カルロ・ロヴェッリのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『時間は存在しない』の、ループ量子重力理論の研究者カルロ・ロヴェッリの本。
量子力学の発端の、生き生きとした歴史を示す導入は読みやすいが、第2章後半から、この世界構造は何なのか、という量子論にとって避けられない根源的な問いへの思索となり、難解になっていく。ここからは読者を選ぶように思われる。
量子力学は情報理論だ、関係だ、「空」だと言われても、それが物理事象とうまく接続できない読者としては、わかった気になるようでならないようで、著者の思索に振り回されて困惑する。世界の本質の思索において、物理は哲学と無縁ではいられない、と頭でわかってはいても。それでも、思想の網を広く持つことが重要だ、という物理 -
Posted by ブクログ
【物理を知りたいと思っているあなたに贈る、最も軽やかで最も素敵で、あっというまに理解できる感動的な究極の名著。】
という触れ込みであるし、文庫で実質120ページと軽めの本なので読んでみることにした。
以前に読んだロヴェッリ氏の「時間は存在しない」は「ループ量子重力理論」という概念を説明する本だったが、本書もそうだった。
( [すごい物理学] とは [ループ量子重力理論] のことだったのかと納得 )
最初に「一般相対性理論」と「量子力学」の概要を説明しているのは「ループ量子重力理論」への前振りでした。
「超ひも理論」に関する書籍は多数あるが、「ループ量子重力理論」の本は少ないので多くの人に知 -
Posted by ブクログ
子供の頃、自分以外の全ては統一された意識下の登場人物で、本当はこの世界の真の住人ではなく、実験用のモルモットである自分を取り巻く役者か何かだと感じた事があった。その頃、父の古漫画で手塚治虫のSFミックスに『赤の他人』という作品を読み、主人公が同様の妄想に取り憑かれ、不意に皿を割る事で役者を欺こうとするシーンに共感した事をよく覚えている。少し時が経ち、トゥルーマンショーという映画を見た。どれも彼我を極端に隔絶した妄想症、あるいはそれを利用した表現である。
これを素朴実在論というのか、独我論というのか、哲学の領域においてもハッキリした呼び名は分からない。最近では映画にちなんでトゥルーマンショー妄 -
Posted by ブクログ
「時間は存在しない」という著作で、私を混乱に陥れた理論物理学者カルロ・ロヴェッリの初学者向け量子物理学の入門書。
著者が序文に記している「私はこの本を、なによりもまず量子物理学にはなじまが薄いが、それでも量子力学がどんなもので何を意味しているかをできる限り理解したいと考えている人々に向けてまとめた。」という意図は成功していると思う。
言葉で書いてある部分を拾いながら、それを理解しようと努力することはできた。
ただ、数式が出てくると、私はその意味を理解しようという努力をスキップした。
見えても理解できないものはあるのだ。
ただ、なんとなく、マルチバースの考え方は、空想だけでなく、現実に理論的に -
Posted by ブクログ
本書のテーマは「科学的思考の歴史」。
著者のカルロ·ロヴェッリはその科学的思考の一大転機を、古代ギリシャの都市国家ミレトスのアナクシマンドロス(BC610生まれ)とする。
その時代は、あらゆる事象はギリシャ神話に出てくる神々の意思と結びつけられてていたが、彼は
1.雨水は元々海や川の水で、それが太陽の熱で蒸発して降ってくる。地震は酷暑や豪雨が引き金。
2.大地は有限で宙に浮遊し、落下しない理由は落下さる特定の方向わ持たない=他の物体に支配されていないから。
3.太陽、月、星は地球の周りを完全な円を描いて回っている。
4.自然を形づくる事物の多様性は、全て唯一の起源(アペイロン)から生じている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ科学的素養をそこまで必要としない量子論の本という触れ込みで読んでみた。確かにエピソード重点で読みやすい部分もあったが、数式や未知数が出てきた瞬間にわかったふりしかできなくなった。観測による確定とか関係性しか存在しないとか実にむつかしい哲学の話で、この辺は訳者あとがきの言う通り。
直感に反するというだけで話が受け入れがたくなるのは、注記で批判されていた本そのままの態度で反省すべきかと思うが、それも引用されていた英作家ダグラス・アダムズの「重力井戸の底で火の玉の周りをまわって生きている人間の視野がどれだけ歪んでいるかは明確」という言を受けてみればなるほど納得。また人は目でものを見ず、脳の予期と異な -
Posted by ブクログ
カルロ・ロヴェッリさんの言えば「時間は存在しない」の著者
何か読んでみたいと前々から思っていた
たまたま書店で目についたのでこちらが1冊目のカルロ・ロヴェッリ氏
アナクシマンドロス
紀元前610年、ミレトス出身の古代ギリシアの哲学者
著者によれば、科学史における、最初の概念上の革命を実現し、物理学、地理学、気象学、生物学の先駆けとなった人物とのこと
さらには世界像を捉え直すことへの道を切り開いた科学的思考の源流に立つ思想家とする
そのアナクシマドロスの今もなお影響が生きている革命について語られるのが本書だ
アナクシマドロスの時代は巨大な宮殿も、半神のような王の存在も、組織化された宗教的権 -
Posted by ブクログ
量子論は確率、観測可能、粒状性
位置や速度は「行列」で示される
量子 重ね合わせ どちらでもない状態
ハイゼンベルグの「観測」オブザーベイション
観察によって手持ちの情報が変わる
二つの物理的対象物のすべての総合作用を「観測」と見なすことができる。
あらゆる対象物のあらゆる属性が速度のように相対的
量子もつれ エンタングルメント
遠く離れた二つの対象物が同じ振る舞いとなる 第三の対象物との関係
ナーガールジュナの「空」 独立した存在がありえない ≒量子力学論
究極の実態の追求 ⇔ 相互依存と偶発的な出来事の世界
意味とは、生命の外側と内側の妥当な「相対情報」
概念の更