万城目学のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
新喜劇ならぬ、“神”喜劇。神様が主人公の連続短編集。めっちゃ面白い。
主な担当は「縁結び」で、由緒正しき縁結び神社に一千年勤めている。でも神様の中では末端らしい。そんな神様のもとに、神様世界のライター(この人も神様)から取材が入った。どうやら取材は最終的に本になり、お偉方の目に止まると昇進チャンスが増すらしい。本書の中では、主人公の神様が取材に応える形で物語が進んでいく。
各話には人間の主人公もいて、神様目線と人間目線が交互に描かれる。
第一話「はじめの一歩」では、理屈っぽい男・肇(はじめ)と恋人のみさきの縁を取りまとめる。みさきに口癖を注意されて悩んでいる肇のもとに現れた神様。便宜上、人間に見える姿になっているときは、文庫本装丁の七三分けの太っちょ姿。スーツを着たオブザーバーの神様も同席している。肇にあれこれと助言をした後は、言霊を飲ませる。どうやら神様、取材の途中に抜け出していたようで、「どうだった? 現場に居合わせるの初めてだよね?」などと尋ねている。
何が面白いって、途中で大神様に試されたり、異動があったりするストーリーもそうだけど、神様のキャラクターが最高!本は儲かるか気にしたり、ちょこちょこ文句を言ったり、上位の神々の顔色を伺ったり、人間っぽくて憎めない。 -
Posted by ブクログ
ひょっとしたら数十年ぶり(!)の再読だが、いやー、めちゃくちゃ面白かったし感動した。
『鴨川ホルモー』の続編にして、スピンオフのオムニバス短編集だ。
たしか初読の際は、『鴨川ホルモー』の方が好きというか、何しろ面白くて、のめり込んで読んだ記憶がある。『六景』の方も読んだは読んだが、『ホルモー』の余韻のうちに終わってしまったというか、そこまで印象に残らなかった。
しかし、大人になって両作を再読したとき、より感動したのは『六景』の方だった。それぞれの短編で、「あのとき、実は……」、「あの人は実は……」という、『ホルモー』の隙間を埋めるようなエピソードになってはいるが、特に「もっちゃん」「長持の恋」などはホルモー抜きにして独立の短編として見ても秀逸で、しみじみと良かった。
再読って、してみるものですね。 -
Posted by ブクログ
昔映画で見ていたので万城目学作品は好きだけど買ってまで読む事は無いと思ってました。
しかし、角川書店とカルビーのコラボにより、ポテトチップスの表紙カバーとなっていたので購入してみました!!!
→しばらく積読となる・・・
映画を見た時の記憶も薄らぼんやりとしており、荒川良々さんや濱田岳さん、栗山千明さんが出演していたのが記憶にあります。
本書を読んだ感想としては、長い時を超えて映画の事もぼんやりしていて逆に楽しめた!!!
といった感じです。
まず、話のテンポが良くて行のエスカレーターに乗ってるような感じで次から次へと文章が入ってきました!
それと、ホルモーって何?
不思議な伏線が散りばめられているのと、主人公達の行動と言動の次が気になる!!!
そして、京都の祭りと地名が程よくまぶされておりました。
主人公の安倍は京大に入学し謎のサークルから勧誘を受ける!?
そこで運命の出会いの数々・・・
彼らはホルモーの罠に少しずつそして確実に引き込まれていきます・・・
そして、ホルモーが何かを知る時に物語は全く違う局面を迎えます!!!!
個人的に『鴨川ホルモー』という題名は、宮沢賢治が産み出した『銀河鉄道』に匹敵するぐらい記憶に残る言葉かと思います! -
Posted by ブクログ
ネタバレ高村が「ホルモオオオォォォーッ」と叫ぶシーンはおもしろさと切なさが混じって、見ている方の心が複雑になる良いシーンだった。
最初はホルモーを少し変な遊び程度のものだと思っていた。けれど話が進むにつれ青春の匂いがして、不穏な気配もして、ワクワクした。
特に鴨川十七条ホルモーが発議されたあとの流れは楽しかった。物語全体に流れる京都の空気感みたいなものも感じられてよかった。
また安倍の自己中なところは悪いところだけど、大学生らしさ全開だなあと微笑ましくなった。そのせいで周囲が振り回されて事態が悪化して、それでも仲間の助けありきでなんとかなっていく。それに気づかず、ずっと自分のことしか見えていなかった。
でも途中、安倍がようやく周りに目を向けはじめて、鴨川ホルモー最終戦に挑む姿を見れたとき誇らしくなった。安倍が自分のためではなく、仲間のために勝ちたいと思ったのを見て嬉しくなった。
安倍がホルモーを通じて成長していく青春物語といった感じで楽しめたし、なんとなく京都に行きたくなった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ時の流れをテーマにした短編で面白かった。女性二人はタイムカプセルの話だったが、作風のように優しい読後感が残っている。万城目学さん、米澤さんは才能かなぁ着想が面白かった。
※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。
読書は甘辛で行く。ソフトとハード。刺激と慰撫、頭とハート。その他いろいろで、ほろりとしたり、背筋が凍ったり、一日の出来事だったり何世代にもわたる大河が流れていたりする。でも日常の読書の味付けは甘辛が気分転換にいい。
この短編集は、甘辛がミックスされそれもいい塩梅な配合で出来がよく、読後のレビューも書きやすくて、ありがとうと一礼をした。時の流れをテーマにした短編でとても面白かった。
女性二人はタイムカプセルの話だったが、優しい読後感だった。
タイムカプセルの八年 辻村深月
教育熱心な担任の勧めで6年生は卒業前にタイムカプセルに記念品を入れて埋めることにした。だがそのカプセルは倉庫の隅に放りっぱなしになっていた。
同級生の父親で作った「親父会」はその噂を聞いて、探し出すことにする。教育熱心で子供たちに慕われていた先生の実像に今は多少不安があったが、何かと行事に顔を合わす父親たちは、探してまた埋めておくことにした。父親会の付き合いと、子供たちの成長振り、環境が変わってもお父さん同志何かしら暖かい繋がりがある話だった。
トシ&シュン 万城目学
「縁結び」の神様が配置換えになった。今度は「学問」と「芸能」も面倒を見る神社になった。
付き合っているらしい二人はどちらもトシと言う名前だったが紛らわしいので男性のほうはシュンと呼ばれていた。
小説家になりたいという男と女優を目指す女、夫々の目標が成就するように神様はヒントを与えたが。
ユーモアたっぷりに話は二転三転、読んでいて思わず心が軽くなる。これは面白かった。
下津山縁起 米澤穂信
A.D.873 遠江国に火山の噴火で、上津山に並んで下津山が出来た。下津山の横に沼が出来た。
A.D.1180 時が過ぎ麓で武士たちが戦った。
A.D.1783 旗沼の埋め立ての話が持ち上がったが中止された。
A.D.1885 二つの山を測量した結果、高さは3Mの差だと判明。
A.D.1966 旗沼で泳がないようにプールが出来た。
A.D.1989 圧電流・地電流について百科事典より引用。
A.D.2018 旗沼埋め立て工事を中止。
A.D.2191 人の脳波を知性とするなら、電気で動く機械に知性はないのかという命題から、交信してみたい思う森島博士。
A.D.2205 森島研究室のコンピュータに不明確な受信記録。
A.D.2256 ついに下津山の半分が削られる。
A.D.2299 研究所に解読不明な受信記録があった。
A.D.2753 研究所のコンピュータが更に受信、山からの発信はまだ人間を認知していなかった。
A.D.2574 すでにネットワークが見つからなくなっているということは人間の滅亡を意味したが。亡き森島博士の予言どおり「山との交信」成功
A.D.2873 山々の裁判で上津山は下津山を殺害で有罪判決。上津山は有機知性体(以後人間と表記)を誘導して下津山を殺害させた。上津山の標高についての嫉妬心が動機、としたが控訴する予定。
長い歴史を辿って、人と山の歴史を創造した。まさに作家の着想は素晴らしい。
長井優介へ 湊かなえ
高校卒業の日タイムカプセルがあけられた、中学三年生の時の事件が改めて姿を現す。何か腑に落ちないままに解決したかに見える強姦未遂事件。無罪にはなったが素行の悪い三人組が疑われた、しかし彼らには証拠がなかった。
今明かされる、それを知っていた人物。
面白かった。辻村さん、湊さんもほのぼのして纏まっているが、万城目学さん、米澤さんのユニークな作品は特に印象的、読んでよかった。