あらすじ
理論上の天体「ホワイトホール」の存在に迫る! 天才物理学者による圧巻の宇宙論
2019年に観測され、ついに存在が明らかになった「ブラックホール」。光さえも吸い込むこの天体は、どのような運命をたどるのか。カルロ・ロヴェッリが提唱するループ量子重力理論を推し進めると、ブラックホールは長い時間を経たのちに、あらゆる情報がそこから噴出する「ホワイトホール」に変わる可能性が浮かび上がる。ブラックホールは時の経過とともにて細く長く引き絞られる漏斗のような構造を持ち、最も深い領域では量子現象による時空の歪みの影響を受け、時間が反転する。そして黒い穴は、白い穴へと変わる――
『時間は存在しない』『世界は「関係」でできている』で常識を覆し、”ホーキングの再来”と評された天才物理学者が、満を持して自身最大のテーマである「ブラックホールとホワイトホール」の謎に挑んだ集大成の一冊。
【内容】
第一部 黒い穴(ブラックホール)
第一章 ブラックホールとは何か
第二章 地平線で時は止まるのか
第三章 不穏なる時間の相対性
第四章 内側に行って、見る
第五章 量子効果と特異点
第六章 ブラックホールの奥底を見る
第二部 白い穴(ホワイトホール)
第七章 ホワイトホールとは何か
第八章 空間そのものを構成する基本粒子
第九章 ブラックホール内部での飛躍
第十章 計算は今も進行中
第十一章 ホワイトホールの外部で起きること
第三部 過去と未来
第十二章 科学者たちの論争
第十三章 ホワイトホールの地平線
第十四章 過去と未来は何ゆえ異なるのか
第十五章 わたしたちは未来を思い出すことができない
第十六章 わたしたちは過去を選べない
第十七章 天空を漂うホワイトホール
訳者あとがき
原注
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最新の物理学をわかりやすく説明いただけてます。また、過去と未来についても解説されています。この地球は、まだまだ平衡状態には程遠い状況にあります。本当に平衡状態であれば、動けず、感じず、記憶できず、思考できません。平衡状態ではないので、過去を記憶する事ができます。
Posted by ブクログ
ロヴェッリの「時間は存在しない」からの3部作最終巻(のはず)。著者が書かれているように本シリーズは物理をあまり知らない人と「専門家」向け。専門家と言っても本書は高度な知識や数式による表現はなく、物理に対する形而上学的な哲学的な著者自身の信念的な考えを伝えている意味合いが強い感じ。自分はもちろん前者寄りだが、特に第三部は著者の熱いメッセージが伝わってくる。時間/過去/未来に対し、宇宙と言うとてつもなく大きくとてつもなく長い歴史の振る舞いを通じてとてつもなく小さく短い存在の人間がどう捉えているか(捉えるべきか)いう観点はとても深遠で壮大な感じで良き。マクロな話(人や心)とミクロな話(量子の世界)との関係にも少し触れていて興味深い。
肝心のホワイトホールの話はちょっと肩透かし感はあり。アインシュタイン方程式が通じるブラックホールの手前(第一部)までは何となく分かる気になるが、その先は、未知の世界であり著者レベルの専門的な難しい説明なしには伝えるのは難しそう。ブラックホールがプランクスターと呼ばれる空間的な限界レベルまで収縮して、そこからは空間的な量子の世界で量子トンネル効果ですり抜けて跳ね返り、時間反転してホワイトホールに...と。んー...。
自分的には3部作の中では一番面白かったが、ダンテ他の引用についていけなかった...。著者の文学的な博識に脱帽。
Posted by ブクログ
みんな大好きカルロ・ロヴェッリの新作。
ちょこちょこ色んなところで出て来たホワイトホールについての解説本なのだけど……難しい!
いや、ロヴェッリ自身の語り口は軽妙なんだけど、純粋に内容が難しいね。細かく理解をしようとせず、あえて文学的比喩に身を任せてみたほうが良かったかもしれない。
「ホワイトホールは、時間が反転したブラックホール」というのが、ロヴェッリの答えなのだけど、その実証が(つまりホワイトホールを観測できた、という結果があれば)彼の唱える「ループ量子重力理論」が正しいことを証明してくれるのだそうな。
しかしまぁ難しい本だったな…。読み直しても半分以上分からんが、雰囲気は楽しめる。そこらへんはさすがロヴェッリだよなー、とか。
Posted by ブクログ
数式等の詳細は入れずにホワイトホール論を語る本。
それでも中盤は難しく少し流していましたが、最後の一文に「ハッ」として戻って読み返してしまいましたw
Posted by ブクログ
文章はわかりやすく第一人者の書いたポピュラーサイエンスの本でありながらエッセイ風でもあった。ホワイトホールについておそらく本書以上にわかりやすく解説することはできないと思うが自分には十分理解できなかったのが残念。
ダークマターはホワイトホールかもしれないというのは驚き。
【原題】
Buchi biamchi
【目次】
第一部 黒い穴(ブラックホール)
第一章 ブラックホールとは何か
第二章 地平線で時は止まるのか
第三章 不穏なる時間の相対性
第四章 内側に行って、見る
第五章 量子効果と特異点
第六章 ブラックホールの奥底を見る
第二部 白い穴(ホワイトホール)
第七章 ホワイトホールとは何か
第八章 空間そのものを構成する基本粒子
第九章 ブラックホール内部での飛躍
第十章 計算は今も進行中
第十一章 ホワイトホールの外部で起きること
第三部 過去と未来
第十二章 科学者たちの論争
第十三章 ホワイトホールの地平線
第十四章 過去と未来は何ゆえ異なるのか
第十五章 わたしたちは未来を思い出すことができない
第十六章 わたしたちは過去を選べない
第十七章 天空を漂うホワイトホール
訳者あとがき
原注
Posted by ブクログ
まず、とても読みやすい。ブラックホールをダンテの地獄編の象徴的な文章を引用しつつ解説し始めた時は心配したが、全くの稀有だった。まぁ、多分に“文学的”な表現に溢れているので、気に入らない人もいるだろうけれど、私にはわかりやすかったし、何より驚きがたくさんあった。他の著作も読んでみよう。