坂田雪子のレビュー一覧
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ネタバレフランスの作家、ベルナール・ミニエのセルヴァズ警部シリーズ第二弾。上下巻ともそれなりに太く、ボリュームが凄い。
学園都市で女教師の死体が発見される。縛られ、バスタブに沈められたその死体の側には、セルヴァズが昔付き合っていた女性の息子がいて…
前半こそ展開が遅いが、事件の本質が分かりはじめた途端にフルスロットルとなる。特に死体がライトを咥えていた理由は凄惨。衝撃だった。
前作で逃げた殺人鬼ハルトマンの影もチラつく中、セルヴァズの過去、学生時代の友人や交際相手が絡み、シリーズをとおしてキーとなる作品だったのではないか。
終わり方も非常に味がある。最新作までのあらすじで展開は薄々気づくのだが、途中の幕間の立ち位置を理解した瞬間、ラストの絶望感が増す。
少し太いが、これこそフランスの警察小説。お家芸の衝撃な展開もあり、非常におすすめのシリーズ。 -
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以前読んだこの作家の「魔女の檻」でランナーズハイ状態になった。満を持して代表作「魔王の島」を手に取る。確かにすごい。話はこんなだ。
ある日、新聞記者のサンドリーヌは祖母の訃報を受けて遺品を整理するためにノルマンディー沖の孤島を訪ねる。いわく有りげなその島には4人の老人だけが住んでおり不吉な気配が島を覆っていた。かつてこの島にいた子供たちを死に至らしめた魔王とは?島には第二次大戦中のナチス・ドイツが残していったトーチカが不気味に聳え、姿はないのに鳴き声だけ聞こえる野良猫、島内で不意に流れるシャンソン。そして島の秘密を語ろうとしたフランソワーズが急死し、サンドリーヌの不安は恐怖に変わっていく…。
しかし、この後がすごい展開になる。マトリョーシカのように何重にも罠が隠されている。一言でいえば、これは誰の話なんだ!
でもこの話はネタバレしたら楽しめないと思うので、ぐっとこらえる。
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忌まわしい魔女伝説が残るモンモール村。小さく平穏で退屈なその村に警察署長として赴任してきたジュリアンは、村長から内密の捜査を依頼される。しかしその矢先、村内で謎の怪死事件が立て続けに発生した。村人たちに囁きかける謎の声と奇妙な気配は、古くからこの村に伝えられる魔女のものなのか。不気味な雰囲気が横溢するホラーミステリです。
いかにも平和そうな村の雰囲気に反して、案外と過去にはいろいろ起こっています。村長の娘の不審死、刑務所での火災、そして羊飼いの謎の死。これだけでも充分不穏なのに、さらに怒涛のごとく起こる怪事件……全体としては静謐な印象の物語なのに、なかなかに壮絶でした。被害者たちが徐々に追い詰められていく様子もまたひっそりとしながら、限りなく凄惨でもあって。時代設定は現代的なはずなのに、やたらと古色蒼然としたような雰囲気もあるし、これはいったいどういう物語なのか、と惑わされっぱなしです。
そしてすべてが明かされる「結末」。もうこれ以上は語れません。邪悪で、哀切で、だけれど読み終えてみるとどこかしら温かさも感じられる物語でした。どれほどの悲劇が起ころうとも、結果的には「雪のかけらでしかない」というにふさわしいのかもしれません。 -
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これは面白い!私好みでした!かつて魔女裁判で多くの女たちが殺されたモンモール山。麓の村の村長は実業家で私財を投じて村の管理をしていた。村人を襲う幻覚と幻聴。平和な村に赴任した警察署長のジュリアンは着任早々、連続して呪われ、自殺のように死んでいく村人たちの対応に追われていく。次第にふたりの部下とジュリアンにも幻覚と幻聴が現れる。そして最後の大どんでん返し!
先ずは最初から最後まで魔女の呪いというホラーの匂いがまとわりつく。チャールズ・L・グラントのオクスランステーションシリーズを思い出す。あるいは、もはやラヴクラフトの描くアーカムやインスマウス。禁じられた町…平和な田舎町のはずだが、この町何かおかしいぞ、という感覚。
そして、村人たちが一人ひとり立て続けに狂い、死んでいく。呪いなのか何かのウイルスなのか、それとも生身の犯人がいるのか。3人の警官はどんどん追い込まれていく。このあたりのサスペンスはページを繰る手が止まらないほど。
そして、いよいよ最後に、何が起こっていたのかが明らかになる。頭からたくさんのヒントが散りばめられているので、どうまとめるのかと思っていたが、こう来たか!と。本格ミステリではないので、謎解きを楽しむような本じゃない。
このサスペンス面の面白さは、フランスでは「その女、アレックス」のピエール・ルメートルに似ている。21世紀になってフランスミステリは大きく進化した。昔はつまらない話が多かったですよねえ。既訳の「魔王の島」も早々に読まないといけない。
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続きを読みたい衝動を抑えきれず、歩きながら読んでしまう危ない本に久しぶりに出会った。
まったく無関係にみえるような登場人物たちが、なぜ、あるものに対して共通の違和感を抱くのか、それが分からないのがもどかしい。まるで何かの象徴のような、思わせぶりのアイテムや歌や風景は、混沌と混乱で作られた沼にわたしを引き摺りこんでゆくのだ。
ずるずると。
小さな島の海岸で異常な数のカモメにつつかれていたのは、腕のない子どもの死体だった。それを発見したのは犬を散歩中の女性で、驚いた彼女が海のほうに目をやると、その海面には更に9人の子どもの死体が浮かんでいた。
全然違う場所にあるのに、同じ時間を指している複数の時計。汚れていたはずなのに、いつの間にか綺麗になっていたバスケットシューズ。島の子どもたちが怯える魔王の存在。壁に描かれた棒人間。繰り返し繰り返し流れるシャンソン。それらのピースがぴったりどこかにはまれば謎はすべて解けるのか。
この話の結末をどう受け止めるかは、人それぞれだろう。
わたしは思う。人の心の複雑さを。
脆さと強さが織りなす、その心というものの繊細さを。
人は誰しも心の奥底に、自分だけの深海を持つ。
その海の底は恐ろしいほどの静寂に包まれている。そして、そこにはどんな光も決して届かないのだ。やがて両目は退化して無くなってしまう。だからもう、二度と涙を流すこともなくなるのだろうか。 -
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やってくれたな、今回も!
オープニングから最高に好み、訳の分からないことが起きてるゾクゾク感に包まれ、モンモール村の雰囲気も素晴らしい!
ただ、製薬会社って設定でなんとなーく予想してたことが当たっちゃったよ。ベアゲルター感満載です←ストーリー違いますよ、念のため。
腹がたたない程度にはあ?と思わせてくれるのはルブリならではでしょう。この感覚は彼の作品でしか味わえません。次作にも期待大です。巻頭に村や登場人物イメージした曲が紹介されてて、ググって聴いちゃいました。モンモール村、ジュリアンのテーマが良かったです。道尾秀介氏作品のようで、こういうの大好きです。 -
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すごい
何を言っても確かにネタバレになる
読後の爽快感はない
ただただ凄いもんを読んだな……って放心
ピースを嵌めていく感じじゃなくて、玉ねぎの皮を延々と剥いていく感じ(?)のミステリー
途中まではピース嵌めてたんだけどな
一個謎がひらけたと思って、え?でもこれってさ…って立ち止まるし、物語中でもそうなってる
残りページ数みても、いや絶対まだ謎が解け切ってないじゃない何この残りページ数…ってなるのちょっと嬉しい
一緒に謎を追いかけて行って、ラストは特に嫌だな〜嫌だな〜嫌な予感がするな〜って稲川淳二になってオワ、、、(脱力)になった
フランス人たち名前覚えられるか不安だったけど杞憂でした
そのくらい没頭してたし面白かった
著者謝辞に書いてある言葉が素敵だった -
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すごいなフランスミステリー…。
結末に賛否両論あるようで、確かに好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思う。
私はこの結末だからこそ、めっちゃくちゃ心に刺さった。
読んだ後にずっと考えてしまって、しばらく閉じた裏表紙を見てボーっとして動けなかった。
映画を観た後のようだった。
構成がすごいし、読み始めたらダイソン並みの吸引力で物語に吸い込まれてしまって一気読みした。
読んでる時には、中学の時に習ったシューベルトの『魔王』が脳内BGMでずっと流れていた。ピアノの前奏からもう怖い。
今だに中学の時の『魔王』の授業を覚えてるくらい『魔王』の衝撃はすごかった。
この『魔王の島』も同じく忘れられない作品になったけど、私には刺激がだいぶ強過ぎた。その晩は変な悪夢にうなされて苦しかった。。。
やっぱり自分は英国古典ミステリーぐらいソフトなのがちょうど良い。
英国古典ミステリーが恋しくなった。 -
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ネタバレフランスの作家、ジェローム・ルブリの邦訳第二作。邦題の雰囲気が前作「魔王の島」と似ているが、全く関係ないので今作から読んでも問題なし。
小高い山と二つの丘、その下に広がる森に囲まれたモンモール村。古くからの魔女狩りの言い伝えがありつつも牧歌的な村が、羊飼いが羊を殺し自殺する事件をきっかけに一変する…
前作はサイコサスペンス+フランスらしいミステリだったが、今作は外連味が一味も二味も違い、ホラーサスペンスの域。個人的には、版元は異なるが、マネル・ロウレイロの「生贄の門」のしっかりとした捜査パートを、ホラー寄りに振り切った感じ(もちろん、ラストは全く異なるが)。
ミステリとしては前作の方が衝撃度は上だが、怖さは今作が圧倒的。じわじわと追い詰められていくこの雰囲気は他の作家では味わえない。次作以降も翻訳を続けてほしい。 -
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ネタバレ2作目?が出るからようやく読んだ。
そんなに調べてないのにラストがねぇーみたいな感想をチラッとみて構えてたけどこの終わりかた好きでした。
脳内で多層化した妄想ミステリーは映画ではよくあるよね〜
アイデンティティーみたいな感じ?って思いながら読んでたし。
島の話、監禁の話どれも興味をひくし、フリだけの面白くない話になってないのがいい。
主人公ダミアンの設定がいいですね。
何かを失い、それに取り憑かれた人生を生きてる人が出てくるだけで面白く感じちゃう。
ラストはメメントみたいでいいですね。メメントに近いなって感じたらもう満足するようになってる。
救われない終わりかたもいいなあ、2作目も期待大! -
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ネタバレおおおおおー!
当然クロスするはずの2人がずっと平行線だったところから、ようやく線が混じり合う。物理本で読んでいたので、え、ここで出会っちゃって解決したらページ数大丈夫?と思ってけどさにあらず。
雪崩れ込むように展開が加速して、後半はもうそしてミランダを殺すみたいなジェットコースター級のどん・でん・返しきたよコレ!
あの人が悪いのかと思ったらその人が、いや、その人も?みたいにくるくる大展開にわたしはもうスタンディングオベーションでした。読み進めるごとにすごいんだけど、謎や状況に加えて物語構成の巧みさにしみじみ。
やばい、寝不足なのは熱帯夜のせいです。みたいな顔して仕事に臨むしかない。ゲームやりすぎる子供と何も変わらないんだけど。面白すぎる〜! -
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蔡駿『忘却の河 (下)』竹書房文庫。
生まれ変わりという超常現象と複数の殺人事件に纏わるミステリーとを融合した中国小説の下巻。
上巻は非常に展開が早く、非常に面白いと思ったのだが、下巻は少し間延びした感がある。それでも、申明が刺殺された事件の背景が徐々に明らかになり、犯人の正体と事件の全貌、結末が知りたくて、ページを捲る手が止まらなくなる。
輪廻転生と因果応報。生まれ変わりと人びとの犯した罪の無限ループ。
2011年。高校生に進学した申明の生まれ変わりの司望は、申明のかつての教え子で教師になった欧陽小枝と運命の再会を果たす。司望は申明の死に纏わる真相を解き明かそうとする。
申明の教え子の女子高生である柳曼の毒殺の謎、柳曼とただならぬ関係にあったと噂された申明の殺害、申明の婚約者だった谷秋莎とその父親である谷長龍の死、申明の友人である賀年の死、一連の事件の捜査に携わっていた捜査官・黃海の転落死。申明と司望を中心とした死の連鎖は果てしなく続く。
時はさらに流れ、大学受験を目前にした司望は……
人間の運命は過去に犯した罪の重さで決まるのか。登場人物たちの複雑に絡み合った過去の罪がまるで意思を持った一つの輪となり、永久に回り続ける。
本体価格1,400円
★★★★★