奥乃桜子のレビュー一覧
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ネタバレ「食堂の座敷わらし」とは、ファンタジー的な存在なのか、ただ自称しているだけの普通の少女なのか、序盤はそれを悩みながら読むという。
なまじ結の境遇がリアルゆえに、ファンタジーな存在に縋りたくなるからか。
彼女の正体がはっきりするのは、終盤近くなってからだ。
今にして思うと、彼女も結とはまた違う形で悩んでいたのだなと思うと、この話の登場人物で、ただ笑って暮らしている楽観的な人はいなかったような気がする。
誰もが何かしら悩みや痛みを抱えて生きている。
それが、妙にリアルで、もどかしい。
あまりいい意味で今は使われていない「日和見」
その言葉の本来の意味を、日和見という言葉を肯定的に捉えることができる、日和見をするって大事なことなんだと思わせてくれる物語。
また、今後の将来が見えない、それなのに選択するのも怖い人たちに向けた応援の物語でもある。
作中にもあった、答えを示してくれるのではなく、あくまで選択をするのは自分だが、その背中を押してくれるお話という。
結のように悩んでいる人には、現実が押し寄せてきて辛い部分もあると思うが、彼女がちゃんと選択できたように刺さる部分、共感できる部分はあるのではないだろうか。
時には立ち止まって、時節を待つ。
その大切さに気づかせてくれたお話だった。
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ネタバレまず冊子に挟まってた栞が可愛かった(笑)
知っている作家さんは半分もいなかったのですが、オレンジ文庫さん何気に好きなので購入して読んでみました。
最初は題材もよく分からないので、ピンと来ないまま何編か読んでいましたが、「サカナ日和」を読んで私の好みな感じだったのと、そこからもう一度振り返って読んでみたらみんな素敵な作品じゃないか!と改めて思えて、そこからは一気に読めました。もちろん好みの問題なので、しっくりくるものもあれば、そうでないものもあり。個人的には「傾城の美女呂姫」「水恋花」「ままならないきみに」「二位の君」が良かったです!水恋花は私好みの嫌ぁーな終わり方だったし、ままならないきみには最後切ないような悔しいような泣きたくなる感じで、二位の君は恋愛なんだけど、キュンキュンするというよりジワァーと温かくなるような優しい恋を感じれました。好きなテイストだとその方の他の作品も読んでみたくなりましたね。 -
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普段、特許や商標登録などの文字を目にすることはあっても、そこに至るまでの努力や経緯ってなんとなくしかわからなかったので、取得するまで、地道で、それでいてとっても時間のかかる大変な作業なんだなぁと、あらためてびっくり。
そうそう、ドラマ化もされていたのですね。
全く専門外の部署に配属されてしまった主人公の亜季。不器用で、気持ちが空回りしてしまうこともあるけれど、負けず嫌いな彼女と、亜季の勤める会社の親会社から出向してきた優秀で隙のない?プライドの高い北脇雅美とのやりとり、思わず亜季を応援したくなった。
シリーズ化されているので、彼らの関係性がどう変化していくかも楽しみ。 -
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マナーはいらない を読んでいるうちに気になってしまったので購入。
今をときめくあの作家さんの投稿作が読めます。
多分デビュー前の作品だと思うけど、読んだことのある作家さんは「ぽいわー」と、感じる何かがあった。(阿部暁子さん、白川紺子さん)言語化できないけど。
また、読んだことは無いけれど、本屋大賞をとられてるし名前だけは知っていた宮島未奈さんの作品も、キャラクターがめっちゃ好き。河原泉さんの漫画に出てきそう。シュッとしてなくて気持ちポンコツ風味なところとか(褒めてます) 今度長編も読んでみたいと思った。
さすがにディープなSFや歴史小説はなかったけれど、色んな切り口があって面白かった。
「これ、面白いでしょ⁉︎」の、圧を感じて、またそれが良き。 -
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ネタバレ集英社オレンジ文庫「短編小説新人賞アンソロジー」は、単なる新人作家の寄せ集めではなく、物語が生まれる瞬間の熱量そのものを封じ込めた一冊だと感じた。短編という制約の中で、それぞれの作品は無駄な装飾を削ぎ落とし、感情や主題の核へと一直線に踏み込んでくる。その潔さが、読み手の想像力を強く刺激する。
収録作には粗さも確かに残っている。しかしそれは欠点というより、書きたい衝動が理性より先に走った痕跡のように映る。登場人物の感情がときに不器用で、ときに過剰なほどまっすぐなのは、新人賞作品ならではの真剣さゆえだろう。その必死さが、むしろ物語に嘘のない重みを与えている。
また、短編という形式が際立たせるのは、作家ごとの「視線の違い」だ。何を切り取り、どこで物語を終わらせるのか。その選択一つひとつに、後の作風へとつながる萌芽が確かに感じられる。人気作家の初期作品として読むと、現在の洗練された筆致との対比が興味深く、作家という存在が時間をかけて育っていく過程を垣間見ることができる。
本書は派手なカタルシスを約束する一冊ではない。だが、読み終えたあとには、静かに胸の奥に残る余韻がある。それは物語の完成度以上に、「書くこと」「語ること」への真摯な姿勢が伝わってくるからだろう。
新人賞アンソロジーでありながら、文学の原石に触れる喜びと、物語の未来を想像する楽しさを同時に味わえる、確かな厚みを持った一冊である。 -
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人気作家さんたちの原点となった作品。どの短編も個性的で、とても楽しめた。
短編を書くのってとても難しいのだろうなと、読んでいるだけの私も思う。限られたページの中で、物語を作る。この本の短編はそれぞれ、全く違う良さを持っている。書き方はそれぞれもちろん違うし、少し変わった設定があったり、どこか自分と似たような境遇が描かれていたりする。
作家さんの数だけその色があって、短い物語に込められた熱意や感情がとても伝わってきた。
今までよく読んでいた作家さんはもちろん、この本で初めて出会った作家さんがこの後、どのような本を書いているのだろうと気になり、読んでみたくなった。 -
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『それってパクリじゃないですか?』『それってパクリじゃないですか?2』『それってパクリじゃないですか?3』に続く完結編。
中堅飲料メーカー、月夜野ドリンクに勤める主人公・藤崎亜季。元は開発部に配属されていたが、新たに創設された知的財産(知財)部に異動となり、畑違いの職務に悪戦苦闘。とはいえ、親会社から出向している上司、北脇の厳しい指導で徐々に力をつけてきた。器用な方ではないが、前向きで真面目であり、粘り強く、仲間思いなのが亜季の長所。
一方、上司の北脇。クールで何事も卒なくこなしているように見えるのだが、陰では血のにじむような努力をしてきた。亜季のことも実は大切に思っているが、人間関係には不器用である。
このところ、月夜野ドリンクを揺るがせているのは、小さな食品メーカー、今宮食品からの訴えである。月夜野が今宮の特許を侵害しているというのだ。今宮のバックには総合発明企画なるパテント・トロール(特許の怪物:埋もれた特許を買いたたき、関係企業から高額の利益を得ようとする会社等)が付いているようだった。これが今宮に悪知恵を入れ、月夜野を陥れようとしているようなのである。総合発明企画で今宮の件を担当している瀬名は、亜季の学生時代の知人で、異常な自信家。かつて、自分にほのかな好意を見せていた亜季をこっぴどく振った因縁があった。
今宮は、名の通った企業である月夜野が、小さな会社である今宮の権利を蹂躙している、つまりは弱い者いじめをしていると主張し、特にSNSを通じて、世間の同情を集めることに成功していた。
事実はどうあれ、世間の評判は怖い。月夜野の企業イメージが落ちれば、全体の売り上げの低下に直結する。
ここで、今宮と和解して金を払ってしまえば、とりあえず、事態の早期解決が図れるかもしれない。だが、パテント・トロールには「カモ」と認識され、次々に金銭を要求される事態になりかねない。
一方、訴訟に持ち込めば、ずるずると長引くことになる。結果、敗訴すれば大きな痛手となる。ことは微妙で、裁判官・審査官により、判断は分かれるかもしれず、必ず月夜野が勝てる見込みがあるわけではない。
どうにか、自社に有利な材料が欲しいところ。亜季や北脇は思い切った作戦に出る。
そのためには、亜季にとって因縁の相手、瀬名と直接対決しなければならなかった。
果たしてその結果は。
全体に読み心地はよく、知財部がどんな仕事をするのかも窺えてなかなかおもしろい。
亜季や北脇に加え、知財部長の熊井や社長の増田、販売部・営業部・広報、アドバイザーである特許事務所の又坂も、ともにことに当たる。意見の対立はあるが、基本的にはみな、仲間思い・会社思いで、あまり悪人がいないのも(現実がどうであるかはさておき)読み心地のよさにつながっているところだろう。
その分、なのか、敵役の瀬名の性格の悪さが、若干、非現実的なほどではある。いや、こんな人いるかしら、と思うのだが、まぁそこは置いておくことにしよう。
本編で、事件は解決する。短い番外編が2編とエピローグが付く。エピローグで、読者をやきもきさせてきたプライベートの方も解決が匂わされる。ラノベ的には、エピローグも併せて完結、というところか。 -
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『それってパクリじゃないですか?』『それってパクリじゃないですか?2』の続編。
主人公・藤崎亜季は中堅飲料メーカー、月夜野ドリンクに勤める。元は開発部に配属されていたが、畑違いの知的財産(知財)部に異動となった。親会社から出向してきた上司、北脇の厳しい指導に悪戦苦闘。若干、抜けているところはあるものの、真面目でねばり強い性格を生かし、徐々に知財部員としての仕事にも慣れてきた。一見、冷たい北脇も、実は情に厚い面があり、また、亜季の頑張りも認めてきている様子だった。
だが、ここのところ、北脇の指導が急に厳しさを増しており、いろいろ考えて亜季は自信をなくしたり落ち込んだりである。
そんな折、月夜野は突然、別の小さな食品メーカー、今宮食品から、自社の特許を侵害しているとして、買取を求める申し出を受ける。今宮からの提示価格は法外なものだった。今宮は飲料事業からは撤退しており、いわば死蔵特許となっていたものだ。
月夜野の主力商品「緑のお茶屋さん」の製法は、確かにこの特許を侵害していると見られるのだが、北脇によれば、そもそも元の特許が無効と見なされる可能性が高いという。
こうした場合、企業間のやり取りとしては、まず話し合いがなされ、適当なところで落としどころを見つけるのが普通だという。訴訟になれば互いに費用も掛かり、また、消費者の評判など思わぬ傷を負う可能性があるからだ。
ただ、お互い、完全には手の内はわからない。今宮は月夜野が確かに特許を侵害しているという確証までは持っていないようだし、特許が無効と鑑定されるであろうことを今宮が認識しているかどうかもわからない。
ひとまず、買取の申し出を断った月夜野だが、事態は思わぬ展開を見せる。
北脇が亜季に厳しくしていたのには理由があった。なぜかがわかり、複雑な気持ちの亜季。
この辺りがラノベっぽいところで、読者から見れば2人の気持ちは見え見えなのに、当人同士はなかなか気づかないムズムズ展開。
仕事の上では自信満々に見える北脇だが、こと人間関係になると、意外に不器用なのだ。亜季ちゃん、もっと自信を持って!!
一方、仕事の面では、「緑のお茶屋さん」海賊版騒動といった別の事件も挟み、しばらく鳴りを潜めていた今宮が再び、月夜野に対して動きを見せてくる。
ビジネスの場合、多くは直感や感情論では動かない。何らかの目論見や勝算があっての動きのはずだ。
強気な今宮の背後には、どうやらパテント・トロールがいるらしいことがわかってくる。パテント・トロール(特許の怪物)とは、ライセンス料や和解金を得ることを目的に埋もれた特許を買いたたき、侵害などの名目で関係企業から高額の利益を得ようとするものである。彼らにとっては、特許は財産ではなく、いわば金儲けの手段である。
今宮をそそのかしたらしいパテント・トロール、総合発明企画には、亜季の学生時代の知り合い、瀬名がいた。亜季は自信家の瀬名にこっぴどく振られた過去があった。瀬名、そして総合発明企画は月夜野に魔の手を伸ばしてくる。亜季は、瀬名の仕掛けた罠にまんまと嵌り、難しい立場に追い込まれる。
落ち込む亜季だが、起死回生を掛け、1つの方法を思いつく。
さて、月夜野、反撃なるか。そして北脇と亜季のこれからはどうなる。
続きは次巻、完結編で。 -
Posted by ブクログ
とても読んでて楽しかった。
知財部が企業の中で何をしているのか、侵害訴訟や、警告書、無効審判、特許庁の関係。難しい言葉も分かりやすく説明されていた。侵害訴訟の話はハラハラした。
知財に興味を持ち、軽い専門書をいくつか読んで知財戦略がどのように行われるのかを知った上で読んでみた。そしたら、知識としてあったものが、生きて頭に入ってきた印象を受けた。
メーカーを舞台にしたお話は読んだことがなかったが、各々の部署がいかに連携し、かつ会議を重ね自分の部署視点の意見を出しているかがわかった。
読んでて気づいたこととして、世間の真正面にたつ可能性が高いのは営業の方たちであること。物語の中で、自社の製品が他社の特許を侵害している場面があり、その批判の矢面に営業の方々は立たされていた。品質の低下や、知財の問題。実際にしている部署は違うのに、それを契約先に説明しに行くにはそれなりの人数がいるのなら、その先方を担当している営業が行くことはやはりあるんだろう。営業の人、尊敬します。そして、矢面に立って言葉の矢を受けないように、研究職は動いていかないといけない。