坂田雪子のレビュー一覧
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久々に重厚なミステリ小説を読んだ。
この小説は奥行きがある。アメリカスタイルのミステリは横に広く登場人物も多くて複雑に絡み合うものが多いが、
このフランス小説は横に広がる絡みは少ないが、奥行きが何層もある。ほじくって行くと、まったく別の景色が見えてくる。
そしてまたほじくると、また景色が変わってしまう。物語を回していく登場人物も10人弱しかいない。
ストーリーの骨子自体はシンプル。あらすじにもあるように、祖母の訃報を聞いた女性が、祖母の終生の住処である孤島へ遺品整理に行く。
そこで村人たち何人かに出会い、その島にまつわる悲しい過去の物語を知る・・・と、シンプルなものです。
ミステリマガジン -
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セルヴァズ警部、と呼び掛けられると、前作で降格させられた経緯があるので、「警部補です」と敢えて答える主人公が、本作ではとにかく目につくし、それもまたなかなかの味である。銃をあまり持たないセルヴァズ。射撃にとんと自信がないからである。そんな主人公の警察シリーズで良いのか? と読者が心配してしまうタイプの警察官が主人公なのだ。
好敵手は、かのハンニバル・レクターに比肩されるほど怖い、サイコ過ぎる元検事の殺人鬼ジュリアン・ハルトマン。この怖い元検事の殺人鬼が出演しないストーリーであれ、セズヴァズの夢には必ず出てきたりするくらい、シリーズ中、圧倒的存在感を誇る。前作ではハルトマンとの一部直接対決 -
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ベルナール・ミニエ『姉妹殺し』ハーパーBOOKS。
セルヴァズ警部シリーズ第5作。『夜』に続き再び全仏ベストセラー1位を獲得したようだ。
もしかして、今回もまた連続殺人鬼ジュリアン・ハルトマンが関わって来るのだろうか。
25年の時を経て2つの事件がつながり、予想外の結末へと向かう警察ミステリー小説。ベルナール・ミニエという作家は兎に角あの手この手で読者を翻弄するのが巧い。今回も先の見えない展開と意外な真相、セルヴァズを何度も襲う危機、感動のラストに感情を揺さぶられた。
1988年。16歳の姉のアンブルと15歳のアリスの姉妹は大ファンのミステリー作家に会うために真夜中の暗い森の中を歩く… -
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ネタバレ驚いた! 傑作だった!
過去2作品を読んで、なんとなく予感はあったけれど、それでもここまで化けるとは思わなかった。
ただ長〜い!(1作目の様にダラダラはしていないが…)。
つ〜か、二人の主要人物が出会うまでが時間かかり過ぎて、もどかしいったらありゃしない。
勿論、それも演出なんだろうけど、その辺の焦らせ方も『ONE PIECE』ばりで、早く!早く!とイライラしながらも頁が進む趣向だった。
途中、これちょっと収集つかなくなって、最後は無理矢理の力技で終わるんじゃ…と心配したんだけど結末はスッキリ。
堅物ぽかったシリーズの主人公も今回は結末にあたり粋と言えなくもない融通を効かせて、個人的に -
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前作はピレネー山脈との国境の街を風雪の季節を背景に描いたものだが、本書ではトゥールーズの近くの架空の町マルサックを背景にし、全編よく降る雨の季節と、前作とは雰囲気を変えている。タイトルとは全く無関係な邦題が選ばれたのも、本書中で絶え間ないほどに降り続く雨と、その奥で起こった犯罪の姿を想起させるべく、訳者と版元とで決められたものに違いない。
原題はフランス語で「ル・セルクル」、英語に直せば『ザ・サークル』で、作中、いつこのタイトルが姿を現わすのかとやきもきさせられるが、読み進むにつれ、そのタイトルの意味は明らかになる。全作同様に過去に何が起きたのか? が現在何が起こっているのか? という疑 -
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前作はピレネー山脈との国境の街を風雪の季節を背景に描いたものだが、本書ではトゥールーズの近くの架空の町マルサックを背景にし、全編よく降る雨の季節と、前作とは雰囲気を変えている。タイトルとは全く無関係な邦題が選ばれたのも、本書中で絶え間ないほどに降り続く雨と、その奥で起こった犯罪の姿を想起させるべく、訳者と版元とで決められたものに違いない。
原題はフランス語で「ル・セルクル」、英語に直せば『ザ・サークル』で、作中、いつこのタイトルが姿を現わすのかとやきもきさせられるが、読み進むにつれ、そのタイトルの意味は明らかになる。全作同様に過去に何が起きたのか? が現在何が起こっているのか? という疑 -
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セルヴァズ警部シリーズ第三作ということだが、前二作が未読でも楽しめる、とのお墨付き作品。並みいるレビュワーらも一押し。そうした傑作の予感に押され、本書を開く。結果、評判は嘘ではなかった。ページを開いた途端、その瞬間から、物語の面白さに、ぼくは捕まってしまった。
期待のセルヴァズ警部は、何と心を病んで療養休職中。彼の元に届けられる荷物も、こわごわと紐解く警部だったが、送られてきたのは高級ホテルのカードキー。その客室は、何と一年前に女性写真家が凄惨な自殺を遂げた現場であった。セルヴァズ警部は、休職中の身でありながら、事件の謎の深みに魅せられたかのように身を乗り出す。
一方のゲスト主人公は -
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セルヴァズ警部シリーズ第三作ということだが、前二作が未読でも楽しめる、とのお墨付き作品。並みいるレビュワーらも一押し。そうした傑作の予感に押され、本書を開く。結果、評判は嘘ではなかった。ページを開いた途端、その瞬間から、物語の面白さに、ぼくは捕まってしまった。
期待のセルヴァズ警部は、何と心を病んで療養休職中。彼の元に届けられる荷物も、こわごわと紐解く警部だったが、送られてきたのは高級ホテルのカードキー。その客室は、何と一年前に女性写真家が凄惨な自殺を遂げた現場であった。セルヴァズ警部は、休職中の身でありながら、事件の謎の深みに魅せられたかのように身を乗り出す。
一方のゲスト主人公は -
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カリーヌ・ジエベル『無垢なる者たちの煉獄 下』竹書房文庫。
下巻。いよいよサイコパスとしての本性を現した獣医サンドラの夫パトリック。シリアルキラーと強盗犯の息詰まる攻防。強盗犯ラファエルと弟ウィリアム、囚われたオレリーとジェシカ二人の少女の運命や如何に……
極悪非道、最凶最悪のサイコパス……
二転三転の息をも付かせぬ展開に、ある程度は予想していたものの終盤のあっと驚く怒濤の展開。そして、何よりも結末が良い。男らしく、潔い結末……
竹書房文庫はたまに当りがあるので油断出来ない。何しろキャロル・オコンネルの『マロリー・シリーズ』を世に出したのは竹書房文庫なのだから。最近ではハリー・ファージ -
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カリーヌ・ジエベル『無垢なる者たちの煉獄 上』竹書房文庫。
上巻は上々の滑り出し。なかなか面白い設定のサスペンス・ミステリー小説である。サイコパスでシリアルキラーのパトリックに比べたら強盗犯など生温い。
14年の刑期を終えたラファエルは弟ウィリアム、刑務所仲間のフレッド、クリステルと宝石強盗を決行。3千万ユーロものの宝石を手にしたが、警官隊との銃撃戦によりウィリアムが負傷し、夫の帰りを待つ獣医サンドラの古びた屋敷に逃げ込む。ところが、サンドラの夫パトリックの正体はシリアルキラーだった……
ラファエルの焦燥とシリアルキラーが獲物を狙う描写が交互に描かれ、ジリジリした展開が続く。強盗犯対シリ -
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ネタバレ人生って、ときにはその人にふさわしくないこともあるから
118ページ
なかなか面白い表現だと感心したものだが。
面白い!この話。でも、猫好き、ドイツ好きな人には思い切り嫌な話だからご注意。最後まで読めば良かった、になるけれど。
思い切りネタバレなうえに書き殴りなので、ご了承ください
はじまりは2019年現在の大学の講義。1949年の事件と1986年の出来事が交互に語られ、物語の真相に迫っていくと思いきや。
中盤くらいでなんだありきたりの実験かい、と一気に詰まらなくなった、と感じたのだが、その後また怒涛の展開に。
胸糞悪い。
10人の罪なき子供が殺されても、あ、そうなのへー、だけれど罪