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時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもない──。“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が、「この世界に根源的な時間は存在しない」という大胆な考察を展開しながら、時間の本質を明らかにする。本国イタリアで18万部発行、35か国で刊行予定の世界的ベストセラー!
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Posted by ブクログ
1章 所変われば時間も変わる 時間の流れは、山では早く 低地では遅い 低地では あらゆる事柄の進展がゆっくりになる 平地の方が地球の中心に近いから。 物体は 周囲の時間を減速させる。 巨大な質量の地球の周りでは 周りの速度は遅くなる。 ものが落ちるのは 時間の減速のせい 物体は時間...続きを読むがゆっくり経過する方に向けて動く 2章 時間には方向がない 過去と未来、原因と結果、記憶と期待、後悔と意図を分かつものは、基本法則のどこにも存在しない。 周囲に変化するものがまったくないのであれば、熱は、冷たいものから温かいものへ移れない。(クラウジウス:クラウジウスは 一方通行で不可逆な熱過程を測る量を考え出した。エントロピーと名付けた) この法則が、過去と未来を区別できるただ1つの基本的物理法則。 他のどの法則でも、過去と未来は区別できない。 熱は分子の振動 じっとしている分子も他の分子の熱狂に巻き込まれ動き始める。ぶつかったり押されたり、熱くなる。 冷たいところから 熱い所へ熱が移ることはない 過去と未来が違うのは 私たちの視界が曖昧だから。 「特別」「秩序だっている」私たちがあらゆる細部に目配りすれば どの配置も特別である。 「特別」という概念は宇宙を近似的なぼんやりした見方で眺めたときにはじめて生まれるもの。 ボルツマンは 私たちが世界を曖昧な形で記述するからこそエントロピーが存在するということを示した。エントロピーが じつはたがいに異なっているのに私たちのぼやけた視界ではその違いが分からない配置数であることを証明した。 過去と未来は、ぼやけ(粗視化)と結びついている。 過去が「特別」な状況なのは 私たちの視野が曖昧だから 3章 現在の終わり 速度も時間の流れを遅らせる。 動いている人間はあまり歳を取らず 時の刻みが遅くなり 考える時間が少なくなり 持ち歩いている植物は発芽に時間がかかる。飛行機の時計は遅れる 「今」には何の意味もない 4光年先の星にいるお姉さんが 今何をしているのかを問うことは意味が無い どの瞬間が今なのか 私たちの「現在」は宇宙全体には広がらない。 「現在」は 自分を囲む泡のようなもの 親子関係で確立されるタイプの順序を、「半順序」と数学者は呼ぶ 親子関係は ある順序(子孫の前、祖先の後)を確立するが、どんな2人をとっても順序が決まるわけではない 祖先からなる円錐型の過去があり 子孫で構成される未来がある。 宇宙の時間構造も円錐型。「時間的先行性」は円錐型の半順序。 宇宙の「現在」は存在しない 4章 時間と事物は切り離せない 「時間とはなんぞや」 アリストテレス⇒変化を計測した数。何も変化しなければ時間は存在しない。 時間は 事物の変化に対して己を位置づけるための方法、勘定と関連づけて自分の位置を定める手段 時間は 動きの痕跡 ニュートン⇒事物とは独立にそれ自身として流れる絶対時間が存在する ライプニッツ⇒時間は出来事の順序でしかなく、自立的な実体としての時間は存在しない 「空間とは」 アリストテレス⇒空間は物体の順序でしかない。「場所」はそれを囲んでいるもののこと 何も無い空間は存在しない ニュートン⇒ふたつの物体の間にも 空っぽな空間がある 様々な事物は「空間」の中に置かれていて その空間はたとえすべての事物が取り除かれて空っぽになっても存在し続ける。入れ物としての空間 アインシュタイン⇒時空は重力場、この場は物質がなくてもそれ自体として存在する。世界はキャンバスの上に描かれた絵ではなく キャンバスや層が重ねあわされたもの 場は絶対ではなく、一様でもなく 固定されてもいない。しなやかで伸びたり他のものとぶつかったり押したり引いたりする 5章:時間の最小単位 時間の本質について明らかになったこと⇒量子を考慮すると、一般相対性理論が残した一時的な足場が崩壊する 量子力学は、物理的な変数の粒状性、(ゆらぎや重ね合わせによる)不確定性、関係性(他との関係性に依存する事)の3つの基本的な発見をもたらした。 この世界は微細な粒で成り立っており、連続的ではない。量子(基本的な粒のこと) 電子がどこかに現れる瞬間と別のところに現れる瞬間の間には、電子の正確な位置は存在しない。確率の雲の中に散っているようなもので、位置の「重ね合わせ」状態にあると物理業界用語ではいう。 時空も同じで 揺らぐ。 ひとつの粒子が確率的に散って不確かになるように、過去と未来の違いもゆらぐ。 他の何かと相互作用する瞬間に限って 予測不能な形で不確かさが解消され定まる。 具体性は ある物理系との関係においてのみ生じる。 相互作用が起こると、持続時間は粒状になり、相互作用した相手との関わりにおいてのみその値が定まる。 第二部:時間のない世界 6章 この世界は 物ではなく出来事でできている 事物は「存在しない」。事物は「起きる」のだ 無数の出来事は 必ずしもきちんと順序づけられておらず、ごちゃごちゃと集まっているのだ 出来事は生じ変化していく。時間は変化を計測したもの この世界における最良の語法は、不変性を表す語法「~である」ではなく、変化を表す語法「~になる」なのだ この世界を出来事 過程の集まりと見ること この世界は物ではなく、出来事の集まり 原子は、もっと小さな粒子で構成されている。 素粒子は、束の間の場の揺らぎでしかないことがわかっている 量子場は 相互作用や出来事について語るための言語規範にすぎないことがわかっている 物理世界が実体で構成されているとは思えない。 この世界は限りなく無秩序な量子事象のネットワーク 第8章 関係としての力学 世界を記述する時に 時間変数は使えない 共通の時間が無く 物事の進みやすい方向が特に存在しない世界の記述とは? 必要なのは、世界を実際に記述する変数、私たちが実際に感じ取り観察し最終的に測ることのできる量だ (道の長さ体温 パンの重さ 空の色 星の数 竹のしなやかさ 喪失の痛み 時計の針の位置 など) 量や性質の観点から記述する。 互いに十分同期している変数が見つかったら、それらを上手く使って「いつ」について語ればいい。 ( 例;次の満月の3日後 太陽が1番高いところにあるときに落ち合おう。時計の針が4:35を指した時に君に会いたい。) 「時間」という名前をつける必要はない。 科学をするにしても、これらの変数の間にどんな関係が存在しうるのかがわかればいい。 この世界の基礎的な理論は、このように構成されるべきなのだ。 量子重力の基本方程式は このようにして作られた。その式は時間変数を含むことなく、変動する量の間の有り得る関係を示すことで この世界を記述する。 この理論は、時間のなかで物事が展開する様子を記述するわけではない。 物事が互いに対してどう変化するか、この世界の事柄が互いの関係においてどのように生じるかを記述する。 「ループ量子重力理論の方程式」(筆者の研究分野) 場は、素粒子、光子、重力量子といった具合に粒のような形で現れる。 これら空間量子の相互のネットワークが この世界の空間を生み出しているというべきなのであろう。 相互作用こそがこの世界における出来事の発生であり、時間の最小限の基本形態なのだ。 時間は、方向があるわけでも一直線でもなく、アインシュタインが研究したなめらかで曲がった幾何学の中で生じるわけではない。 相互作用の力学は確率的だ。 ほかの何かが起きるとした時に、問題の何かが起こる確率は 原則としてこの理論の方程式で計算できる。 この世界で起きる全ての事柄の完璧な地図、完全なる幾何学を描くことは不可能だ。 この世界は互いに関連し合う視点の集まりのようなもので、「外側から見た世界」について語ることは無意味。なぜならこの世界には「外側」が存在しないから。 空間量子は空間的に「近い」という関係によって結び合わさり、ネット(網)になる。これをスピンネットワークと呼んでいる。「スピン」という言葉は 空間の量子を記述する数学から。 スピンネットワークの輪っかはループと呼ばれており、これが「ループ理論」という名の由来。 これらの網は離散的なジャンプによって互いに転換し合うが、この理論では「スピンの泡(フォーム)」という構造として記述する。 これらのジャンプが生じることで肌理(きめ)が現れ、その肌理が、より大きなスケールでものを見る私たちにはなめらかな時空構造のように見える。 この理論は、小さなスケールでは確率論的で離散的な揺らぐ「量子時空」を記述しており、そのレベルでは、狂騒的な量子の群れが現れたり消えたりしているにすぎない。 第三部 時間の源へ ※ 9.10章はまた読み直すこと 第9章 時とは無知なり 大理石のテーブルも、私たちが原子レベルに縮めば霧のように見えるはず。私たちはこの世界を大まかに切り分け、自分にとって意味のある概念の観点から捉えているが、それらの概念は、あるスケールで生じているのだ。 「高い」「低い」ということはどこから? 私たちを引っ張る地球に由来している。近くに大きな物体があるときに生じるものなのだ。 これらの例では、実際に存在するものが、より基礎的なレベルではそれらが存在しない世界から生じている。時間も同様に、時間の無い世界に「生じる」のである。 マクロな状態が定める時間 時間が決まるのは、単に像がぼやけているから。 ある相互作用によって粒子の「位置」が具体化すると、粒子の状態が変わる。 また、「速度」が具体化する場合も粒子の状態が変わる。 しかも、『「速度」が具体化してから「位置」が具体化した時の状態の変化』は『「位置」が具体化してから「速度」が具体化した時の状態の変化』と異なる。 「位置」と「速度」は交換出来ない。これを量子変数の「非可換性」という。 物理的な変数の確定は孤立した行為ではなく相互作用であって、相互作用の結果はその順序によって決まる。そして その順序が、時間的な順序の原始形態なのである。 コンヌは優美な数学として提示。「非可換性フォン・ノイマン環」という数学的な構造を定義。 物理的な変数の非可換性によって、暗黙のうちにある種の時間的な流れが定義されることを示した。 マクロな状態によって定められる時間と、量子の非可換性によって定められる時間は、同じ現象の別の側面なのだ。 量子の世界に固有の事物の不確定性は、ぼやけを生む。 そしてボルツマンのぼやけゆえに、この世界はたとえ測定可能なものを全て測定できたとしても、予測不能になる。 時間の核には「物理系がおびただしい数の粒子からなっている」という事実と、「量子的な不確定性」がある。時間の存在は ぼやけと深く結びついているのだ。 そしてこのようなぼやけが生じるのは、私たちがミクロな詳細を知らないから。「時間」は結局のところ、私たちがこの世界について無知であることの現れなのである。時とは無知なり。 私たちの現実の像がぼやけて不確定だからこそ、ある変数が決まる。 第10章 視点 過去と未来の違いはかつてこの世界のエントロピーが低かったという事実に起因しているらしい。 なぜ 過去はエントロピーが低かったのか。 エントロピーは 私たちが何を識別しないかによって変わってくる。それは私たちが区別できない配置の数によって決まるから。 まったく同じミクロな配置のエントロピーが、あるレベルのぼやけでは高くなり、別のレベルのぼやけでは低くなる。 速度のような相対的な量なのだ。 自分たちがどの変数と相互作用するか、つまり、私たちがこの世界のどの部分に属しているかによって変わってくる。 宇宙のエントロピーが最初は低く、そのため時間の矢が存在するのは、おそらく宇宙そのものの原因ではなく、私たちの方に原因があるのだろう。 私たちの宇宙との相互作用のあり方が特殊だったのだ。具体的なマクロの記述を決めるのは私たちである。 私たちは極めて特殊な部分集合を識別するようにできていて、そのせいで時間が方向づけられている。 なぜエントロピーが増えるのか。 シャッフルしたカードを用意し、最初の6枚を覚えておく。そしてシャッフルし それ以外のカードがその間に何枚入り込んだかを調べる。 最初はゼロ枚だったのが増えている。これがエントロピーの増大。 最初のカードの配置はランダムだった。前半部分のカードを記憶してその配置が特別だと宣言したのは私たちの方だ。 宇宙のエントロピーについても同じことが言えるのかもしれない。多分 宇宙は特別な配置にはなっていないのだ。 記述には視点がついてまわる。 この世界における私たちの経験が世界の内側からのものだということを忘れてはならない。 11章 特殊性から生じるもの 世界を動かしているのはエネルギー資源ではなく、低いエントロピーの資源。 地球のそばには低いエントロピーの豊かな源がある。その名は太陽。 生命はエントロピーを増大させるためのさまざまな過程のネットワーク。餌から低いエントロピーを得ている。
面白かった!Newton超ひも理論を読んでからだったので、ちょうどつながるところもあり、楽しく読めたと思います。こういう物理の訳分かんないお話が大好物です!エントロピーやら量子論的な何か(笑)私にとっては訳分かんなさがとても楽しい! 頭の良い人はきっと訳がわかって楽しいんだろうなーと思いながら読みま...続きを読むした。面白かった!!
時間は存在しないということがどういうことか、時間を私たちはどう捉えて、それとどう違っているのかが、門外漢の私でも理解できるように書かれていた。 哲学のパートは難解で、まだよくわかっていない。
「ループ量子重力理論」というとんでもなく難解な話題なのに、カルロ・ロヴェッリ氏の手にかかればこんなにも分かりやすくなるとは。 「時間は存在しない」と言われると「そんなわきゃない!」と否定したくなるが、昔(という概念もまやかしだが)の人々は天動説や地球平面説を信じ、アインシュタイン氏でさえ「神はサイコ...続きを読むロを振らない」と量子的ふるまいに否定的態度を取った。ひょっとすると「(その頃にはそう呼ばないかもしれないが)昔の人って時間が存在すると思ってたらしいよ」となるかもしれない。 氏によると時空は重力場の「量子的重ね合わせ」であり、我々が「時間」と思っているものはエントロピーの低い状態を拙い脳が「(秩序だった)特殊(な過去)」と「ぼやけ(粗視化)」て認識しているからであると言う。つまり時間に前後関係はなく、電子とエントロピーの相対的関係性が存在するのみであるという。完全に理解できたわけではないが、なんとも知的好奇心を刺激される話ではないか。 また、詩文の引用を多用しており、アウグスティヌスの歌は「時間の認識」という一文も良い。
2019年11月に登録した書籍。 宇宙全体のある限定された系に生じた我々がそのように宇宙を認識するものとして生じたがために時間なるものを見出している。天動説から地動説に切り替わるように、時間は我々の脳が生み出しているだけだという話だった。エントロピーという概念が明らかに主観(恣意的な価値づけ)と切り...続きを読む離せない概念であることに対する疑問がきちんと取り扱われていたことで、要所を納得できた。ブロック宇宙論を退けているのも(直観的なものに過ぎないことは承知しているが)私の感覚と合っている。
自分は理系センスが全くない。それでも面白かった。衝撃だった。難しかったけど。 この世界はエネルギーで動いているものだとばかり思っていた。それが実はエントロピーが世界を動かしていたとは。 読みながら、ちょくちょく思考が停止したのは本書的に言えば、脳が動くのをやめ(キャパオーバーです)、エネルギーが熱へ...続きを読むと劣化して頭が熱をもったということになるのか。パソコンと一緒だ。
相対性理論により時間を相対化するに留まらず、著者自身の自説であるループ量子重力理論により時空そのものがループに還元される。常識をいくつも超えた専門的で先鋭的な物理学であるはずだが、いとも平明に描かれているおかげで不思議と納得でき、新たな世界観が自分に加わった気がする。 また、物理学で時間を解体するだ...続きを読むけでなく、むしろわれわれが実際に時間を感じるという事実に重きを置いて、広範な学問分野から認識や存在のメカニズムに深く迫る。その姿勢はまさに愛知者で、かっこいいし憧れる。
YouTubeの量子力学/相対性理論に感化されてこちらに。科学的にも興味深いが、科学者なのに文学的で詩的な著者の文章力が凄い。こういう系の話の最後は多くは認知や哲学的な話になる印象だが、読みやすい感じ。
私にはループ量子重力理論も関係量子解釈も選択できる能力が無いが、時間に関する結言には深く納得した。新しい人生観を知れて嬉しく思う。
誰に対しても、どこでも一様に流れている時間はないこと、現在というものはないこと、当たり前だと思ったこれらが実際は違うという事実は興味深い。また時間の方向もないことが、様々な物理方程式にみられるらしいことは特におもしろい。その後の、では時間のない世界をどう記述するのか、それでも感じる時間の正体はなにか...続きを読む、これらの論説は解説読んでも理解不能でした。
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