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Posted by ブクログ
前作はピレネー山脈との国境の街を風雪の季節を背景に描いたものだが、本書ではトゥールーズの近くの架空の町マルサックを背景にし、全編よく降る雨の季節と、前作とは雰囲気を変えている。タイトルとは全く無関係な邦題が選ばれたのも、本書中で絶え間ないほどに降り続く雨と、その奥で起こった犯罪の姿を想起させるべく、訳者と版元とで決められたものに違いない。
原題はフランス語で「ル・セルクル」、英語に直せば『ザ・サークル』で、作中、いつこのタイトルが姿を現わすのかとやきもきさせられるが、読み進むにつれ、そのタイトルの意味は明らかになる。全作同様に過去に何が起きたのか? が現在何が起こっているのか? という疑問への回答となる、全作の写し絵のような細工の施された大作である。
前作に比べると劇的とまではゆかない進行度合いだが、途中から例によって加速するのと、ミスリードを幾重にも招いてゆく騙し絵のような迷路構造は、この作家のどうやら本懐とするところらしいから、疾走感を思わせる面白さには十分期待して頂いて構わないだろう。
前作に増して、弱点いっぱいだがどうにも憎めない主人公マルタン・セルヴァス警部は、その個性をしっかりと出し続ける。主役に負けず劣らずの周囲の個性ある捜査スタッフたちに助けられ、パンクな娘マルゴとの距離感もつかず離れずの微妙な親子関係で味わいを持たせたまま。
前作に比べ、さらに猫の目のように移り替わる視点により、後半はより読書が加速すること請け合い。最近感心させられたJ・D・バーカーの猿三部作シリーズなどと共通のジェット・コースター性はほぼ全作において保つ作家である。そのストーリーテリングに、文学性趣味も加わって、不器用で痛い思いばかりしてしまう主人公ともども、ますますシリーズ加速化が期待される。
前作でその生死の謎が期待されるハンニバル・レクターなみの例の人物が本書ではどのように関わってくるのか、も無論かなりの読みどころになっており、ラストのどんでん返しの連続はやはりプロットの妙、そしてなぜこの作家が現代フレンチ・ミステリーの代表格にのし上がっているのかが、理解できると思う。
現在、四作目の邦訳が待たれる作家としてぼくは相当注目しています。
Posted by ブクログ
フランスの作家、ベルナール・ミニエのセルヴァズ警部シリーズ第二弾。上下巻ともそれなりに太く、ボリュームが凄い。
学園都市で女教師の死体が発見される。縛られ、バスタブに沈められたその死体の側には、セルヴァズが昔付き合っていた女性の息子がいて…
前半こそ展開が遅いが、事件の本質が分かりはじめた途端にフルスロットルとなる。特に死体がライトを咥えていた理由は凄惨。衝撃だった。
前作で逃げた殺人鬼ハルトマンの影もチラつく中、セルヴァズの過去、学生時代の友人や交際相手が絡み、シリーズをとおしてキーとなる作品だったのではないか。
終わり方も非常に味がある。最新作までのあらすじで展開は薄々気づくのだが、途中の幕間の立ち位置を理解した瞬間、ラストの絶望感が増す。
少し太いが、これこそフランスの警察小説。お家芸の衝撃な展開もあり、非常におすすめのシリーズ。
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