あらすじ
[村で次々起こる凶事は魔女の呪いなのか?]
雪が降ったのなら、
あんたたちみんな、
これから死ぬよ。
呪いの村に連続する怪死。
この村の秘密は、絶対に見抜けない。
その村を見おろす山からは、かつて魔女とされた女たちが突き落とされて死んだ――。
現在、村は実業家ティオンヴィル氏によって所有され、平穏を保っていた。だが、新たに赴任した警察署長ジュリアンは、この村は何かおかしいと疑いはじめる。
実在しない作家について執拗に図書館に訊ねる老人。
子供が騒いで寝られないと苦情をよこすバス運転手。
2年前に羊を殺戮し、直後に怪死を遂げた羊飼い。
そしてこの村には、ありとあらゆる場所に監視カメラがあるのだ……。
エスカレートしてゆく怪事、死んでゆく村人たち。ジュリアンと部下たちの奔走もむなしく、雪の降る夜に恐怖はクライマックスを迎える!
『魔王の島』で日本のミステリ通を驚愕させた鬼才が、ふたたび放つショッキングな真相。果たしてこの村に隠された秘密とは――?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
忌まわしい魔女伝説が残るモンモール村。小さく平穏で退屈なその村に警察署長として赴任してきたジュリアンは、村長から内密の捜査を依頼される。しかしその矢先、村内で謎の怪死事件が立て続けに発生した。村人たちに囁きかける謎の声と奇妙な気配は、古くからこの村に伝えられる魔女のものなのか。不気味な雰囲気が横溢するホラーミステリです。
いかにも平和そうな村の雰囲気に反して、案外と過去にはいろいろ起こっています。村長の娘の不審死、刑務所での火災、そして羊飼いの謎の死。これだけでも充分不穏なのに、さらに怒涛のごとく起こる怪事件……全体としては静謐な印象の物語なのに、なかなかに壮絶でした。被害者たちが徐々に追い詰められていく様子もまたひっそりとしながら、限りなく凄惨でもあって。時代設定は現代的なはずなのに、やたらと古色蒼然としたような雰囲気もあるし、これはいったいどういう物語なのか、と惑わされっぱなしです。
そしてすべてが明かされる「結末」。もうこれ以上は語れません。邪悪で、哀切で、だけれど読み終えてみるとどこかしら温かさも感じられる物語でした。どれほどの悲劇が起ころうとも、結果的には「雪のかけらでしかない」というにふさわしいのかもしれません。
Posted by ブクログ
これは面白い!私好みでした!かつて魔女裁判で多くの女たちが殺されたモンモール山。麓の村の村長は実業家で私財を投じて村の管理をしていた。村人を襲う幻覚と幻聴。平和な村に赴任した警察署長のジュリアンは着任早々、連続して呪われ、自殺のように死んでいく村人たちの対応に追われていく。次第にふたりの部下とジュリアンにも幻覚と幻聴が現れる。そして最後の大どんでん返し!
先ずは最初から最後まで魔女の呪いというホラーの匂いがまとわりつく。チャールズ・L・グラントのオクスランステーションシリーズを思い出す。あるいは、もはやラヴクラフトの描くアーカムやインスマウス。禁じられた町…平和な田舎町のはずだが、この町何かおかしいぞ、という感覚。
そして、村人たちが一人ひとり立て続けに狂い、死んでいく。呪いなのか何かのウイルスなのか、それとも生身の犯人がいるのか。3人の警官はどんどん追い込まれていく。このあたりのサスペンスはページを繰る手が止まらないほど。
そして、いよいよ最後に、何が起こっていたのかが明らかになる。頭からたくさんのヒントが散りばめられているので、どうまとめるのかと思っていたが、こう来たか!と。本格ミステリではないので、謎解きを楽しむような本じゃない。
このサスペンス面の面白さは、フランスでは「その女、アレックス」のピエール・ルメートルに似ている。21世紀になってフランスミステリは大きく進化した。昔はつまらない話が多かったですよねえ。既訳の「魔王の島」も早々に読まないといけない。
Posted by ブクログ
やってくれたな、今回も!
オープニングから最高に好み、訳の分からないことが起きてるゾクゾク感に包まれ、モンモール村の雰囲気も素晴らしい!
ただ、製薬会社って設定でなんとなーく予想してたことが当たっちゃったよ。ベアゲルター感満載です←ストーリー違いますよ、念のため。
腹がたたない程度にはあ?と思わせてくれるのはルブリならではでしょう。この感覚は彼の作品でしか味わえません。次作にも期待大です。巻頭に村や登場人物イメージした曲が紹介されてて、ググって聴いちゃいました。モンモール村、ジュリアンのテーマが良かったです。道尾秀介氏作品のようで、こういうの大好きです。
Posted by ブクログ
フランスの作家、ジェローム・ルブリの邦訳第二作。邦題の雰囲気が前作「魔王の島」と似ているが、全く関係ないので今作から読んでも問題なし。
小高い山と二つの丘、その下に広がる森に囲まれたモンモール村。古くからの魔女狩りの言い伝えがありつつも牧歌的な村が、羊飼いが羊を殺し自殺する事件をきっかけに一変する…
前作はサイコサスペンス+フランスらしいミステリだったが、今作は外連味が一味も二味も違い、ホラーサスペンスの域。個人的には、版元は異なるが、マネル・ロウレイロの「生贄の門」のしっかりとした捜査パートを、ホラー寄りに振り切った感じ(もちろん、ラストは全く異なるが)。
ミステリとしては前作の方が衝撃度は上だが、怖さは今作が圧倒的。じわじわと追い詰められていくこの雰囲気は他の作家では味わえない。次作以降も翻訳を続けてほしい。
Posted by ブクログ
「魔王の島」を読んでいなければ、つまり作品への先入観を持たなければもっと楽しめただろうなとは思う。まーた作中作めいた実在しない物語かあ。
謎には答えが示され、きちんとオチてはいるし納得もできるのだが、ヴァンサンやシビルといった「架空の」人物の一人称視点がある点だけはアンフェアなように思う。まさかカミーユの読んだ報告メモが小説体系で書かれていたはずもなかろうし。
Posted by ブクログ
かつて、魔女だと糾弾された女性達が殺された山。その麓に、実業家が私財を投じて作り、管理する小さな村があった。そこの警察に、新しく署長のジュリアンが赴任。平和な村だと聞いていたのに、立て続けに死亡事件が起こる。ジュリアンと部下たちは解決のために奔走するが、その部下たちも‥。
村人や、ジュリアンの部下たちの死に様がコワイ。みな、聞こえるはずのない声を聞いていた。殺された魔女たちの呪い??と、見せかけて、驚天動地の仕掛けが明かされる。全ては実業家が、脳の病気の娘を治すために仕組んだ、壮大な劇場だったのだ。現代の医科学であんなことが可能なのか?は置いといて、愛する娘のためとはいえ、この実業家の情熱はすごいなと思う。
こわいよー、から、ええ?マジか?となる。すっかり騙された。警察署の人たち、けっこう好きだったんだけどな‥。
Posted by ブクログ
前作『魔王の島』が突っ込みどころ満載の作品で、なかなか面白かったので手に取ってみました。この作品のほうがミステリー度は高いと思います。小さな村で次々と起こる不可解な死。どう収束させるのかと思って読んでいたら、予想を超えた結末でした。
Posted by ブクログ
ミステリーはあまり読まないので、ミステリーとしてのレベルはわからないが、結末はかなり予想外。
現在の科学では実現できないオチというのは、SF好きの立場では違和感がない。純粋ミステリーとしては邪道かもしれないが
楽しめる。
Posted by ブクログ
雪山・魔女狩り伝説・殺人→フランスらしいダークなミステリー小説
期待を裏切りません
村の人間の大量殺人がどのように起きたのか、どのような背景があったのかを現在と過去を行ったり来たりして読ませるスタイル
こうだろうと謎解きをしたが、うまく予想をずらしてくれる
いい作品です
Posted by ブクログ
タイトル!絶妙!
真相の好みは分かれると思いますが、悔しいほどに説明がついてしまう。どうして、なんで?!と引き込んでおいてからの、真相。えーって、でも、全てのことの説明がつく。
魔王の島も良かったけど、こちらもとても楽しめました。
Posted by ブクログ
かつて魔女裁判が行われていた村で起こった事件… 人間の醜さと情念を禍々しく描くミステリ #魔女の檻
■あらすじ
かつて魔女裁判が行われていたとされる村に、新任の警察署長ジュリアンが赴任されてきた。到着してまもなく青年が死亡する事件が発生、さらにその後も住人達が不幸な出来事に見舞われていく。
警察の部下たちと一緒に事件解決に奔走するも、幽霊、幻聴、謎の言葉が聞こえるなど、不可思議な現象に吞み込まれてしまう。この村では一体何が起こっているのか…
■きっと読みたくなるレビュー
序盤から不穏な空気に包まれるこの感じ、なんか怖いんですけど…
舞台はかつて魔女と間違われた女性たちが多数殺害された村。事業家が村を買い取り、現在の村長となっている。村民は羊飼い、宿屋、料理人、スクールバスの運転手、ブロガーなど、何処にでもいそうな彼らなんですが、どうも一癖二癖ありそうな雰囲気。読み進めていくほどに、いったい何が起きているのか混乱を極めていく。
本作は主に警察署長ジュリアンの視点で進行。彼はいわゆる一般的な感情を抱き、当たり前の行動をするのです。そのため読者は同じ目線で読み進めることになるのですが、彼のおかげで今起こっている怪奇っぷりがより強く伝わるんですよね。
次々起こる事件もあらゆる部分が禍々しい。呪われているというか、不幸がつきまとっているというか、どうもはっきりしない。不快感に包まれる物語ってのはいいんだけど、結局どういう話なの? うーむ…
これまでさんざん読まされた猟奇的なストーリー、変な章タイトル、意味が分からない事実に関する記述などなど。終盤まで読み進めると…
はぁあああああぁ?何言ってんのか理解できず、さらに読み進めると徐々に脳みそが追い付いてくるんです。
ある意味ひとことで説明できちゃうような題材かもしれないんだけども、人が抱く愛情、醜さ、傲慢さ、悲哀を丁寧に描いているから、作品全体の重力が半端ないんだよね。読み終わってみると、何だかイイ話だったような気もしてしまうという…
正直、どなたにもおすすめできるとは言い難い。森の中を迷い込む感覚、訳わかんなない、助けてって感覚を味わいたい方は、めっちゃ楽しめると思いますよ!
■ぜっさん推しポイント
「正義」の反対語は何か知ってます?
「正義」の反対語は、逆の立場から見た「正義」だそうです。「悪」じゃないんですって。たしかに社会秩序を守るために法律がありますが、一定の善と悪を定義しているだけなんすよね。
時は常に流れ、時代や世相によって価値観や技術も進化していく。正義の物差しってのは質量も重力も方向もすべてが曖昧だよなぁ。こんな風に得体の知れない虚無感に浸れること請け合いです。独特のフランスミステリー、楽しんでください。
Posted by ブクログ
魔王の島と同じ作者で、身構えて読んだが、全く違ってた。ミステリと言うよりはホラーサスペンスのようでモノクロの映画を観てるかの様だった。この前読んだミゼレーレと言い、フランスのおどろおどろしいのを続けて読むとは思わなかった。
Posted by ブクログ
前作に続いて今回も驚きと予想外の展開が二重三重と続きます。魔王の島読んでたから身構えてた分、衝撃は前作ほどではなかったですが。
現代版、フランス版の『ドグラマグラ』みたいな作品ですね。著者は『ドグラマグラ』の存在知ってるんだろうか?
Posted by ブクログ
ラストまで、一気読みでした。想像できないラストでした。主人公と思われる警察官が事件解決に結びつけるかと思いきや、まるで違う展開に…。面白かった。文章も景色や自然を現す表現の仕方が美しく、読みやすい。
Posted by ブクログ
たまたま見つけて読んだけど、面白かった。
それぞれの死に方が想像で、脳波?から読み取った的なのはどうかと思うけど。
それぞれが個室に入れられているんじゃなく、実際にモンモールで生活しいた…は現実感なさすぎか。
Posted by ブクログ
魔女裁判で女たちが殺された山。その麓には実業家が私財を投じて管理する村があった。そこで起こる怪事件を捜査するのは、新しく赴任してきた警察署長とその部下。しかし事件は次々と起こり…。村に隠された秘密とは…。ホラーサスペンスというだけあって、ミステリーというよりホラー寄りな作品で終始どんよりとしたムードで話が進んでいきます。まぁ、結末はなんとなく予想してた通りだったのですが。もう1作の『魔王の島』もいつか読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
・あらすじ
フランスの架空の街モンモールが舞台。
ジュリアンは新人の警察署長としてモンモール山という岩山が聳え立つ小さな集落モンモールに赴任してきた。
近代的に整備された町並みはある一人の富豪ティオンビルが村を買取り私財を投資しているからだという。
この村には1600年代に魔女狩りと称して村の女性たちを幾人も岩山から突き落とし、その女性たちが魔女となり村に呪いをかけたという言い伝えがあった。
そしてジュリアンの赴任初日から村で何人もの人間が恐ろしい方法で死んでいく。
・感想
魔王の島の作者だし、合間に挟まれる「事実」パートが脳の電気信号やら薬の作用がなんちゃらと書いてあったので人体実験の話なのかな?と予想しながら読んでた。
大体予想通りだったけど、次々と起こる事件は結構陰惨、ホラーは読みなれてない&あまり得意ではないのでホラー描写には結構ドキドキした。
続きが気になって読む手が止まらないのも前作?と同様でおもしろかった。
けど思わせぶりな台詞や描写も明かされてみれば「そんなもんか」程度だったなという印象。
どっちかといったら魔王の島の方が好みだったかも。