あらすじ
フランス国内シリーズ累計90万部突破。
犯人は17歳の少年か、逃亡中の凶悪殺人鬼か――。
世界17カ国で刊行!
警部セルヴァズの事件ファイル#2
女性教師殺害の現場で見つかった、逃亡中の連続殺人鬼ハルトマンの痕跡――だが逮捕された少年ユーゴ以外にも若手政治家や同僚教師らが新たに容疑者として浮上、捜査は一気に混迷する。そんななか、ユーゴと同じ学校に通うセルヴァズの娘マルゴが襲われ、町を震撼させる凄惨な事件が!しだいに明かされる進学校の闇、姿なき悪鬼の真の目的とは?フランス発ベストセラー・シリーズ第2弾。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前作はピレネー山脈との国境の街を風雪の季節を背景に描いたものだが、本書ではトゥールーズの近くの架空の町マルサックを背景にし、全編よく降る雨の季節と、前作とは雰囲気を変えている。タイトルとは全く無関係な邦題が選ばれたのも、本書中で絶え間ないほどに降り続く雨と、その奥で起こった犯罪の姿を想起させるべく、訳者と版元とで決められたものに違いない。
原題はフランス語で「ル・セルクル」、英語に直せば『ザ・サークル』で、作中、いつこのタイトルが姿を現わすのかとやきもきさせられるが、読み進むにつれ、そのタイトルの意味は明らかになる。全作同様に過去に何が起きたのか? が現在何が起こっているのか? という疑問への回答となる、全作の写し絵のような細工の施された大作である。
前作に比べると劇的とまではゆかない進行度合いだが、途中から例によって加速するのと、ミスリードを幾重にも招いてゆく騙し絵のような迷路構造は、この作家のどうやら本懐とするところらしいから、疾走感を思わせる面白さには十分期待して頂いて構わないだろう。
前作に増して、弱点いっぱいだがどうにも憎めない主人公マルタン・セルヴァス警部は、その個性をしっかりと出し続ける。主役に負けず劣らずの周囲の個性ある捜査スタッフたちに助けられ、パンクな娘マルゴとの距離感もつかず離れずの微妙な親子関係で味わいを持たせたまま。
前作に比べ、さらに猫の目のように移り替わる視点により、後半はより読書が加速すること請け合い。最近感心させられたJ・D・バーカーの猿三部作シリーズなどと共通のジェット・コースター性はほぼ全作において保つ作家である。そのストーリーテリングに、文学性趣味も加わって、不器用で痛い思いばかりしてしまう主人公ともども、ますますシリーズ加速化が期待される。
前作でその生死の謎が期待されるハンニバル・レクターなみの例の人物が本書ではどのように関わってくるのか、も無論かなりの読みどころになっており、ラストのどんでん返しの連続はやはりプロットの妙、そしてなぜこの作家が現代フレンチ・ミステリーの代表格にのし上がっているのかが、理解できると思う。
現在、四作目の邦訳が待たれる作家としてぼくは相当注目しています。
Posted by ブクログ
セルヴィズ警部シリーズの二作目。一作目は未読だが必要な情報はちゃんと書かれているから、問題なく読むことができる。壮絶な過去のため常に哀しみと怒りを心の底に抱えている主人公セルヴィズは、公平で有能、頭が切れるし信頼できる部下もいる。
エリートばかりが通う名門高校の女教師が変死体てわ見つかった事件を担当する。容疑者は生徒でかつてセルヴィズが最も愛した女性の息子だった。
Posted by ブクログ
非常にのろく、伏線が多く、読む人によってはイライラする書き方なのかな?自分はどうもね、作者の、主人公の、世の中に対する物事の捉え方や自身の身の置き方に共感するものがあって、心地よく読め長さも感じなかった。
後書きなど読む前に作者を女性と思い込んでいたが、男性だった。こういう刑事物は無駄に疲れるかとても入りこめるか、いずれにしても、読んだ後は内容はスッパリ忘れてしまいがちだが、なんかこの作者は自分が読者に求めている何かを持っている気がして、後々印象に残る気がする。このシリーズでもいいが、別の作品が楽しみだ。