【感想・ネタバレ】「失敗」の日本史のレビュー

あらすじ

出版業界で続く「日本史」ブーム。書籍も数多く刊行され、今や書店の一角を占めるまでに。そのブームのきっかけの一つが、東京大学史料編纂所・本郷和人先生が手掛けた著書の数々なのは間違いない。今回その本郷先生が「日本史×失敗」をテーマにした新刊を刊行! 元寇の原因は完全に鎌倉幕府側にあった? 生涯のライバル謙信、信玄共に跡取り問題でしくじったのはなぜ? 光秀重用は信長の失敗だったと言える? あの時、氏康が秀吉に頭を下げられていたならば? 日本史を彩る英雄たちの「失敗」を検証しつつ、そこからの学び、もしくは「もし成功していたら」という“if”を展開。失敗の中にこそ、豊かな“学び”はある!

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Posted by ブクログ

2021/10/16
古代の政治家から安土桃山時代、江戸時代の有名武将たちまで、幅広く彼らが地域や国の中心として政治を行なっていく上での「失敗」に着目して、その行動の何がいけなかったのかを考える本です。
著者も書いているとおり、歴史に「もしも」はないですが、現代まで名が残る時代を作り上げてきた成功者がいるということは、表に出てこないだけで、その礎となった多くの失敗したものたちがいたはずです。
国を動かす中心的存在であった人物たちには日々多くの決断が迫られていたことだろうと思いますが、成功と失敗の明暗を分けるものは一体どこにあったのだろうか、特に失敗した人物たちはどんなところがダメだったのだろうかという明確なダメ出しが史実を元にしつつそこから考察していくという形で時代ごとに検証されています。
実際にどうだったのかはわかりませんが、読んでいてなるほどなぁと思うところが沢山ありました。
色々と歴史について考えるきっかけにしたい一冊だと思います。

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2021年10月17日

Posted by ブクログ

平清盛、源義経、上杉謙信、そして織田信長、豊臣秀吉といった、歴史上の名だたるヒーロー達。彼らの犯した(?)過ち、失敗とその背景を振り返り、もし彼らがその失敗とは違う「別の道」を歩んでいたらどうなったか考察する。歴史にifは無いが、敢えてそのシミュレーションをして見るのも歴史を学ぶ楽しさだろう。

かし今よりも昔の人の方が、先人の歩み功績に学び、失敗から多くの教訓を得ていた筈。頼朝にせよ、信玄にせよ、あれ程他者の動向から多くを学び、糧にしていた筈の人でも、結局は「失敗」する。それも思わぬところで。

人間は「考える葦」というより、「失敗する動物」と定義し直した方がいいのでは。

この本で取り上げられなかったヒーローと言えば徳川家康ぐらい。一応、戦乱の世を終わらせて、二百六十年余り続く太平の世の礎を築いた事が評価されているのだろう。その彼にしても、若い頃は三河一向一揆や三方ヶ原での大敗等、かなり手痛い失敗・敗戦を積み重ねている。結局は過去の失敗から何を読み取るかが、その人の今後を左右するのだろう。
その事自体は今も昔も変わらない。人間は昔からそんなに進歩している訳では無いし、先人達の営み(失敗も含め)から今と変わらない人間模様を読み取り解釈するのも面白い。学者先生達の今後の研究に期待したい所です。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

歴史から「失敗」を学ぶことに意味がありますね!
失敗を暴かれる歴史上の人物には少しばかり同情しますが…。

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2023年12月11日

Posted by ブクログ

近年の日本史ブーム(新書だけ?)の立役者の一人、本郷和人先生による一冊。「失敗」観点から日本史を振り返る。

失敗の観点からの日本史。例えば豊臣秀吉の失敗でいえば、
1.なぜ家康を放置したか。
2.なぜ朝鮮出兵をしたのか。
など定番。
他に鎌倉時代から戦国時代までの多くの貴族や武士、大名の知ったについて語っている。定説とはなっていないが、筆者の独自の考えも散りばめられており楽しい。

語り口調なので読みやすい。

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2021年09月08日

Posted by ブクログ

平清盛、源義経、北条時宗、上杉謙信、豊臣秀吉、伊達政宗といった時代の寵児たちの失敗を紐解く。
平清盛の京都に政権を開いたことが、武家政権を確固としたものにできなかった。
源義経は兄の頼朝の気持ちを汲み取ることが出来ず、対立を招くことになった。
北条時宗は、元寇で働いた武士たちに対して、自分の身を削っても領土を与えなかった。
上杉謙信は越後という枠に括られたことと、跡継ぎについてしっかりと決めてこなかった。
豊臣秀吉は、身内を大切にできなかったこと。そして家康に広大な領地を与えてしまったこと、朝鮮出兵など。
伊達政宗はパフォーマンスばかりが目につき過ぎた。

など、かなり上から目線な解釈もありますが、失敗でも歴史に名が残せることの方が偉いかなと思ってしまいますし、成功か失敗かは時代時代で解釈が変わる気もしました。

秀吉の失敗については他の武将に比べて観点が多いのが気になりましたが、総じて言えば大局観を待ちましょう!
でしょうか。

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2021年06月12日

Posted by ブクログ

本郷氏の著作を読んだのは、これで42冊目となります。コロナ禍の2021年に呼んだもので、読み終えてレビューを書くのを忘れていて、部屋の整理で発掘されました。

私の社会人生活で言えることは「成功には運が味方することがあるが、失敗には必ず原因があり、それを直さないと必ず繰り返す」というものがあります、それだけに「失敗」から学ぶことは大事だと思います。この本は歴史上の有名な武将の失敗を本郷氏が解説してくれています。これを機に、本の中身を振り返ってみたいと思います。

以下は気になったポイントです。

・武士というものはまだ、朝廷に近づくと独自性を保つことができなくなる、という消極的な理由で、鎌倉が選ばれた。その点を克服したのが足利尊氏で「武家政権はそれなりに力を蓄えたので、朝廷と直接対峙しても負けることはない」ということで、京都へ本拠を移した(p24)

・検非違使の長官は「かみ」次官は「すけ」3番目の「じょう=尉」が「判官」と呼ばれる、さらに次は「主典(さかん)」そして「大夫(たゆう)」義経は「大夫判官」という官職をもらった(p28)

・将軍は本来的には、もともと命懸けの忠誠心を要求できる軍事貴族出身がその座につくもの、ところが武士の中でも底辺の方だった北条が将軍になったら、反発を招くことになっただろう。北条が将軍になれなかったのは、賢い北条氏は自分が将軍になるような愚策は取らなかった、表の顔として毛並みの良い血筋の人をたて、自分はその後ろで汚れ仕事をやり、実権を握っていた(p66)

・建武の新政、1334年を初めてわずか3年で途絶えてのは、武士の力を全く認めなかった、このことに尽きる(p72)

・斯波義将(彼の場合は、はよしゆき)斬波家は足利一門のなでも非常に家格が高く、鎌倉幕府の中でも独立した一つの御家人として位置付けられていた、細川家も足利一門だが、足利本家の家来筋、それと比べると、吉良・畠山・斬波といった名門家は、足利本家と対等に近い独立した御家人という地位にあった(p116)斯波義将に協力した(細川に勝利)のが、山名・大内・岐阜の土岐(p119)

・足利義満は将軍になって、権力を確立するため、有力な守護大名を潰した、1390年土岐、1391年山名、1400年大内、細川家は将軍と一体になって繁栄した(p120)

・応仁の乱では、西軍としては、山名を中心にして「土岐・大内」義満の時代に一度は潰されたが力を取り戻してきた、東軍は「細川グループ」ここから西軍に移籍したのは「一色」くらい(p123)応仁の乱は、視点を変えると「瀬戸内海の覇者は誰だ」という争いでもあった(p125)

・武田信玄は、室町幕府が与えるその国のリーダの資格=守護を手にいれ、さらに朝廷が与える資格である「国司」の官も入手して「信濃守」になった(p176)

・信長は尾張統一(57万石)の後、北伊勢(30万石)を取得し、30代前半で既に150万石もの領土を持っていた、信玄は晩年になってやっと60万石(p178)

・日本はもともと「西高東低」の国であった、文化の先進地域は西の上方で、関東は僻地であった、家康が大工事(利根川の曲げて鹿島灘に注ぐにようにする)を始めるまで、人も住めない土地であった。関東で源頼朝が武家政権を作った、西国で独立政権を作ろうとしても潰しに来ただろう。頼朝は朝廷と折衝を繰り返し、ようやく認められた、朝廷と武士の政権の関係は並び立つ形で終わった(p204)

・京極高次の家は、鎌倉時代から続いてきた佐々木家が元になっており「近江と言えば佐々木」と天下に聞こえる大変な名家であった、それが室町時代に2つに別れて、六角と京極になったが、高次の時には、落ちぶれていた(p253)

2021年4月5日読破
2025年6月11日作成

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2025年06月11日

Posted by ブクログ

鎌倉から安土桃山時代ぐらいまでの主に武将たちの「失敗」というより、なぜこうしたのか、こうした方がよかったのではという「if」に近い話。
軽く読める文体ながら、勉強になることも多かった。

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2025年05月09日

Posted by ブクログ

 失敗という切り口から歴史上の人物を見ていくというのは非常に興味深く、サラッと読めた割にはためになるものであった。
 しかし正直なところ、失敗というのは一口では言えるものの、なかなかにその本人は意図してないところや、自身ではどうにもならないところからも作用されるところがあるものだとも考えさせられた。懸命奮戦する北畠顕家や武田勝頼などは印象的なのではなかろうか。
 室町時代には疎いが、やはり歴史大家の人たちの蓄積により後醍醐天皇はあまりにも過大評価されているんだなあと思わされた。
 本書と対照的に立ち居振る舞いに特化し成功した人物を描いても面白いものができそうである。

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2023年12月16日

Posted by ブクログ

平清盛辺りの平安時代から戦国時代の人物の失敗を分析。リスト入りしていないのは徳川家康位で大体の連中は失敗していることになる。
筆者も書いているとおり応仁の乱頃の辺りの人物はどうも頭に入りにくい。

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2023年02月09日

Posted by ブクログ

 021年3月刊。この筆者の本は初めて。筆者は『逃げ上手の若君』に関する歴史コラムを、『少年ジャンプ』に毎週、連載中。本書は歴史上の人物の「失敗」に焦点を当て、「あの時、どう行動すれば良かったのか?」「もし、その失敗がなければ、歴史はどう変わっていたのか?」を検証する一冊。鎌倉時代から関ヶ原の合戦までの時代の「失敗」を取り上げる。「元寇は、執権・北条時宗が、外交に無知だった為に起きた。モンゴル側の意を汲んで、適切な外交を行っていれば防げた」は、具体的な失敗ポイントを挙げ、特に説得力がある案件だった。
 一方、「秀吉は何故、家康を放置したのか」を始めとする、幾つかの考察は、筆者が自説にこだわる余り、論理展開が「牽強付会に過ぎる」と個人的には感じられた。というわけで、本書全体を俯瞰すると、玉石混淆の感あり。とはいえ「歴史に『もしも』はない」とする唯物史観に、あえて一石を投じた試みは面白いし、さすが『ジャンプ』に連載を持つだけあって、語り口は平易で読みやすく、歴史を題材とした思考実験として楽しめた。(終)

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2021年11月18日

Posted by ブクログ

まあそれを言っちゃおしまいよ、という話から、そりゃもっともだ、という話まであったけれど、特に印象に残ったエピソードはなかった。時間潰しに軽く読む本という印象。

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2021年10月12日

Posted by ブクログ

戦国時代位からは理解できましたが、室町等はかなりマニアックな内容でした。専門家的には面白い話なのかと、

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2021年04月15日

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