あらすじ
司望(スー・ワン)は突出した才能を示していた。天才と言ってもいいほどだが、非常に謎めいた少年だ。自分は申明(シェン・ミン)の生まれ変わりだと語るが、当然そんなことをまともに受け取る者はいない。しかし、生まれる前に起きた申明殺人事件に異常な関心を持っているのはなぜなのか。漢詩などの好みが申明と同じなのはなぜなのか。2011年に至っても1996年に起きた殺人事件の真相はわからないままだ。警察は動き続けているが、捜査は難航していた。事件の関係者が次々と死んでいるのも捜査を難しくしていたのだ。まるで申明が復讐しているかのようだった。
1995年6月19日、名門高校の教師申明を殺したのはだれだったのか。
輪廻の輪が閉じるとき、すべての謎は明らかとなる。
――そんなに急いで生まれ変わらないといけないのか?
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次々と事件が起きた上巻に比べ、下巻はそれぞれの事件に関わる人を中心に、謎を包囲して行くように展開していく。輪廻転生と因果応報と言う主題はそのままに、深く沈滞したままの事件と浅瀬を流れるかの様な新たな事件が交錯する。とんでもなく悪い奴の出現でページを捲る手が止まらない。
最後は涙なのが出来すぎ感強めかな?
全体的に人名にふりがなが付いてたのが良かった。
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蔡駿『忘却の河 (下)』竹書房文庫。
生まれ変わりという超常現象と複数の殺人事件に纏わるミステリーとを融合した中国小説の下巻。
上巻は非常に展開が早く、非常に面白いと思ったのだが、下巻は少し間延びした感がある。それでも、申明が刺殺された事件の背景が徐々に明らかになり、犯人の正体と事件の全貌、結末が知りたくて、ページを捲る手が止まらなくなる。
輪廻転生と因果応報。生まれ変わりと人びとの犯した罪の無限ループ。
2011年。高校生に進学した申明の生まれ変わりの司望は、申明のかつての教え子で教師になった欧陽小枝と運命の再会を果たす。司望は申明の死に纏わる真相を解き明かそうとする。
申明の教え子の女子高生である柳曼の毒殺の謎、柳曼とただならぬ関係にあったと噂された申明の殺害、申明の婚約者だった谷秋莎とその父親である谷長龍の死、申明の友人である賀年の死、一連の事件の捜査に携わっていた捜査官・黃海の転落死。申明と司望を中心とした死の連鎖は果てしなく続く。
時はさらに流れ、大学受験を目前にした司望は……
人間の運命は過去に犯した罪の重さで決まるのか。登場人物たちの複雑に絡み合った過去の罪がまるで意思を持った一つの輪となり、永久に回り続ける。
本体価格1,400円
★★★★★
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司望は南明高校の入学式に向かう。地下鉄の駅からはバスに乗らないといけないが、今は道の工事のために走っていない。歩いていては入学式に遅れそうだ。白タクがいて乗ったらどうかと誘っている。躊躇していた司望に、一緒に乗りましょうと誘た女性がいた。南明高校に行くのなら自分もそうだからという。タクシーに乗ってから南明高校の教師だと名乗った。欧陽小枝だ。記憶にある女性だ。前世の記憶を持った者のお話。登場人物が多くて途中で錯綜してきそうだが、読んでいるうちに分かって来た。前世と今世を繋いだ記憶は現世にどのような影響を及ぼすのか…。
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上下巻で読み応えありました。翻訳も読みやすい。最初に提示される女子学生の死からこれほど多くの人の人生が交錯する展開になるとは。生まれ変わりという設定が物語を牽引しているのは確かだが、それを取っ払ったところに見える相関図は凄まじい。
Posted by ブクログ
評判が良く、気になっていた作品。
ただ、華文ミステリ苦手なので、不安はあったが…驚くほどスルスル読めて、かつ面白い。
次々に人が死んでいくけど、一人ひとりをしっかり描けてけているので、人数が多いのに毎回喪失感がある。上巻のスピードに比べて、下巻はやや間延び感もあるが、十分面白い。
さすがに怪しい人物が皆いなくなるので、意外な人物が犯人、という点からは真犯人は当てやすいかも。
フランス語版を翻訳したもので、かつ登場人物の名前のルビがたびたびあって、それで読みやすいのかな。
竹書房自体、ずいぶん久しぶり。