あらすじ
傷つけられた妻を見ても、夫のパトリックは動揺することなく、拘束されてもまったく抵抗しなかった。なんの感情も宿さない彼の瞳に、ラファエルは嫌悪感とともに底知れぬ恐怖を覚える。
拘束を解くことを条件に逃亡に手を貸すという提案にのり、ラファエルはパトリックに誘われて別棟に足を踏み入れる。だがそこには、手足を縛られ、猿ぐつわをされたふたりの少女が床に転がされていた。
呆気にとられたラファエルに、パトリックのバットが襲いかかる。何度も何度も何度も殴打され、ラファエルの鼻はひしゃげ、骨は砕けた……。
村はずれに建つその屋敷は、理想的な隠れ家だった。いたいけな少女をさらい、その肉を噛み、血を啜り、亡骸に唾するサイコパス――パトリックにとっては。
ささやかな希望さえ絶望が塗りつぶす、悪夢のような惨劇に終わりはくるのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
カリーヌ・ジエベル『無垢なる者たちの煉獄 下』竹書房文庫。
下巻。いよいよサイコパスとしての本性を現した獣医サンドラの夫パトリック。シリアルキラーと強盗犯の息詰まる攻防。強盗犯ラファエルと弟ウィリアム、囚われたオレリーとジェシカ二人の少女の運命や如何に……
極悪非道、最凶最悪のサイコパス……
二転三転の息をも付かせぬ展開に、ある程度は予想していたものの終盤のあっと驚く怒濤の展開。そして、何よりも結末が良い。男らしく、潔い結末……
竹書房文庫はたまに当りがあるので油断出来ない。何しろキャロル・オコンネルの『マロリー・シリーズ』を世に出したのは竹書房文庫なのだから。最近ではハリー・ファージング『汝、鉤十字を背負いて頂を奪え』が大当りだった。本作もまた非常に面白く、当りだ。
Posted by ブクログ
壮絶。こんなに痛めつけられても大丈夫なもんなんですかね。ラファエルたちが強盗だったことが吹き飛ぶほどの凶悪さ。彼らがいい人に見えてくるのを止められません。人のいろんな面を見せつけられて、サスペンスにとどまらない厚みがあります。ルフェーブル登場場面、いいですねえ。ラストへの流れも好みです。
Posted by ブクログ
警察に追われた宝石強盗犯たちが逃げ込んだのは田舎の一軒家。獣医の女性がいたので監禁した・・・しかし、彼女の夫はサイコキラーで女児を・・・
うおー。なんて話だ。エロ、グロ、そしてサイコ。素晴らしい。
あんまりネタバレしてはいけないけれど、獣医の夫が帰宅してから、立場が逆転し、強盗犯たちが酷い目に合うのだ。その逆転と、さらにその後のどんでん返し。
上下巻あるけれど、割と素早く読める。登場人物が少ないのと、集中して読まないといけない山場は、ラスト100頁なので、それまではパパッと進む。
エログロサイコとどんでん返しという私の好物ばかりで、お腹いっぱいいただいた。