皇の存在は否定しない=天皇が変わるのは易姓革命=古代中国の王朝交代。天の声、という正当化要素があったが日本にはその概念がない。天皇が変わらなかった理由。
秀吉の段階で、職の体系による支配から、一職支配へ変わった=土地を与えることはすべての権限を与えること。それを秀吉が保証する。
家康は、関ヶ原の直後、論功行賞を行っている=支配権を確立した。これを徳川政権樹立とみるべき。
明治政府は外圧で世襲を辞めた。それまでは、安定した世の中だった。ただし天皇は世襲。中国で、皇帝は世襲、官僚は科挙によるものと同じ仕組み。
日本の現代も平和が崩れてくる状態=世襲ではやっていけなくなる。人口減少という黒船によって実力主義になる。 -
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「鎌倉殿の十三人」は割りと視聴率が高かったようで、テレビを殆ど見ない自分にとっては、それが興味の対象となった。
歴史の教科書で、鎌倉時代の記述ってせいぜいで1ページくらいだったような、あまり意識したことのない時代だったけど、考えてみれば、それまでの天皇(朝廷)による統治から、武士による統治と言う、歴史的には大きな変化点だったのだよね。そしてその急所が「承久の乱」。
権力を目指す人は、親であろうが兄弟であろうが、殺し殺される。これは武士でも皇族であってもだ。
中世ヨーロッパでも同じようなものだったろうし、人間って、離れていても同じ奇跡を辿るもんだなと、変なところに意識が及んだ。 -
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思い起こせば数十年前、突如、今のこの私と同じように徳川家康もかつて生きていたんだと、何か真実でも悟ったかのように、大げさでなく雷に打たれたように、生身の人間として生きていた「徳川家康」という人を、ありありと「体感」しました。何がきっかけだったのかは覚えていないのですが、えも言われぬ不思議な体験で、ものすごく衝撃を受けました。
それ以来、歴史というものがすべて他人事とは思えなくなり、もしかしたら私も体験していたはずのことだったのかもしれないと思うようになりました。この体験から、ぐんと歴史に興味が湧くようになり、歴史好きになったのです。
そんな、ある意味私の人生を変えたとも言える、徳川家康という人についてのこの本、今年(2023年)のNHK大河ドラマの主人公が家康さんだということで昨年秋に発売されました。
日本人なら知らない人はいないであろう人ですが、当時としてはかなり長生きされたおかげで、その全人生をたどれる本がなかなかない。家康の人生のうちのどこかの数十年を切り取って、いくつかの出来事に沿って描かれた作品が多い。山岡荘八の『徳川家康』が全26巻で、家康さんの全生涯をたどれそうだけど、気軽に手を出せるものではないので、家康の全体像が一冊でわかる本はないかなぁ、と思っていたところに、この本が目の前に現れました。
本書の著者である本郷先生はよくテレビに出演されるので、お顔も声も話し方も存じ上げています。この本では、語りかけるような文体で、ほぼ口語といってもいい表現で書かれているので読みやすく、本郷先生のお話を直接聞かせていただいているようでした。
生きざま、家臣団、軍事、政治・経済、外交、人間、と6つの視点から家康さんのことが語られます。はじめに略年表や地図があるのもうれしい。信長や秀吉との比較、他の時代に生きた人々や出来事との比較、また現代との比較もあり、楽しく読めました。家康さんの全体像をざっと把握するのには良い入門書だと思います。
それにしても司馬遼太郎ってやっぱりすごいんですね。歴史学者も認める考察の深さ。司馬遼太郎作品を読むのがさらに楽しみになりました。
あと、山岡荘八の『徳川家康』全26巻も、やっぱりいつか読みたいな。