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Posted by ブクログ
セルヴァズ警部シリーズ第三作ということだが、前二作が未読でも楽しめる、とのお墨付き作品。並みいるレビュワーらも一押し。そうした傑作の予感に押され、本書を開く。結果、評判は嘘ではなかった。ページを開いた途端、その瞬間から、物語の面白さに、ぼくは捕まってしまった。
期待のセルヴァズ警部は、何と心を病んで療養休職中。彼の元に届けられる荷物も、こわごわと紐解く警部だったが、送られてきたのは高級ホテルのカードキー。その客室は、何と一年前に女性写真家が凄惨な自殺を遂げた現場であった。セルヴァズ警部は、休職中の身でありながら、事件の謎の深みに魅せられたかのように身を乗り出す。
一方のゲスト主人公は、ラジオ局のパーソナリティであるクリスティーヌ。謎の誰だかもわからない人間からの自殺予告を受け取ったことを契機にして、いやがらせやハラスメントが職場でも私生活でもスタートする。数々のいやがらせは、時と共にヒートアップし、彼女を急激に社会から孤立させてゆく。
セルヴァズ警部とクリティーヌとの二つの物語が、オペラの形で語られ、混乱は重層構造を示してゆくのだが、とりわけクリスティーヌへの強い悪意が半端じゃない。次第に姿を見せてくる凶暴な人間たち。また彼らを背後から操る人物が誰なのか不明なまま、敵も味方もわからぬ混沌(カオス)に追いやられてゆく。転落の物語が底を着くのはいつなのか? またその理由は何なのか? 誰が彼女を陥れているのか?
フレンチ・ミステリー特有の、疑問だらけのエレベーター式心理サスペンス。そこにフランス南西部の都市トゥールーズを特徴づける航空宇宙産業を絡ませ、物語は地球を飛び出し、宇宙へ。そうした世界的歴史的スケール感まで絡ませて物語は緊張度を高めてゆく。組曲のクレッセント。
セルヴァス警部は事件を解決できるのか? またその心はこの捜査活動で果たして癒されるのか? クリティーヌの地獄に終わりはあるのか? そんな二人の主人公たちと共に震える心を抑えつつページを繰る手が止まらない。
終盤に於て徐々に見えてくる真相に対し、クリスティーヌの運命、また真犯人の目論見と計画のゴールは? 関わった人物たちを襲う容赦のない運命と、未来までを押さえつつ、巻を閉じる圧巻の真相は、長大な物語のフィナーレを飾るに相応しく、最終ページまで予断を許さぬ疾走感に満ちている。
ぼく自身はあまり普段謎解き方面を目指さない読者であるのだが、ここまで謎解きの面白さ、またその深淵を強烈に示されると、さすがにその出来栄えに喝采を贈らざるを得ない。それを支えた作者のストーリー・テリングぶりにも当然ながら脱帽。今年のベスト作品まで狙えそうな確かな手ごたえを感じた一作であった。
Posted by ブクログ
セルヴァズシリーズ第3弾。冒頭からなかなかヘヴィーな内容で始まる今作。セルヴァズが主人公だけれどしばらくはクリスティーヌという女性の物語。手紙を受け取った日から毎日がよくない方向へ。どんどん不安が増し、混乱し誰にも信じてもらえない苛立ち、追い詰められていく心。それに圧倒されてしまう。警察を休職中のセルヴァズがある捜査を始めてから徐々に動き出す。二転三転しつつ見えてくる罠、人を貶める行為の卑劣さ。人の心に恐怖を植え付けること、残虐さ。そういう怖さが読んでいても迫ってくる。犯罪自体の怖さはもちろんだけれど人の中に悪意を持って入ってくる怖さもある。怖いけど面白かった。
Posted by ブクログ
セルヴァズ警部は病気療養中。ホテルの鍵が送られてきた。そこで女性が自殺していることが分かる。何者かが自殺ではない、捜査して欲しいと思っているのだろうか・・・クリスティーヌはラジオのキャスター。自殺するという人から手紙が来た。局には自殺を放置したと非難の電話、そして、セクハラメールを送ったと糾弾されるが、送った覚えはない・・・
翻訳ミステリーシンジケートの書評七福神の選ぶ今月の一冊で多くの人が選んでいたが、正直それほどではなかった。
何者かが何らかの理由で、人を自殺させようとする。それは誰なのかについては意外性があって面白い。がどんどん追い詰められていく様もなかなかにスリリング。だけれど、なぜかなかなかという以上のレベルではなかった。ストーリーと直接関係のない描写が多く、長くなってしまいちょっとダレてしまった。
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