【感想・ネタバレ】魔女の組曲 上のレビュー

あらすじ

自殺を予告する、見知らぬ女からの手紙。それを受け取った日、人生は破滅へ転じ始めた――コニャック・ミステリ大賞受賞作家の話題作。人気ドラマの原作シリーズ最新刊!

イヴの夜、ラジオパーソナリティーのクリスティーヌに届いた1通の自殺予告。その日から彼女は何者かの悪意に運命を狂わされていく。なりすまし、放送事故、家宅侵入、暴行疑惑――誰が何の目的で彼女を追いつめるのか。巧妙な手口に警察や周囲の誰もが狂言を疑うなか、姿なきストーカーは死へ誘う究極の罠を仕掛けていた。同じ頃、休職中の警部セルヴァズにも差出人不明の小包が届き……。

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Posted by ブクログ

 セルヴァズ警部シリーズ第三作ということだが、前二作が未読でも楽しめる、とのお墨付き作品。並みいるレビュワーらも一押し。そうした傑作の予感に押され、本書を開く。結果、評判は嘘ではなかった。ページを開いた途端、その瞬間から、物語の面白さに、ぼくは捕まってしまった。

 期待のセルヴァズ警部は、何と心を病んで療養休職中。彼の元に届けられる荷物も、こわごわと紐解く警部だったが、送られてきたのは高級ホテルのカードキー。その客室は、何と一年前に女性写真家が凄惨な自殺を遂げた現場であった。セルヴァズ警部は、休職中の身でありながら、事件の謎の深みに魅せられたかのように身を乗り出す。

 一方のゲスト主人公は、ラジオ局のパーソナリティであるクリスティーヌ。謎の誰だかもわからない人間からの自殺予告を受け取ったことを契機にして、いやがらせやハラスメントが職場でも私生活でもスタートする。数々のいやがらせは、時と共にヒートアップし、彼女を急激に社会から孤立させてゆく。

 セルヴァズ警部とクリティーヌとの二つの物語が、オペラの形で語られ、混乱は重層構造を示してゆくのだが、とりわけクリスティーヌへの強い悪意が半端じゃない。次第に姿を見せてくる凶暴な人間たち。また彼らを背後から操る人物が誰なのか不明なまま、敵も味方もわからぬ混沌(カオス)に追いやられてゆく。転落の物語が底を着くのはいつなのか? またその理由は何なのか? 誰が彼女を陥れているのか?

 フレンチ・ミステリー特有の、疑問だらけのエレベーター式心理サスペンス。そこにフランス南西部の都市トゥールーズを特徴づける航空宇宙産業を絡ませ、物語は地球を飛び出し、宇宙へ。そうした世界的歴史的スケール感まで絡ませて物語は緊張度を高めてゆく。組曲のクレッセント。

 セルヴァス警部は事件を解決できるのか? またその心はこの捜査活動で果たして癒されるのか? クリティーヌの地獄に終わりはあるのか? そんな二人の主人公たちと共に震える心を抑えつつページを繰る手が止まらない。

 終盤に於て徐々に見えてくる真相に対し、クリスティーヌの運命、また真犯人の目論見と計画のゴールは? 関わった人物たちを襲う容赦のない運命と、未来までを押さえつつ、巻を閉じる圧巻の真相は、長大な物語のフィナーレを飾るに相応しく、最終ページまで予断を許さぬ疾走感に満ちている。

 ぼく自身はあまり普段謎解き方面を目指さない読者であるのだが、ここまで謎解きの面白さ、またその深淵を強烈に示されると、さすがにその出来栄えに喝采を贈らざるを得ない。それを支えた作者のストーリー・テリングぶりにも当然ながら脱帽。今年のベスト作品まで狙えそうな確かな手ごたえを感じた一作であった。

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2020年03月10日

Posted by ブクログ

ありとあらゆる社会的制裁を受けるクリスティーヌ。拷問担当も登場してるので、とんでもない肉体的制裁もありそう。なんでここまでやられるのか、疑問は増すばかり。カレ、元カレがポイントになるのかも。そんなワクワクを抱えて下巻へ。クリスティーヌパートとセルヴァズパートの絡みが見事です。

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2020年07月18日

Posted by ブクログ

周到に準備した権謀術数を駆使をして、他人を貶め自殺にまで追い込む犯人。
それは、あたかもネットを使った誹謗中傷に余念がない現実の輩達を想起させる。

ある意味では猟奇殺人よりもずっと気色が悪い…。

ここまでは星⭐️4つでも良いんだけど、さてどんな結末を迎えるのやら、期待と不安の下巻へ。

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2021年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作を読んだのが数年前なので話を全く覚えておらず...それでも上下巻ですごく楽しめた.
ただ,前半はセルヴァズ頸部の奥さんってハルトマンに殺されたんだっけ?とか,あいつが黒幕だ!と先が読める感じでそこまで面白くなかった.あと,上下巻通してだけどハラスメントとかDV的要素が入っていて腹を立てながら読むことになった.

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2021年07月23日

Posted by ブクログ

第1作の「氷結」が色んな意味で盛り上がってたし、容疑者山盛りで読者を惹きつけてたのに反し、これは全体的に単調なのが鼻についた。下巻でターゲットにされた二人がどの様にクロスするかが楽しみ。

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2020年06月30日

Posted by ブクログ

ベルナール・ミニエ『魔女の組曲 上』ハーパーBOOKS。

セルヴァズ警部シリーズ第3作。前2作は些か物足りなさを感じたが、本作は如何なものか。

クリスマスイヴの夜、ラジオパーソナリティーのクリスティーヌの元に何者かが自殺をほのめかす手紙が届き、それを境に次々と身の回りで不気味なことが起こる。同じ頃、鬱病で休職中のセルヴァズ警部の元にも謎のメッセージが届く……

セルヴァズの宿敵・殺人鬼ハルトマンが登場する気配も無く、単調な展開が続く。

本体価格1,000円
★★★

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2020年02月10日

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