咲坂伊緒のレビュー一覧
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亮介に朱里を取られてしまうかもしれないというプレッシャーから少しずつ行動的になっていく和臣
どうにか追いついた先で朱里と話したのは想いを伝えるとかそういう甘いものではなくて、離婚の危機に揺れる朱里の内面に触れるというもの。相変わらず踏み出さないままの和臣の姿はほんの少し残念でも有ったけど、これが和臣の素の姿でも有るんだろうなぁ……
由奈への遠慮から理央の家に残る訳には行かないと考え更にそれを伝えることにも遠慮する朱里。朱里に想いを伝えるよりも朱里の笑顔を守ることを優先してしまう和臣
こういった部分を見ると本当にこの2人はそっくりというか芯の考え方が瓜二つなんだよね。行動する前に周囲を見てその調和を崩さないように考えて自分の望みを抑えてしまう。他の人からは明るいとかコミュ力高いと思われてしまうから自分を本当に理解してくれる人を求めてしまう
そういった理解してくれる人が朱里にとっては和臣になって、和臣にとっては朱里になってしまう。その関係は亮介が語るように「閉じた関係」に似たものになってしまうのかもしれないね
だから二人を助けるきっかけは2人以外から生じるのはある意味当たり前だったのかも知れない
離婚の危機、亮介の接近。そういったピンチを前にして情報共有を行うことになった由奈達。繊細な話題だからこれまで何処まで触れて良いのか、何処まで踏み込んで良いのかと曖昧だった
でも、話し合ってみれば意外と解決策は出てくるもの
由奈がヤキモチを焼くかもしれないという朱里の恐れ。それを格好良くそして彼氏らしく「じゃあ問題ないよ」と言い切った理央は素晴らしいね
そして理央の立場が固まったなら、同様に由奈も立場を固められる
朱里に面と向かい合って朱里の不安感を全て吹き飛ばすように「選んでいいんだよ 朱里ちゃんは」「無責任に 私にぶつけちゃえばいいんだよ」と朱里が考えても居なかった道を提示してみせた由奈
性格もこれまで歩んだ道も全く異なる朱里と由奈。この2人が親友となった理由を改めて納得させられるかのような場面だったね
由奈や理央から発破をかけられて、朱里や和臣が親に振り回される側から抜け出そうと藻掻き始める展開は非常に良いね
ただ、本作の優しくなくて、そして優しい所はこういった場面でこそ顔を出すのだけど
長男が勝手にイギリスに旅立ってしまった事にショックを受けている和臣の両親
母ばかり問題を引き起こしているように思えたけど、父にだって問題点があった朱里の両親
これまでの自分は親に抑圧されているんだとの考えのままでは見えてこなかった親の別の姿
それでも踏み出した和臣、踏み出せず亮介に会いに行ってしまった朱里。ここから起きる出来事は様々な意味で分岐点となりそうだ -
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朱里母が夫婦喧嘩への対処法にと出した答えが極論すぎて絶句……
朱里と理央に関しては両家の再婚によって恋愛や人生が思うように行かなくなってしまったわけだけど、こうして朱里母の極端にも程がある決断を見ると朱里の方が被害規模が大きいように感じてしまう
でも、一方で家族によって自由が抑圧されてしまうという点は和臣と重なり共感できる部分でも有ったりするんだよね……
家庭環境の危うさを抱えつつ和臣との距離を詰めようとする朱里
亮介との再会で自分の言葉を相手に伝える大切さを認識した訳だけど、それだけで行動の全てを変えられるなんて有る訳がない
和臣がバレンタインに思わせ振りな言葉を発しても、その後に別の思わせ振りなチョコを持っているのを見てしまえば行動するのは難しい
まあ、あの場面は和臣が周囲にしっかり説明すればそれで済んだ場面なんだけど、和臣は和臣で新しい問題が発生してしまったからなぁ……
親から受けた強硬策。家庭の調和を保とうとする和臣にとってそれは夢を諦めるには充分過ぎる一撃
ここで朱里は和臣の夢を応援しようと思いの丈をぶつけるけど、ここで発した言葉の幾らかは朱里の境遇にも当て嵌まる言葉なんだよね
子供の夢や心を理解していない親の無慈悲な強攻策。でも、これは逆に親と対決するいいチャンスになる
朱里から和臣に渡された一本のBD。親には内緒で肌見放さず持つそのディスクは二人を繋ぐかけがえのない絆になったようで
クリスマスデートも無事に完遂して幸せそうに付き合っている由奈・理央ペア
と思っていたら由奈が情緒不安定に。突然過ぎるように思ってしまうけど、よくよく考えれば自分をとてもじゃないが可愛いと思えない由奈からすればメンクイ男の理央が自分と付き合ってくれているというのはどれだけ言葉を尽くしてもしっかりと信じられない部分は有るんだろうなぁ…
おまけに自分と付き合う以前は朱里を好きだったという点を知っているのだから尚更
でも、そんな感情をぶつけられたら理央だって流石にカチンと来る。下手をすればあの瞬間に由奈と理央は別れることになったっておかしくない状況だった
そこで去りかけた脚を戻し由奈の言いたいことを落ち着いて聞いて、その上で言わなくて良いことは言わせないで由奈を好きだと目を見て伝えた理央はイイ男だね
おまけに由奈母に挨拶するなんてそんじょそこらの男に出来る行動じゃないよ
あのシーンからは改めて理央の本気度が伝わってくるようだったね
親と対決しようとした考えていたら由奈のヤキモチを知ってしまい、身の振り方を改めて迷う朱里
対決しようにも親への反撃を始められず、それどころか亮介の攻勢も目にしてしまった和臣
「モタモタしてたお前が悪い」とまで言われてしまった和臣はここから逆転の行動を始められるんだろうか? -
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由奈と理央が交際スタートし、関係に一区切り付いたためかこの巻は朱里と和臣の描写が多かったね
と言うよりも、和臣の内面に迫る話が多かったと言うべきか
朱里との擦れ違いが発生するまでは純朴な少年のような天然さを見せていた和臣。その一方でお気に入りの場所で話した言葉には気になる部分が幾らかあった
その理由が遂に明かされるのだけど、かなり意外な家庭環境だったと言うか、まさかあの和臣が家庭の空気を少しでも保とうと自分の望みを抑圧しているとは思わなかった
本当に人は見た目に依らない
でも、この意外過ぎる一面は朱里と結びつく部分があるんだよね
場の調和の為であったり、自分を守るために本当の望みを口にしない時がある朱里。そんな朱里だから和臣が映画を好む理由から自分との共通項を見つけられるし、「元気ですか?」の問い掛けに「俺は大丈夫」と返す違和感にも気付ける
でも、それを直接指摘できる程2人はまだ壁を壊せていないから、すぐに関係が変わりはしない
それでも和臣は亮介に会って欲しくないと我儘を言い、朱里は物を返すという調和を保つ行為を崩した
二人の関係は少しずつしか変わっていかないけれど、それでも普段の自分と異なる行動を採ったことで相手の行動を変えられた。自分達の未来を変えられた。
こう見ると、構えて言葉を発してしまう面の多い2人が織り成す変化が今後どうなっていくのか気になってしまうのですよ
既に多幸感溢れる様子となっている由奈・理央ペアはクリスマスデートですか
このデートの中で2人がとても幸せそうにしているとこちらまで嬉しくなってきてしまうね。
また、このデートの中で印象に残ったのは2人が「これから」について強く言及していた点かな
いつかの日に始めて見た映画について話す自分達を想像する由奈、キスの時に「ずっと一緒にいようね」と語る理央
恋人たちがこうして未来の自分達の在り様に言及する時はのぼせ上がっているか、別れそうな雰囲気のどちらかであるような気がするのだけど、この二人の場合はそんな背景など無いままに無理なく未来を約束できているんだよね
きっとそれは同じように『嬉しい』を共有できているからなんだろうね
幸せな由奈達と対称的なクリスマス模様の朱里達
恋人ではないし、約束していたわけではないからクリスマスの遣り取りとしてはどこか不格好
だからそんな状況で鬼ごっこを始め、どうにも捕まえられない和臣を捕まえようと言葉を尽くす朱里の姿は印象的
朱里に敢えて『捕まった』和臣は自分の家庭環境を話し始めた。これは鬼ごっこと同じように行き場のない自分の想いを朱里に捕まえて欲しかったからなのかもしれないね
スローペースで仲を深めていく由奈と理央
スローペースに変わり始める朱里と和臣
二者二様とも言える恋愛関係をこうして同時並行的に見られるなんて本当に豪華な作品だね -
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由奈への恋心を自覚してからの理央は本当に可愛らしいと言うか何というか
和臣に先を越されたと勘違いして走り逃げた上でパニックになってしまうとかちょっと面白すぎる(笑)
その描写のせいで由奈を抱きしめた場面では、邪な気持ちでも混ざっているんじゃないかと思ってしまったり。そのくせ、キスするのはちゃんと告白してからなんて考えているのだから、理央という青年は相当にピュアだね…
そんなダメダメな部分ばかりが見えてしまった前半部における理央だけど、文化祭編が始まってからは幾らか持ち直したかな
格好はパフスリーブにぴちぴちタイツと本人としては非常に格好悪いもの。それでも由奈はそんな姿の理央を格好良いと迷いなく言い切った。初恋の王子様と中身は違ってもそれは「いい意味だよ!」とも言い切った
なら理央は今の自分を恥ずかしがる必要なんて何処にもなくなる。以前のように由奈を魅了できる好青年になれる
格好つけるでもなく自然に溢れた笑みを向けあった理央と由奈の姿はカップルの絵としてこれ以上無いものになったね
そして、微妙な空気が続く朱里と和臣はじれったいまま
本心を見れば二人共両思いなのに、朱里は和臣との関係を壊さないよう動いている為に勿体ぶった発言が多くなるし、和臣は和臣で理央への遠慮から朱里への想いを振り切ろうとするあまり冷たい発言が飛び出してしまうし……
朱里としては望みがないとしても和臣を支えたいと思うから恋愛の絡まない形で和臣の傍に居たいと思う。けれど、そんなさっぱりしているように見える姿勢が朱里への想いを振り払おうとしている和臣にとっては多大な苦しみとなってしまう
二人共相手や誰かを思い遣る姿勢を貫いているからそれが逆に苦しみを生んでしまうという悪循環
だから和臣が苦しみのあまり、朱里に対して嫌味を言い放った挙げ句にキスしてしまったのはキャパオーバーになってしまったからなのだろうね
その後はきちんと謝って関係修復を図れたのは和臣の良い点だけど、それが望ましい方向というわけでもない。だから一見丸く収まったような状況でも、朱里にすればその状況は「しっくりこない」ものに思える
そういった朱里の想いと合わせて、理央から本当の好きな人を聞いた事で和臣の行動は何か変わるのではないかと期待してしまうけど……
また、恋のライバルとして理央の前に立ち塞がった我妻は由奈と手を繋いで何処まで言ってしまうのか…… -
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前巻ラストで桃色チックな夢を見てしまった理央。まるで恋に慣れぬ少年のような言動を見せ始めるのは意外の一言
また、表向きは由奈を振ったばかりで恋愛相談もしていたという間柄になるために切り替えの早い自分に自己嫌悪という……(笑)
由奈に惹かれてしまう本音と友達として向き合ってくれている由奈への建前。それらが相反して面白い思考になっている理央はちょっと可哀想と思いつつ笑えてしまう
一方で意外な展開を見せ始めるのが朱里と和臣。というか和臣が何を考えていたか、という点は本当に吃驚ですよ!
彼が朱里に対して距離を取り始めたのは13話の合コン男の一件が原因かと思いきや、和臣はあの場面を見ていたのか!
それで朱里と理央の関係を誤解、更に自分の想いを自覚して……とそれは確かに距離を取ってしまうかも知れない。
ただ、それは和臣の内面の問題だから朱里には一切通じない。和臣としては遠慮しよう、距離を取ろうとする思惑
けれど、今アプローチを掛けている朱里からすればちょっとした粉をかける行為も無駄に思える程にはっきりとした拒絶であるとしか感じられないんだよね。
でも、その一方で和臣は朱里を好いているから朱里を期待させるような言動も時にはしてしまう
だからって「や それはないけど」ってどういうことさ!天然男でも許されない一線というものはありますよ!
と和臣への憤りを感じずに居られなかっただけに和臣の兄によって和臣の知られざる癖が明かされた瞬間は少し救われたよ
あの言葉もあの言葉も和臣の心の底から出てきた言葉ではないと判っただけで取り敢えず良かったかな
自身の切り替えの早さに自己嫌悪して由奈に迫れない理央、理央に遠慮して朱里への想いを封印しようとする和臣
アプローチを強める女性陣に対して男性陣は忸怩たる思いを抱えて状況を動かせないようだね
それだけにラストのラッキー展開は状況を一変させる事件となりうるのかなと期待してしまうね -
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理央の行動をきっかけに破綻し掛けてしまう四人の様子が何とも危うさに満ちているように感じられた第4巻
理央はキスを「悪ノリ」と取られた事に腹を立ててしまうし、朱里はそんな理央を受け止めきれずに苛つき、そしてあの呑気に見えた和臣ですら朱里との接し方に迷っている
一つでも何かを間違えてしまえば、四人の関係は完全に崩壊してしまうのではないかと思うほどに危うかった
でも、唯一由奈だけは自分の中にある理央への『好き』を自覚しながらもどうすればいいか、どうしたいかを間違わないように気を付けながら行動しているんだよね
というか、想い人から親友にキスしたと聞かされたら動揺のあまり、とても嫌な気持ちになって嫌な対応をしたっておかしくないのに、その状況でも理央や朱里と真っ直ぐに向き合おうとするのはもう尊敬してしまう
それにしても理央と朱里の過去には驚きですよ!
二人が家族になると知った日のことについては2巻の段階で理央がサラッと語っていたけど、まさかその裏に朱里の重大な決意が隠されているとは思わなかった……
理央と家族になると知った次の瞬間にはその『家族』を守るために、これから生まれるかも知れない自分の恋心、理央から向けられるだろう恋心を封じてみせたんだもんなぁ……
こうなってくると四人の関係に罅が入った状態に対して真っ先に行動しないといけないのは既に充分頑張っている朱里ではなく理央になる
状況を変えるために朱里の秘密を守った上で理央に発破をかけた由奈は素晴らしいし、由奈の言葉を契機に朱里と家族になった日の真実に思い至る事が出来た理央も素晴らしいね
これまでは朱里が理央の想いを封印し、理央はそれを知らずに自分で封印したと思っていた。だから二人は姉弟になれたけど、一方で二人の意志が揃った形で姉弟になっていたわけではなかったのかもしれない
優しい嘘を通して仲直りをした二人はあの瞬間に本当の姉弟になったのかもしれないね
そうして理央と朱里の関係が整理されたなら、二人は前に進むことが出来る
朱里はようやく和臣と微妙な雰囲気に終止符が打たれ、そして理央は……
由奈がああした夢を見ることはそれほど以外でもないんだけど、まさか理央まで同じ夢を見るとは(笑)
欲求不満だったのか、それとも恋愛相手として由奈を見れるようになったのか
何はともあれ、ようやくこの二組の恋愛模様は本当のスタートを切ったような気がしますよ -
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双葉えらい
まっすぐでいいな、と思いました。
友達に言いづらいこと、頑張って言えた、強く優しいタイプ、しかも顔可愛いしスタイルも良いって羨ましくなりますね。 -
Posted by ブクログ
冒頭から和臣に翻弄される朱里の姿がちらほらと
カラオケシーンで言及されるように和臣って朱里の好きなタイプから外れているんだよね。茶番じみた会話とか相手に下心を見せた上で接するとか、そういう恋愛を楽しめる相手をこれまで朱里は好んでいたんだろうな
対して、和臣は本当に恋愛観が小学生で止まっているのではないかと思うくらいに天然だし相手との距離を躊躇なく詰めてくる
それは朱里にとって接し慣れない相手。だからこそ、和臣の存在は朱里にとって『新しい世界』に成り得る。そして『新しい世界』である和臣に夢中になっている時の朱里はこれまでにない表情を見せる
和臣に思わず触れてしまって赤面が止まらなくなる朱里の様子とか本当に見たことない表情ですね!
ただ、こうなってくると朱里に対して捨てきれない想いを抱いたままの理央の立場が難しくなるのだけど
和臣は普通に友人だし、朱里とはもう家族だから妙な執着心を見せる事も出来ない。もやもやが溜まっていく
そしてそんな理央を見て『好き』を振り切って友達になろうとしている由奈にも影響があるわけで。朱里を見て傷つく理央の様子から由奈が抱いてしまう同情、独占欲、自分ならという気持ち。それらは由奈に『好き』の気持ちをより確固たるものにしてしまう
第2巻で懸念した通り、四人の人間関係が非常にややこしいものになって来てしまったね……
そして、複雑な感情に戸惑いを見せる由奈達に対して一人呑気な和臣の天然が各所で炸裂しすぎていて最早愉快な気持ちになってくるね
公衆の面前で朱里の手の匂いを嗅いでみたり、何の気無しにお気に入りの場所を教えたのは朱里が初めてだと言ってみたり。
それらの無垢な天然さに翻弄される朱里も面白いね。理央に挨拶する和臣を見て「なにあれ かわいい…」は結構重症だと思いますよ?
でも、今の朱里の気持ちって本当に真っ直ぐで「和臣に好きになってもらいたい」という一心なんだよね。それこそ、マラソン大会で無茶をしてしまうくらいに
だからこそ朱里の尽力が一つの扉を開く場面は奇妙な感動を覚えてしまったり
あの和臣が照れてますよ!朱里を意識してますよ!
ここから朱里と和臣は急接近していくんだろうなと思っていたら、これまたラストに急展開が。本当に本作は良い意味で読者を翻弄してくれるね -
Posted by ブクログ
第1巻ラストにて明かされた衝撃の事実を認める理央。ただでさえややこしい事になりそうな人間関係が一段と複雑になる裏事情が明かされたね……
告白しようと思っていたのにその告白を外的要因によって許されなくなってしまった理央。おまけに朱里の態度は真剣に自分と家族になろうとしていると判る。そこに恋愛感情が入り込む余地など無いと理解させられる
そういった意味では朱里と理央は恋愛観が似たタイプであるように見えていたけど、根っこにある動機が大きく違うのか
この巻では由奈の視点で展開するシーンが多く、必然的に理央の内面や性格について描かれるシーンも多かったね
理央を見ている由奈が描かれ、そして理央の良い所が描かれることで、由奈の好きという気持ちが収まらなくなり告白に至ってしまう展開を自然に受け入れられるようになっているね
でも、一方で理央に告白した由奈の動機が単純に自分の感情を抑えきれなくなったからというだけに留まらず、理央を支えたいというあまりにも綺麗過ぎる善意によって為されるというのは驚かされる。苦しい気持ちを話せる友だちになりたいから振られる為に告白するって……
理央は断るしか無かったけど、メンクイであると自覚する彼の心を変えるにはこれ以上の告白はなかっただろうね
理央に告白してみせた由奈の勇気は朱里にも影響したようで。一転して朱里の周囲が描かれるように
朱里が過去に憧れの感情を寄せていた瑛士、朱里と理央の複雑な関係を平然と受け入れる和臣
瑛士がどのような人間であるかそれほど描かれないけど、二人が朱里に与えた影響が対極に近い点は伝わってくるね
ここではない何処か、知らない世界へ連れてってくれそうな雰囲気を纏っていた瑛士の存在は閉塞感を覚えていた頃の朱里にとってキラキラした存在。由奈の影響で新しい世界に踏み出してみたくなった朱里が思わず会いたくなってしまう相手
けれど、既に朱里は新しい世界に踏み出し始めているから、昔キラキラしていた存在に今になって焦がれるなんて事はないんだよね
対して和臣は「『ここではないどこか』なんてないしね」「その『どこか』も着いた瞬間『ここ』になっちゃう」なんて朱里が想像もしていなかったような考えを話す。
和臣の存在は朱里に遠い場所を見させるのではなく、近くに居る存在を意識させるきっかけとなる。
和臣の態度に対して「始まりの合図じゃないんでしょ?」とじれる朱里。「相手と自分の気持が一致してるなって分かるまで」告白しない朱里にとって、和臣の気持ちを気にするということは朱里の方は和臣にかなり惚れてるってことなんだろうね