【感想・ネタバレ】時間は存在しないのレビュー

あらすじ

時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもない──。“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が、「この世界に根源的な時間は存在しない」という大胆な考察を展開しながら、時間の本質を明らかにする。本国イタリアで18万部発行、35か国で刊行予定の世界的ベストセラー!

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Posted by ブクログ

1章 所変われば時間も変わる

時間の流れは、山では早く 低地では遅い
低地では あらゆる事柄の進展がゆっくりになる
平地の方が地球の中心に近いから。

物体は 周囲の時間を減速させる。
巨大な質量の地球の周りでは 周りの速度は遅くなる。
ものが落ちるのは 時間の減速のせい
物体は時間がゆっくり経過する方に向けて動く

2章 時間には方向がない

過去と未来、原因と結果、記憶と期待、後悔と意図を分かつものは、基本法則のどこにも存在しない。

周囲に変化するものがまったくないのであれば、熱は、冷たいものから温かいものへ移れない。(クラウジウス:クラウジウスは 一方通行で不可逆な熱過程を測る量を考え出した。エントロピーと名付けた)
この法則が、過去と未来を区別できるただ1つの基本的物理法則。
他のどの法則でも、過去と未来は区別できない。

熱は分子の振動
じっとしている分子も他の分子の熱狂に巻き込まれ動き始める。ぶつかったり押されたり、熱くなる。
冷たいところから 熱い所へ熱が移ることはない

過去と未来が違うのは 私たちの視界が曖昧だから。
「特別」「秩序だっている」私たちがあらゆる細部に目配りすれば どの配置も特別である。
「特別」という概念は宇宙を近似的なぼんやりした見方で眺めたときにはじめて生まれるもの。
ボルツマンは 私たちが世界を曖昧な形で記述するからこそエントロピーが存在するということを示した。エントロピーが じつはたがいに異なっているのに私たちのぼやけた視界ではその違いが分からない配置数であることを証明した。
過去と未来は、ぼやけ(粗視化)と結びついている。
過去が「特別」な状況なのは 私たちの視野が曖昧だから

3章 現在の終わり
速度も時間の流れを遅らせる。

動いている人間はあまり歳を取らず 時の刻みが遅くなり 考える時間が少なくなり 持ち歩いている植物は発芽に時間がかかる。飛行機の時計は遅れる

「今」には何の意味もない
4光年先の星にいるお姉さんが 今何をしているのかを問うことは意味が無い
どの瞬間が今なのか
私たちの「現在」は宇宙全体には広がらない。
「現在」は 自分を囲む泡のようなもの

親子関係で確立されるタイプの順序を、「半順序」と数学者は呼ぶ
親子関係は ある順序(子孫の前、祖先の後)を確立するが、どんな2人をとっても順序が決まるわけではない
祖先からなる円錐型の過去があり 子孫で構成される未来がある。

宇宙の時間構造も円錐型。「時間的先行性」は円錐型の半順序。
宇宙の「現在」は存在しない

4章 時間と事物は切り離せない

「時間とはなんぞや」
アリストテレス⇒変化を計測した数。何も変化しなければ時間は存在しない。
時間は 事物の変化に対して己を位置づけるための方法、勘定と関連づけて自分の位置を定める手段 時間は 動きの痕跡

ニュートン⇒事物とは独立にそれ自身として流れる絶対時間が存在する

ライプニッツ⇒時間は出来事の順序でしかなく、自立的な実体としての時間は存在しない

「空間とは」
アリストテレス⇒空間は物体の順序でしかない。「場所」はそれを囲んでいるもののこと
何も無い空間は存在しない

ニュートン⇒ふたつの物体の間にも 空っぽな空間がある 様々な事物は「空間」の中に置かれていて その空間はたとえすべての事物が取り除かれて空っぽになっても存在し続ける。入れ物としての空間

アインシュタイン⇒時空は重力場、この場は物質がなくてもそれ自体として存在する。世界はキャンバスの上に描かれた絵ではなく キャンバスや層が重ねあわされたもの
場は絶対ではなく、一様でもなく 固定されてもいない。しなやかで伸びたり他のものとぶつかったり押したり引いたりする

5章:時間の最小単位

時間の本質について明らかになったこと⇒量子を考慮すると、一般相対性理論が残した一時的な足場が崩壊する
量子力学は、物理的な変数の粒状性、(ゆらぎや重ね合わせによる)不確定性、関係性(他との関係性に依存する事)の3つの基本的な発見をもたらした。

この世界は微細な粒で成り立っており、連続的ではない。量子(基本的な粒のこと)

電子がどこかに現れる瞬間と別のところに現れる瞬間の間には、電子の正確な位置は存在しない。確率の雲の中に散っているようなもので、位置の「重ね合わせ」状態にあると物理業界用語ではいう。
時空も同じで 揺らぐ。
ひとつの粒子が確率的に散って不確かになるように、過去と未来の違いもゆらぐ。

他の何かと相互作用する瞬間に限って 予測不能な形で不確かさが解消され定まる。
具体性は ある物理系との関係においてのみ生じる。
相互作用が起こると、持続時間は粒状になり、相互作用した相手との関わりにおいてのみその値が定まる。

第二部:時間のない世界

6章 この世界は 物ではなく出来事でできている

事物は「存在しない」。事物は「起きる」のだ
無数の出来事は 必ずしもきちんと順序づけられておらず、ごちゃごちゃと集まっているのだ
出来事は生じ変化していく。時間は変化を計測したもの

この世界における最良の語法は、不変性を表す語法「~である」ではなく、変化を表す語法「~になる」なのだ
この世界を出来事 過程の集まりと見ること
この世界は物ではなく、出来事の集まり

原子は、もっと小さな粒子で構成されている。
素粒子は、束の間の場の揺らぎでしかないことがわかっている
量子場は 相互作用や出来事について語るための言語規範にすぎないことがわかっている
物理世界が実体で構成されているとは思えない。

この世界は限りなく無秩序な量子事象のネットワーク

第8章 関係としての力学
世界を記述する時に 時間変数は使えない
共通の時間が無く 物事の進みやすい方向が特に存在しない世界の記述とは?

必要なのは、世界を実際に記述する変数、私たちが実際に感じ取り観察し最終的に測ることのできる量だ
(道の長さ体温 パンの重さ 空の色 星の数 竹のしなやかさ 喪失の痛み 時計の針の位置 など)
量や性質の観点から記述する。

互いに十分同期している変数が見つかったら、それらを上手く使って「いつ」について語ればいい。
( 例;次の満月の3日後 太陽が1番高いところにあるときに落ち合おう。時計の針が4:35を指した時に君に会いたい。)
「時間」という名前をつける必要はない。

科学をするにしても、これらの変数の間にどんな関係が存在しうるのかがわかればいい。
この世界の基礎的な理論は、このように構成されるべきなのだ。

量子重力の基本方程式は このようにして作られた。その式は時間変数を含むことなく、変動する量の間の有り得る関係を示すことで この世界を記述する。

この理論は、時間のなかで物事が展開する様子を記述するわけではない。
物事が互いに対してどう変化するか、この世界の事柄が互いの関係においてどのように生じるかを記述する。

「ループ量子重力理論の方程式」(筆者の研究分野)
場は、素粒子、光子、重力量子といった具合に粒のような形で現れる。
これら空間量子の相互のネットワークが この世界の空間を生み出しているというべきなのであろう。
相互作用こそがこの世界における出来事の発生であり、時間の最小限の基本形態なのだ。
時間は、方向があるわけでも一直線でもなく、アインシュタインが研究したなめらかで曲がった幾何学の中で生じるわけではない。

相互作用の力学は確率的だ。
ほかの何かが起きるとした時に、問題の何かが起こる確率は 原則としてこの理論の方程式で計算できる。

この世界で起きる全ての事柄の完璧な地図、完全なる幾何学を描くことは不可能だ。
この世界は互いに関連し合う視点の集まりのようなもので、「外側から見た世界」について語ることは無意味。なぜならこの世界には「外側」が存在しないから。

空間量子は空間的に「近い」という関係によって結び合わさり、ネット(網)になる。これをスピンネットワークと呼んでいる。「スピン」という言葉は 空間の量子を記述する数学から。
スピンネットワークの輪っかはループと呼ばれており、これが「ループ理論」という名の由来。
これらの網は離散的なジャンプによって互いに転換し合うが、この理論では「スピンの泡(フォーム)」という構造として記述する。
これらのジャンプが生じることで肌理(きめ)が現れ、その肌理が、より大きなスケールでものを見る私たちにはなめらかな時空構造のように見える。
この理論は、小さなスケールでは確率論的で離散的な揺らぐ「量子時空」を記述しており、そのレベルでは、狂騒的な量子の群れが現れたり消えたりしているにすぎない。

第三部 時間の源へ

※ 9.10章はまた読み直すこと

第9章 時とは無知なり
大理石のテーブルも、私たちが原子レベルに縮めば霧のように見えるはず。私たちはこの世界を大まかに切り分け、自分にとって意味のある概念の観点から捉えているが、それらの概念は、あるスケールで生じているのだ。

「高い」「低い」ということはどこから?
私たちを引っ張る地球に由来している。近くに大きな物体があるときに生じるものなのだ。

これらの例では、実際に存在するものが、より基礎的なレベルではそれらが存在しない世界から生じている。時間も同様に、時間の無い世界に「生じる」のである。

マクロな状態が定める時間
時間が決まるのは、単に像がぼやけているから。

ある相互作用によって粒子の「位置」が具体化すると、粒子の状態が変わる。
また、「速度」が具体化する場合も粒子の状態が変わる。
しかも、『「速度」が具体化してから「位置」が具体化した時の状態の変化』は『「位置」が具体化してから「速度」が具体化した時の状態の変化』と異なる。
「位置」と「速度」は交換出来ない。これを量子変数の「非可換性」という。
物理的な変数の確定は孤立した行為ではなく相互作用であって、相互作用の結果はその順序によって決まる。そして その順序が、時間的な順序の原始形態なのである。

コンヌは優美な数学として提示。「非可換性フォン・ノイマン環」という数学的な構造を定義。
物理的な変数の非可換性によって、暗黙のうちにある種の時間的な流れが定義されることを示した。
マクロな状態によって定められる時間と、量子の非可換性によって定められる時間は、同じ現象の別の側面なのだ。

量子の世界に固有の事物の不確定性は、ぼやけを生む。
そしてボルツマンのぼやけゆえに、この世界はたとえ測定可能なものを全て測定できたとしても、予測不能になる。

時間の核には「物理系がおびただしい数の粒子からなっている」という事実と、「量子的な不確定性」がある。時間の存在は ぼやけと深く結びついているのだ。
そしてこのようなぼやけが生じるのは、私たちがミクロな詳細を知らないから。「時間」は結局のところ、私たちがこの世界について無知であることの現れなのである。時とは無知なり。

私たちの現実の像がぼやけて不確定だからこそ、ある変数が決まる。

第10章 視点
過去と未来の違いはかつてこの世界のエントロピーが低かったという事実に起因しているらしい。
なぜ 過去はエントロピーが低かったのか。

エントロピーは 私たちが何を識別しないかによって変わってくる。それは私たちが区別できない配置の数によって決まるから。
まったく同じミクロな配置のエントロピーが、あるレベルのぼやけでは高くなり、別のレベルのぼやけでは低くなる。
速度のような相対的な量なのだ。
自分たちがどの変数と相互作用するか、つまり、私たちがこの世界のどの部分に属しているかによって変わってくる。

宇宙のエントロピーが最初は低く、そのため時間の矢が存在するのは、おそらく宇宙そのものの原因ではなく、私たちの方に原因があるのだろう。
私たちの宇宙との相互作用のあり方が特殊だったのだ。具体的なマクロの記述を決めるのは私たちである。
私たちは極めて特殊な部分集合を識別するようにできていて、そのせいで時間が方向づけられている。

なぜエントロピーが増えるのか。
シャッフルしたカードを用意し、最初の6枚を覚えておく。そしてシャッフルし それ以外のカードがその間に何枚入り込んだかを調べる。
最初はゼロ枚だったのが増えている。これがエントロピーの増大。
最初のカードの配置はランダムだった。前半部分のカードを記憶してその配置が特別だと宣言したのは私たちの方だ。
宇宙のエントロピーについても同じことが言えるのかもしれない。多分 宇宙は特別な配置にはなっていないのだ。

記述には視点がついてまわる。
この世界における私たちの経験が世界の内側からのものだということを忘れてはならない。

11章 特殊性から生じるもの
世界を動かしているのはエネルギー資源ではなく、低いエントロピーの資源。
地球のそばには低いエントロピーの豊かな源がある。その名は太陽。

生命はエントロピーを増大させるためのさまざまな過程のネットワーク。餌から低いエントロピーを得ている。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

面白かった!Newton超ひも理論を読んでからだったので、ちょうどつながるところもあり、楽しく読めたと思います。こういう物理の訳分かんないお話が大好物です!エントロピーやら量子論的な何か(笑)私にとっては訳分かんなさがとても楽しい!
頭の良い人はきっと訳がわかって楽しいんだろうなーと思いながら読みました。面白かった!!

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

時間は存在しないということがどういうことか、時間を私たちはどう捉えて、それとどう違っているのかが、門外漢の私でも理解できるように書かれていた。

哲学のパートは難解で、まだよくわかっていない。

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2025年08月22日

Posted by ブクログ

「ループ量子重力理論」というとんでもなく難解な話題なのに、カルロ・ロヴェッリ氏の手にかかればこんなにも分かりやすくなるとは。
「時間は存在しない」と言われると「そんなわきゃない!」と否定したくなるが、昔(という概念もまやかしだが)の人々は天動説や地球平面説を信じ、アインシュタイン氏でさえ「神はサイコロを振らない」と量子的ふるまいに否定的態度を取った。ひょっとすると「(その頃にはそう呼ばないかもしれないが)昔の人って時間が存在すると思ってたらしいよ」となるかもしれない。
氏によると時空は重力場の「量子的重ね合わせ」であり、我々が「時間」と思っているものはエントロピーの低い状態を拙い脳が「(秩序だった)特殊(な過去)」と「ぼやけ(粗視化)」て認識しているからであると言う。つまり時間に前後関係はなく、電子とエントロピーの相対的関係性が存在するのみであるという。完全に理解できたわけではないが、なんとも知的好奇心を刺激される話ではないか。
また、詩文の引用を多用しており、アウグスティヌスの歌は「時間の認識」という一文も良い。

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2025年07月30日

Posted by ブクログ

2019年11月に登録した書籍。
宇宙全体のある限定された系に生じた我々がそのように宇宙を認識するものとして生じたがために時間なるものを見出している。天動説から地動説に切り替わるように、時間は我々の脳が生み出しているだけだという話だった。エントロピーという概念が明らかに主観(恣意的な価値づけ)と切り離せない概念であることに対する疑問がきちんと取り扱われていたことで、要所を納得できた。ブロック宇宙論を退けているのも(直観的なものに過ぎないことは承知しているが)私の感覚と合っている。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

自分は理系センスが全くない。それでも面白かった。衝撃だった。難しかったけど。
この世界はエネルギーで動いているものだとばかり思っていた。それが実はエントロピーが世界を動かしていたとは。
読みながら、ちょくちょく思考が停止したのは本書的に言えば、脳が動くのをやめ(キャパオーバーです)、エネルギーが熱へと劣化して頭が熱をもったということになるのか。パソコンと一緒だ。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

相対性理論により時間を相対化するに留まらず、著者自身の自説であるループ量子重力理論により時空そのものがループに還元される。常識をいくつも超えた専門的で先鋭的な物理学であるはずだが、いとも平明に描かれているおかげで不思議と納得でき、新たな世界観が自分に加わった気がする。
また、物理学で時間を解体するだけでなく、むしろわれわれが実際に時間を感じるという事実に重きを置いて、広範な学問分野から認識や存在のメカニズムに深く迫る。その姿勢はまさに愛知者で、かっこいいし憧れる。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

YouTubeの量子力学/相対性理論に感化されてこちらに。科学的にも興味深いが、科学者なのに文学的で詩的な著者の文章力が凄い。こういう系の話の最後は多くは認知や哲学的な話になる印象だが、読みやすい感じ。

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2024年12月16日

Posted by ブクログ

私にはループ量子重力理論も関係量子解釈も選択できる能力が無いが、時間に関する結言には深く納得した。新しい人生観を知れて嬉しく思う。

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2023年09月05日

Posted by ブクログ

誰に対しても、どこでも一様に流れている時間はないこと、現在というものはないこと、当たり前だと思ったこれらが実際は違うという事実は興味深い。また時間の方向もないことが、様々な物理方程式にみられるらしいことは特におもしろい。その後の、では時間のない世界をどう記述するのか、それでも感じる時間の正体はなにか、これらの論説は解説読んでも理解不能でした。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

マクロな曖昧さ、これ、一神教の神でいいかな。

この状態、状況を記述しようとすると、その背後に神の視点なりが、立ち現れて来ると感じる、と、思えるな。記述自体は、聖書、寓話の一説、ミクロな個々のイベント、出来事の一つでしかない。

世の皇帝たちが、暦の作成に力を入れたのも、よく分かる。現況のトランプ関税も、パラダイムシフトか、アメリカの新たなブランディング戦略なのだろうかな。負債処理、金利操作の一つにもなってるし。

ロシアに暴露されちゃったし、当然、エントロピーは、増大するよね。失敗すると、核戦争もあるかな、うーん、一神教、縁遠いんだけどな、わし。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

あらゆる事象に囲まれて私たちは生きている。時間という概念しかり、そこに絶対というものはなく単なる目安としての心構えとして尺度は設けられる。現在という時間は瞬間であり、過去と未来にすぐさま振り分けられる。では普段私たちが使う現在とは何か。このクエスチョンに込められているのは尺度の不確実性にある。その柔軟こそ事象ではないだろうか。正体はわからない。私たちはわからないものの中でわからないものを享受している。わかろうとするのではなくわからないものもあっていいと感知する。そしてわかりたいという好奇心を大切にしよう。時間と切り離せない音、音楽に身を委ねると、言葉にできないがほんの少し何かがわかったような気になる。その変化に時間は存在するのか、ますますこの世界が面白くなる。

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2025年06月17日

Posted by ブクログ

難しい。
人に説明できるレベルまではまだ理解できていないが、どこかで同じような話を聞いたときに改めて理解できそう。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

前半は科学的な理論展開ですが、後半は哲学の世界に入って一気に難解になります。デカルト、カント、ハイデッガーの思想が時間に紐付けられて高度な議論が展開されています。

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

こんな世界があることを初めて知った。
宇宙がもう1つある感覚。
何度も読んでも100%理解は出来ない。私にとって恐らく一生かけて何度も読んで理解する本。

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

久しぶりに物理関係の読書をした。
非常に興味深いが、全てを理解できていない。
時計はそれぞれ持っていることはよく理解できた。
これらに関する知見を今後も深めたい。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

あるとき、2歳の娘に「『時間』ってなに?」ときかれた。私たちがあまりにも頻繁に「時間がない」だの「ごはんの時間だ」だの言うからだろう。日頃、娘を急かしていることを反省させられた。

それはそれとして「時間」である。
私たちは過去から未来へと続く直線的な時間の観念をもっているが、現代物理学の知見はこれとはかなり異なるものらしい。娘に「時間」について説明するためには、もう一度きちんと勉強し直す必要がある。

そうして調べていたときに出会ったのが、理論物理学者のカルロ・ロヴェッリが書いた「時間は存在しない」(NHK出版、2019年)だ。衝撃的なタイトルである。これが事実なら、娘に謝らなければいけない。

そんなわけで、この本を手に取った。著者のカルロ・ロヴェッリはイタリア生まれ。量子力学と一般相対性理論を統合する理論を模索しており、「ループ量子重力理論」を提唱している。この理論は宇宙論と結びついており、宇宙の始まりに何があったかに深くかかわっているそうだ。

本書は三部構成で、「第一部 時間の崩壊」では現代物理学が時間をどう捉えているか、それがわれわれの直感といかに反しているかが概説される。「第二部 時間のない世界」では第一部を受けて、「時間のない世界」をいかに記述すべきかが探求される。最後の「第三部 時間の源へ」では、それでもわれわれが「時間が流れる」と感じるのはなぜか、ということが考察されている。

第一部はおおむね理解できたし、第二部も半分くらいはわかった。だが第三部は、残念ながら最後の方しかわからなかった。いちおう理解できた範囲でまとめたので、よかったらご覧いただきたい。

第一部 時間の崩壊
時間の流れ
まず、アインシュタインの相対性理論によると、重力が強いところでは時間の流れが遅くなる。そして、速く移動するほど時間の流れが遅くなる。

これは、きわめて正確な時計を用いれば実際に測定できる。2020年4月に東大の香取教授らのチームが発表した論文によると、スカイツリーの展望台では地上と比べて1日につき10億分の4秒、時間が早く進んでいたそうだ。

このように、「時間」は観測地点や観測者によって変わる。

エントロピー
時間の流れを含む物理法則に、熱力学第二法則がある。「孤立系において不可逆変化が生じた場合、その系のエントロピーは増大する」というものだ。
実は、物理学ではこれ以外に時間の流れを示す法則はないらしい。電磁気学でも素粒子論でも、方程式に時間を表す"t"が出てくることはあるが、これを"-t"に置き換えても理論の整合性は保たれる。これを「時間反転対称性」という。

というわけでエントロピーだが、これは「可能な状態の総数(の対数)」を表す。この「状態数」というのは、マクロの視点でのみ定義できるもので、ミクロなレベルでは定義できない。
筆者は、これをトランプカードで例えている。トランプカードの山で上半分がすべて赤、下半分がすべて黒だとすると、「エントロピーが低い」と言える。これはマクロな視点で「色」に着目した結果、言えることだ。
ミクロな視点にたてば、全てのカードが固有のものだ。52枚のカード全てに違いがあり、#1から#52まで番号をふれる。そうなると、どんな並び方も固有のもので、特別な並びは一つもない。

原子や量子の視点にたてばこれと同じで、全ての状態が固有のものである。そのため、「状態の数」を定義できなくなる。

「現在」は存在しない
エントロピーを定義できないとはいっても「現在」は定義できるでしょ、という言説も、現代物理学は否定している。
離れている二つの地点では、互いの状態を観測するのに時間を要するため、厳密な意味でまったく同じ「今」というものは存在しない、というのだ。

例えば、二地点AとBのあいだを光が進むのに1秒かかる場合、Aが観測できるのは1秒前のB、Aの今をBが観測するのは1秒後になる。この2秒間は、過去でも未来でもない。
個々の観測系から観測される事象については時間的な前後関係は決定できる。これは親子関係のようなものだ。物理学では、現在という点から広がる円錐として過去と未来を考える。これを光円錐という。

だが、異なる観測系にとって共通の「過去」「未来」もあれば、一つの系にとっては「過去」と決定できるが、もう一つの系では前後関係を決定できないものもある。つまり、二つの光円錐が重ならない事象がある。
要するに、万人にとって共通の「現在」などというものは存在しない、という結論になる。

重力場
いや、そうは言っても、いわゆる「神の視点」から見た時間の流れを想定すれば、「今」を定義できるのではないか、と思いたくなる。この、「他のものから独立した時間軸」というのはニュートンの古典力学的な考え方だ。ついでに言えば、「他のものから独立した座標系」というのもそうだ。

現代物理学では、これも発展的に解消されている。ここで「場」の考え方が出てくる。時空とはすなわち重力場だ、ということになるらしい。質量をもつ物体があると、重力場が歪んで時間の流れがゆっくりになる。つまり、時間とは他のものとは独立では決してなく、空間に編み込まれていて、物体から影響を受ける。

そして、重力場は電磁場などの他の場から影響を受ける。ありとあらゆる意味で、時間は他のものから独立ではあり得ない、ということになる。

量子としての「時間」
最後に、これまた完全に私の理解を超えているが、時間もまた量子なのだそうだ。まず、時間には粒子としての性質があり、だいたい10^-44 秒が最小単位だそうだ。つまり、時間は離散的な値しかとらず、連続的ではない。そして、時間には波としての性質もあり、常に揺らいでいる。

こごまでくるともうお腹いっぱい。確かに、時間は存在しないと言ってよさそうだ。

第二部 時間のない世界
それでは、「根源的な時間のないこの世界」をいかに記述すべきだろうか。

「時間」はないけど、「変化」はある
結局、この世界は「物」ではなく「出来事」でできていると考えるとうまくいく。「変化」と言い換えてもいい。原子や電子、素粒子も量子としての性質がある以上、波としての揺らぎがある。「物」もつき詰めれば「出来事」になるわけだ。

時間がどれだけわれわれの直感に反していても、出来事は起きるし、理解しやすい。もしも「時間」が出来事の発生自体を意味するのなら、あらゆるものが「時間」であるとも言える。

世界を記述するのに「時間」は必要?
じゃあ時間は存在するじゃないか、という話になる。

「変化」は時間の関数によって表すものだ、という常識が私たちにはある。人類は、物事の変化をまず、「日数」や「月の満ち欠け」「太陽の高さ」に関係づけた。これらが暦や時計を生み、「一つの変数を選んで『時間』という特別な名前をつける」ことになった。

だが、それは不要だ、と著者は断言する。ある量の変化は、別の量の変化との関係がわかれば、それで表現できる。必ずしも時間の関数である必要はない。重要なのは「もの同士が、互いに対してどのように変化するのか」なのだと言う。
確かに、第一部で見てきた時間の性質をふまえると、変化を記述するときの変数は絶対に時間がいい!と言えるほど、時間は確かなものでもないように思える。

量子重力学
ここで、筆者の専門である量子重力学が紹介される。量子重力学は、ビッグバン以降、膨張を続ける宇宙全体の振る舞いをあつかう量子論を作ろうとしたそうだ。その結果、時間という変数を含まない基本方程式が導かれた。量子論的な宇宙は「時間が経つにつれて膨張する」という形ではなく、宇宙の大きさや物質の状態といった、時間以外の変数の間の相互関係として表されたのだそうだ。

いずれにせよ、基礎的な物理現象を記述するために、時間変数は必ずしも必要ではない。これはニュートン以来の考え方を覆す知見だ。

第三部 時間の源へ
量子変数の「非可換性」と「時間順序」
それでは、物理的な出来事の時間順序が決まるのはなぜか。これは量子変数の「非可換性」による、という考えが述べられる。例えば、電子の位置を測ってから速度を測る。逆に、電子の速度を測ってから位置を測る。そうすると、前者と後者で結果が違ってくるらしい。これが量子変数の「非可換性」なのだそうだ。

エントロピー再考
また、エントロピーについても再考される。量子力学的な視点に立つと否定されるエントロピーだが、実際にはわれわれの観測能力が限られている以上、われわれの世界の認識は「ぼやけ」を伴わざるを得ない。エントロピーはこれによって生じるというわけだ。そして、これが時間の存在の源となっている。

それでは、宇宙初期のエントロピーがなぜ低かったのか、という点についても、著者独自の考えが述べられる。それは、わたしたちが属している物理系は宇宙全体のごく一部に過ぎず、その一部がたまたまエントロピーが低い特殊な状態にあったのだ、というものだ。これは物理学の世界でも新しい考えで、あくまでも一つの仮説なのだそうだ。

時間という内的な感覚
過去は「現在のなかに痕跡を残す」。月面のクレーターも、古生物の化石がその例だ。では、過去をとどめる痕跡があっても未来の痕跡がないのはなぜか? それは「過去のエントロピーが低かった」ことに起因する。「過去と未来の差を生み出すもの」はほかに見当たらないという。

記憶もまた、過去が現在に残した痕跡だ。時間が経過するという内的な感覚は、過去だけが記憶をつくり、未来はつくらないという非対称性に由来する。過去のエントロピーが低かったことで、シナプス結合の生成と消滅という物質的なプロセスが生み出され、記憶が形成される。

感想
最終的には、記憶という私たちの内側からの視点で、時間は語られることになった。たしかに、時間を感じているのは私たちなのだから、これでよいのだ、という気もする。

「時間とは何か?」という問いは、哲学者の古来からのテーマで、現在も哲学的な探求はなされている。そこでは内省的なアプローチは欠かすことができない。一方、現代物理学の知見は哲学にも影響を与えている。哲学と物理学、両者の間には乗り越えるべき壁がまだまだあるとはいえ、「時間」に対するアプローチは近づいてきているそうだ。

本書を通じて、時間がいかに相対的なものか(これが「相対」性理論と言われる所以のひとつ)、少しだけ理解することができた。自分自身の物理の知識は量子力学止まりなので、本書の内容をきちんと理解するためには、相対性理論や場の量子論など、もっと学ばないといけないのだろう。

さて、娘には何と話したものだろうか。本書で学んだことを妻に話した。
「社会生活に必要な時間の観念を伝えればいいのよ」
…まったくもって、その通りだ。

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2024年09月03日

Posted by ブクログ

相対性理論とこの本とプロジェクトヘイルメアリーが私の中でつながった
パッと部屋の時計を見たら時間が少しだけズレていた。時計はズレるものって思ってたけど、時間がズレてるとは思ってなかったな。
特別って概念はややこしくさせるものだな
特別は自分にとっての特別でしかない
たしかに私は曖昧に物事を捉えていたな、今は常にこの瞬間しかないのに、だいたい今ですべてをまとめて捉えている。本当に今について考えていたら、今について問うことはしない。
当たり前に思ってるものほど、当たり前じゃないが隠れているなぁ
この本でも宇宙規模の鏡のゲームという言葉が出てくるとは
人が見たいように見るということを色々考えさせられた
最近読んでた本の内容が科学的に語られていて、つながってるのが面白い

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2024年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

坂本龍一のTIMEを観に行って、『坂本図書』を読んで、取り上げられていたので手に取りました。『世界は関係でできている』も面白そうなので次に読もうと思います。

平易な語り口調であり、文学や音楽への言及もありながら導かれる「時間は存在しない」?ということ。

第一部で基礎的なことを確認しつつ、第二部が一気に面白かったです。
・エネルギーではなくエントロピーがこの世界を動かす
・この世界の成り立ちの歴史、これらすべてがはるか昔の事物の配置が「特殊」だったという事実から生じた結果に過ぎない
・そのうえ「特殊」というのは相対的な単語で、あくまで一つの視点にとって「特殊」なのだ。あるぼやけに関して特殊なのであって、そのぼやけは問題の物理系とこの世界の残り部分との相互作用によって定まる。…(p.166)

「ミリンダ王の問い」この前どこかで出てきた気がするが思い出せない・・

アイデンティティーの構成要素(p.170-)
(1) わたしたち一人一人がこの世界に対する「一つの視点」と同一視されるということ。この世界は、自分たちの生存に欠くことのできない豊かな相互関係の広がりを通じて、各自のなかに反映されている。一人一人がこの世界を反映し、受け取った情報を厳格に統合された形で合成する複雑な過程なのだ
(2)わたしたちはこの世界を反映するなかで、世界を組織して実在にする。つまり、グルー分けして、分節化した世界を思い描くのだ。自分たちがその世界とよりよく相互作用するために、一様で安定した最良の連続的過程としての世界を思い浮かべる。…世界に線引きをして部分的に分け、境界を策定し、細かく分けて似姿を作るのだ。※神経系はこのような形で機能するように作られている※わたしたちは、自分と似た人々と相互作用することによって、「人間」という概念を形作ってきた。思うに、己という概念はそこから生まれたのであって、内省から生まれたわけではない。「人」としての自分を考えるとき、わたしたちは仲間に当てはめるために自ら開発した精神的な回路を自分自身に適用しているのだ。
(3)時間のあちこちに散らばる過程を糊づけし、わたしたちを形作っているのは記憶だ。その意味で、わたしたちは時間のなかに存在する。…脳は過去の記憶を集め、それを使って絶えず未来を予測しようとする仕組みである。…過去の出来事と未来の出来事にまたがって生きていくことが、わたしたちの精神構造の核となっている。これが、わたしたちにとっての「時間」の流れなのだ。…時代や時間が実際には精神のなかにのみ存在する(アウグスティヌスの主張)

↑の章は、そうはいっても時間は過ぎるように感じますという感覚に寄り添ってくれる章だった。

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2024年07月02日

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自分の中の常識が変わるような感覚があり始めの何章かはかなり面白かった。途中からは同じ内容の繰り返しで惜しかった。

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2024年06月25日

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私の理解力ではつかめそうでつかめない。世の中の時間に対する本質的な答えが説明されているのはわかる。エントロピー増大の法則が秩序から無秩序への変化であり、その不可逆性によって我々は時間を感じる。したがって時間は、我々の知覚でしかない。秩序を特別とするのも理解力のない人間が勝手に決めたものであるというところまではわかった。けども、、、すべてエントロピーは増大するという話だが、赤ちゃんが老人になって死ぬのは無秩序化する例としてよくあげられてるのに対して何もないところから受精卵ができて赤ちゃんになるのは無秩序から秩序になっていないか?確かに秩序=特別と決めているのは人間だけれど、例えがまずしっくりこない。

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2024年04月27日

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時間は物理として存在しなくて、出来事の移り変わりから認識した概念でしかない、という理解をしたけれど、エントロピーやら熱時間やら、わからない概念が多いのと、小説っぽい情緒的な文章が、何を言ってるのかわからない状態に拍車をかけて、一度読んだだけでは、腑に落ちるとこまで理解できなかった。量子力学で議論されていることが、一般人の私たちが認識している世界と全く異なるんだな、ということを知れたのは目から鱗だし、面白かった。

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2024年02月10日

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表現は平易なので、書いてあることはわかるのだが、頭に入ってこない。こういう研究分野があるのかと思うだけで、畏れ入る。

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2024年01月08日

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よかったフレーズのメモ

始まったものは、必ず終わる。わたしたちは過去や未来に苦しむのではなく、今この場所で、記憶のなかで、予測のなかで苦しむ。時さえなかったなら、と心から思い、時間の経過に耐える。つまり、時間に苦しめられる。時は悲嘆の種なのだ。

これが時間であり、だからこそわたしたちは時間に魅せられ、悩む。

中略

時間は、この世界の束の間の構造、この世界の出来事のなかの短命な揺らぎでしかないからこそ、わたしたちをわたしたちとして生み出し得る。わたしたちは時でできている。

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2023年11月26日

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おもろかった。。と思う?ていうか、おもろいんだが、やっぱり理論物理学は良ぅわからん。本書、非常にわかりやすい平易な語彙と文章で、書かれた意味はわかるんだが、理解できないっちゅうか。わかりたくないというか(笑)
青く美しい装丁で、読み始めていきなり図にスマーフが、、ほんで青なんかい!とツッコミながら、どうしてもなんでスマーフなんか気になりすぎて序盤内容が入ってこん(笑)。ともかく、アルバート氏の相対性理論も、特殊までは理解できんこともなかったが、一般のほうはお手上げだったので、本書を楽しむためにはそもそもそこらへんからやり直すべきなのかもしれない。でも、嫌じゃ。
 簡単な事実、時間の流れは場所によって違う。低地では遅く、高地では速く流れる。高額な高性能の時計とちょっとその計測の技術を学べば誰でも時間が減速するという事実を確かめることができる。ラボレベルだと、数センチの高さの違いで生まれる時間の減速を検出できるらしい、、らしい、、。時間だけでなく、低いところではあらゆる事柄の進展がゆっくりになる、ちゅうことが序盤で説明される、、しかもスマーフが、スマーフ、、。今は、計器で測れるんだが、そんな精密機械のないころにアルバートは時間が至るところで同じように経過するわけでないことを理解してた、ちゅうことである。なんかもう、Aweしかない。
つうことで、重力。地球と太陽が直接引き合っているのではなく、その中間にあるものに順次作用していると仮定すると、この2つの間には空間と時間しかないので、時間構造の変化が2つの天体の動きに影響を及ぼして、結果2つの天体がお互いにむけて「落ちる」。簡単に言うと、簡単にいうと、物体は周りの時間を減速させるので、地球は巨大な質量があるのでコアに近いほど周りの時間速度が遅くなる。ちゅうことで、山より平地のほうが減速度合いが大きく、よって、山で住むより、平地で住む方がゆっくり歳をとる、ちゅうことになるんだそうだ。ゆうて、誤差程度だろうが、ミリでもミクロンでも長生きしたい人は平地で暮らせということか。なんならマリアナ海峡の底とか(どないすんねん)
ともかく、物が落ちるのは時間の減速のせいなので、惑星間空間では時間が一様に経過するので、物が落ちないんだそうだ。

>もしも「現在」に何の意味もないのなら、宇宙にはいったい何が「存在するのか」。「存在する」ものは、「現在」にあるのではないか。
 じつは、何らかの形態の宇宙が「今」存在していて、時間の経過とともに変化しているという見方自体が破綻しているのだ。

 話は身近な物になるが、コップいっぱいの水、H2Oという水素と酸素が結合したやつで、熱い時(日本語だとお湯やね)はその分子が大騒ぎしている状態、逆にひゃっこい時(氷っちゅう状態)は、スンってしてるんやけど、お湯にしたい時は外から熱を加えて(火にかけて)、凍らしたい時は冷凍庫に入れりゃ、なんも考えんでも、状態がかわるんだが、分子のわちゃわちゃ度で状態が変わることを理解していれば、攪拌したり、振動を加えたら状態が変わるちゅうことでもあるな。身近なところで電子レンジちゅうやつである。これを、人為的に振動させることができたなら、領域展開できるちゅうことになるな、、、と言うようなことを妄想しながら、読んだ。結局何考えとんねん、ってことである。

>この世界は、物ではなく出来事でできている。
時間はすでに、一つでもなく、方向もなく、事物と切っても切り離せず、「今」もなく、連続でもないものとなったが、この世界が出来事のネットワークであるという事実に揺らぎはない。時間にさまざまな限定があるいっぽうで、単純な事実が1つある。事物は「存在しない」。事物は「起きる」のだ。

ちゅうことで、時間は存在しているんではなく、時間は起きてるもん、ちゅうようなことなんやろねぇ。屁の理屈的なもやもやを感じる凡人たる私。
まあ、なんちゅうか、理論物理学て哲学とか宗教とかに近しいノリを感じてしまうんだが、実は哲学とか宗教とかが理論物理学に寄せてるんではなかろうか、と本書を読んで感じたのであった。ちゅうことで、人生とは?と考えるのにとっても良い書であった(個人的な感想です)


量子場の複雑な振動っていわれてもなぁ、、

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2023年07月31日

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特に序盤の解説が興味深かった。
相対性理論については多少馴染みがあったが、この理論に自身のループ量子重力理論を絡めて、時間の一方向の矢印や不可逆なエントロピーの増大についての理論展開はとても面白く感じた。
全ての概念について、結局は人間が出来事を秩序立てて整理する為に生み出したものであり、鵜呑みにしてはいけないなと改めて。

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2025年07月15日

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自分の物理や科学の知識が、圧倒的に足りていないこともあり、内容が非常に難しかったです。この世界の時間の流れは一定ではないとか、この宇宙を動かしているのはエントロピーだとか、新しい知識に触れることはできましたが、人に説明できるほど完全に理解できたような実感はないです。ただ、筆者の論旨のひとつの、過去と未来が違うのは、ひとえにこの世界を見ているわたしたち自身の視界が曖昧だからという見解には目から鱗が落ちた気持ちでした。もっといろんなことを(物理とか科学も)勉強して、自分自身の視界を明瞭にしたいなと思いました。

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2025年07月13日

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時間って何だろうということを考える良いきっかけとなった。

考えてみると不思議なものであり、目には見えないし、感じることしかできない。その感じいているものでさえ、私たちの生きているスケールが大きすぎるあまり近似されたものであり、そもそも時間は存在しない。でもじゃあ、何で感じるの?という疑問に物理学に最先端を行くカルロさんが答えてくれる、そんな内容だった。

文体は詩的で扱うトピックのせいか、哲学的な内容も多く正直わかり易くはない。エッセイというジャンルだからか、物理学の数式や理論的な記述は少なく、結論や表面だけをさらっていくだけでモヤモヤする。ただ、深い議論をされたところでほとんど理解できないのだろうが。

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2025年05月05日

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ネタバレ

“するとナーガセーナは勝ち誇ったようにいう。「馬車と同じように、ナーガセーナという名前も関係と出来事の集まりを指しているにすぎない」と。
わたしたちは、時間と空間のなかで構成された有限の過程であり、出来事なのだ。
それにしても、わたしたちが独立した実体でないとすると、何がわたしたちのアイデンティティー、「自分は一つのまとまった存在だ」という感覚の基になっているのか。このわたし、カルロをまとまりあるものとし、その髪や爪や足、さらには怒りや夢をも自分の一部だと感じさせ、悩み考えさまざまなことを感じている今日のカルロが昨日や明日のカルロと同じだと思わせているのは何なのか。”

自分が何者であるのかという問いでもあり、哲学的(宗教的?)、叙述的とも言えるが難しい。

“わたしたちは、時間と空間のなかで構成された有限の過程であり、出来事なのだ。”とあるが、ある意味自分が世界だということかもしれない。

しばらくしてから、また再読したい。

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2025年04月02日

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NHK出版 カルロロヴェッリ 「 時間は存在しない 」


「時間や空間が根源的ではない」と主張する物理学(ループ量子重力理論)の本。エネルギーを扱うと思っていた物理学が 世界の認識を扱うことに驚く


世界の根源にあるのは「時間や空間に先立つネットワーク」であり「時間のない世界」を前提としている。ただ 時間のない世界でも、過去から未来に向かう「時間の流れ」は 当たり前の事実のように感じられる という、ややこしい論理。さらに「時間の流れ」という感覚を 記憶とエントロピー増大の法則から説明


アインシュタイン の一般相対性理論による時間の描写「この世界は、ただ一人の指揮官が刻むリズムに従って前進する小隊でなく、互いに影響を及ぼしあう出来事のネットワークなのだ」




主な内容
*時間は、一つでなく、空間の各点に異なる時間が存在する
*時間は、方向もなく、事物と切り離せず、今もなく、連続でもない
*時間という特別な変数はなく、過去と未来に差はなく、時空もない
*過去と未来が違うと感じるのは、過去の世界が、私たちのぼやけた目に「特殊」に映るから
*時間が流れるリズムは、重力場によって決まる

量子重力物理学は 時間のない世界を理解し、意味を与えようとする試み
この世界は事物でなく出来事でできている

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2023年06月29日

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