【感想・ネタバレ】世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論のレビュー

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Posted by ブクログ

量子力学の知見から、世界のすべてが「関係」としてだけ現れる/存在するという洞察、さらにそこから世界の一部である我々の意識/実存、または意識の中での意味の在りようが描き出される。

非常にスリリングに感じた。内容が自分の考えにとてもあっている、納得できるということからかもしれない。
書籍にもあるが、哲学で多く論じられている実在論とはややレイヤが違い一概に比較できないとも思うが、あらゆる実在が相対的(関係)であるという著者の考えは、実在の理解として、とても納得できる。

さらに著者は、相対的といったときの我々の存在については、意識は世界の一部であり、ただただ自然であるという。分かっていると言いたいが、「自分の存在」の特別さを探してしまう気持ちを、まだ捨てきれないでいると感じる。

また、著者は言う、量子力学から考えた自分の考えは、仏教の「空(縁)」につながると。
ここで、我執を断つことは仏教のめざすものの一つであったなと思い、自分の気持ちに納得する。

改めて考えると、おそらく自分は、我執を含む執着から離れたいと思いから本を選び読んでいるのだとおもう、だから、本書をスリリングに感じたのかもしれない。


・量子力学から考えるに、すべての物の属性は関係を持った時にだけ立ち現れる(2者間の関係のみ。3者の場合は、2者間の関係を位置?変換することで共有できる)。
・意味もダーウィズム的な進化論から物理的な相互関係から基礎づけられる(超越的なものはない)。
・意識は自然の一部であり複雑な相互関係といえる(超越的なものはない)

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2022年11月12日

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世界は対象によってできているのではなく,関係によって対象が存在しているというコペルニクス的転換によって量子論を解釈する関係論的解釈に基づいている。本書は物理学の範疇を華麗に抜け出し、哲学、心理学、生物学の範囲を駆け抜けてゆく。関係論的解釈によって二元論など先入観に囚われた世界を新たな記述によって再解釈し、観測することが可能になる。

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2022年03月10日

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またもや素晴らしい本に出会った。量子論という理系的な内容を、学問的な専門知識と卓越した詩的な文章能力を両立させて面白くかつ美しく教えてくれる本だ。完全に自分の好みのツボ。生物学の福岡伸一さんや数学のサイモンシンさんのファンならば絶対に読んだほうが良い。
数か月前に、同じ著者の「時間は存在しない」を手に取ったが、それは全くとしていいほど自分に響かなかったが、おそらくそれは自分の不勉強のためだろう。再度チャレンジしてみたいと思う。

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2022年02月20日

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 つい最近「実在とは何か(アダム・ベッカー著)」という、主に哲学の立場からコペンハーゲン解釈の論理実証主義的な実在否定論を批判する本を読んだが、この本はそれとは全く正反対の立場に立つ。つまり自然主義の見地から「世界はそこに内在する自然の一部と他の一部の相互作用の網の目によって成り立っている」とし、事実の総体としての「実在」を否定するのである。どちらの見方にも説得力と疑問点がありどちらが正しいと断ずることはもちろんできないが、短期間に全く正反対の立場に接することは知識の整理になるし、独断への落ち込みを避ける最も有効な手段だと思う。

 本書の導入部分はシュレーディンガーの波動関数〈ψ(プサイ)〉に対する物理学界の解釈論だ。ψを「確率」として扱うマックス・ボルンらの主流派に抗してこれを事実の総体としての世界にどうにかして位置付けようとする非主流派の理論(ボームの〈パイロット波理論〉、エヴェレットの〈多世界的解釈〉等)を、著者はバッサリ切り捨てる。そして、世界を〈関係=相互作用=属性〉の観点から再構成し、①事物の属性が生じるのは世界の一部と他の一部との間に相互作用が存在するからであり、また②すべての事実は相対的である、とのコペルニクス的転回を提示する。
 この論に従えば、「測定状況依存性」の問題はある世界の一部と他の一部の相互作用の問題に回収することができ、何ら不思議な現象ではなくなる。そもそも相関関係にない観測者に対しては、すべての現象はエンタングルメントとしてしか提示されない。測定という形で相互関係に立った瞬間、その現象から具体的な属性が提示されるのだ。ただしその属性は観測者との間でしか妥当せず、異なる系に立つ観測者がその属性に同意するには、観測者同士が相関して共通認識を持つ必要がある(〈間主観性〉)。
 そして、量子物理学の2つの公準から「ある対象の情報を最大限集めても情報の総体は確定不能」と言う命題が導出されることから、「究極の〈本質〉は存在しない」という、伝統的実在論の否定に至るのだ。ここで興味深いのは、論理実証主義の旗頭であったエルンスト・マッハに影響された、ロシア革命期の思想家アレクサンドル・ボグターノフなる人物が舞台廻しとして登場することだ。彼は、マルクスやエンゲルスと通底する相対的経験主義に立ち、「現在の物質概念も知識の歩みの途中段階であり、経験と概念の組織化により継続的に知識を得ることが必要である」と主張してレーニンの史的唯物論批判を繰り広げたのだが、これが上記の量子物理学の公準から導かれる確定不能性と相似形をなすのである。「歴史も情報も、先行して獲得された経験の総体からは決してその未来が確定できない。だからこそ世界の表象から既知の事実と異なる情報を検出し、知識の更新を図る必要がある。これが歴史と量子論に共通する本質だ」というわけだ。量子論と共産主義世界における論争とのシンクロに驚かされると同時に、物理学者でありながらロシア思想史にも造詣の深い著者の博識ぶりに深い感銘を受けた。
 
 無論、どうしても得心の行かない部分はある。例えば、本書で触れられる〈ハードプロブレム(デヴィッド・チャーマーズ)〉がこれで解決できた、と著者は言うが、本当にそうだろうか。「すべての物理現象は三人称的でなく一人称的であるから、一人称的な心的現象も物理現象の範疇に含めてよい」と言うのが著者の主張だが、それはやはり安易なショートカット(主観的意識経験の物理科学的記述を経ることなくいきなり主観を物理現象としてカテゴライズしてしまう)と言わざるを得ないように思う。本書で槍玉に挙げられているトマス・ネーゲルは、まさにこの主観的経験の物理的記述の困難性を指摘したのであって、これに正面から挑まないままいきなり「主観的経験はすぐれて物理的現象」とするのは意図的な論点ずらしのように思えてしまうのだ。
 そしてもう一つは、実在性の否定にどうしてもポストモダン的なニヒリズムの匂いがしてしまうこと。「哲学が科学に従うべきであって、その逆ではない」とは自然主義の文脈でよく見られる言説だが、少なくともこれまでは実在の探求こそが科学パラダイム獲得の歴史の下支えだったのではないのか。それともやはり僕のこのような見方自体が、すでに古典物理学のドグマに絡め取られたものなのだろうか。

 とはいえ、著者の考察は簡潔で論旨が分かりやすく、説得力に富むのは間違いない。有名な「シュレーディンガーの猫」や「エンタングルメント」を用いた間主観性の説明も懇切丁寧で、少なくとも上述した「実在とは何か」との比較では、著者の主張の方に同意する向きが多いのではないかと思う。また、本書第3部以降の自然主義・科学哲学的考察は日本の研究者も同様の著書を多く出しており(e.g. 戸山田和久「哲学入門」「恐怖の哲学」etc.)、僕同様馴染みが多く共感できる読者も多そうだ。

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2022年02月20日

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タイトルからポピュラーサイエンス的な量子力学解説と言った趣向の本かと思ったが途中から、これはちょっと違うなと思い始め、最後にかけては哲学というか文学というか様々な分野を統合して世界への認識を改めていくような割と革命的な世界の見方を提示してくれる。世界の見方が変わる本。
作者カルロ・ロヴェッリのヨーロッパの哲人的なさまざまな分野での深い教養とそれを魅力的に語る言葉の翻訳を通しても伝わる素晴らしい文章が非常に魅力的。
シェイクスピアの引用から始まる最終章が白眉。

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2022年02月11日

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世界の見方が少し変わるとても面白い本だった。 量子力学の専門的な話と言うよりも、「世界について理解する」というような哲学的な本であった。

ただ、序盤の量子力学の解説に関しては少し背景知識がないと理解が難しい。
とはいえ文系の私でも理解出来て、楽しめたので、わかりやすい本だと思う。

古典物理学では説明不可能な量子現象に対する解釈として「関係」という概念を用いて説明している。そして、その考え方が哲学的にも特異でなく、先例のある考え方であることを解説している。

題名のような過激さは本の中にはない。表紙のデザインとタイトルだけだろう。 非常に読んで楽しかった。

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2022年01月15日

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解説竹内氏の「ルネサンス的な知性による本」まさにその通り!!
量子物理学のテーマからこんな哲学の話につながっていくとは思わなかった。たしかに世界の真理を解き明かそうとする学問という根っこは同じか。

竹内薫氏の解説、冨永星氏の訳者あとがきから読んでもいいかもしれない。本文で迷子にならないようガイドになってくれる感じ。

正直、量子物理学の現象の詳細やら過去の物理学者のアレコレは斜め読みですっ飛ばしていたが(とはいえシュレーディンガーのスキャンダラスな私生活には思わず目をみはる)、哲学的思索へとつながっていく流れに引き込まれていき、じっくり読み耽ってしまった。

量子物理学では、対象物と測定装置との相互作用を無視することができない。絶対かと思える実験結果も、あくまでその観測者の視点で像を結んだ見え方にすぎない。それは観測者と対象との「関係」によって実現されたもの。現象とは、この世界の一つの部分からほかの部分への働きかけなのだ。

ほかの要素との関係において他の要素のありようが決まる、というのは、受精卵から細胞が分化していくときに隣の細胞がどの組織になるかによって自分も何の組織になるか決まる…「細胞は空気が読める!」という話と既視感を覚えた。出典は福岡伸一氏。『動的平衡』だったか?

絶対不変の現実は存在せず、ほかの視点と相互に関係することで、その事象への理解が深まっていく。
真実はいつも一つ?それはどうかな??

人がものを見るとき、目から脳に信号が送られて像を結んでいるのではなく、実際は脳から目へ信号の大部分が送られている。脳はすでに知っていることに基づいて見えそうなものを予期し、予測した像を作る。そして予測と違いがある場合に限って、目から脳に信号が送られる。それがもっとも効率的なやり方だから。
色眼鏡をかけてものを見ると、予測との違いを脳は受け取らないんじゃないだろうか。それが認知バイアス。

ダイヤの原石を磨けるのはダイヤモンドだけ。テーゼとアンチテーゼからのアウフヘーベン。多様性の中で生み出されたアイディアはよりイノベーティブ。
自分だけの視点、あるいは同質的な視点ばかりでものを考えるのではなく、異なる視点と交わることでより高みへ行ける。ダイバーシティの重要性とはそういうことだろうと思い至った。著者がそんなことを伝えたいのかはわからないが!

最後の最後、シェイクスピア『テンペスト』からのプロスペロの一節の引用が沁み入る。いやはや、著者の教養には恐れ入る。

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2021年12月07日

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すべてはタイトルに集約されるように、物事は関係において成立し、私が生きているか死んでいるかそれ自体はわからない。相手との関係においてのみ成立するということ。
また、今この瞬間の私の行動がこの世界、今後の時代に少なからず影響を与えている。

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2024年04月08日

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物理学で「意識」の説明を試みたパートあり

■四章 現実を織りなす関係の網

量子物理学を、系が互いについて持っている情報の理論と捉えることが可能

対象物の属性を二つの対象物の相関の確立、あるいはむしろ片方の対象物がもう片方について有する情報、と見なすことができる。
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わたしたちが心的生活を送るには、ニューロン、感覚器官、肉体、脳で起きる複雑な情報処理が必要だ。


基礎となっている各系に「原意識」があると考えなくても、凍りついた「単純な物質」を迂回することはできる。互いの関係によって定まる変数とその相関という観点に立てば、この世界をはるかに上手に記述できる、ということを認めさえすればよい。

心的な現象も、物理的な現象も、物理的な世界の部分同士が相互作用することで生み出されたもの。

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2022年10月31日

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知的な刺激をシャワーのように浴びることのできる本日。近年のノーベル物理学賞は量子論抜きでは語れないほどの状況だ。本著でロヴェッリは量子論を用いながら哲学的な世界に誘ってくれる。

彼は西洋のアプローチを続けて隘路に入ったと思ったら辿り着いたのが、ナーガールジュナ(龍樹)という。万物に実体はなく、すべては関係性によって決まる、と。これでいけばものを観察している自分を疑うことも可能。なので、デカルトの「コギトエルゴスム(我思う、ゆえに我あり)」とは異なる時空に向かう感覚がおもしろい。

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2022年10月16日

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文系量子論渉猟

量子論の読み物を相変わらず手に取ってしまうのである。
もちろん多分一生わからないままでおわるのだが、何冊も読んでいると、さながら巨大な塔の内部をゆっくり螺旋階段でのぼっていくように、気づけばだいぶ高いところにきたなーなんて気分にはなれる、それが量子論文系読書の醍醐味であろう。

て、本書の議論の出発点は、うちの娘が苦労している元素周期表、さらに言えば電子が核の周りを回るその数と動きである。電子が増えたり減ったりして性質が変わる、その働きはどのように説明できるのか。
そうこうしているうちに、電子の動きは観察しているかどうかで変わってくる、という、お前ら自然界レベルで人の目気にしてどうする的な世界に入っていく。

これがまあまたいつものように、ある物質は観察されるまで定まらない、という不確定性原理というやつで、シュレージンガーの猫の例えの学び直しに時間を費やし、そして徒労感を得る。

そこにそれがあるのは観察したからだ、という理屈は、それでは観察される前はどうなっていたのか、なぜ観察している私がその物質に影響を与えるなんてことがあり得るのか、という当たり前の疑問につながっていく。

観察の数だけ少しずつ世界が層のように増えていく、つまりこの世は無限のパラレルワールドだから。たまたま観察したときの確率、いわばサイコロによって世の中は決まってくるから。
さまざまな仮説が大まじめに物理学者によって論じられ、しかし相対性理論との整合性のある理屈を誰も見つけられず、論争は未だ決着していない。

そんなことはサイエンティストではなく哲学者の領分では、という疑問を抱えているうちに実は物理学は哲学そのものだ、なぜなら物とは何か、を考えるのがこの学問の役割なのだから、という地平に辿り着く。

ならばと古今東西の哲学にヒントを探せば、原始仏教、ナーガールジュナの「万物に実体はなくすべては関係性によって決まる」が、思考の補助線としてはもっとも当てはまりがいいということに著者は気がつく。

うむ。
しかしこれだけ理論的支柱が曖昧模糊としているのに量子コンピュータはまあそれなりに実用化の道を突き進んでいるというのが私にはいまだにようわからんのであった。

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2022年08月14日

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この本は、「時間は存在しない」の著者でもあるカルロさんの量子論について考察された本です。
科学の本というよりは、哲学的な本で、私には、めちゃくちゃ難しく、苦労しました(笑)
量子論の摩訶不思議な世界が描かれており、頭が、混乱しますが、とてもいい刺激になりました。
ぜひぜひ読んでみてください。

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2022年03月21日

Posted by ブクログ

「量子重力理論」の研究を専門とする著者が、量子物理学が生まれた背景や、古典物理学の常識を覆すその特徴的な概念、さらには量子論を事物の「関係性」から捉えるアプローチを解説した一冊。

著者は、量子論の基本概念である「量子飛躍」が、単純な方程式ではなく、観測された結果のみを用いて、確率論を前提とした「行列」によって記述された経緯や、量子論に特有な、対象物は「ここ」にも「あそこ」にも存在する「量子重ね合わせ」の状態にあり、我々が目にするのは「量子干渉」がもたらす一つの状態だけであるという考え方、さらにそれを発展させると、「観測」とは我々が対象物を世界の外側から見ているのではなく、我々自身と対象物との相互作用であるという「関係論」に行き着くと主張する。

「この世界が属性を持つ実体で構成されているという見方を飛び越えて、あらゆるものを関係という観点から考える」べきだという著者の「過激な結論」は、本書後半でナーガールジュナという古代インド哲学者の「空(くう)」の概念との対比をふまえ、これまで絶対と思われていたものが相対であったという発見が、心的世界と物理的世界の境界を消し、双方とも自然現象として捉えるという地点にまで昇華される。難解な内容ではあるが、物理学のイメージが(良い意味で)変わることは間違いない。

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2022年02月06日

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なんか、面白いんだけど、理解できないところも多く、だけど面白いと感じる、面白い本。
原題は「Helgoland」で、これは量子力学の発祥に関連がある島の名前である。
この島から始まる量子物理学の系譜から始まり、不確定性、量子もつれ、相対情報などの話に至る。途中、レーニンとボグダーノフの議論や、ナーガールジュナの空の概念まで入ってくるのが、面白い。
日本語版のタイトルである「世界は「関係」でできている」は本書の内容を端的に表しており、結論としてはこのタイトルに尽きる。
以前、仏教関係の書籍を読んでいた時に、物体を見るときに、我々の目に光子が飛び込んでくるのと同時に、我々も見る対象に影響を与えているという趣旨の話があった記憶があるのだが、相互作用により世界が形作られているという話と頭の中でリンクした。
書籍の最後の方では、心理世界と物理世界の関連についても話が及んだが、この辺はほぼ内容についていけず。
全体としては、同じ著者の「時間は存在しない」よりは理解できた気がする。
何度か読み直してみると少しづつ理解が進むかもしれないので本棚に入れておこうと。

本論とは関係ないのだが、脳が見るときの信号の流れも興味深かった。目に光が入り、信号が脳に達すると思われがちだが、実際には脳から目に向かって信号が出ているとか。脳は先に予想される映像を描き、目から入ってくる情報と整合させ、両者に違いがる場合、その違いの分を補正して「見て」いるらしい。
文章の誤字脱字に気づかないことがあるが、脳の中では予測の段階で誤字脱字がない映像を描いているのかもしれない。その映像で意味的に問題がなければそのまま理解してしまうのかも。
また、同じ文章を読むにしても、ディスプレイに映されたそれと、紙面に印刷されたそれでは誤字に気づく頻度が異なる気がする(数えたことはないが)。どちらも脳が予測してから差を補正するということに違いはないのだろうが、ディスプレイに移った情報の方がより予測との差を認識しづらいということなのかもしれない。
文章を読む行為について、脳がどこまでを予測して、補正してということを行っているかも興味が湧くところ。文章が目に入る段階で、字面を予測しているとしても、意識上ではその場で意味を認識はしていない。でも無意識の部分ではなんとなく意味を認識していて、ちゃんと意味が通る文章か予測を始めているのだろうか。
「プルーストとイカ」をもう一回読んでみたくなった。

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2022年01月15日

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あらゆる物が他との関係において観測される事象ということだろうか。モノからコトへみたいな。ナーガールジュナの空の思想が少しだけイメージできた気がした。
ただ、文章はちょっと文学的すぎるかもしれない。物理的な内容にあまり突っ込まず雰囲気だけ書いてある感じ。やや冗長で、この内容なら半分以下のページ数で説明できるのではと思った。

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2023年10月17日

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自然はわたしたちの形而上学的な偏見よりもはるかに豊かなのだ。自然のほうが、わたしたちよりずっと豊かな想像力をもっている

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2023年05月20日

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『時間は存在しない』の、ループ量子重力理論の研究者カルロ・ロヴェッリの本。
量子力学の発端の、生き生きとした歴史を示す導入は読みやすいが、第2章後半から、この世界構造は何なのか、という量子論にとって避けられない根源的な問いへの思索となり、難解になっていく。ここからは読者を選ぶように思われる。
量子力学は情報理論だ、関係だ、「空」だと言われても、それが物理事象とうまく接続できない読者としては、わかった気になるようでならないようで、著者の思索に振り回されて困惑する。世界の本質の思索において、物理は哲学と無縁ではいられない、と頭でわかってはいても。それでも、思想の網を広く持つことが重要だ、という物理学者の主張に触れる点では興味深い。第三部の生命や脳についての議論はやや踏み込みすぎる気もするが、シュレディンガーなどを踏まえると、それも物理学の思想の到達点ではあるのかもしれない。
この本で知った知見として、量子論の記述する現実は、相対性理論の示すように相対的なものだ、「間主観性」だ、ということ。これをカギに、今後の量子論の本に触れていきたい。

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2023年02月11日

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途中までだが、量子論の考え方と、すべては関係によって成り立つ考え方は、唯識やスピノザなどともつながると思ったが、思考したり語るにはまだまだ聞き齧っただけでは歯が立たない。

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2022年12月10日

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哲学的な面もあり興味深い本なのですが、わたしには少しレベルが高かったかなと…

個人的には、『時間は存在しない』の方が楽しめました。

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2022年11月23日

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相互作用のネットワークの節を素粒子と呼んでいるに過ぎない、そう考えれば素粒子の不可思議な振る舞いが理解できるのか?
あまりに哲学的に過ぎて理解できない。
物質的世界と精神的世界が同じ?分からない。

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2022年09月30日

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子供の頃、自分以外の全ては統一された意識下の登場人物で、本当はこの世界の真の住人ではなく、実験用のモルモットである自分を取り巻く役者か何かだと感じた事があった。その頃、父の古漫画で手塚治虫のSFミックスに『赤の他人』という作品を読み、主人公が同様の妄想に取り憑かれ、不意に皿を割る事で役者を欺こうとするシーンに共感した事をよく覚えている。少し時が経ち、トゥルーマンショーという映画を見た。どれも彼我を極端に隔絶した妄想症、あるいはそれを利用した表現である。

これを素朴実在論というのか、独我論というのか、哲学の領域においてもハッキリした呼び名は分からない。最近では映画にちなんでトゥルーマンショー妄想などという、精神障害に分類されるらしい。哲学と精神症は紙一重という事だろう。非日常に取り憑かれる不都合は、いつだって病人扱いで排除だ。

本著は、量子論から関係性を問うもので、シュレーディンガーの猫などを読んでいると、私はどうしても上述の妄想論を思い出してしまうのだ。オブザーバルであって初めて定義される世界。しかし、量子論については、専門性が高く、やはりよく分からなかったというのが正直な感想。分からないから、既知の範囲で解釈しようとこじ付けてしまうのだろう。まさに、関係性による思考処理という事かも知れない。そしてこれら諸々の詭弁は、哲学でも精神症でも、まして量子論とも異なる、牽強付会、ご都合主義から神の境地に帰着する。気楽なものだ。

他人は我が世界の為に存在するという都合よい関係性が、解釈に留まらず、その支配欲を叶える仮想世界への入り口に誘う。やがて人間は、現実世界の関係性を失い、仮想世界で一代限りの神になる。この時、量子論はどうプログラムされるのか。そう考えると、既に現世はバーチャルなのかも知れない。

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2022年09月22日

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「時間は存在しない」という著作で、私を混乱に陥れた理論物理学者カルロ・ロヴェッリの初学者向け量子物理学の入門書。

著者が序文に記している「私はこの本を、なによりもまず量子物理学にはなじまが薄いが、それでも量子力学がどんなもので何を意味しているかをできる限り理解したいと考えている人々に向けてまとめた。」という意図は成功していると思う。
言葉で書いてある部分を拾いながら、それを理解しようと努力することはできた。
ただ、数式が出てくると、私はその意味を理解しようという努力をスキップした。
見えても理解できないものはあるのだ。
ただ、なんとなく、マルチバースの考え方は、空想だけでなく、現実に理論的に考えても良いものだという気がしてきた。
量子力学での新しい発見には、ぼんやりした空想から生まれてきているものもあるようだ。
本書の狙いであるその深淵をのぞき込む淵には、私も立つことができたような気がする。

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2022年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

科学的素養をそこまで必要としない量子論の本という触れ込みで読んでみた。確かにエピソード重点で読みやすい部分もあったが、数式や未知数が出てきた瞬間にわかったふりしかできなくなった。観測による確定とか関係性しか存在しないとか実にむつかしい哲学の話で、この辺は訳者あとがきの言う通り。
直感に反するというだけで話が受け入れがたくなるのは、注記で批判されていた本そのままの態度で反省すべきかと思うが、それも引用されていた英作家ダグラス・アダムズの「重力井戸の底で火の玉の周りをまわって生きている人間の視野がどれだけ歪んでいるかは明確」という言を受けてみればなるほど納得。また人は目でものを見ず、脳の予期と異なるものがあるときだけ情報がフィードバックされるという話も面白かった。
つまるところ本筋はふわっとした理解しかできなかったので枝葉末節ばっかり見ていた気がする。『時間は存在しない』も読んでみるべきかどうか。

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2022年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新聞の書評を読んで面白そうだったので読んでみたけど、量子については1mmも理解できなかった。現代物理学は哲学という認識は得た。
冨永星さんが翻訳を担当された「素数の音楽」を読んだ時も思ったけど、この解明に関わってきた人物たちのエピソードが破天荒で面白すぎる。ボグダーノフが初めて口にした言葉が生後18か月の「パパはばかだ!」に笑ってしまった。

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2022年02月07日

Posted by ブクログ

量子論を、その歴史と思想の観点から書いた本。
ハイゼンベルクやシュレーディンガーだけではなく、レーニンやナーガールジュナまで登場する。
原書は文学的にも美しい文章らしいけれど、日本語訳はそうでもない。

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2022年02月06日

Posted by ブクログ

前作の「時間は存在しない」が相当面白かったので期待して読んだのだが、前作ほどのインパクトはなかった。
前作は時間とは何かというシンプルそうで難しい問題に焦点があたっていたので読みやすかったが、今回は量子力学の歴史から始まり、何について議論を展開したいのか少し読者を置いていってしまった印象。
ただし、知的好奇心をくすぐるには十分な内容で、読んでいて新しい世界が開けるような感覚もあった。

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2022年02月03日

Posted by ブクログ

量子理論の本かとおもいきや、ゴリゴリの哲学本だった。
量子の理解不能な振る舞い(観察の有無で結果が変わる)についての解釈はまだ結論が出ておらず、いろいろあるみたいだが、この本の解釈は面白いし、分かりやすかった。
その解釈の説明が前半を占め、後半はその解釈を踏まえて、この世界をどう捉えるかという哲学的な話になっていく。
そこからはかなり難しかった。
何となく分かったような分からんような感じだったが、物理学と哲学の近さは感じた。

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2021年12月11日

Posted by ブクログ

量子論は確率、観測可能、粒状性
位置や速度は「行列」で示される

量子 重ね合わせ  どちらでもない状態
ハイゼンベルグの「観測」オブザーベイション
 観察によって手持ちの情報が変わる
 二つの物理的対象物のすべての総合作用を「観測」と見なすことができる。
 あらゆる対象物のあらゆる属性が速度のように相対的

量子もつれ エンタングルメント
 遠く離れた二つの対象物が同じ振る舞いとなる  第三の対象物との関係

ナーガールジュナの「空」 独立した存在がありえない ≒量子力学論
 究極の実態の追求 ⇔ 相互依存と偶発的な出来事の世界
 
意味とは、生命の外側と内側の妥当な「相対情報」

概念の更新
 脳は見えそうなものを予期し、自分の予測に反する情報の入力、確認をしている
 

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2021年12月18日

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